梨のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ宇原美咲(うはらみさき)という女子生が落としたなんせんぶ学園の生徒手帳。
ここには一般的な生徒手帳と同様に学則が細かく明記されている。
しかし、明記されている学則の様子がどうもおかしい。
例えば校章には当たり前にあるはずの「高」という字がなかったり、「過度に目立つ状態を避けること」や「校区の内外を問わず、他社の通行を妨げないこと」など、極力目立つことを避けさせたりするような校則が多数記載されてある。
また、放課後に用のない場所や、人目につきにくい暗い場所への集合を”禁止”ではなく促していたり、髪の毛の長さ、色、私服、上着や下着に至るまで、身だしなみや服装を細かく指定したりしている。
他にも、なぜか自転車の使用は禁止されていたり、就学年限(3年とか6年とか)が設けられていないので、おじいちゃんとかも通っていたり、時間割表では「数学」や「英語」などのありきたりな科目は教えておらず、「道徳」と「倫理」が授業の8割を占めていたりする。
そして、これらを含む学則全ページには、持ち主である宇原さんが赤ペンで書き込みをしているのだが、どうやら、この宇原という女子生徒、校則を破らないギリギリの隙間を探り、どうにかこの生徒手帳を落として、特定の誰かに拾ってもらうと画策している感じなのだ。
違和感だらけのこの学校は、なぜこうも生徒を厳しくルールで縛るのか、なぜ持ち主である宇原はわざとこの生徒手帳を落としたのか。
そもそも宇原美咲って一体何者なのか。
校則を辿っていくと見えてくる真実。
この生徒手帳は拾わない方が良かったと思い知ることになる。 -
Posted by ブクログ
難しかった!
「今何の話してるんだっけ?」「今誰が語ってる話なんだっけ?」「『私』って誰なんだっけ?」と、かなり混乱しながら読みました。考察とか複雑な話が好きな方にはピッタリな作品だと思います。
状況がよく分からないまま読み進める箇所が多いため不安感もあいまって、しっかり怖かったです。
この話も『鬼門の村』に似てる部分があるなぁと思いました。前に読んだ『ある警察官の奇妙な告発にまつわる諸資料』の感想でも同じこと書きましたが、この3冊の怖さの共通点なのかも。
怪異が発生している時の描写は生々しかったです。そもそも文章を脳内で再現…っと危ない。本作の核心を書いてしまうところでした。
気になる方は是非お読みください。 -
Posted by ブクログ
開催を知って、見に行きたいと思いつつ終わってしまった「恐怖心展」の、図録のような一冊。
展示そのものに対してはわりとSNSウケ・話題性重視といった認識だったのだけれど、存外かなりよかった。
恐怖を発症するきっかけは様々でありながら、「ひょんなことから」「なにげない画像から」「誰かの一言から」「ささやかな失敗から」、突然のうちに始まってしまうのが興味深かった。
そんなことで?という一件が、以降その人を捕え長く長く苛んでいくことになる。予期不安というか、恐怖症に伴う症状として、自分の体が思い通りにならないこともまた恐怖。
とりわけ、失敗に対する恐怖を抱く人が持ち歩いていたメモと、罪悪に対する恐怖を抱く人が綴ったYouTubeチャンネルの説明文などは鬼気迫るものがあった。
この現代において、実際の意味で命を脅かす恐怖なんてきっと何一つないのだろうとは思う。
それでも恐怖は決して外側にあるとは限らず、自分の心の内から勝手に立ち上ってくる。迫ってくる。逃げられない。想像力ってやつは、本当やっかいだ。
恐怖症を一覧して読んでいると、意外と自分にも当てはまるものが色々あった。
醜形恐怖、対人関係全般の恐怖はあまり他人事ではなく、過去のあれこれがぶわっと蘇ってくるので危なかった。
恐怖心やトラウマ、PTSD、強迫観念についてもっと知りたいけれど、知りすぎて深淵を覗いてしまったらと思うと、いよいよ引き返せなくなりそうな気配を感じて怖い。 -
Posted by ブクログ
令和、ホラーも多様化の時代。
身の毛もよだつようなホラーだけがホラーじゃない。
『令和最恐ホラーセレクション クラガリ』
アンソロジー
最初に言っておきますが、
私、ななこは大のホラー好きです。
怖ければ怖いほどいい。
おぞましければおぞましいほどテンションが上がる。
(たぶんちょっと性格に問題ある。)
そんな私からすると、
このアンソロジーは絶叫系というよりは侵食系。
だから、いわゆる王道の絶叫系ホラーを期待していると、
ちょっと雰囲気が違うかもしれません。
でも!
・令和っぽいホラーを体験したい人
・ノスタルジー×不穏が好きな人
・新しい作家さんを開拓したい人
にはぜひ読んでほしい一冊。
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6つの短編が収録されています。
『オシャレ大好き』背筋
『近畿地方のある場所について』の背筋さん、
やっぱり不穏の作り方がうまい。
ラスト、「え?どういうこと?」ってなるのに、
ちゃんと嫌な感じだけ残る。
お客さんがあんなこと言ってたら、私なら即閉店。
『鶏』澤村伊智
これ読んだあと、チキンナゲットにためらいが生まれる。笑
怖いというより、気持ち悪さが静かに残るタイプ。
嫌な余韻の名手。
『金曜日のミッドナイト』コウイチ
正直に言うと…よくわからなかった。
そしてあまり怖くなかった。笑
でも合う・合わないがあるのもアンソロジーの醍醐味。
『警察が認めた<最恐心霊物件>』はせやすひろ×クダマツヒロシ
今回いちばん「うわ、やめて」ってなったのがこれ。
ステンレスの鍋とかシンクとか、
ああいう映り込み系は本当反則です。
今夜ちょっとキッチン見たくないかも…
『余った家』栗原ちひろ
あの<オペラシリーズ>の栗原ちひろさん!?
…と懐かしさも込みで読む。(もう20年も前か!)
派手な怪異はないのに、
家族のズレが、じわじわにじみ出る感じが怖い。
『恐怖症店』梨
私のベストはこれ。恐怖を商品化する発想が、もう天才。
恐怖症を売る女と、その助手の少年。
この2人の関係を解くミステリー要素もあって、どこか切ない。
恒川光太郎さん好きな人は、たぶん刺さる。