宮沢賢治のレビュー一覧
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宮沢賢治と中島敦。
『東北・南洋・中国・韓国など周縁から文学の中心に迫った
純粋かつ豊饒なる作品世界』
という帯の解説。
中島敦は初めて読みました。
南洋の世界の『環礁』や日本占領時代の朝鮮の
『巡査の居る風景』。中国の故事を基にした、
『李陵・司馬遷』『弟子』『悟浄出世』『悟浄歎異』
独特の世界観は引き込まれる感覚や、心象の描きかた、
その土地の風俗や風景やにおいが濃密に描かれていて
面白いと思います。
宮沢賢治の童話と詩。特に詩の『春と修羅』と『疾中』は
声に出して読むと、ぞくぞくとする内容です。
また、『ひかりの素足』と『ポラーノの広場』は
不思議な感覚の童話です。これも引き込まれる感じを
強く受ける作品です。 -
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“これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりません。”
宮沢賢治の童話集「注文の多い料理店」。賢治は小学生の頃から大好きでよく読んでいましたが、やはり圧巻です。
高校生になって久しぶりに読みましたが、賢治の世界観にすぐ引き込まれてしまいました。
こちらの本はほとんど賢治が出版した童話集「注文の多い料理店」を再現していて、かなり凝っているなという印象を受けました。
表題作「注文の多い料理店」を筆頭に、
・「どんぐりと山猫」
・「狼森と笊森、盗森」
・「烏の北斗七星」
・「水仙月の四日」
・「山男の四月」
・「かしわばやしの夜」
・「月夜のでんしんばしら」
・「鹿踊りのはじまり」
といった9編の童話から成っており、私の一番のお気に入りは「烏の北斗七星」です。
とは言っても、どれも動物・植物・自然・電信柱などといった私たちの身近にあるような物を題材としているので、親しみやすく読みやすいと思います。
何と言っても賢治の童話は読んでいて心が洗われる気分になります。
童話とは言っても大人から子供まで幅広く楽しめると思います。更に面白いのは、読む年齢によって考える事・感じる事が全く違うのも面白いです。いつ読んでも新鮮で新しい発見があります。
また、童話を読み終わったら是非小倉豊文さんの解説を読んで頂きたいです。賢治への理解も深められますし、何より同氏の賢治に対する熱意がひしひしと伝わってきます。
隅から隅まで楽しめる本となっていると思います。 -
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宮沢賢治を読み返してみようと不意に思い立ち手に取った本です。表題となる「雨ニモマケズ」ほか「春と修羅」などから詩と、「ポラーノの広場」、「四又の百合」が収録されています。
詩はどのように読めばいいのか。様々な解釈があるでしょう。文字の並びが音となることで、その魅力は変わるのでしょう。目で文字をとらえ、書かれている内容を読み、口に出して音として聴く。それぞれでそれぞれの楽しみが生まれるでしょう。そして切り取られた世界が広がるのが魅力でもあるでしょう。
併録された「ポラーノの広場」でも歌が登場します。歌の詞は目と心を刺激し、音を奏でます。これらには実際に曲も付けられているので音曲として聴くとまた違う魅力があるのでしょう。
賢治の作品の魅力は様々あるでしょうが、そのひとつは音楽的な魅力でもではないでしょうか。そんな魅力を堪能しました。 -
ドラマ&映画化作品
コンセプトがわからないという声が各所でちらほらとありますが、
BUNGO -日本文学シネマ-という題で放送されていた短期ドラマと
同シリーズで映画化された作品を集めたものです。
数年前に短期ドラマを見てそれっきりでしたが、
最近になり原作をじっくり読みたいと思い出したとき、
こういう短編集になっていると知り(紙で)購入しました。
これら全部をそれぞれに読もうとすると、
(特に短編は)ちょっと苦労するので
こんな短編集はありがたいですね。
もっと増えてほしいです。
映像の方もおすすめですので興味のある方はぜひ。 -
購入済み
映画化もされた名作
銀河鉄道の夜など有名作品が注目されることが多い宮沢賢治ですが、この作品も負けず劣らず名作です。アニメ化もされ話題を集めました。
検索しますといろいろなネガティブなコメントも見つかりますが、純文学としてとても読みやすく、子供にもオススメできる童話です。
また、青空文庫に慣れていない人には、坊っちゃんとともにオススメしたい読みやすさとボリュームです。
展開も速く今読んでも色褪せない名作だと思います。 -
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いろんな出版社から発行されているなか、集英社文庫を選んだのはブックカバーに惹かれたから。
それはさておき、ここに集められている作品は残酷なものが多い。または人の悪意を感じる。
残酷なのは自然であり、悪意は発展登場の日本が生み出しつつあった階級闘争からくるものかもしれない。
ほんの100年前まで、自然はこんなにも怖ろしく、人間の行手に立ち塞がる存在だったのかと思う。自然の克服こそが近代化の証だが、感違いしてはいけないことは東日本大震災を持ち出すまでもない。
大地の営みに対して謙虚になることと、自然の脅威に立ち向かうこと。賢治は共に実践していたのでしょうね。 -
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宮沢賢治による寓話集。
表題作『銀河鉄道の夜』の他、『注文の多い料理店』『オッペルと象』『山猫とどんぐり』などが収録されています。
約5年ぶりの再読ですが、いろいろな発見がありました。今回は特に表題作の『銀河鉄道の夜』以外の作品を中心に収録された寓話を読みすすめると、宮沢賢治の作品に共通する世界観や頻繁に登場するテーマがすこしずつ見えてきました。
本書に収録された物語にはしばしば倫理的な主題が現れます。『オッペルと象』『ツェねずみ』など他者を欺供養な人物、性根が曲がったような生活を送っている人物に対して辛辣な結末が訪れる作品が多く見受けられます。随所に賢治らしい独特な言葉のリズムやみずみずしい風景描写は見られますが「幻想的な賢治童話」という認識からは大きく外れる作品群です。
このような作品から垣間見える宮沢賢治の理想的な生とは清く正しく黙々と生きるということなのだと思います。彼の倫理観が最も端的に現れている作品は本書収録外の『雨ニモマケズ』でしょう。そして賢治が読者たちを善導しようと記した作品がこれらの倫理的な寓話たちなのです。
そしてやはり賢治童話の魅力は多彩な情景描写でしょう。『銀河鉄道の夜』の幻想的な宇宙などの風景描写は当然ながら素晴らしいですが、私が感動したのは『からすの北斗七星』や『二十六夜』のは2作品です。この両作品に見られるような動物たちの感情をたっぷりはらんだ動きと夜の帳が下りた山々の風景の描写は私たちが知らない夜の静寂の世界で実際にこのような情景が繰り広げられているんじゃないかと想像されるほど、臨場感があふれています。宮沢賢治の描く動物たちの仕草はとても動物らしい一方でとても人間らしく、この筆致こそが独特の幻燈を生み出すのではないかなと思われてきます。その一方で2作品共に登場する動物たちには衝撃的な出来事が起きますが、その描かれ方はとても抑制的に感じます。この抑えられた文章によって私は過度に登場人物に感情移入せずに物語を読み進めることができ、実際の自然ドキュメンタリーを見ているようにこの物語世界と向きあう事ができまし事になりました。そしてこの寓話を一定の距離感を持って鑑賞することによって賢治の物語世界全体を楽しむことができたのではないかと思います。
もちろん上記に書きましたことは『銀河鉄道の夜』にも言えることではないかと思います。『銀河鉄道の夜』に見られる倫理的なメッセージや物語世界と近づきすぎずに全体的に提示してみせる筆致に注目て読んでみると、少し違った読み方ができて面白かったです。