宮沢賢治のレビュー一覧
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はじめてちゃんと『銀河鉄道の夜』を読んだ。生きているということは、希望と絶望、喜びと悲しみ、生と死がいっぺんにやって来るということなんだと感じられた。冒頭がとても美しかった。天の川の正体を本当は知っているのに、答えられない二人。たったの数行で、二人の関係性と温度感が伝わってくる。からかわれ気味のジョバンニはカムパネルラとかつて仲が良かったことを悟られて、カムパネルラに恥をかかせてはならない。
さいわい、さいわいってなんだ。さそりとか、双子の星とか、チョコの鳥とか、不思議な話に巻き込まれて、さいわいを考える彼らに巻き込まれて、彼らもわたしもさいわいがわからないままだ。
小学2年生くらいの時、父に薦められた『セロ弾きのゴーシュ』を音読しようとしたけど、長すぎて諦めたのを思い出した。大人になって、ちゃんと読んでみてよかった。なんだかんだで、ぶつくさいいながら素直に楽器をならす主人公がとても好き。 -
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残酷な自然の中、こういうやつは嫌われる、みたいなものが描かれる短編が多い。
やはり銀河鉄道の夜に触れたい。余韻がすごい。カムパネルラとの関係性が微妙になる中、博士の思考実験という体の世界で、沈没船や蠍の火を通して、みなの幸せに自分の人生を捧げたい、本当の幸せとはなにかをジョバンニが考える。現実に戻ってからの畳み掛けがすごい、感情が追いつかない。カムパネルラが死んでしまうことから、銀河鉄道は親友の死を受け入れるための通過儀礼としてのジョバンニの精神世界という解釈が自然そう(銀河鉄道の最後にカムパネルラがいなくなることからも)
本当の幸せとはなにか?を考えさせられることが、すきとおったほんとうのたべものなのだろう。 -
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小学生時代に読んでよくわからないなぁと思って、大人になってから読むと、なんて綺麗な表現なんだと思った本。クラムボンは笑ったよのやまなしに似てる表現。
「僕はおっかさんが本当に幸になるなら、どんなことでもする。でもいったいどんなことがおっかさんの1番の幸せなんだろう。」なんだか泣きだしたいのを一生懸命堪えているようでした。
「僕わからない。けれども誰だって本当にいいことをしたら1番幸なんだねえ。だからおっかさんは僕を許して下さると思う。」カムパネルラは、何か本当に決心しているように見えました。
「カムパネルラ、僕たち一緒に行こうねえ。」
ジョバンニが云いながら振り返って見ましたら今まで座っていた席にもうカムパネルラの形は見えず、ただ
黒いびろうどばかり光っていました。ジョバンニはまるで鉄砲丸のように立ちあがりました。もうそこらが一ぺんにまっくらになったように思いました。
このシーンが泣ける。 -
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「やまなし」クラムボンは笑ったよ 二匹のカニが川底を右へ左へちょこちょこ動く様子が浮かぶ 怖い思いをした時お父さん蟹が優しく不安を取り除き またいつもと変わらぬ生活へ戻っていく クラムボン謎の言葉のようでわたしの想像は蟹の子供達が作った架空の生き物の名前
「ひかりの素足」 ジーンときます。
泣ん坊の幼い弟への愛情 仲の良い兄弟が帰路の途中大雪の中遭難してしまう 楢夫、、、
(読書後就寝 夢を見た 夫がポタポタ大粒の涙を流している。悔し涙だった、人見知りの私への歯痒さが涙の原因だったよう 夫の泣いてる姿。切なかったなぁ いつもワガママ言っているので後悔しないよう思いやり優しい気持ちを表現できれば良いなと。夢の中のお話でした^ ^)
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1989年刊。新潮文庫の新編宮沢賢治は童話が3冊。そのなかの1冊。「銀河鉄道の夜」「よだかの星」「シグナルとシグナレス」「セロ弾きのゴーシュ」など、14篇を収める。
「銀河鉄道の夜」、最初に出会った頃にはバージョンがいくつかあって、戸惑った。いまは第4稿に落ち着いている。これも本書の編者・天沢退二郎と入沢康夫によるテキスト研究の賜物。でも、旧バージョンに出てきたブルカニロ博士がいない。
私のイチ押し、「猫の事務所」も入っている。軽便鉄道の停車場近くにある猫の第6事務所。所長は黒猫。一番書記が白猫、二番が虎猫、三番が三毛猫、そして四番書記のかま猫。ウィットとユーモア全開、そして風刺。
巻末エッセイは、岩手県出身、賢治研究家で宇宙物理の斎藤文一(南極観測隊員としてオーロラ観測もした)。文芸評論家・斎藤美奈子、韓国文学翻訳家・斎藤真理子の御父上。エッセイの題は「宮沢賢治の宇宙像」。期待して読んだが、ポストモダン風で、かなり難解。 -
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新潮文庫の新編の宮沢賢治は、童話が3冊。本書は、よく知られた「風の又三郎」「グスコーブドリの伝記」「虔十公園林」を柱に、まわりを動物が登場する作品で固め、計16篇。
ツェねずみだの、クンねずみだの、カン蛙だの、ブン蛙だの、ベン蛙だの、ルラ蛙だの、登場するキャラからしてふるっている。ストーリーも多種多様。とくに「フランドン農学校の豚」はブラックで絶品。外来ヨークシャイヤや黒いバアクシャイヤ、そしてカント博士の名前まで出てくる。フランドンはもちろんフランドルのもじり。そしてこの作品、冒頭の原稿用紙1枚分がない! その欠落がさらに想像を掻き立てる。
表題作「風の又三郎」は、読むたびに、なんとも言い難い感興。そして「虔十公園林」。「雨ニモマケズ」にも通じる。賢治の理想の生き方が描いてある。それに名前もほぼ自分だし。 -
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1990年頃、新潮文庫の宮沢賢治は、天沢退二郎編で全面リニューアル。童話は3冊。そのうち本書は、地方色が濃い作品で固めた一冊。
「注文の多い料理店」、「ざしき童子の話」、「茨海小学校」など19篇。私の推しの「楢ノ木大学士の野宿」も入っている。
読みどころは、巻末の井上ひさしのエッセイ「つめくさの道しるべ」。当時の岩手の田園風景がどんなだったかを書いている。しろつめくさ(クローバー)はヨーロッパ原産。アイルランドの国花、ヴァージニア州の州花でもある。江戸末期にオランダ経由で入ってきたが、本格的に栽培されるのは明治に入ってから。国家事業として痩せた土地に植えられ、牛や馬の飼料(いわゆる牧草)になった。なかでも土地の痩せた岩手県はその典型。賢治のまわりにあったのは、このしろつめくさの野原だった。彼の世界がなんだか西洋風なのも、これでうなずける。小岩井農場、イーハトーブ、フランドン農学校、イギリス海岸……。
さすが井上ひさし。宮沢賢治を語らせたら、とまらない。岩手・山形・宮城で幼少・少年期を過ごし、青年期には花巻の国立療養所の事務員もしていた。おまけに、日本の農業にもおそろしく詳しい(著書も数冊ある)。
(p.s. つめくさは「詰草」。江戸末期、オランダから将軍へガラス製の花瓶が贈られた。その時の梱包材として使われたのがこの草だったという。それで「詰草」。究極のトリビア。) -
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「注文の多い料理店」・「風の又三郎」・「セロひきのゴーシュ」・「銀河鉄道の夜」・「雨ニモマケズ」など、宮沢賢治の代表作14話と詩3編を一冊に収録された童話集です。
価格は少々高額ですが、日下明さんの美しいカラー絵と巻末には注釈や各話の解説が掲載されており、子どもから大人まで繰り返し楽しめる贅沢な一冊だと思います。
宮沢賢治の作品は、子供の頃に読んだ記憶があっても忘れてしまっていたり、作品のタイトルは知っていても実際には読んだことがない、という人が多いのではないでしょうか。
私もその1人で、今回あらためて作品に触れて、宮沢賢治の描く世界に心が洗われる思いがしました。
例えば代表作の「銀河鉄道の夜」。現代小説ばかり読んでいる自分にとっては、ちょっと戸惑うくらいの幻想的で美しい世界が描かれていて、ジョバンニとカンパネルラが列車の旅を通じて、本当の幸せとは何かを問いかけます。最後は自己犠牲の悲しい場面もありますが、最も印象深い作品でした。
自己犠牲といえば「なめとこ山の熊」という作品。宿命的な命のやり取りが描かれていて、何とも切なくなる話でした。
そして「注文の多い料理店」。読んでいる途中で話のオチに気づきつつも、食べる側と食べられる側、人間の奢りと愚かさを面白おかしく風刺した作品でした。
人間の愚かさという点で、弱い者いじめについて描かれていたのが、「よだかの星」と「猫の事務所」。
宮沢賢治の童話は、子供のときに読んでいても、大人になって読むとまたさらに新しい發見があり、何度でも読み返して楽しめる作品だと思います。
この本の一番最後に収録されているのが、あまりにも有名な詩「雨ニモマケズ」で、例えば
「ミンナニ デクノボートヨバレ
ホメラレモセズ クニモサレズ
ソウイウモノニ ワタシハナリタイ」
と、ちょっと自虐的な表現ながら、自身の理想の生き方を綴った作品と思われて、結局最後までより良く幸せに生きることを願っていた宮沢賢治なのだなと思いました。