あらすじ
これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりません――生前唯一の童話集『注文の多い料理店』全編と、「雪渡り」「茨海小学校」「なめとこ山の熊」など、地方色の豊かな童話19編を収録。賢治が愛してやまなかった“ドリームランドとしての日本岩手県”の、闊達で果敢な住人たちとまとめて出会える一巻。
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評価するのも烏滸がましいほどの名作。
独特なリズムの文章と、寓話のようでいてどこか不気味さを帯びた物語は、読むたびに新しい発見がある。
宮沢賢治作品は読むたびに印象が変わる不思議な魅力を持っている。
子どものころに読んだときと、大人になってから読んだときとでは、まるで別の物語のように感じられるはずです。
一度は手に取って、その唯一無二の世界観を味わっていただきたい一冊です。
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注文の多い料理店の他、たくさんの童話が掲載。
そのどれもが星のように美しく、哀しく、かわいらしく、あたたかく、血が通っている。
どんぐりと山猫や、注文の多い料理店などのお話もだけれど、後半の雪渡り以降のお話が殊に素晴らしい。
気のいい火山弾、おきなぐさ、なめとこ山の熊
などは涙なしでは読めないくらい。
どのお話も本当に読む方の心に深く染み入る何かを残してくれる。
それに比べて、現代の人間の壊れようはなんだろう。
自然を破壊し尽くし、金に変えていく亡者と化した人間。悲しすぎる。悔しい。
今こそ賢治は絶対に読まれるべきだと思う。
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学びの多い一冊。
注文の多い料理店からは「都合の良い思い込み」を学ぶことができた。人は自分の都合のよいものを見て解釈してしまう。一歩引いて俯瞰して見ればおかしいことに気がつけない。
「土神ときつね」からは嫉妬の感情とリスクを学べ、「なめとこ山の熊」からは環境によって強者と弱者が入れ替わる社会構造を学ぶことができる。
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幼い頃からとても大好きなお話。
特に、主人公達が牛乳のクリームを顔や手足に塗ったり、お酢の入った香水をぱちゃぱちゃとふりかけたりするシーンがお気に入り。もしあのまま体中に塩を揉みこんで扉を開けてしまっていたらどうなっていたのだろう、というゾクゾク感も最高。
タダより怖いものはないということや命や自然についてまで深く考えさせられるような作品だと感じた。また、自身は捕食者だと信じて疑わない彼らが実は被食者側だった、という事実に気づく場面が実に滑稽で良い。
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大人になって改めて読んでみて気になったのは、扉に書かれた文章を紳士二人が好意的に受け取ってしまう点でした。自分にとって都合の良いように解釈してしまう事ってあるよなあと。短い作品なのに感じる所がすごく多かったです。
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2025年夏の新潮文庫100冊を記念したプレミアムカバーを選ぶ。本屋さん3軒 限定のしおりがどこも在庫切れ。
読んだことがない本 砂の女(安部公房)とようこそ地球さん(星新一) どちらか読もう。懐かしい本 オズの魔法使い 空から家がふってきて家から足が生えた。読みはじめてすぐ震えたんだった。残った本は 注文の多い料理店 宮沢賢治。はじめて古典が楽しく思えた。一瞬で読みおわった。楽しくよむ原点。
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賢治の透き通った感性を投影した作品は、約1世紀を経た今なお瑞々しいまま。
生前唯一の童話集『注文の多い料理店』全編と、「雪渡り」「ひかりの素足」「なめとこ山の熊」など、地方色の豊かな童話19編。
詩歌や天文、鉱物などの知識をふんだんに用いて繰り広げられる、"ドリームランド"岩手県を舞台にした物語。
動植物も山も、平気で人に語りかけてくる世界ですが、童話でありながら教訓めいているわけではなく、時に不条理で残酷。
いかんせん、こちらの干乾びた感受性ではその魅力を受け止めきれていないのが悔やまれます。
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思っていた内容と違った。バッドエンドだとずっと思っていた。
改めて読み返すと話が全然違ったりする
幼少期の記憶とは当てにならないが面白い。
不思議な話、宮沢賢治の中では代表的で読みやすいと思われる。
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文字だけでは表しきれない不思議な雰囲気。
謎の緊張感があり個人的に好きな本!
扉を開いていくとまた扉が!登場人物たちは感心しながら進んでいきます
あなたも感心してそのまま進んでいたら、、、
結末のどんでん返しがとても面白く、絵本ながら感心してしまいます。
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賢治作品を読むにつけ「すきとおった風」という表現がとても好きだということに気づく。
鏡と輝き飴をこさえる太陽や、鋼や宝石になる空、凶事を予告する象のような雪の丘や、アルコオルを吹き水車をまわす星座。
丁寧で繊細な風景描写のようであり、また舞台装置のようであり、どこまでの幻想のような、世界の描きかたは、ふと遊びに行くには最適の世界。
もっとも美しいだけでなく、うっかりすると、取り返しのつかない事態を招く…。
だから、この世界が恐ろしくも好きなのだろう。
それとはまた別な次元で個人的に好きなのは、
「烏の北斗七星」。
銀河をゆく鉄道と並んで、この世界設定は独特で本当に良い。ミリタリー物は今の時代、童話には不適当だろうけれど。
戦闘員にして艦艇。今風に描き直せば戦闘機のパイロットにでもしそうだが、「艦」としているのがやはり良い。
できたら、銀河鉄道を描いた某漫画家先生に挿し絵を描いてもらいたかったと夢想する。
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猟師たちが、皮肉にも獣側の心境を知ることになる。その後どうなったかは描かれていないが、きっと生命の大切さに感謝しながら仕事に取り組むようになったんじゃないかなと思う。
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小学生の時に読んだ記憶が残っていた表題作。童話作家としての賢治が用意した結末は、読む子ども達の気持ちを慮った著者の優しさなのだと感じた。巻末の「収録作品について」で歌物語=オペラという解説は、オノマトペを有効に使う著者の作風を言い当てている。最も印象に残ったのは「なめとこ山の熊」の、猟師と熊の不思議な交流と、猟師の最期の切なさだった。
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この小説は東京グールの話の中で出ていたので読んでみました客をもてなすために色々な準備をしていると思ったら客を食べるために準備していたと知った時は驚きました。ラストでは猟犬に助けられていて安心しました。他の話はファンタジー要素が強すぎてあまり面白くはなかったです。
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童話チックなホラー話
と思いきや、2人の紳士に対する段階的要請法であったり、本当に恐ろしいのは動物の命を軽んじる人間の方で、山猫はそれを懲らしめた
というような解説を読んで、この作品の奥深さを改めて思い知った
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宮沢賢治の童話集。童話だけれど、大人向けのような感じもしました。童話には伝えたい教訓や倫理が込められている。宮沢賢治の作品も、そうした教訓や倫理を巧みに伝える文章でした。面白かったです。「注文の多い料理店」聞いたことはあったけど、「注文の多い」とはそういうことだったのね。無批判であることの危険性、上流階級への批判が込められているように感じました。
岩手山が出てくる作品もあって、少し興奮しました。栗の木や狐が多く出てくるのは岩手という地の特徴なのかしら。宮沢賢治は農林学校卒ということもあり、自然と人間との関わりテーマとした作品も多いなぁと思いました。
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某所読書会課題図書.二人の若い紳士が、 で始まる「注文の多い料理店」以外は初めて読んだが、動物や植物との語りが独特で、賢治の発想の意外性を堪能できた.ただ、一連の文章が物語として楽しめるかというと、あまり及第点はつけられない.明治、大正、昭和と生きてきた賢治が目にした事象が、このような形で文章に残っているとすれば、ある意味で立派な歴史だとも言えよう.
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黄色のプレミアムカバーに惹かれて購入。
童話集で厚めの本でした。
同じ岩手出身で、宮沢賢治の作品は学生の頃ボランティアで読み聞かせしたこともあり懐かしい気持ちになれました。
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新潮文庫の100冊2025プレミアムカバーで。今年の夏は宮沢賢治が読みたいと思っていたので選出されてて嬉しかった。
東北出身だからか、小学生のときは劇で「雪わたり」を演じたし、暗記した「雨ニモ負ケズ」を群読したし、修学旅行では花巻市のイーハトーブ館を訪れたこともある。
それゆえある種の心象風景といっても過言ではなく、宮沢賢治作品を読むとどことなく郷愁めいた気持ちになる。初読のなかでは「おきなぐさ」が好き。
書いても書いてもなかなか売れず苦難の生を過ごした彼の童話が、いまもこうして読み継がれているというのは、本当に喜ばしいことだなと思う。
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宮沢賢治の独特な作風と岩手県の自然をイメージできる作品。
短編集となっており、時間がない方でも特にオススメ。「注文の多い料理店」は幼い頃にアニメ?か何かで見たが、内容が曖昧でした。時を経て、実際読んでみると改めて作品の全体象が理解できた。
個人的に一番印象に残ったのは「土神ときつね」。この話は読む人によって色々な考察が生まれると思う。
少し可笑しく、切なさもありつつ、優しい話が詰まった作品集でした。
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小学校の国語の教科書にも取り上げられてる宮沢賢治の有名な物語。ずいぶん昔に書かれた物語だがどの年代でも楽しめると思う。小学生のころにはぱっとしなかったけど今読むと理解し新しい解釈ができた。注文の多い料理店以外にも様々な短編が集められており読みごたえがあった。また、読み返したいと思った。
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宮沢賢治の生前唯一の童話集。
グリム童話も好んで読むので童話ならではという構成でとても面白かった。
話す山猫やどんぐり、生きている家、などいろいろなものに魂が宿ってストーリーを動かすが、烏の北斗七星のような戦争をモチーフにした作品があるということは知らなかった。
個人的に1番好きだったのは水仙月の四日
自然の脅威を擬人化して描いた作品だが昔の自然に対する向き合い方のようなものを感じた。
宮沢賢治の童話ならではだけど登場人物が詩を唄うパートが長いので自分は苦手な作品が多いかも
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「宮沢賢治」の童話集『注文の多い料理店』を読みました。
先日読んだ「伊坂幸太郎」作品の『魔王』で、「宮沢賢治」作品が引用されていたので、久しぶりに「宮沢賢治」作品を読みたくなったんですよね。
-----story-------------
心に光が満ちてくる。
失われた時が戻ってくる。
至純の詩人にして稀有な作家の透明な懐かしさに溢れた童話集。
これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりません ―― 生前唯一の童話集『注文の多い料理店』全編と、『雪渡り』『茨海小学校』『なめとこ山の熊』など、地方色の豊かな童話19編を収録。
賢治が愛してやまなかった“ドリームランドとしての日本岩手県”の、闊達で果敢な住人たちとまとめて出会える一巻。
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『注文の多い料理店』全編に、他の十篇の童話を加え、以下の十九篇を収録した童話集です。
■イーハトヴ童話『注文の多い料理店』(全)
・序
・どんぐりと山猫 (一九二一・九・一九)
・狼森と笊森、盗森 (一九二一・一一・…)
・注文の多い料理店 (一九二一・一一・一〇)
・烏の北斗七星 (一九二一・一二・二一)
・水仙月の四日 (一九二二・一・一九)
・山男の四月 (一九二二・四・七)
・かしわばやしの夜 (一九二一・八・二五)
・月夜のでんしんばしら (一九二一・九・一四)
・鹿踊りのはじまり (一九二一・九・一五)
■雪渡り
■ざしき童子のはなし
■さるのこしかけ
■気のいい火山弾
■ひかりの素足
■茨海小学校
■おきなぐさ
■土神ときつね
■楢ノ木大学士の野宿
■なめとこ山の熊
■注解 天沢退二郎
■つめくさの道しるべ 井上ひさし
■収録作品について 天沢退二郎
■年譜
「宮沢賢治」作品を読むのは三十数年振りかな、、、
『どんぐりと山猫』、『注文の多い料理店』等、読んだことのある童話もありますが、キチンと覚えていないし、初めて読む作品が大半だったので、ほとんど初見に近い感じでしたね。
童話といっても、奥の深い物語ばかりで、作者の意図が理解できたかどうかは怪しいのですが、、、
読む人の性格や性質、環境によって、読み方や感じ方は違うんだろうなぁ… と思います。
本書を読んでいると、自然に森や動物たちに同化して溶け込んでいくような… そんな不思議な魅力を感じながら読みました。
登場する場面、頭の中で想像する情景が、とても懐かしく感じ… 自分の中の原風景に近い印象を受けたのが要因かもしれませんね。
そして、今の子どもたちにとって、「宮沢賢治」作品の舞台は想像し難い情景だろうなぁ… とも思いました。
失われた日本の美しい風景… ですもんね。
なんだか、久しぶりに東北に行きたくなりました。
Posted by ブクログ
短編集。題名の「注文の多い料理店」のお話がやはり面白い。どどーんとか擬音の使い方も面白い。
童話なのですよね。宮沢賢治は優しい温かい人なんだろうなぁと漠然と思う。