あらすじ
「これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹や月あかりからもらってきたのです。」ここには「風の又三郎」をはじめ、「セロひきのゴーシュ」「猫の事務所」「ざしき童子のはなし」「なめとこ山の熊」「グスコープドリの伝説」など、ふるさとの山や川に深く結ばれた作品を中心に十九篇を収めた。
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冒頭の『風の又三郎』と『セロ弾きのゴーシュ』は思ったより面白くなかったが、あまり知られていない作品の方に心引かれた。冒頭の2篇は有名すぎてバイアスのかかった読みになってしまっていたかも知れない。『なめとこ山の熊』は面白そうな題名とは裏腹に賢治の死生観がにじみでており、映画になった『グスコーブドリの伝記』も科学観や人生の哀感がよく表現されている。ずっと子供向けの作者として軽くみていた賢治だが、今回読んでやっとその良さがわかった。
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本書はおそらく一番風の又三郎を推している。
だが、私はグスコーブドリ伝記が一番印象に残った。
父親母親妹ブドリの家族四人が、毎日森の中で幸せな日常を送っている場面から話は始まる。そして、気象師のブドリは自分を犠牲にすることで不作となったであろう未来を変えて農家を救い、話は終わる。話の始まりと終わりを取りあげることでわかるように、この作品はわらしべ長者のように刻一刻と状況が変化する。その変化は予測不能、けれども斬新で不快感を感じない。もはや清々しさを感じ、次の展開を早く知りたくなる。そして、ふと我に返って今に至るまでに過ぎた出来事を思い返すことで、普通では想像もできない道筋を辿ってきたことにはじめて気付く。それほどまでに自然な流れでブドリが成長していく様子を書き連ねている。このような寓話は他に類を見ない。宮沢賢治の想像力と文章力に改めて畏怖した。
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これ、買ったの小学生だったんですよ〜!
小学4年くらい?昔から好きだったな〜☆☆
個人的には、「雪渡り」がとても好き。
賢治の描く冬の景色は壮絶で美しいです。
Posted by ブクログ
宮沢賢治の作品何点かは小学生時代に読んだことがあるのですが、その時分はまるで作品の面白さも良さもわからなかったのです。(教科書にやまなしが載っていたのですが想像力が貧困なので状況が思い浮かばなかった…)抽象的な言葉や表現が多いと思ったのですよ。今ようやく田舎の風景や空気、風の音などを思いああ素敵だな、と思うことができるようになりました。
雪渡りの堅雪の表現など感心するくらい美しいな、と。
(所詮は千葉の人間なので雪面の風景なんて子供時代お目にかかったことがとんとないので…)
世の中には良い人も悪い人もいる。良い人が生きている間に報われないこともある。でも長い目で見ればきっとわかる人はわかってくれる。難しいことは書いてないですが難しいテーマだな、と思います。そして悔しくて哀しい。ああ、自分も大人になったなあ・・・
面白かったです。
Posted by ブクログ
『グスコーブドリの伝記』を読みたくて。
天災による飢饉で孤独になってしまったグスコーブドリが、働いて勉強して、自己犠牲で天災から人々を救う話。
全体的に宮沢賢治の作品は好きだけれど、
たぶん宮沢賢治が作品にこめた想いのほんの一部しか読み取れてないのかも、と思う。