北山猛邦のレビュー一覧
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ネタバレ北山猛邦さんの作品の中でも、好きなシリーズだった名探偵音野順シリーズ。2009年刊行の第2作『密室から黒猫を取り出す方法』が最後だと思っていたが、まさか2021年に第3作が出ていたとは。書店で文庫版を見かけて知った次第である。
作家の白瀬と引きこもり探偵の音野順というコンビは、何とか覚えていたものの、音野順の兄・要の存在は忘れていた。「物理の北山」らしい、他愛のないトリックを楽しむ作品集だったはず。予期せぬ書店での発見に期待は高まる。
「人形の村」。お菊人形の話を聞いたことがある人は多いだろう。いいねえ、ネタからしてこのシリーズらしいじゃなーい。しかし、1編目からそりゃないよ。支障が -
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ネタバレ4.7評価
冒頭20ページくらいで作品の世界観に没入
終末感は好みの設定
いま読んでもまったく色褪せていない物語
やはり名作か
時計の針を伝うというメイントリックは既視感アリ
悪くないですけど
(黄金の羊毛亭によるとルパン3世の映画のせいとのこと。なるほど。その他にもあった気がする)
解決は多重推理のどんでん返し
犯人は裏ボス?主人公?やっぱり裏ボス?
首を切った理由は特筆事項
これとメイントリックは本書の二大ポイント
綺麗に収束しないファンタジー要素と、いわゆる厨二要素がマイナス0.3pt
世界観にはあってるんだけどなあ
シリーズ追い確定 -
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5つの短編集で、どれも最後にウッとさせる。
表題の作品が気になったが、何でそのまま綺麗に終わらせてくれないんだ、と感じた。
そこも含めても満足です。
優しく、美しく、甘やかな世界が、ラストの数行で、残酷に崩壊する快感。景色が反転し、足元が揺らぎ、別な宇宙に放り出されたかのような、痛みを伴う衝撃。かつて、まだ私たちが世界に馴染んでいなかった頃の、無垢な感情を立ち上がらせてくれる、ファンタジックな短編集。ミステリの醍醐味、ここにあり!
難病の女の子を喜ばせるため、星座を一つ消して見せる男の子を描く表題作ほか、5つの物語のすべてに驚愕のどんでん返しが待つ傑作短編集! -
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城シリーズ3作目。他のシリーズと一線を画すとはこういうことかと読んで思いました。
私は全作好きですが、今回は特にミステリー感の強い古典チックな仕上がりかなと。
かなり人が殺される割にはそこまで分厚い本じゃないのでどんどんバタバタ駆け足な展開な印象なのでちょっと物足りない感というか、もっと書き込んで欲しいなーという気持ちもありましたが結末を見たらそうもいかないのかと納得。
終盤の犯人を探すところでは気になりすぎて夜更かししてしまいました
ミステリー小説をたくさん読んできましたが、そんな手もあるのか!!!とまんまと騙されて一つまた視野が広くなった気がします。 -
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ちょっと前の、あったのかもしれない、違う世界線の話かもしれない、人類史が終わる寸前の世界。
クロック城と呼ばれる謎の建物。
直径10メートルの巨大な時計が3つ並び、左右の時計の針は真ん中の時計と10分づつ前後にずれている。
SFチックな館の噂、存在の不明な登場人物、眉唾な計画や組織、それらが収束してどういう展開、結末になるのか、序盤では全く想像できず。。。
本格ミステリーとして読んでいましたがファンタジーとして取り掛かった方がすんなりとはいってきそう。
ノベルズ版では後半の謎解き部分や館の見取り図?館の図が袋綴じになっていたし、帯には"本文208頁の真相を他人に喋らないでください& -
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ネタバレ北山猛邦作品ブームがきているかもしれない。。
オルゴーリェンヌの時に感じた過去と現在を行き来する構成が読後に余韻を残してくれる。何度も、ああもしかして、ああそうだったのか、とページを戻って読み返し、その度霧が晴れるように意味が浸透していくのが心地よい。
以下ネタバレ
箱出現トリック(バラバラ)はなんとなく予測できていたが、頭の方は盲点だった!コートの文章で怪しいとは思っていたけれど、入れ方になるほどと。
文章に自然とヒントが散りばめられていて、読んでいる時に「ここの文怪しいな?」と勘ぐるのが楽しい。
死体移動は恐らく実際やると物音で起きちゃったり、トイレに起きた誰かに目撃されたりする -
ネタバレ 購入済み
これは上手い
まさに巧みな叙述トリック。シンプルなのに、いや、シンプルゆえに効果的な叙述トリックが使用されていて、ラストで「なんでこんなに明確な伏線(ヒント)に気づかなかったんだ」と愕然とし、その偽装工作の上手さに舌を巻きます。
物理トリックの使い方も、(純粋なミステリーとして見た場合は)非常に上手く、作者さんの技量の高さが窺えます。
一方で、現実的に考えてしまう方は「そうはならんやろ」「そんなことってあるか?」と納得いかない点もあるかもしれません。
結論。ミステリーファンには強くオススメできる一冊ですが、ミステリー慣れしていない人にはやや薦めづらい作品です。