北山猛邦のレビュー一覧

  • 猫柳十一弦の失敗 探偵助手五箇条

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    ネタバレ

    第1作をとても楽しめたので、こちらもネットで購入した。
    インターネット上でざっと見る限り、肯定的に評価している感想はあまり見つけられなかった。トリックや謎解きが小ぶりであるとか、展開がご都合主義的ではないかといった意見も見受けられた。
    確かに、前作に比較すると、今回はうまく事が運びすぎているような印象もある。不可解な状況が現出し、それを解き明かしていくエクスタシーが味わえずに消化不良を感じる読者もいるのかもしれない。
    それでも、個人的には、犯人と知恵比べをしてうまく出し抜いて殺人を防げるのかどうか、わくわくして読むことができた。実際の殺人事件では、犯人はこんなトリックを仕掛けようとはせずに、も

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    2022年04月17日
  • 猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数

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    ネタバレ

    本書はインターネット上でいろいろと調べて見つけた。いかにも安易だが、コーデリア・グレイの物語は私にとってとても印象的だったので、何かほかに類似の作品がないかを調べようとした。女性が探偵(もしくは刑事等)のシリーズはほかにも多数あるようだったが、たまたま目に留まった本書を選んだ。
    冒頭から、探偵助手になるために「大東亜帝国大学探偵助手学部」で勉強するところから始まるので、いきなり非現実感もあるが、探偵助手学なる学問についてその後もあまり紙片を割いて詳しい説明もなかったように思う。しかし、それでもこの設定そのものにそれほど違和感なくすらすらと読み進めることができる。むしろ、ここで変に詳しく設定を説

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    2022年04月10日
  • 『アリス・ミラー城』殺人事件

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    城シリーズ第三弾。北山猛邦的「そして誰もいなくなった」。他の城シリーズと同じような退廃的世界観はあるがそこまで強調はされてないかな。わりと何を書いてもネタバレになりそうな気はする。物理トリックは健在だがそれ以外の点もミステリと見事に融合していて水準が高い作品だと思えた。違和感は色々とあったが、確かに犯人の名前は最後に明かされてみればわかりやすかったとも言える。犯行の動機は異常だが一定の理解はできそうな気もするのは毒され過ぎだろうか。

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    2022年02月11日
  • 『クロック城』殺人事件

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    再読。と言っても最初に読んだのはかれこれ十年以上は前なので内容はほぼ忘れていた。それでも肝心のトリックや最後辺りのシーンは覚えていたので、それだけ印象に残っていたということだろう。世界観や設定、用語の数々が絶妙な中二設定ではあるが最終的には見事な新本格ミステリとなっている。昔読んだ時はその大胆なトリックに驚いた記憶がある。

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    2022年01月25日
  • アルファベット荘事件

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    ネタバレ

    =作者のファンなので、かなり評価の甘い感想になります=

    と言いつつも、ミステリとしてトリックが凡庸なのはまぁそうだなとは思う(笑
    でも巨大アルファベットを足場やトンネルにしたりというアイデアがいかにも北山先生っぽくて大好き。実現性とかは知ったこっちゃない、ロマンですよ。
    あと、創生の箱からの死体出現トリックがすべて別のネタで行われているのが面白いポイント。凝ってる。

    んで、本作の魅力の大きなところはは、トリックではなくてキャラクターや読後感。
    美久月が最後の最後に正体を現しても違和感のないキャラクター設定とストーリー。このまとめ方こそ本作の面白さの根幹ではないでしょうか。

    ずっと読みたか

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    2022年01月23日
  • アルファベット荘事件

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    巨大なアルファベットのオブジェというのもいかにも怪しいし、それを利用したトリックに至ってはやや無茶な気もする。登場人物もことごとく怪しげ、というか物語上都合が良すぎるキャラクターが配置される。しかし全体の世界観が良く、不思議とそれらについての不満は少ない。シンプルに謎解きと真相を楽しめる。

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    2022年01月09日
  • アルファベット荘事件

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    著者の初期の作品がようやく復刊となってくれた。前々から読みたいとは思っていたが手に入らずに悔しい思いをしたことを思い出す。内容としてはド直球に本格ミステリ。正直に書くと現実的かどうかはともかくとしてトリックとしてはわりかし簡単にわかる方だとは思う。でも最後に判明する動機の点が素晴らしい!犯人だけではなく個々のキャラの造形が凝っているからこそ出来上がった作品だと言える。他の方も書いていたけれどシリーズ化してほしいなぁ。

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    2021年11月28日
  • 『瑠璃城』殺人事件

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    ネタバレ

    1989年日本、1243年フランス、1916年ドイツ……マリィとレインは生まれ変わり続け、殺し合う。
    って、まさか生まれ変わりの最初が1989年とは。輪廻転生って時が遡るんですね…という切ない美しさがありました。生まれ変わりに重複もあるなんて。重複が鍵でした。自分と同じ記憶を持った人が複数いる、ってかなり妙だし自分さえも信じられなくなる…ジョフロワはそれで歪んだんだろうけど狂うよなぁ。
    ラピスラズリの瑠璃色がちらつきます。
    マリィとレインの恋も、執着して殺してるジョフロワも、時を自在に移動する探偵の探偵のスノウウィも良い。スノウウィ=マリィなのねたぶん。
    2作目にして、事件そのもののトリックよ

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    2021年10月23日
  • 『クロック城』殺人事件

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    物語の舞台が終わりかけている世界で、素敵に好みのミステリでした。面白かったです。
    この音世界を終わらせないためにSEEMと十一人委員会がそれぞれ別の方向性で支配している…磁気異常と降り続く雨の世界観も好きでした。
    びしょ濡れでやってきた瑠華から「家に住む〈スキップマン〉を退治して」という依頼を受けた探偵の南深騎といつも側にいる菜美が訪れる『クロック城』。外壁にある10分ずつずれた3つの大時計が印象的です。
    クロック城で暮らす瑠華の家族や親族、博士の助手、執事親子もなんだか変わっている人ばかり、加えて世界の崩壊を止める〈真夜中の鍵〉を探す十一人委員会の第三の天使・クロスとその助手までいる。
    世界

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    2021年10月13日
  • 『アリス・ミラー城』殺人事件

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    ネタバレ

    ツッコミどころは読後に色々出てくるものの、
    殺人鬼がどんどん迫ってくるスリルと、奇抜で大胆な犯行へのサプライズ感を全体通して楽しめたし、
    こちら(読み手)の勝手な思い込みを見事に利用してきたな、というところの上手さに素直に騙されたと思ったので星4つ。

    もともと動機の部分にはあまり興味がないので、犯人が過激派エコロジストだったという説明は別にそれで良いかなと思うものの、
    海上が「犯人はアリス」とまで言ったのに、その後誰もアリスについて言及しないのはさすがにおかしいのでは...ずるいのでは。

    とは言え、怪しい館に探偵が集められてチェス盤の通りに人が消えていく、というシチュエーションは「そうそう

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    2021年05月31日
  • 密室から黒猫を取り出す方法

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    タイトル読み。
    シリーズ2作目なのは分かってたけど、まぁいいかな、と。
    名探偵音野順の気弱っぷりが面白い。
    そして、表題作の「方法」はなかなか意表をついていて、それによって起こった犯人の自滅がちょっとお気の毒でもあったかな。
    高校の音楽室での事件は後味が悪かった。
    あの人が今後も登場することはあるのかな、、、
    あの女子高生は登場してきそうだけど。
    ライバル?の琴宮が突拍子もないなー。三千万って、ねー。でも、音野と対極にある感じが面白かった。

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    2021年05月18日
  • 『クロック城』殺人事件

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    思ってたのと違ってファンタジーだった。けれど雰囲気とトリックは好き。ただ次回作に続くのかと思ったら違うようで謎なまま終わった部分が気になるので消化不良。森博嗣さん味を感じた。

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    2021年05月04日
  • 踊るジョーカー

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    結構本格的な推理小説なのだが、キャラが立っていて読みやすかった。
    音野の気弱さと、周りの人々のバランスが丁度いい。上手くフォローして動かしているようで、なんだか抜けている印象の白瀬。岩飛警部はなんかやたら粗野に見えて、最初苦手意識を持ったのだが、読んでいるうちに音野とのやり取りが癖に。
    気弱でおどおどしてる名探偵も、意外と可愛くてアリ。

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    2021年04月07日
  • 『クロック城』殺人事件

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    ネタバレ

    時計を渡って移動した、というのは3つの時計の時間のズレを上手く利用しているなとは思ったが、そんなに驚かなかった。
    やはり“なぜ首を切ったか”が本書で一番注目すべきところだろう。
    時間を知るため、という単純明快な幼い理由だからこそ、より首切りの残酷さが際立っている。



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    2021年04月06日
  • 少年検閲官

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    ネタバレ

    本が禁止され、世界の陸地が沈みつつあるパラレルワールド
    憎悪や殺人、果ては感情が動くことすらタブーとなりあらゆる物語が無くなった世界

    犯罪という概念すらないこの世界の片隅で起こる首無し連続殺人

    不可思議不条理な犯罪であっても、自然死扱いになるシチュエーションでミステリを成立させるのが凄い

    折れた竜骨のように、ファンタジー特殊世界でキチンとミステリという技が凄い

    個性ある少年たちが活躍するので、アニメとかビジュアル向きな面もありますが

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    2020年03月29日
  • 猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数

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    名探偵号があったり探偵が大学で教鞭を取っていたり探偵助手の講義があったりする世界。相変わらず北山先生のキャラクターは秀逸。今作の探偵である猫柳十一弦は今までになかなか例を見ない探偵だと思った。これは次作も読まなければ。

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    2019年10月05日
  • 人魚姫 探偵グリムの手稿

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    ネタバレ

    評価
     サプライズ ★★★☆☆
     熱中度   ★★★☆☆
     インパクト ★★★☆☆
     キャラクター★★★★★
     読後感   ★★★★☆
     希少価値  ★☆☆☆☆
     総合評価  ★★★★☆

    サプライズ ★★★☆☆
     クリスチャン王子殺害の犯人がルイーズ王子妃だというのはある程度予想できてしまう。よって,この部分はあまりサプライズがない。魔女が二人いて,一人目の魔女がナポレオンに恋し,ナポレオンを助けていたという点もあからさまに書かれている。セレナの妹が二人目の魔女になっていたという点はややサプライズ。総合的にみると,★3かな。伏線が丁寧でよくできているので,納得のいく驚きである。

    熱中度  

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    2018年05月09日
  • 『クロック城』殺人事件

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    とりあえず読み終わってまず考えたのは、本格ミステリとは一体どこまで示すのだろうか、ということだ。
    本著は裏表紙のあらすじに本格ミステリを謳っているのだが、他の本格派とはかなり毛色が異なる。

    まず設定だが、終焉をむかえつつある人類の世界、が舞台だ。これは件の裏表紙あらすじから抜粋させて頂いた。
    主人公はゲシュタルトの欠片と本作内では呼ばれる見えざる者が見えてしまう探偵、南深騎。彼は一般人が可視出来ないゲシュタルトの欠片を退治することを仕事としている。
    そんな南深騎と行動にするのがどこにでもいてどこにもいない謎に包まれた少女、菜美。

    ある日二人の元に瑠華という少女が訪れる。
    彼女は自宅であるク

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    2017年10月21日
  • つめたい転校生

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    ミステリ。恋愛。短編集。
    どの作品もミステリ的な仕掛けや謎解きはあるが、ミステリとしては特殊な設定。
    解説にあるように、まずは一作読んで雰囲気を掴むといいかも。
    「いとしいくねくね」がベスト。苦い結末が良い!
    最終話「ちいさいピアニスト」のトリックは分かってしまった。それでも、「かわいい狙撃手」で始まり、「ちいさいピアニスト」で終わる構成は、作品として上手くまとまっていると思う。
    著者の作品のなかでも、とても好きな一冊。良作。

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    2017年10月16日
  • 猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数

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    ネタバレ

    面白かったー!
    この作者さんは探偵音野の二冊しかまだ読んでなかったのですが、何となくひかれて読み始め。

    猫柳先生のひたむきな感じが凄く好き。
    探偵とはこうあってほしいという理想が詰まってました。
    音野といい猫柳といい、すごく好き。

    ラスト、語り手であるクンクンとの会話がまた良かった。
    続くシリーズでは違った二人の活躍が見られるのが楽しみです

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    2017年08月14日