北山猛邦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
とても斬新な探偵小説でした。
舞台立てとしてはクローズド・サークルの一形態である「孤島もの」になります。
日本で唯一、探偵助手に関する技能と実践を学べる、大東亜帝国大学の探偵助手学部に入学したクンクンこと君橋君人とマモルこと月々守は、若くて頼りなさげな女探偵・猫柳十一弦が指導教官の弱小ゼミに入ります(ゼミ生は二人だけ)。
名探偵の誉れ高い雪ノ下が指導する名門ゼミとの合同合宿で訪れた孤島で連続殺人に見舞われて…
この手の話では、名探偵は犯人の後追いがちになるものですが、頼りなげに思えた猫柳探偵が、文字どおり命懸けで犯人の企てに立ち向かいます。
著者のデビュー作である『「クロック城」殺人事件』 -
Posted by ブクログ
ネタバレ気弱な探偵・音野順と、推理作家の助手・白瀬が事件を解決する短編集
「踊るジョーカー」
トランプがバラまかれた地下密室で殺人事件が発生
被害者はトランプの束が刺さった短剣で殺されていた
「時間泥棒」
高価な美術品を持つ姉弟が住む家から
アナログ時計だけが盗まれた理由とは
「見えないダイイング・メッセージ」
被害者が死の直前に撮ったポラロイド写真を手がかりに
金庫の暗証番号を解いてほしいと依頼を受ける
「毒入りバレンタイン・チョコ」
複数の人物が食べていたチョコの中から
毒入りチョコを被害者ただ一人に確実に食べさせた方法とは
「ゆきだるまが殺しにやってくる」
雪山の豪邸で花婿候補者が外 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『一九四一年のモーゼル』はアイデアのみで評価すれば『占星術殺人事件』に匹敵するレベルかと思います。殺人のトリックではないのが玉に瑕ですが、心理の盲点を突いたようなエレガントな消失ものです。2004年初出ということで、20年も書籍にならずに埋もれていたのが信じられません。このアイデアだけで星4献上です。
ただ、この短編だけクイズの側面が強い。後半の『藤色の鶴』や『シンクロニティー・セレナーデ』あたりは消失をメインに添えるのではなく、ドラマ性で支えていただけになんか惜しい。
表題作『神の光』はギャンブルものとして開幕し、街が一つ消失する。「インセキジャネーノ?」と思ったが、さらにとんでもない真 -
Posted by ブクログ
6人のミステリー作家による、フーダニット、ホワイダニット、ハウダニットのアンソロジー。
どの短編にも読者への挑戦状があり、問題編と解決編に分かれている。
巻末には、それぞれの短編に対して他の作家による推理も掲載されている。
普段ミステリーを読むと先が気になってどんどん読み進める感じがある。
このアンソロジーは読者への挑戦状があって、普段よりも自分で考えながら注意深くゆっくり読み、ときには戻ったりしながら読んでいたように思う。
自分で正解までしっかりたどり着けたものはなかったけれど、短編を読み終えるごとに全くの見当外れだったな、着眼点は悪くなかったな等思う楽しさがあった。
作品に対して別の作家 -
Posted by ブクログ
アンソロジー作品。
問題編と解答編に分かれていて、豪華な作家陣の作品を自分でも推理する事ができます。また、参加している作家さん同士でお互いの作品の推理した回答が掲載されており、思考を覗き見するようで面白かったです。
普段、推理小説を読んでも推理しないのですが、この作品は問題編が比較的短く、自分でも挑戦してみようと思えました。いくつか挑戦してみましたが、少し真相に近付けたり、全く思い浮かばなかったり…と様々でした。推理に挑戦した結果、より丁寧に作品を読み込む事につながり、読後の満足感が上がったように思います。
推理が苦手な人も、気軽に挑戦できるのでおすすめです。