北山猛邦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
プロローグにあたる「序奏 月光の渚で君を」読んだだけで、一つの短編を読み終えたかのように、ちょっと間を置いて余韻に浸ってしまいました。
同じ著者の「ギロチン城」のプロローグ「首狩り人形」を読んだ時のような衝撃でした。
そして本編、「うんうん、これぞ北山作品やんな」と期待を裏切らない世界観とストーリー、そして蠱惑的な謎の数々とそれを可能にする物理トリック(偉そうに言ってるけど、全く謎は解けませんでしたが…)。
読み終わって思ったのは「ちょっとマイクル・コーニイ入ってるかも」でした。
決して多作ではないけど、新作が出るたび、もとい文庫化されるたびに買ってしまう北山猛邦さん、もっともっと作品を読みた -
Posted by ブクログ
かなり好きな小説
少しの不思議と哀切、そのバランスが素晴らしい。
お気に入りは表題作/いとしいくねくね/小さいピアニスト
特にいとしいくねくねは今まで読んだ短編の中でベスト5に入るほど好きな作品だった。
この作品を読み始めてから読み終えるまでに間に、母がステージⅣの癌であることを聴いた。まだ54歳だというのに。ここ数日は実家に帰ってきて泣いている父の面倒を見たり、家族ができるだけ笑顔でいれるように努めてはいるが、つらい。
5年以内の生存率が17%とされている中で、母がこれからどれほどの長さを生きられるのかはわからないが、10年生きても60代。寂しくて寂しくて堪らない。
少しでも長生きで -
Posted by ブクログ
ネタバレ読む順番は恐らく違ったのだろうが、北山ミステリは初読みだ。叙述トリックのものは読んでいたが、ここまでの物理トリック。説明的なのに説明だけでは終わらない、雰囲気や温度感、空気感も大事に描かれていた。
何より少しずつ小さな不明点を明らかにすることで、1番大きな伏線を回収することへ繋がる。残った人たちの推理が、その人の都合で解釈されていく中、もっとも冷静で冷酷な答えに導かれる。歯車が噛み合ってしまった無念さも、オルゴールの世界観と同期されている気がした。
順番は違ったのだろうが、1作目に選んで正解だったと思う。解説にもとても作者への愛を感じることができた。少年検閲官や、他の作品も読んでみようと思 -
Posted by ブクログ
オルゴーリェンヌ を買ったので、
1作目を再読。
だいぶ前に読んだけど
世界観がすぐに思い出せた。
この作者なのかこの作品なのかわからないけど
すごく読みやすくて入り込みやすい。
個人的にファンタジーが苦手なんだけど
ファンタジーと見せかけて
えげつないくらいちゃんと現実みがある。
主人公が少年なのと
ファンタジーのような世界の中で
突然氷の刃を突きつけられるような感覚。
とても好き。
オルゴーリェンヌもすぐに読みだしました。
3作目が随分出てないらしいけど
早くもクリスとエノの物語を読みたい。
それまでに北山猛邦さんの作品を漁りそう。
オススメあったら教えて欲しいです。
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Posted by ブクログ
ネタバレうーんお見事!
幻想的な雰囲気、「物理の北山」とはこういうことか、と膝を打ちたくなる華麗な物理トリック、密室、殺人の驚愕の動機、そして叙述トリック。
叙述トリックに関しては、探偵たちが海上の証言を全く追及しないこと、アリスがほとんど登場しないことなどを不満点に挙げてる方もいたが、少なくとも前者に関しては海上はもはや狂人なので、探偵たちが相手にしないのもおかしくはないかと。
初日の晩餐のシーンは本当に巧い。
その他にもルディが人形と会話しているように錯覚させるなど、随所に見事な描写が見られる。
個人的には、『鏡の国のアリス』を模した城であることがトリックのための"必然"で -
Posted by ブクログ
単行本刊行から12年、前作「踊るジョーカー 名探偵音野順の事件簿」の文庫化から10年、まさに待望の文庫化であります。
創元推理文庫の扉の裏には、日本人作家の著作であっても英語タイトルが記されているのですが、前作「踊るジョーカー」の英語タイトルは、"The Adventure of the Weakest Detective"(世界一気弱な名探偵の冒険)!?
主人公の音野順は推理の才能がありながら、引きこもりがちで臆病で人と話したがらず、口を開けば「いやだ」とか「ううっ」とか「えっと」としか言わないような名探偵で、友人で推理作家で事件簿の記録者で助手役も努める白瀬白夜に駆り