北山猛邦のレビュー一覧

  • オルゴーリェンヌ

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    プロローグにあたる「序奏 月光の渚で君を」読んだだけで、一つの短編を読み終えたかのように、ちょっと間を置いて余韻に浸ってしまいました。
    同じ著者の「ギロチン城」のプロローグ「首狩り人形」を読んだ時のような衝撃でした。
    そして本編、「うんうん、これぞ北山作品やんな」と期待を裏切らない世界観とストーリー、そして蠱惑的な謎の数々とそれを可能にする物理トリック(偉そうに言ってるけど、全く謎は解けませんでしたが…)。
    読み終わって思ったのは「ちょっとマイクル・コーニイ入ってるかも」でした。
    決して多作ではないけど、新作が出るたび、もとい文庫化されるたびに買ってしまう北山猛邦さん、もっともっと作品を読みた

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    2023年08月05日
  • つめたい転校生

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    かなり好きな小説

    少しの不思議と哀切、そのバランスが素晴らしい。
    お気に入りは表題作/いとしいくねくね/小さいピアニスト

    特にいとしいくねくねは今まで読んだ短編の中でベスト5に入るほど好きな作品だった。


    この作品を読み始めてから読み終えるまでに間に、母がステージⅣの癌であることを聴いた。まだ54歳だというのに。ここ数日は実家に帰ってきて泣いている父の面倒を見たり、家族ができるだけ笑顔でいれるように努めてはいるが、つらい。
    5年以内の生存率が17%とされている中で、母がこれからどれほどの長さを生きられるのかはわからないが、10年生きても60代。寂しくて寂しくて堪らない。
    少しでも長生きで

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    2023年06月23日
  • さかさま少女のためのピアノソナタ

    ネタバレ 購入済み

    ちょっとした驚きが!

    最後の方で、思いもよらない展開になるお話ばかりで、面白かったです!
    その後のことを想像すると切なかったり怖かったり・・・。
    どこか幻想的で、不思議な感じはいつもの北山先生です。個人的に、唯一のハッピーエンドと言える「さかさま少女のためのピアノソナタ」が良かったです。やっぱりハッピーエンドは良いですね(^^)

    #怖い #シュール #切ない

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    2023年06月23日
  • 猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数

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    とても面白かった。探偵が広く公認された世界という変わった設定だけど、その設定がミステリーの世界観を壊すことなく成立してるし、キャラクターたちも「探偵」「探偵助手」という設定にきちんと従って行動してるので不自然さがなくスッキリ読めました。
    理路整然とした、無駄のない話だと思いました。何より、キャラクターが魅力的なのがよかった。

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    2023年02月22日
  • オルゴーリェンヌ

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    ネタバレ

    読む順番は恐らく違ったのだろうが、北山ミステリは初読みだ。叙述トリックのものは読んでいたが、ここまでの物理トリック。説明的なのに説明だけでは終わらない、雰囲気や温度感、空気感も大事に描かれていた。

    何より少しずつ小さな不明点を明らかにすることで、1番大きな伏線を回収することへ繋がる。残った人たちの推理が、その人の都合で解釈されていく中、もっとも冷静で冷酷な答えに導かれる。歯車が噛み合ってしまった無念さも、オルゴールの世界観と同期されている気がした。

    順番は違ったのだろうが、1作目に選んで正解だったと思う。解説にもとても作者への愛を感じることができた。少年検閲官や、他の作品も読んでみようと思

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    2022年08月10日
  • 少年検閲官

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    クロック城をはじめとする、いわゆる城シリーズのようなファンタジーな世界観で描かれたミステリーで読み進める中で、様々な情景が目に浮かぶようでした。
    一方で、本格ミステリーのスタイルをとっている謎解きの部分は、そのファンタジーな世界でのギミックをうまく活用してトリックを描き出しています。
    そのように描かれたストーリーなので、この世界に興味をそそられ、この世界の話をもっと読んでみたいと思わせるような読後感でした。

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    2022年07月24日
  • オルゴーリェンヌ

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    傑作です。
    ミステリの面白さが詰まった作品であり、なぜこのトリックを使用したかの答え、序奏の幻想的で儚げな物語、散りばめられたガジェットなどなどめちゃくちゃミステリ的な面白さ。よかった。

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    2022年05月11日
  • オルゴーリェンヌ

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    ネタバレ


    厚さが嬉しくなるほど夢中で読んでしまった。

    二転、三転。

    そして途中で気づいて
    嫌だ、嫌だと思うも
    1番苦しく切ない真実を突きつけられた。

    それなのに物語の美しさに
    まるでハッピーエンドかのような錯覚を覚える。

    クリスの冒険の続きを読みたい。
    けれどこれ以上のものが生まれるのだろうか。


    ちなみにカルテの『足枷』はなんだろう。
    高さが怖い、とかかな??
    それなら先輩のために頑張ってビルに登ったのはとてもかわいい。

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    2022年05月05日
  • 少年検閲官

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    オルゴーリェンヌ を買ったので、
    1作目を再読。
    だいぶ前に読んだけど
    世界観がすぐに思い出せた。
    この作者なのかこの作品なのかわからないけど
    すごく読みやすくて入り込みやすい。

    個人的にファンタジーが苦手なんだけど
    ファンタジーと見せかけて
    えげつないくらいちゃんと現実みがある。

    主人公が少年なのと
    ファンタジーのような世界の中で
    突然氷の刃を突きつけられるような感覚。
    とても好き。

    オルゴーリェンヌもすぐに読みだしました。
    3作目が随分出てないらしいけど
    早くもクリスとエノの物語を読みたい。

    それまでに北山猛邦さんの作品を漁りそう。
    オススメあったら教えて欲しいです。

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    2022年05月03日
  • オルゴーリェンヌ

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    ネタバレ

    作中の検閲官は中世の異端審問官とゲシュタポを混ぜたような連中で、存在そのものが「悪」と切って捨てたくもなるのだが、それでも彼らの、人殺しの話を何故読んだり書いたりするのか、という問いは、ミステリ読者として見過ごしにはできないだろう。この問いに少なくとも「人殺しの話が好きだからではない」と作品そのもので返答しているように思えることを、まずは讃えたい。ミステリとしてはこれでもかの物理トリックが、別の途方もない仕掛けの伏線であることに感嘆。素晴らしい。

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    2022年05月01日
  • 『アリス・ミラー城』殺人事件

    購入済み

    大好き

    北山さんの本の中で一番好きです。
    やられたーー!と思う結末。
    読了した後にすぐまた振り返って読みました。

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    2022年02月04日
  • 『アリス・ミラー城』殺人事件

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    ネタバレ

    うーんお見事!
    幻想的な雰囲気、「物理の北山」とはこういうことか、と膝を打ちたくなる華麗な物理トリック、密室、殺人の驚愕の動機、そして叙述トリック。

    叙述トリックに関しては、探偵たちが海上の証言を全く追及しないこと、アリスがほとんど登場しないことなどを不満点に挙げてる方もいたが、少なくとも前者に関しては海上はもはや狂人なので、探偵たちが相手にしないのもおかしくはないかと。

    初日の晩餐のシーンは本当に巧い。
    その他にもルディが人形と会話しているように錯覚させるなど、随所に見事な描写が見られる。
    個人的には、『鏡の国のアリス』を模した城であることがトリックのための"必然"で

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    2021年11月23日
  • アルファベット荘事件

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     雪に閉ざされた屋敷、互いに接点のない個性的な招待客、いつまで経っても現れない家主、呪いの箱、巨大なアルファベットのオブジェ、足跡のない庭。
     ミステリー小説の真ん中にあるような作品だった。
    「あ、そうか」と灯台下暗しなトリック。それに気がつけなかった少しの悔しさと、圧倒的な清々しさにこれ以上綺麗に嵌るピースはないのだと思った。
     でもやはり、続きを求めて読み進めた、あの早る気持ちを抑えていれば或いは……と少し思う。

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    2021年10月19日
  • 踊るジョーカー

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    寝る前に1話ずつ読めるような短編のミステリーが読みたくてこれをチョイス。
    気弱すぎて心配になってしまう音野が探偵。
    トリックが結構アクロバティックっで、一瞬よく分からない私のような読者のために、図解がついていたのがありがたかった。
    三作目まで出ているシリーズのようなので、順次読んでいきたい。

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    2021年09月19日
  • 密室から黒猫を取り出す方法

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    気弱で引きこもり、名探偵という部分以外はけっこう自分に似ている(笑)と勝手に思い、密かに親近感を抱いています。
    ここに出てくる犯人もどこか憎めなかったり、唐突に第2の探偵が出てきたり、ストーリーにも強弱があってとても面白いです。この短編集、個人的なお気に入りは「停電から夜明けまで」。

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    2021年05月08日
  • 『クロック城』殺人事件

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    メフィスト賞受賞作にして、北山猛邦デビュー作。トリックも、強烈な真相も楽しめた。SFあるいはファンタジー的世界観だが、そこはあまりミステリとは関わらなかったり。それでもSF部分もなかなか面白いのだが。文章も読みやすい。これはファンになりそう。

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    2021年04月11日
  • 密室から黒猫を取り出す方法

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    ネタバレ

    引きこもり探偵・音野順シリーズの第二弾。しかし文庫化までに十年掛かったと言われるとちょっとショックだな。おもしろいのに。音野探偵のキャラもあって、コメディ調で、殺人も起きるのにほのぼのしたトーンでお話は進む。「密室から黒猫を取り出す方法」で猫がバネにじゃれつく展開には、声を出して笑ってしまった。そんな中で「音楽は凶器じゃない」の苦い結末だけが異色。こり過ぎで、短編にはもったいないような気さえする、「物理の北山」らしい密室トリックがあったり、いろいろ豪華な短編集。

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    2021年02月13日
  • 密室から黒猫を取り出す方法

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    単行本刊行から12年、前作「踊るジョーカー 名探偵音野順の事件簿」の文庫化から10年、まさに待望の文庫化であります。
    創元推理文庫の扉の裏には、日本人作家の著作であっても英語タイトルが記されているのですが、前作「踊るジョーカー」の英語タイトルは、"The Adventure of the Weakest Detective"(世界一気弱な名探偵の冒険)!?

    主人公の音野順は推理の才能がありながら、引きこもりがちで臆病で人と話したがらず、口を開けば「いやだ」とか「ううっ」とか「えっと」としか言わないような名探偵で、友人で推理作家で事件簿の記録者で助手役も努める白瀬白夜に駆り

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    2021年02月07日
  • つめたい転校生

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    タイプでいうと、「私たちが星座を盗んだ理由」と雰囲気が似通っている短編集。
    恋愛ものであり、青春ものであり、ファンタジックっでもあって、そやけどしっかりとミステリー。

    裏表紙のあらすじすら読まずに、一話目から順番に読んでいくことをオススメします。
    一話一話の面白さや衝撃もさることながら、続けて読んでこそ現れる、味わえる面白さや衝撃も堪えられません。

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    2016年08月11日
  • 名探偵音野順の事件簿 (1)

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    小説で読んだことがあったから、何となくイメージは頭に思い浮かんでいたけれど、マンガとして読んでみると、いろいろ想像と違うところがあって面白かった。また小説を読み返してみたいと思った。

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    2016年02月15日