北山猛邦のレビュー一覧
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太陽が出ず、暗闇の中13の灯台の「結晶髑髏」の明かりの下に暮らす石球城百人の住人。
城壁外から少年ルーサが迷い込んだことで均衡が破れた世界で、灯台を守る13人の巫女が次々と殺害される。
いずれも不可能にみえる密室殺人に対する最終章での謎解きに、いくつかは疑問符がつくものの、13ものトリックを1冊の本で大盤振る舞いする作者には拍手を送りたい。
地軸が反転し、一部を除いて現代文明を失った暗闇に百人しかいない世界で、しかも寿命が数十日しかない早老症の子供(というかせいぜい乳児)が電磁誘導や超電導を駆使して犯行を繰り返すという設定は、控えめに言って荒唐無稽というしかない。
それを押し切る作者の腕力には脱帽だが。 -
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ネタバレファンタジー要素のあるミステリー。
地軸がずれた大破局後の未来の地球。
ルーサは食糧と海を求めて仲間と雪原の旅に出るも仲間割れして意識を失い、
気が付けば石球城内の泉で倒れていたところを同じ年頃の少年ロメリアに救われて一命をとりとめる。
石球城は城の建物単体ではなく城壁内の民家や施設の総称。
閉ざされた城の高い城壁の外はコンパスもきかない闇。
太陽が昇らない世界を治めるのは黒衣の9人の王たち。
彼らによって城内の定員は管理され、過去の文明の遺物を利用した自給自足の暮らしをしている。
主な光源は城壁沿いにそびえ建つ13の塔の天辺の台座に捧げられ、赤々と燃え続ける結晶髑髏。
13の塔それぞれに火を守る巫女がいて、巫女たちは死ぬと次の結晶髑髏となる。
塔の巫女たちが次々と首を切られた遺体で見つかり、
どこからやってきたか分からないルーサは真っ先に王たちに疑われる。
ルーサの疑いを晴らすため、ロメリアとルーサは巫女殺しの謎を解いていくというストーリー。
13の塔でおこる殺人ということで、密室が多すぎて冗長気味に感じました。
しかもトリックはピタゴラスイッチ一発勝負が立て続けに成功しているような超難度。
もう少し塔の数少なくて良いような…
最後の謎は石球城の立地で、そこはすごい発想だなと思いました。 -
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氷に覆われた世界。死にゆく村を抜け出した主人公が目覚めたのは、周囲を灯台に囲まれ、石球が国中に置かれた石球城。
長い間閉鎖された国なので、独自の信仰や排斥、諦めが存在し、この世界こそより滅びを信じずにはおれない世界。
7人の王、13人の灯台の巫女、外から来た主人公、探偵役以外は影絵のように存在感がなく、観客かBGMぐらいの扱いだったからこそ関係性もわかり読みやすい。
作者の特性でもある物理トリックがこれでもかと怒涛のように詰め込まれ、物理法則のレベル差というか、この犯人は運が良すぎるから死にたがりなのかと思うトリックもあるけれど、真相部分を読めばそれもわかる。ただこのトリックはいくらなんでも無理がある。ぶっつけ本番なら特に。 -
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ネタバレいわゆる"読者への挑戦"もの。バラエティに富んだ様々なパターンの作品に触れられて面白い。
ただし、
・「少女」殺人事件
大学2年生の中国人留学生がトイレの貼り紙「うんこが流れません」を読めない、というのは納得がいかない。「won't flush」レベルがわからずにどうやって日本で生活するんだ。
また、ミステリの十戒が推理に多大に影響するなら十戒を書いておくのが筋でしょう。ミステリってそういう内輪ネタを公然と出してくるところあるよなぁ。
「必要な情報は全て読者に提示され」じゃないのか。
「アンフェアな描写も目立つ。2点。」ということか。 -
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最初の一行は共通で、あとの展開が作者によって異なる、メフィストリーダーズクラブのショートショート企画の第七弾。「検索結果はありません」の一文で始まる24の短編集。
この一文で始まるので、あるはずのものがない、という内容が多め。そのためか、「小説版の世にも奇妙な物語短編集」のような内容が多く、楽しめた。
少々、落ちがわかりにくかったものがあったのはやや残念。
(ちなみに、短編集なので、ボリューム不足云々言うのはお門違いだと思ってる)
特に面白かったのは、風森章羽「検索の怪物」、金子玲介「お前のためのハンバーグ」、梨「被り拒否強火担なんで自衛でブロックします」、時農(著)阿井幸作(訳)「変容」、麻根重次「ロスト・マム」。
次回作『引き出しの奥に何かがある』を楽しみにしよう。 -
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村上春樹の『街とその不確かな壁』
みたいなファンタジーっぽい雰囲気と、
最初のつかみはすごく良く、
一気に世界観に引き込まれた。
ただ、メインの「13個の密室」については、
評価が分かれそう。
「この大量の謎をどう解き明かすの?」
ってワクワクする反面、
やっぱり中盤の連続する密室劇は
どうしても長く感じてしまった。
最後に一気に解決するのではなく、
少しずつ解いていってもよかった気がする。
まあ、一気に解くからこそ納得感が出る部分もあるんだが……
んっ、これ以上はネタバレ?
前作から21年が経っているのもあって、
ショート動画みたいなファストコンテンツが
全盛の今の時代には、
このテンポはちょっとそぐわないのかもしれない。
でも、最後にその13個の密室が一気に解き明かされる怒涛の展開と、
この世界の大きな謎には
「よくこんな世界観を考えついたな」
と感心させられた。
最終的には、まずまず楽しめました。 -
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昔読んだことをすっかり忘れて再度読む。
『恋煩い』
途中で男が急に雄弁に話し出すところが笑える。お前そんなキャラだったのかと。ラスト一文はパンチライン。
『妖精の学校』
恋煩いのパターンで読み進めるとラストで度肝を抜かれる。わ、分からん…このあたり歴史とかに詳しい人ならハッとするんでしょうか。
『嘘つき紳士』
ケータイという表記の懐かしさ。お前も幸せになれねえのかよと思い始める。
『終の童話』
一番好み。童話とミステリーが上手く混ざっている。救いのないオチも良かった。
『私たちが星座を盗んだ理由』
そりゃあ20年も経ってますし、と思いながら、こういうのを引きずるのは男性の方な感じもするなぁという気も。 -
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久々に読書で『えっ!?』と声が出るような驚きを味わいました。
もし少しでも物足りなさを感じているなら、北山猛邦さんの『神の光』をおすすめします。この短編集は、「そんなことあるはずがない」という常識を、鮮やかに裏切ってくれます。
収録されている5編は、すべて「消失」がテーマ。しかし消えるのは人や凶器ではありません。館が消え、屋敷が消え、ついには街そのものが消えてしまいます。ミステリ作家が一生に一度使うような巨大トリックを、一冊の中で惜しげもなく繰り出す贅沢さに、まず圧倒されました。
特に表題作「神の光」は圧巻です。砂漠の街が消えるという神話のような出来事を、歴史と物理を組み合わせた論理で説明してしまう。「物理の北山」と呼ばれる理由を存分に味わえます。
でも、この本の本当の魅力はトリックだけではありません。
読み進めるほどに、「消えるはずがない」という自分自身の思い込みが崩れていくのです。私たちは建物や街を「そこにあって当たり前」と信じています。その認識を揺さぶられることで、物語は単なる謎解きから、「世界は見えているほど確かなものではない」という感覚へと変わっていきます。
そして最後には、論理で驚かせるミステリが、どこか切なく幻想的な物語へと姿を変えます。理屈で唸り、余韻に浸る。この変化が実に美しい。
「ただのミステリでは物足りない。」
そんな読者にこそ味わってほしい、認知を揺さぶる極上のアハ体験でした。 -
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2026.07.28
このショートショート企画のなかでいちばん「これ、おもしろいな」と思った本。
お気に入りは3作。
市塔承さんは『最後の一行』がはじめましてで口調の軽さが好きで読みやすかったのだけれど、今回も突拍子もない物語でありながら一気に読めた。想定外にほっこり。
横関さんははじめましての作家さん。会社勤めしたことある?と思える内容。ヤマシタ、人事が天職だわ。出来る人ってこうよねと関心してしまった。
河村さんの物語はクイズ作問者ならではの視点かもしれない。動画でふくらPが「使う側より作る側が強い。世の中ってのはそういうもん」という言葉を思い出してにそにそした