北山猛邦のレビュー一覧
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犯人の存在を隠しすぎ
犯人は実は登場しているが、文章を読んだだけでは存在が認識されない描写でごまかしている。
それは目的としてわかるし、発想としては面白いが、、、。
ある探偵が「あれは〇〇〇だった」と犯人を名指しするのに、その犯人を除いた(もしくは描写せずに)
人間たちを「自分以外を全員殺せば助かる」として殺そうと大騒ぎをすること。
目利きの探偵達もその探偵が目撃証言を話しているのに、「犯人は△△だろうとか」目撃証言を無視して他の
人物ばかり疑う。
もし、こんな探偵ばかりじゃ、目撃者がいる事件でも解決できないよ。死んでも当然じゃん。と思ってしまう。
オチとしては意外性があるが、ヘボ探偵ばかりが集められ -
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「かわいい狙撃手」
「つめたい転校生」
「うるさい双子」
「いとしいくねくね」
「はかない薔薇」
「ちいさいピアニスト」
の6編。
以前『私たちが星座を盗んだ理由』を読んだが、こういうファンタジーっぽいミステリが多いのだろうか?
あれは「終の童話」がおもしろかった。
今作は単行本のタイトル『人外境ロマンス』の通り、人間と人間以外の存在とのロマンスを描いた短編集。
そんな関係性だから、単純にうまくいかないことも多くて、全体的に切なさが漂う。
なかでも「いとしいくねくね」は、本来人間と人外との間にあるはずの「恐怖」という隔たりを上手く使っていた。
「くねくね」というのはネットで話題の怪異だが -
Posted by ブクログ
ネタバレ謎めいたアンティーク「アリス・ミラー」を求めて、孤島に渡った八人の探偵を迎える、二人の招待側。彼らが次々と異様な方法で殺されていくという典型的なクローズドサークルもの。巻末解説によると、作者のこれまで2作品はミステリマニアのコミュニティでの評価が今ひとつで、本作で初めて高い評価を得たそうだ。それというのも、本作はそうしたマニアに、いわば媚びた作品であるらしい。それで評価が上がるというのも嫌な話だが、なんとなく作者が無理しているような感じがあって、それが嫌な感じを増幅する。個人的には第一作の「クロック城」のほうがずっと面白かった。売りの物理トリックの出来は「クロック城」の方が数段上だしね。こちら
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Posted by ブクログ
物理トリックの名人でもある北山猛邦先生のデビュー作にして、メフィスト受賞作品!
「終わりを迎えつつある世界」、世にも奇妙な建物「クロック城」、謎だらけの組織「SEEM &十一人委員会」などなどとても珍しいストーリー構成となっております。
ミステリーとしての首無し死体などはとても高評価ですが、作文全体に漂う暗い感じが私としてはやや苦手意識を感じました。また、専門用語が多く少し苦労しました(笑)
しかし、メイントリックは大変素晴らしいです。物理トリックが如何なるものかを印象付けられました。
また、最後の最後に大どんでん返しもあり、終盤にかけて怒涛の展開もかなり緊張しながら楽しみま -
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ネタバレ〇 概要
架空の島「凪島」を舞台として,「愛」や「勇気」など,形のないものまで盗む伝説の怪盗,怪盗フェレス。その解答をめぐる3つの短編からなる短編集。「誰が」でも「どうやって」でもなく,「何が盗まれたのか」を描く異色のミステリ
〇 総合評価 ★★★☆☆
架空の世界で,怪盗が何を盗んだかを推理するというオリジナリティのある作品。3つの短編からなり,怪盗フェレスの正体や,フェレスがなぜ記憶を失ったのか,など,明らかに謎を残して終わる。
3つの短編はいずれも,十分楽しめるデキ。軽いミステリで,寝る前に読んだり,通勤電車で読むには最適だろう。盗まれるものが「次元」だったり,「携帯電話についての -
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ネタバレ禁と解説で大好きな有栖川さんが言っているので、トリックについては触れないことにする。
1999年、世界の終焉を間近に控えた物語。
明日滅びるかもしれない不安を抱える世界で、南深騎は菜美とともに探偵としての仕事を続けている。
彼にしか出来ないある技を武器にして。
瑠華という少女から依頼を受け訪れたのは、巨大な時計が3つ並んでいる「クロック城」。
未来、現在、過去を現しているという時計は、それぞれ時間がズレている。
世界を救う鍵となるのか、それとも世界を滅ぼす弾きがねとなるのか。
正体不明の「真夜中の鍵」をめぐって対立する十一人委員会と武装集団SEEM。
そして、存在しているのに存在して