あらすじ
鏡の向こうに足を踏み入れた途端、チェス盤のような空間に入り込む――『鏡の国のアリス』の世界を思わせる「アリス・ミラー城」。ここに集まった探偵たちが、チェスの駒のように次々と殺されていく。誰が、なぜ、どうやって? 全てが信じられなくなる恐怖を超えられるのは……。古典名作に挑むミステリ。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
最後まで犯人もトリックもわからず、終盤は、1人ずつ、この人には無理、この人には無理・・・じゃあこの人!?あれ、でもこの人も無理になった・・・??という感情がつづき、ハラハラして楽しめた。記憶がなくなったころにもう1度読みたい。そろそろ思い出せなくなったので、読み返そうと思う。再読したいと思えるミステリは少ないが、これはその1つ。
Posted by ブクログ
『鏡の国のアリス』を連想させる『アリス・ミラー城』に探偵たちが集められ、次々に殺されていく…というクローズドサークルに密室、バラバラ死体などミステリー好きを刺激する要素が目白押しで最高だった。そして犯人が語る動機の歪さが不気味だったし、ラストの衝撃は「アンフェアかな?」と思ったけど自分は好きだった。
Posted by ブクログ
うーんお見事!
幻想的な雰囲気、「物理の北山」とはこういうことか、と膝を打ちたくなる華麗な物理トリック、密室、殺人の驚愕の動機、そして叙述トリック。
叙述トリックに関しては、探偵たちが海上の証言を全く追及しないこと、アリスがほとんど登場しないことなどを不満点に挙げてる方もいたが、少なくとも前者に関しては海上はもはや狂人なので、探偵たちが相手にしないのもおかしくはないかと。
初日の晩餐のシーンは本当に巧い。
その他にもルディが人形と会話しているように錯覚させるなど、随所に見事な描写が見られる。
個人的には、『鏡の国のアリス』を模した城であることがトリックのための"必然"であるということがなんというかとても嬉しい。
ラストの、鏡文字を使い、鏡の中を覗き込むかのような犯人の明かし方も美しい。
物理トリックも、純粋なそれで驚いたのは久しぶりだった。
解説によると「ミステリが好きな方々により満足いただけるようにより意識して書きました」とのことだが、しっかり満足させられた。大満足。
Posted by ブクログ
城シリーズ第三弾。北山猛邦的「そして誰もいなくなった」。他の城シリーズと同じような退廃的世界観はあるがそこまで強調はされてないかな。わりと何を書いてもネタバレになりそうな気はする。物理トリックは健在だがそれ以外の点もミステリと見事に融合していて水準が高い作品だと思えた。違和感は色々とあったが、確かに犯人の名前は最後に明かされてみればわかりやすかったとも言える。犯行の動機は異常だが一定の理解はできそうな気もするのは毒され過ぎだろうか。
Posted by ブクログ
序盤の方は展開が進まなくて、全体的に読むのに時間がかかってしまった。あまり面白さを感じてなかったけど中盤〜後半にかけて引き込まれていった。
結末を読んでも最初よくわからなくて、読み直した時に騙された!と感じた。
本時代に仕掛けられたトリックがわからなかったけど、分かったら思わず感銘。
賛否両論あるけど、自分は好きだった。
Posted by ブクログ
頭がおかしい。よくあるクローズド・サークルかと思いきやあらゆる意味でぶっ飛ばされた。
アガサ・クリスティーはミステリの中で大発明をしたがよくまあここまで……。
色々とシンプルな話ではあるが、北山猛邦は数冊読んだのみなので深く語れないが、意地が悪い。平気で読者の床をぶち抜いて奈落に突き落とす。なるほどねぇ……。
Posted by ブクログ
大好きな北山先生に一言
そんなのアリかよ!!
100%騙される小説は?
と聞かれると真っ先にこの小説を紹介します。
こんなの防ぎようがないです笑
こんなん絶対分かりっこないですよ!
興味がある方は是非読んでください!
Posted by ブクログ
冬、海に浮かぶ密室「アリス・ミラー城」に招待された探偵たちの目的は館に伝わるアリスミラーの捜索。 最後まで生き残った者が手に入れられるという条件の下で探偵たちを嘲笑うような奇々怪々な惨劇の幕が上がった・・・。
結末は言わずもがな
「アリス」なる人物を不思議の国のアリスと混同させるトリックはもはや芸術の域。 御伽噺のアリスとの誤認に加え、ルディとの容姿・出生の混合、「友達」ではなく「フレンド」という表現は実在の人物ではなく架空の人物を想起させるような言葉選びですっかり騙されてしまった。
一方で作者が意図的にアリスの描写を省きすぎているのでアンフェアの側面も強い。 終盤の入瀬、古加持のセリフから作中内で既にアリスは死んだものとされている。 アリス犯人説を否定するにはアリスの死体でも上がらない限り探偵たちは納得しないと思われるのだがそこらへんは丸々描写されていない。 この点は賛否分かれるところであろう。
久々に奇天烈な作品に出遭えたのでそれなりに満足、個人にとっての傑作っていうのはこういう尖った作品から現出するのだと思う。
Posted by ブクログ
中盤から終盤にかけてのホラーサスペンス的な展開。そして、さまざまな視点に移り変わりながら展開するミステリー。そして、最後の読者を騙すトリック。読んでいて楽しめるミステリー小説でありました。ただ、叙述トリックの部分がいささか地味で、わかりづらいところがややマイナスでした。
Posted by ブクログ
城シリーズ3作目。他のシリーズと一線を画すとはこういうことかと読んで思いました。
私は全作好きですが、今回は特にミステリー感の強い古典チックな仕上がりかなと。
かなり人が殺される割にはそこまで分厚い本じゃないのでどんどんバタバタ駆け足な展開な印象なのでちょっと物足りない感というか、もっと書き込んで欲しいなーという気持ちもありましたが結末を見たらそうもいかないのかと納得。
終盤の犯人を探すところでは気になりすぎて夜更かししてしまいました
ミステリー小説をたくさん読んできましたが、そんな手もあるのか!!!とまんまと騙されて一つまた視野が広くなった気がします。
これは上手い
まさに巧みな叙述トリック。シンプルなのに、いや、シンプルゆえに効果的な叙述トリックが使用されていて、ラストで「なんでこんなに明確な伏線(ヒント)に気づかなかったんだ」と愕然とし、その偽装工作の上手さに舌を巻きます。
物理トリックの使い方も、(純粋なミステリーとして見た場合は)非常に上手く、作者さんの技量の高さが窺えます。
一方で、現実的に考えてしまう方は「そうはならんやろ」「そんなことってあるか?」と納得いかない点もあるかもしれません。
結論。ミステリーファンには強くオススメできる一冊ですが、ミステリー慣れしていない人にはやや薦めづらい作品です。
Posted by ブクログ
ツッコミどころは読後に色々出てくるものの、
殺人鬼がどんどん迫ってくるスリルと、奇抜で大胆な犯行へのサプライズ感を全体通して楽しめたし、
こちら(読み手)の勝手な思い込みを見事に利用してきたな、というところの上手さに素直に騙されたと思ったので星4つ。
もともと動機の部分にはあまり興味がないので、犯人が過激派エコロジストだったという説明は別にそれで良いかなと思うものの、
海上が「犯人はアリス」とまで言ったのに、その後誰もアリスについて言及しないのはさすがにおかしいのでは...ずるいのでは。
とは言え、怪しい館に探偵が集められてチェス盤の通りに人が消えていく、というシチュエーションは「そうそう!こういうのが読みたいの!」ってワクワクした。
あと、皆キャラ立ちしてたので登場人物もすんなり覚えられたのが良かった!
匿名
アンフェア
理想的なクローズドサークルモノだ!と歓喜しながら読み、
最後まで犯人が分からず、さらにワクワク。
十角館レベルの結末が待っているのでは!?と期待し、ラスト……
あれ?え?だ、誰?
自分はちゃんと読めてなかったのか?と、クエスチョンマークのままこちらのレビューをチェックしました。
……みんな同じ感想で良かった、いや良くないか。
スリル満点の雰囲気は本当に楽しかった。
天井を歩いていたっていうのは何だったのか……
Posted by ブクログ
ベースはアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』だろう。登場人物達がアリスミラーなるお宝探しの捜索者でもあり犯人の可能性があるという点といかにもな見立て連続惨殺事件が良い。詳述はしないがキャラも立っている。
で、オチなのだがコレは賛否両論あるだろう。元々ミステリーで驚きがあるのはアンフェア要素もあるので其処は良しとしている。ただ読み終わった時にスッキリしないというか「うん?」と首を傾げる感じ。
本作を上手く映像化できる人がいたら凄い。
Posted by ブクログ
最後、犯人の正体が明かされた時「誰?」と思ってしまった…。
意図的に隠されすぎていて、驚くよりモヤっとしてしまった。
観月が良いキャラをしていた。
だんだん観月に親しみをもち出した所で殺されてしまった…。
あんなに慎重になっていたのに、あっけなく…。
アリス・ミラーもよく分からずだった。
Posted by ブクログ
なんというか、犯人の影が薄すぎませんか…
私が密室トリックやチェス駒も各人の動きと館の構造とかを読み飛ばしてたから気付かなかったのかと思ったけど他の人のレビューを読むとやっぱりルール違反と感じる人が多いのね。。。でも冒頭の引っかかってたところが分かってスッキリした。
一人称が全員違うことには気付いてたけど何か意味があるのかな。ネタバレ解説をまとめてるサイトがあったらそれを読みながら答え合わせをしたい。
Posted by ブクログ
マジでやられたミステリ リスト作品
長年の積読本をようやく読めたが…
人物隠匿の叙述トリックにしては読後のカタルシスがない。序盤にあからさまな違和感を伴う描写が幾つもあるが、犯人が分かっても驚かずに終わった。ふーん。
そもそもタイトルの「アリスミラー」が結局のところ存在せずという結末がねぇ。それを求めて幾人もの探偵が報酬のために命を賭して集まって、死んでいくというコメディでは良キャラの観月も浮かばれませんわ
Posted by ブクログ
悪くはないとは思う、悪くはない。
でも、やっぱりミステリー、謎解きであるならば読者にフェアであって欲しく、今作品はルール違反、禁じ手を使っているので評価は下がる。
犯人がわかった時の感想は、「そうきたか!」などではなく、「おいおい、それはダメだろ」であった。
もう一つ残念なのは殺人の動機。
いやあ、薄いですよ、薄い。
城主と犯人の関連性も薄っぺらいし、限りなく星2ではあるけれど、トリックで面白いのがあったので星3で。
Posted by ブクログ
叙述ミステリ。
孤島の妙な館に集められた探偵達、
チェスの駒が減っていくとともに1人ずつ殺されるという演出…
古典的クローズドサークルものです。
探偵達がやたら個性的な設定なのもその一環なのか…
とにかく次々と人が死に、ややホラー風味もあります。
トリックを考える上で、
「ミステリのセオリーとしてはこうだけど、その裏をかいてこうかな」
みたいな話がたくさん出てくるので、
ある程度ミステリ好きな人じゃないと分かりにくいです。
(というか、叙述ミステリ自体、
初心者向けではないですかね…)
最後まで読んでも犯人が誰なのか分からず、
「え!?何見落とした!?」となりました。
構成は見事です。
---------ここからネタバレ-----------
最後まで読んでも犯人が全く分からなかったので、
仕方なく探しました。
「最初のディナーの時と同じ服〜」という記述と、
犯人の名前が「アリス」らしい?ということを手掛かりに、
最初のディナーの場面を読み直すと、
トリックが見えてきました。
全体の人数とかはいちいち数えてなかったから、
ミスリードされるまでもなかった(汗)
アリスが登場しているらしい場面が少ないので、
やはり人数のことも考慮しなくては、
そこだけではトリックを見抜くのは難しいでしょう。
人形のアリスが色んなところに出てくる演出も秀逸。
実際、
人形のことだと思って読んでたけどこれは違うな、
というのが後から読み直すと分かるところがいくつもありました。
非常に巧妙な隠し方です。
というか全体的に引っかかる要素が多すぎて、
気が散ります。
入瀬が喋れない(しかも結局は喋れた)、
山根の倒置した話し方、
読みにくい名前、
複雑な構造の館内部、
途中からパニックになる人が複数いる、
などなど…
それもまた本命のトリックを見えにくくする仕掛けなのでしょうか。
でも気が散る。
メインの物理トリックはなるほどなあというもので、
館の特殊性も効果的に使われていたと思います。
観月のキャラも良かったんだけどなあ。
なんか、舞台を一生懸命整えてきたのに、
結局そこではやらないんかい!!
という徒労感が残りました。
トリック自体は見事ですが、
それ以外のところで色々言いたくなるところが多すぎます。
・入瀬の両腕が切られていたのは何故か
・入瀬が喋らなかった理由がイマイチ納得できない
・結局アリス・ミラーは何なのか、あるのか無いのか
・というか根本的な動機が飛躍し過ぎている。
関連性のない複数人を連続殺人する動機というのはなかなか難しいのだろうが、
もう少しそれらしい動機にして欲しかった。
(あと、環境問題は大変深刻で大きな問題なので、
こういう風に使って欲しくないです)
Posted by ブクログ
叙述トリックと知った上で騙されないように読み進めましたが、結局騙されてしまった作品。
「まさか、あんなに早い段階で登場していたとは」と思いましたが、その後は何も触れられていない所に少しアンフェアに感じながらも、最後には驚かされましたね。
Posted by ブクログ
古典的な叙述トリックを用いた本作品は二度読み必須です。
とはいえ動機があー、うん。・・・そっかー。とまあ作中にも環境問題を匂わせる表現はあったとは言え、チープな感じ方をしてしまった。
トリック自体は面白いんですけどね。
Posted by ブクログ
それは反則でしょー!という結末だったけど、注意して読み直すと確かに仄めかしていたし途中に挿入されているイラストなんてあからさまだった。中盤の展開がミステリーというよりジェイソンみたいだったことと犯人の動機が突飛だったことがちょっと残念。さらに、なんで登場人物全員があの犯人を「犯人である」と疑わなかったのかも不自然だったので残念。まぁそれを書いてしまったらあのどんでん返しのラストにつながらないからしょうがないのだけど…。
でも先が気になってラストまで一気に読んでしまったし、ラスト2ページ(電子書籍)のおどろおどろしい感じもよかった。他の城シリーズも読んでみようかな。
Posted by ブクログ
えっ…こんな人いたっけ??ってしばらくポカンとしましたが自己紹介シーンにしっかりいました。しっかりいたのにその後全然出て来ないから…よく考えたら皆さんバタバタしてるからしてない人は犯人だよね。。
今回は殺人の動機がとてつもなく大きいです。孤島+雪に閉ざされた館というクローズドサークルの極みみたいな所で起こる「そして誰もいなくなった」的な連続殺人事件。酸性雨による環境汚染を中和するために人体を使います…って、えっ!?!?ちょっと何言ってるのか。。
アリス・ミラーって結局なんだったんだろう。あの盾とかじゃないよね。。
Posted by ブクログ
怖かった〜!ベッドの下に隠れてたら男が斧で鍵ぶっ壊して入って来るとか、人形が動くとか、鏡越しにアリスが見えるとか、覗き窓覗いたら殺人鬼の目が見えるとか…。何回も「こわ!」て声出た。ホラー小説かと思った。
舞台もトリックも複雑で超本格的なミステリー!犯人誰だろー!?とハラハラドキドキしながら読みましたよ。途中までは…。
犯人、そして動機については正直「へ??」だった。終盤の犯人の台詞ずっと「誰こいつ誰こいつ」って思いながら読んだ。笑
登場人物の人数を誤魔化す叙述トリック自体はいいとして、さすがに最初以外ずっといなかった人物がポッと出で犯人パターンは無いよ〜。というか海上がハッキリ「アリスが犯人」て言ってんじゃん。もう犯人探しするまでもなく犯人確定じゃん。密室やバラバラ死体のトリックの意味も、そもそも計画自体の動機も「何じゃそりゃ」だしツッコミ所が多すぎる。
ツッコミといえば窓端さんや観月への海上のツッコミがキレッキレで面白かった。観月のキャラも好き。山根さんは結局なんで人にくっつかないと喋れなかったの?
犯人はまだいいとして動機をもう少し納得させてほしかった。でもそれ以外のところは叙述トリックも見事に騙されたし面白かった。
Posted by ブクログ
叙述と知ってたので、最初から騙されずに読んでしまい…
そうなると犯人あての楽しみはなく、サプライズはあまりなかった。
よくある手法とは思うが、隠し方にちょっと無理があったような。
本格らしい雰囲気自体はよかった。
Posted by ブクログ
んー・・叙述ものって読んでてなんともこう、違和感を感じてしまうんですよね。だからこういうのを読みなれてくると初見から「ん?なんか・・・変だな」みたいなそこはかとない違和感を文章に感じつつ最後の真相で「ああやっぱりなあ」と。たまに「これは見事!」みたいなのもあるんですが、今回はそれほどでも・・・
叙述のための叙述という気がしてその部分が浮いてる印象。そもそもクローズドサークルで「生き残った人間の中に犯人が!」という思考で登場人物が何度も語っている中、犯人が全然疑われなかったのはどうして?殺害現場で姿を見られたことを語られていながら。そのあたり自分が読み逃してたのかな。
まあ正直なところ自分が叙述トリックというものに飽きてきているのかもしれません。
Posted by ブクログ
古城と聖堂を押し込めて圧縮したような混沌建築「アリス・ミラー」城が建つ孤島に、依頼者とともに集められた探偵たち。「アリス・ミラー」を手に入れられるのは、最後まで生き残った人間のみ。チェスの駒とともにひとりづつ消えていく探偵たち、密室殺人の謎。
用意された舞台、鏡の国のアリスとチェス、探偵たちの蘊蓄。トリックテンコ盛り、慣れた人たち向けかも。
犯人の存在を隠しすぎ
犯人は実は登場しているが、文章を読んだだけでは存在が認識されない描写でごまかしている。
それは目的としてわかるし、発想としては面白いが、、、。
ある探偵が「あれは〇〇〇だった」と犯人を名指しするのに、その犯人を除いた(もしくは描写せずに)
人間たちを「自分以外を全員殺せば助かる」として殺そうと大騒ぎをすること。
目利きの探偵達もその探偵が目撃証言を話しているのに、「犯人は△△だろうとか」目撃証言を無視して他の
人物ばかり疑う。
もし、こんな探偵ばかりじゃ、目撃者がいる事件でも解決できないよ。死んでも当然じゃん。と思ってしまう。
オチとしては意外性があるが、ヘボ探偵ばかりが集められたのはいかがなものかと思ってしまう。
Posted by ブクログ
謎めいたアンティーク「アリス・ミラー」を求めて、孤島に渡った八人の探偵を迎える、二人の招待側。彼らが次々と異様な方法で殺されていくという典型的なクローズドサークルもの。巻末解説によると、作者のこれまで2作品はミステリマニアのコミュニティでの評価が今ひとつで、本作で初めて高い評価を得たそうだ。それというのも、本作はそうしたマニアに、いわば媚びた作品であるらしい。それで評価が上がるというのも嫌な話だが、なんとなく作者が無理しているような感じがあって、それが嫌な感じを増幅する。個人的には第一作の「クロック城」のほうがずっと面白かった。売りの物理トリックの出来は「クロック城」の方が数段上だしね。こちらはそもそもトリックのためのトリックという締まらないものである上、二つあるトリックの一つはこんなものがうまくいはずがない、と作中人物に全否定され、実際に使われないというシロモノである。渾身の叙述トリックも空回り気味。ネットに公開されてる読書ノートの類を見ても、犯人がラストでいきなり湧いて出たと言って、怒ってる向きが結構いる。ホントは違うんだけど、ここと、ここで、ほら伏線張ってるでしょとは言えないからね。叙述トリックは、伏線を読者に指摘できない(し難い)難点があるが、これはそこがモロに出た感じ。
とてもよく出来た作品だった。登場人物の行動に違和を感じる所とか、アリス・ミラーは結局なんだったんだよとか、一番に思ったのは女性一人に皆殺しとか… と感じる事もあった。確かに不思議に思う事は多々あった。自分の凡庸な脳ミソが、理解できていないだけだったら、申し訳ないが。しかし、そんなものを吹き飛ばす位に、ハラハラドキドキさせる展開の運び方はお見事。だから、買って良かったかなぁと思う。
Posted by ブクログ
鏡の国のアリスの世界を思わせるアリス・ミラー城を舞台とした、「そして誰もいなくなった」風のミステリ。筒井道隆の「ロートレック荘事件」のような叙述トリック一本で作られた作品。
アリス・ミラー城に集まった探偵は、10人ではなく11人であり、犯人の「アリス」が存在しないように感じさせるべく、叙述トリックが駆使されている。
北山猛邦らしく、物理トリックを使った密室も出てくるが、作中で軽く扱われているし、それほど驚けるトリックでもない。
アリスの存在は、読者には隠されているが、作中の人物には当然に存在しているはずなのに、全く犯人として疑われている描写がないなど、「んん…」と思われる点はあるが、こういう読者を騙そうとするサービス精神溢れる作品は好みの作風である。
とはいえ、アリスが犯人であるという真相を見てもそこまで驚愕できなかったのは事実。読者としてすれた読者になってしまったのかもしれないが、叙述トリックとして、もう少し「おお」と思われる部分が欲しかった。★3かな。