北山猛邦のレビュー一覧
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ネタバレクローズドサークルもの。「探偵助手学部」という学部がある「探偵」というものの存在価値が高い世界が舞台。探偵助手学部の合宿で,千年館孤島研修で孤島に行くことになる。お約束どおり嵐になり,閉ざされた空間になるが,通信装置は生きており,登場人物の1人,五十嵐は,外部に島で起こっていることを伝えている。また,携帯電話でバンバン外に連絡を取っている。
そんな中で,7人もの人を殺害しようとする連続殺人を企てるのであり,リアリティは全くない。それでも,この閉ざされた環境での連続殺人という設定はワクワクしてしまった。
世界を測る単位を見立てて殺人をするというミッシングリングがあり,猫柳はミッシングリング -
Posted by ブクログ
ネタバレ探偵助手学部(楽しそう!)で学ぶ大学生たちと教諭の探偵が、閉ざされた孤島で殺人事件に遭遇。
孤島、殺人、探偵といかにもな状況ですが、犯人を捜すことよりも人命第一を信条とする探偵・猫柳十一弦のキャラクターがユニークです。
その信条ゆえ、よくある舞台設定ながらありきたりな展開にはなりません。
犯人当てというよりは、犯行を未然に防ぐ為の犯人との頭脳ゲームといったかんじでした。
探偵というものが信頼の置ける髙い地位の職業として成り立っているという、この世界の設定を存分に生かした事件と登場人物たち。斬新な1冊だったと思います。
読者側からの犯人当ては相当困難だと思いますし、いろいろと無理やりな印象 -
ネタバレ 購入済み
とてもよく出来た作品だった。登場人物の行動に違和を感じる所とか、アリス・ミラーは結局なんだったんだよとか、一番に思ったのは女性一人に皆殺しとか… と感じる事もあった。確かに不思議に思う事は多々あった。自分の凡庸な脳ミソが、理解できていないだけだったら、申し訳ないが。しかし、そんなものを吹き飛ばす位に、ハラハラドキドキさせる展開の運び方はお見事。だから、買って良かったかなぁと思う。
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Posted by ブクログ
ネタバレ鏡の国のアリスの世界を思わせるアリス・ミラー城を舞台とした、「そして誰もいなくなった」風のミステリ。筒井道隆の「ロートレック荘事件」のような叙述トリック一本で作られた作品。
アリス・ミラー城に集まった探偵は、10人ではなく11人であり、犯人の「アリス」が存在しないように感じさせるべく、叙述トリックが駆使されている。
北山猛邦らしく、物理トリックを使った密室も出てくるが、作中で軽く扱われているし、それほど驚けるトリックでもない。
アリスの存在は、読者には隠されているが、作中の人物には当然に存在しているはずなのに、全く犯人として疑われている描写がないなど、「んん…」と思われる点はあるが、こう -
Posted by ブクログ
北山氏の著作では2冊目、短編集。彼の創造した探偵「音野順の事件簿シリーズ」としてシリーズ化されている。
氏の作風として物理トリックにこだわるところは短編も同じであり、その都度ニヤリとしてしまう。それより今作の大きな特徴は作品の構成そのものにあると思う。
ひきこもりの名探偵音野順が探偵で、ワトソン役は友人であり彼の手がけた事件を小説にしている作家白瀬である。探偵とワトソン役のキャラ造詣には一工夫あり、過去の類型を見ないよう努力はしているのだろう。まぁ、ラノベ的であり、二人のやりとり、さらに岩飛警部などもからみ、ユーモアの点でも楽しめる。
しかしながら探偵の様式美に徹底的にこだわった作風であ