【感想・ネタバレ】密室から黒猫を取り出す方法のレビュー

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Posted by ブクログ

気弱で引きこもり、名探偵という部分以外はけっこう自分に似ている(笑)と勝手に思い、密かに親近感を抱いています。
ここに出てくる犯人もどこか憎めなかったり、唐突に第2の探偵が出てきたり、ストーリーにも強弱があってとても面白いです。この短編集、個人的なお気に入りは「停電から夜明けまで」。

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2021年05月08日

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ネタバレ

引きこもり探偵・音野順シリーズの第二弾。しかし文庫化までに十年掛かったと言われるとちょっとショックだな。おもしろいのに。音野探偵のキャラもあって、コメディ調で、殺人も起きるのにほのぼのしたトーンでお話は進む。「密室から黒猫を取り出す方法」で猫がバネにじゃれつく展開には、声を出して笑ってしまった。そんな中で「音楽は凶器じゃない」の苦い結末だけが異色。こり過ぎで、短編にはもったいないような気さえする、「物理の北山」らしい密室トリックがあったり、いろいろ豪華な短編集。

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2021年02月13日

Posted by ブクログ

単行本刊行から12年、前作「踊るジョーカー 名探偵音野順の事件簿」の文庫化から10年、まさに待望の文庫化であります。
創元推理文庫の扉の裏には、日本人作家の著作であっても英語タイトルが記されているのですが、前作「踊るジョーカー」の英語タイトルは、"The Adventure of the Weakest Detective"(世界一気弱な名探偵の冒険)!?

主人公の音野順は推理の才能がありながら、引きこもりがちで臆病で人と話したがらず、口を開けば「いやだ」とか「ううっ」とか「えっと」としか言わないような名探偵で、友人で推理作家で事件簿の記録者で助手役も努める白瀬白夜に駆り出されて、いやいやしぶしぶ事件に挑んで、もとい挑まされているのです。

表題作のほか、「人喰いテレビ」、「音楽は凶器じゃない」、「停電から夜明けまで」、「クローズド・キャンドル」の計5作が収められていて、いずれもコミカルな作風でありつつもトリックとロジックは折り紙付きの本格ミステリ。

創元推理文庫の北山猛邦作品の特色である、片山若子さんのイラストを据えたかわいらしいカバーデザインも魅力です。
オビ裏や折り込みのシリーズ紹介には、今春にシリーズ3作目が刊行予定とあるのも嬉しい、けど文庫になるのはいつの日やら、還暦の頃には読めるかなぁ…

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2021年02月07日

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 名探偵音野順シリーズ第2弾。今回も読みやすい文体ながら密室、消えた凶器、倒叙などしっかり本格ミステリーが紡がれていて面白かった。特に「クローズド・キャンドル」が一番面白かった。そして前作と変わらない音野順の「気弱で引きこもりだけど、しっかり名探偵である。」というキャラ造形もよかった。

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2024年03月09日

Posted by ブクログ

タイトル読み。
シリーズ2作目なのは分かってたけど、まぁいいかな、と。
名探偵音野順の気弱っぷりが面白い。
そして、表題作の「方法」はなかなか意表をついていて、それによって起こった犯人の自滅がちょっとお気の毒でもあったかな。
高校の音楽室での事件は後味が悪かった。
あの人が今後も登場することはあるのかな、、、
あの女子高生は登場してきそうだけど。
ライバル?の琴宮が突拍子もないなー。三千万って、ねー。でも、音野と対極にある感じが面白かった。

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2021年05月18日

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ひさしぶりに北山先生。文庫化がかなり最近でびっくりした。解説が青崎先生なのがうれしい。
「停電から夜明けまで」がよかった。この物理トリックに力入れて探偵助手概念の描写はあっさりめ…のようだけど陰で"名探偵"に切り込んでくる感じいいよね。白瀬の一人称私なのいいよね。
城シリーズもう一回読みたいな。

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2023年11月17日

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ネタバレ

短編中の一作が、数年前の事件とは言え
謎は解明され、犯人もわかったのに
事件が解決されなかったのは
とても残念でした。

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2022年01月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

● 感想
 気弱で引きこもりがちな名探偵,音野順が登場するシリーズ第2弾。第1弾の踊るジョーカーも読んでいて,「雰囲気が素晴らしい」として8点を付けていた。個々の作品の内容,感想はメモに記載。引きこもりの名探偵音野順とワトソン役の白瀬白夜のやり取りはコミカルで面白い。この二人のキャラクター,関係性は,なんとなく麻耶雄嵩作品のキャラクターに通じるものがある。どこか,浮世離れしているが,憎めないキャラクター。特に白瀬白夜が,麻耶雄嵩のメルカトルシリーズの美袋三条に近しいものを感じてしまう。どちらもミステリ作家だし。
 北山猛邦は,最も好きなミステリ作家の一人で,文体が肌に合う。作品の雰囲気も好きなのだが,個々の短編のミステリとしてのデキはあと一歩というところ。表題作となっている「密室から黒猫を取り出す方法」や,「クローズド・キャンドル」での,物理トリックの密室は北山猛邦らしいのだが,物理トリックはどこまでいっても物理トリック。傑作だ!とまでは感じられなかった。
 文庫本の解説では,青崎有吾が,「停電から夜明けまで」について,驚くべき短編と評価し,音野順が探偵としての能動的行動を全くとらずに,捜査も,水利も,質問も挨拶すらもしないで,黙っているだけで犯人を示してしまう。音野順が音野順らしくあるままでも,名探偵の使命が達成される。あまりにも見事なジレンマの昇華,と絶賛しているが,そこまでの作品か?と思ってしまった。
 そもそも,ミステリを「名探偵モノ」として読むことにあまり意味を見出せない。面白い謎,面白いプロット,面白いストーリーこそがミステリの本質であり,名探偵とはどうあるべきか,といったものは,面白い謎等の副産物で,それがメインである必要はないと思うのだが。
 評価としては★3で。話としての面白さ,ミステリとしての完成度,キャラクター等のどれをとっても,面白くないわけではないが,傑作とまではいえず。そこそこ。
● メモ
● 密室から黒猫を取り出す方法
 田野は,企画を横取りし,出世をし,何らの見返りをよこさない上司,福中を自殺に見せ掛けるため,ホテルの一室で密室殺人を行う。密室トリックは,バネを使ってカンヌキを閉じるという物理トリック。密室を作っている際に,黒猫が部屋に入ってしまう。猫はバネにじゃれつき,回収すべきバネは部屋に残る。そもそも福中は猫アレルギーなので,黒猫がいる部屋で自殺をするか?田野は不安に思いながら,黒猫をそのままにしておく。本作の主人公,音野順とワトソン役の推理作家白瀬は,ホテルに出没するという黒猫探しのために,同ホテルを訪れる。そこで,この事件に遭遇する。
 岩飛警部の許可を得て,現場を捜査。音野順はバネを見つけ,謎を解き,犯人に罠を掛ける。田野は黒猫の確認のバネの回収のために,殺人現場に戻るが,そこで警察と音野達に見つかる。田野は密室に黒猫が閉じ込められていると思っていたが,黒猫はタイガーロープを凍らせ,円筒状にしたものを利用し,回収されていた。この黒猫=音野が捜索しにきた黒猫は,ホテルのオーナーの娘,千里が飼っていた猫であり,同様の方法で,ホテルの一室で飼っていた猫だったのだ。
 北山猛邦らしい物理トリックの密室に,黒猫消失の謎を加えた作品。雰囲気は悪くないが,密室トリック,黒猫消失のトリックともに,バネや氷を使った物理トリックで,さほどの面白みはない。
● 人食いテレビ
 UFO研究会の面々が,殺人事件が起こった現場で,被害者がテレビに人が食べられるという場面を目撃する。この事件の被害者の遺体には3つの謎が存在した。1つ目は,上半身が裸にされていたということ,2つ目は,奇妙な鈍器の存在。3つ目は,切断された腕。これら3つの謎には共通するアイテムが関係している。それは銃。被害者は銃を撃っており,犯人は少しでも銃に関する証拠を残さないように,細工をした。犯人はロッジのオーナーの宮本。宮本は,ブラウン管のテレビを利用して,テレビを介して銃の売買を行い利益を得ていた。被害者は,銃が暴発してケガをし,宮本は銃の痕跡を隠すために殺害をした。
 ややコミカルな短編。殺害の動機も納得できかねる程度のものだし,トリックらしいトリックもない。人食いテレビという謎はそれなりに魅力的ではあるが,その真相が,単にブラウン管のテレビを隠し場所にして銃のやり取りをしていたというのは,あまりエレガントでもない。これは凡作だろう。
● 音楽は凶器じゃない
 過去の事件で知り合った笹川蘭という少女から聞いた,殺人事件の話について推理をする。音楽室で起こった事件であり,音楽室に潜んでいた何者かに教師と女生徒が襲われたという。犯人は捕まっていない。教師は死んだが女生徒は一命をとりとめた。女生徒には,推薦文を書いてもらえなかったという動機があり,女生徒の狂言で,実は女生徒が犯人ではないかという疑いがあったが,凶器がない。音野順の推理した凶器は,肖像画と150枚程度のCD。CDを肖像画の先端に取り付け,ハンマーのような鈍器にしたのではないかという推理。既にCDは売却されており,証拠はない。犯人と思われた女生徒,落合彩は学校に教師として戻ってくる,というオチ。消えた凶器の謎で,真相は推理クイズレベル。こんな推理クイズを見たことがあるような気がする。小説の雰囲気等は悪くないが…これも凡作レベルだろう。
● 停電から夜明けまで
 異色の一編。倒叙モノである。シロとペンタ兄さんの2人が,落雷による停電の機会を利用して,義父の殺害を計画する。暗闇でナイトビジョンを使って殺害するという計画。地元銀行の常務である石橋剛士,弁護士の杉岡正義,世界的なオーケストラ指揮者の音野要が招待された場で殺害を計画する。
 殺害に使う凶器は,西洋鎧のレプリカ,マクシミリアンの剣。殺害計画の途中で白瀬白夜と音野順が登場する。
 音野要は,たばこのにおいがしなくなったことから,ペンタ兄さんが部屋にいないことに気付き,マクシミリアンの剣に白瀬が持っていたルミノールの検査液と血を付け,犯行を暴く。シロはナイトビジョンを使っていたので,ルミノール液には気付くことができなかった。
 シロはとぼけるが,音野順が部屋に入っていたことに気付いていたことから,ナイトビジョンを使っていたことがばれる。この事件では,音野順は一言もしゃべらずに,ただ黙っていて犯人を告発し,被害者が殺害される前に犯人を見つけ出し,犯人の思惑を阻止した。
 これはそれなりに面白い。音野順の探偵としての働きは描いていないが,音野要を利用し,音野順が何もしなくても,存在するだけで犯人の犯行を暴くというプロットが秀逸。倒叙モノとしては,犯行にやや無理があり,倒叙モノとしてはさほど楽しめないのが難点
● クローズド・キャンドル
 音野順と推理比べをするライバルとして,琴宮という名探偵が登場する。琴宮のワトソンは,比之彦。琴宮は,3000万円払えば真相を伝えるという。
 事件は蝋燭が立てられた密室で起こった。被害者は照明器具にロープを掛けて首吊り。警察は自殺と判断している。
 白瀬は,琴宮とのやり取りの中で,音野順が真相を解明できなければ,3000万円を払うと約束してしまう。
 まずは,琴宮の推理。密室には犯人である鈴谷花澄が隠れていた。第一発見者は,花澄の双子である澄玲。ここで,花澄に双子がいることを暴く。双子を利用した双子入れ替えトリック
 音野順の推理。円卓を斜めに立て,扉を出入りするだけのスペースを作った。円卓を支える蝋燭に火を付け,円卓を支えられなくなった段階で円卓はずり落ちる。密室が完成するという物理トリック。円卓がずり落ちて,密室が完成し,首吊状態になる。犯人は,花澄の従妹であり,琴宮のワトソン役だった比之彦だった。
 探偵対探偵の推理対決というシチュエーションは楽しい。密室が物理トリックで解明というのも北山猛邦らしい。総合的にみて,それなりのデキの作品だと思う。

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2022年12月03日

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