櫛木理宇のレビュー一覧
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カラーの異なる作品群で、それぞれの慄きがあり面白かった!
めくるめくパニック映画のような『アイソレーテッド・サークル』。
ジメッとした薄暗い雰囲気が抜群な味をもつ『お家さん』。
実話怪談の入れ子構造が心地良い『窓から出すヮ』。
自分の身に起きたら一番厭な『追われる男』。
グロテスクな怖気がはしる『猫のいる風景』。
特に好きだったのは、最後にふさわしい静かな余韻がある恩田陸『車窓』。
新幹線内の短いやりとりだけどリアルに空気感を想像できる。私も車窓を眺めて、この町に生まれたらどんな人生だったかな?とか、窓一面の畑の持ち主の日々を想像したりするのが好きなので、これから新幹線乗るたびに思い出しそう -
Posted by ブクログ
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物語の中に何度か出てくるフレーズ
『skeleton in the closet/
クローゼットの中の骸骨』
公にできない秘密や隠し事
家庭内の暗黙のルールや外に出さない話は、
どの家庭にも多少はあるだろう。
でも各々に秘密の重さや深刻さは違っていて、
それが一人の人間の人格を歪ませたり、
壊してしまった結果、他人の人生までも
狂わせる凄惨な事件が起きたら。
押入れの再奥に隠した死体を見た時、
殺人に至った理由が分かるのだろうか。
それとも、理解できないことが不安だから
自分に都合がよくて納得できる理屈を見つけて
分かった気になってしまうのか。
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Posted by ブクログ
ネタバレフリーライターの世良未散は「女子中学生墜落死事件」の記事を書かせてもらったことをきっかけに、いろんな事件記事を書くようになった。すると中学時代の友人であり、殺人で指名手配中の古沢福子から連絡がくるようになり……。
未散のあつかう事件はどれも裏があるものばかりで、出てくる人たちも歪な環境のなかで育った人ばかり。それは指名手配中の古沢も、そして主人公の未散もおなじだった。
ストーリーはおもしろかった。事件の真相もいろいろ工夫されていて、納得のできるものになっている。でもなんかスッキリしない。どの章をみても気分のいいものはなく、鬱々とした気持ちにさせられる、そんな一冊。
スッキリしないのはおそ