岡嶋二人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
過去作品シリーズ。岡嶋二人の初期競馬三部作(?)の三冊目。
ある時、日本中央競馬会に1通の脅迫状が届く。
その内容は『日曜日の第10レースで1番の馬を勝たせろ。要求が聞き入れられない場合は伝貧ウィルスを打つ』
と言うもの。
伝貧とはウマ科の動物に伝染する病気で、これに罹ってしまった場合は安楽死処分しか施す事が出来ないものだ。
そして実際に10レースで1番の馬は負け、伝貧ウィルスはラストコールという馬に接種されていた。
日本中央競馬会の理事を義理の父に持ち、日本中央競馬会の保安課で働く主人公・八坂心太郎は、
この調査をする為、北海道へと向かった。
そこで知ったのは、今回の事件が7年前の伝貧騒ぎが関係しているらしい、という事だった。。。
個人的な感覚では、この小説が初期競馬三部作の中でも最も影が薄い。
というのも、
“焦茶色のパステル”は乱歩賞受賞、
“あした天気にしておくれ”はその前年の乱歩賞の受賞を妙な理由で逃した
という、内容以外の所にインパクトがあるからかもしれない。
また、前2作が割と「ハラハラさせる」物語だったのに対し、この作品は
「背後関係をじっくり考える」という、落ち着いた雰囲気がある。
その為、読後感も若干薄くなりがちなのであろうか。
で、内容がつまらないかというとそんな事は全く無く、
とんでもない偶然(八坂と佳都子の出会いなど)はたまに見られるものの
全体的に丁寧に作られた作品であろう。
ただ背後関係が複雑で、何度も考えないとわからない場合があるが。
それでも、前2作と同様(むしろそれ以上)に、競馬の知識が全くなくてもきっちり読ませる内容であり、
話にも古さは余り感じない。
物語の最終段階にもかなり驚かされる。
ただ一つ気になったのは、八坂の物怖じしなさ過ぎるキャラクターだろうか。
軽いのか真面目なのかちょっとわからない、掴み所のないキャラクターに感じた。
ラストが非常に暖かいというか、良い終わり方だったと思うので読後感はバッチリかと。
オススメ。
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Posted by ブクログ
「七日間の身代金」
プロデビューを目指す若き音楽家カップルの千秋と要之介。ある日、富豪の後添いとなった友人から、弟と先妻の息子が一緒に誘拐されたと相談を受ける。身代金の受け渡し場所は逃げ場の無い小島で、事件は直ぐに解決すると思われたが・・・。
岡嶋二人は、ニール・サイモンの戯曲「おかしな二人」のもじりである。この戯曲は、オスカー・マディソン(妻と離婚したずぼらな性格のスポーツ記者)とフェリックス・アンガー(几帳面な性格のニュース記者でポーカー仲間。「妻に逃げられた」と転がり込んできた)が織り成すコメディ。この愉快な戯曲をもじるわけだから、岡嶋二人はユーモア小説を得意としている・・・という訳ではない。このコンビ作家が得意としているのは、誘拐物であり、実際「人さらいの岡嶋」という物騒な呼び名を頂戴した。しかし、岡嶋作品は全28作品で、長編は22作品。誘拐物はたった5作品。
さて、読んでみると、著者自身は、これを誘拐物と呼ぶのは詐欺に近いと言っているけど、そんなことは全く無いと思います。誘拐物の醍醐味は、犯人と捜査側の攻防、被害者の心理や身代金を払う側の苦悩などになると思いますが、この作品では、これらの醍醐味には早々とお引取り願い、代わりに密室に登場をお願いし、この方に最後まで主演を張ってもらっています。
きっと、ここら辺が、誘拐物ではないという主張の根拠かなと。でも、誘拐が一筋縄ではいかないからこそ、密室が活きてくるわけで、この作品は十分誘拐物である気がします。千秋と要之介の恋愛の進展も気になることは気になりますが、それよりもにわかに近い探偵心の方がずっと気になります。穴がたくさんありながらもとりあえず口にする探偵なんて久しぶりなんでw
また、「耳のいい作家」という言葉がアメリカにあるらしいです。これは、会話の描写が上手い作家への褒め言葉で、“文法を崩した表現でリアリティを持たせつつ意味が分かるような文章にする、それが成功して初めて「耳のいい作家」と呼ばれる”とのこと。耳を表現に入れる辺り、小説または文章は目で読むのではなく、耳で聴く、聞き心地が良いみたいなことなんでしょうか。上手いこと言いますよね、アメリカ文学。
さて、色々好印象を挙げてきましたが、ここで1つ良くないことを。それは、鳥羽国彦が相当なクソヤロウだということです。登場人物にこれだけ嫌悪感を抱かせるんですから、岡嶋氏の描写の勝利と言いたいところですが、描写には比喩などを使ってないもんだから、この嫌悪感の源は、単純にこのクソヤロウの所業だろう。
クソぶっ飛んだことをするのは確かに凄いが、結局クソヤロウには変わりはないです。ちなみに、次点もちゃんといます。あ~「おかしな二人」を読みたくなってきました。 -
Posted by ブクログ
元ボクシングチャンピオンの息子が誘拐された。
犯人からの要求は、タイトルマッチを挑む義弟に
ノックアウトで相手を倒す事。
子供の命がかかっているわ、勝ち方は指定されてるわで
プレッシャーが半端ないです。
何が正解で、何がいけないのか分からない上に
犯人が身近なのかどうかなのかも、という状態。
心理状態に、気が狂いそうです。
どんな些細なことでも、という所から
それでも手掛かりを集める警察。
時間もすぐそこ、なので、さらに焦るというか
どうなるのか気になって仕方がありません。
という状態でひた走り、な最後。
なんかこう…あっけなかったような。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ競馬馬が故意に感染症に感染させられていく事件を追う話。
岡嶋二人なので内容はソツないんだけど。
事件を追いかけるうちに浮かび上がる7年前の事件、こういう「実は○年前の事件が」っていう展開が個人的に好きじゃない。読者からするとなんかアンフェアだから。
あと、主人公の非の打ち所のない有能さ、なのに見合い写真で見ただけの女と偶然顔を会わせたら超親しげに近づいていく感じも、好ましくなかった。
主人公が警察でもないのに関係者に事情聴取して、結構情報を引き出せるのも、なんだかな~、と思ってしまった。ま、まだ個人情報にうるさくない時代だからね。