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Posted by ブクログ
テンポの良い会話主体で話が進むので、するするっと読めてしまいます。
舞台が1980年代のため、物質面、精神面、慣習面など随所に古さを感じる描写はありますが、そんな時代だと思ってしまえば私は気になりませんでした。
それよりも。いくら警察のお偉いさんの身内とはいえ、素人娘である主人公にここまで国家権力を動かす力は無いでしょうよ…というところで若干冷めてしまう自分がいたかな〜。
ミステリーとしての「そう来たか!」感や若干無理のあるトリックを納得させる力は薄いと思うので、内容や読後感よりも、読む過程を楽しく過ごすことに重点を置きたい時にオススメしたいです。
Posted by ブクログ
「七日間の身代金」
プロデビューを目指す若き音楽家カップルの千秋と要之介。ある日、富豪の後添いとなった友人から、弟と先妻の息子が一緒に誘拐されたと相談を受ける。身代金の受け渡し場所は逃げ場の無い小島で、事件は直ぐに解決すると思われたが・・・。
岡嶋二人は、ニール・サイモンの戯曲「おかしな二人」のもじりである。この戯曲は、オスカー・マディソン(妻と離婚したずぼらな性格のスポーツ記者)とフェリックス・アンガー(几帳面な性格のニュース記者でポーカー仲間。「妻に逃げられた」と転がり込んできた)が織り成すコメディ。この愉快な戯曲をもじるわけだから、岡嶋二人はユーモア小説を得意としている・・・という訳ではない。このコンビ作家が得意としているのは、誘拐物であり、実際「人さらいの岡嶋」という物騒な呼び名を頂戴した。しかし、岡嶋作品は全28作品で、長編は22作品。誘拐物はたった5作品。
さて、読んでみると、著者自身は、これを誘拐物と呼ぶのは詐欺に近いと言っているけど、そんなことは全く無いと思います。誘拐物の醍醐味は、犯人と捜査側の攻防、被害者の心理や身代金を払う側の苦悩などになると思いますが、この作品では、これらの醍醐味には早々とお引取り願い、代わりに密室に登場をお願いし、この方に最後まで主演を張ってもらっています。
きっと、ここら辺が、誘拐物ではないという主張の根拠かなと。でも、誘拐が一筋縄ではいかないからこそ、密室が活きてくるわけで、この作品は十分誘拐物である気がします。千秋と要之介の恋愛の進展も気になることは気になりますが、それよりもにわかに近い探偵心の方がずっと気になります。穴がたくさんありながらもとりあえず口にする探偵なんて久しぶりなんでw
また、「耳のいい作家」という言葉がアメリカにあるらしいです。これは、会話の描写が上手い作家への褒め言葉で、“文法を崩した表現でリアリティを持たせつつ意味が分かるような文章にする、それが成功して初めて「耳のいい作家」と呼ばれる”とのこと。耳を表現に入れる辺り、小説または文章は目で読むのではなく、耳で聴く、聞き心地が良いみたいなことなんでしょうか。上手いこと言いますよね、アメリカ文学。
さて、色々好印象を挙げてきましたが、ここで1つ良くないことを。それは、鳥羽国彦が相当なクソヤロウだということです。登場人物にこれだけ嫌悪感を抱かせるんですから、岡嶋氏の描写の勝利と言いたいところですが、描写には比喩などを使ってないもんだから、この嫌悪感の源は、単純にこのクソヤロウの所業だろう。
クソぶっ飛んだことをするのは確かに凄いが、結局クソヤロウには変わりはないです。ちなみに、次点もちゃんといます。あ~「おかしな二人」を読みたくなってきました。
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