岡嶋二人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ岡嶋二人さんの作品、初読です。
本作は、地下にある核シェルターに閉じ込められた男女四人がそこからの脱出に試みながら、その三ヶ月前に起きた富豪の一人娘である彼等の女友達の不審な事故死の真相に迫っていくという展開。密室からの脱出というサスペンスと謎解きが融合した本格推理もの。
言葉のやり取りに多少の古臭さ?を感じる作品だなと思っていたら、本作の刊行が1987年ということで30年以上前に発表された作品であることを知りビックリです。アイデアと設定にはまるで古臭さは感じられません。
ただ読後感としては、よく女手で地下のシェルターに男女四人も運べたなとか、そんなに都合良く?悪く?アイスピックが刺さって即死 -
Posted by ブクログ
ネタバレまずます面白く安定感もあるが、今まで読んだ3作が面白過ぎたかな。
惜しいのは②と③。
この短編シリーズをあと、5、6編創ることができていたら、一冊の本になり、統一感もあったのに。
そして、表題作の⑨。
短編としては?だったが、あとがきと合わせて、作家としての品位・良心を感じる。
そもそも、⑨がなければ②も③も文庫として出されてない可能性が高いので、本著を読めたこと自体、ラッキーでした。
①記録された殺人
会社を訪問してきた男が死んだ。入れ替わり登場する関係者たちの証言は、一緒に分析フィルムを見せられているよう。
②こっちむいてエンジェル
伸子は担当作家から連絡を受け、自宅に原稿を取り -
Posted by ブクログ
ネタバレヤクザなどは出てこなくて、中学生同士のやり取りなのにここまで追い詰められてしまうことがショックだった。
他のクラスメイトもそうだが、友達思いだったのに巻き込まれた省吾が気の毒すぎる。
父親が無罪を証明してくれたが、本人はそんなことは知らないまま亡くなってしまって、自分の親も信じられず恐怖の中で・・・と思うといたたまれなかった。近内と省吾が和解できていたら良かったのに。
・・・読んだのは新装版じゃなかったので、、盛大にネタバレしてるとは知らなかった。出版社、なぜOKしたんだろう?
岡嶋二人さん、面白かったので他のも順番に読んでみます。 -
Posted by ブクログ
テンポの良い会話主体で話が進むので、するするっと読めてしまいます。
舞台が1980年代のため、物質面、精神面、慣習面など随所に古さを感じる描写はありますが、そんな時代だと思ってしまえば私は気になりませんでした。
それよりも。いくら警察のお偉いさんの身内とはいえ、素人娘である主人公にここまで国家権力を動かす力は無いでしょうよ…というところで若干冷めてしまう自分がいたかな〜。
ミステリーとしての「そう来たか!」感や若干無理のあるトリックを納得させる力は薄いと思うので、内容や読後感よりも、読む過程を楽しく過ごすことに重点を置きたい時にオススメしたいです。 -
Posted by ブクログ
「チョコレートゲーム」とは何なのか? 中学生たちの秘密の遊びと、殺人事件に打ち震えるミステリー。
中学校で発生した殺人事件。巻き込まれてしまった息子を守るため、家庭をかえりみない作家が解決のため奔走する物語。
85年の作品ですか、非行に走って家庭内暴力とかが問題になり始めた頃ですかね。家族の気持ちが離れている様子が、ありありと伝わってきます。
昔の作品とは思えないほどの物語の展開が切れ味よく、現在でも楽しく読み進められる良作だと思いました。
本作はなんといっても「チョコレートゲーム」の謎が面白いですね。なるほどなるほど、確かに自分も中学生の頃に同じようなことをしていたのを思い出しました。 -
Posted by ブクログ
1年振りに競馬場へ現地参戦。往復の車中の友をこの本にする。
「焦茶色のパステル」「あした天気にしておくれ」と読んできた岡嶋二人の競馬三部作の三冊目(出された順番は前出の二冊の間)。
中央競馬会に不正レースを強いる脅迫状が届き、これを看過した結果、北海道の牧場でサラブレッドが馬伝染性貧血(伝貧)の犠牲になった。
犯人を見つけ出すべく密命を帯びた中央競馬会保安課員・八坂心太郎は北海道へ飛んで…といったお話。
伝貧については、私はテンポイント(の祖母のクモワカ)の物語で初めて知った(競馬ファンの多くがそうでないかと思う)。
JRAのサイトによれば2017年に国内の清浄性が確認されたと書いてあり、 -
Posted by ブクログ
1986年日本推理作家協会賞受賞作品。
岡嶋二人を読むのは初めて。
誕生月に生まれた頃に生まれた作品を読もうと思い、
本棚に積まれていた本書を手に取る。
誕生日の甘いケーキの代わりに、ビターなチョコレートゲームを味わった。
家庭に関心の薄い作家と、学校に行かずに怪しい行動の増えた息子。
事件を契機に息子と向き合い始める父親と、
「チョコレートゲーム」というキーワードを軸に展開されるテンポの良いストーリーは、
どこで読み止め、また再開してもすぐに物語のなかに戻ることができる。
スマートフォンもSNSもない時代。
登場するガジェットには懐かしさを感じ、トリック成立は難しいかもしれない。
しか -
Posted by ブクログ
名門中学で起こった連続殺人事件を描いたミステリー。
発刊は1985年とかなり昔の作品。固定電話がでてきたり、アリバイトリックだったりはさすがに時代を感じるところも多く、犯人の検討もつけやすかったりもしたのですが、ストーリーのテンポの良さや文章のスマートさは現代にも通じるものがあった気がします。
あとは謎の提示の見せ方がさすが。生徒の父親視点で話は進みますが、息子の非行や身体のあざといった謎から始まり、息子への不信、連続して起こる殺人事件、「チョコレートゲーム」といった謎の言葉。テンポの良さと相まって、謎が次々と移り変わっていき話に引き込む。
時代こそ古いものの、子供をめぐる環境は現代に通