あらすじ
次々と別の興信所を訪れては、「カメラの持ち主を探してほしい」「こういうお店を探してほしい」等々、およそ事件とは思われない奇妙な依頼をしていく謎の女・平林貴子。いったい、彼女の本当の目的は何なのか? やがて、それぞれの調査報告がひとつの輪のように繋がって、事件の全容が明らかになっていく。そして最後に新たな驚きが。斬新なスタイルで読者に挑戦する、華麗なるメドレー・ミステリ。1985年刊行時のタイトル『5W1H殺人事件』を改題。(講談社文庫)
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先日読み終えた歌野さんの本の解説で知った著者。変わった名前だなと思っていたのだが実際に2人で書いておられるらしい。井上泉(井上夢人)さんと徳山諄一(田奈純一)さん。井上さんは知っていたが徳山さんは初耳。そしてその徳山さんは2021年に他界されていると。まぁ詳細はWikipediaで読んでください。
この作品、ミステリの完全版、パーフェクトミステリのように思える。5W1Hを駆使した謎解き。1人の女性が各章で探偵事務所に依頼をもたらす。各章を読むだけではその大きな謎には辿り着けない。そして終章で初めて全てがつながり、犯人が炙り出される仕組み。カセットテープのデータに時代を感じる。最後、犯人はちょっと反則気味だけど構成がとても面白かった。
岡嶋二人さんの作品はまだこれが初読みなので、今後も楽しませてもらおう。
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これは傑作。個人的にもこの展開はすごく好きなパターン。これは絶対に最後まで犯人はわからない、がこじ付け感が全くないのがスゴイ。こんな作品を読むとその日は幸せな気分になる。
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次々と興信所を訪れては「あるカメラの持ち主を探して欲しい」「あるマッチがどこの店のものか」「車のシートが何故なくなったのか」など、およそ事件と思われない奇妙な依頼をしていく謎の女・平林貴子。彼女の目的はなにか?
最初は良く分からない調査だけど、徐々に色んな調査の間に繋がりが出てくる感じが良い。これも面白かったな〜。
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興信所を回る平林貴子にず注目しながら読み進めていたから、終盤の展開に驚かされてしまった!
私自身は想像していなかった人物が犯人で、所謂どんでん返しって感じでした。
短編のような感じから、話が全てつながってとにかく面白かったの一言です!
ストーリーの組み立てうますぎる!
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前情報がない状態で読み始めたもんだから、平林さんは「興信所なんてあまり日常に馴染みないところに絡むから、なるべく本名とか連絡先とか残してもらいたくないんだな」って思ったけど全然違った。
個人的には加賀くんのターンが好きだったな。
本でも映画でも、エッッなシーンは話に関係ない(と自分では思えてしまう場合)とかなり嫌になってしまうタイプなんだが、まあこれはありだな。
あーこのふたりは利害関係で成り立ってんだなって思えて。
なんかあったらお互いあっさり裏切りそう。
最後の最後にこいつまさか?って思ったけど‥
まさかな。
気づくと全部読んでました。
暗号はまったくわからんかったけど面白かったです。
しかしこれも意外なほど昔の世界観だった。
おいしい。
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やっぱり岡嶋二人作品は自分には読み易いし、次の展開がどうなるか気になってしょうがない構成も堪りません。右手の小指の付け根に大きなホクロなんてあると大それた事は出来ませんね。
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「誰が」「どこで」「なぜ」一見バラバラの依頼が、だんだん一つの事件に収束していくのがよかった…と言っても、真相に近付いていくのは最後かその前くらいで、最初のいくつかの依頼は(特に喫茶店はどこに関わっていたのかよく分からない)本の趣旨に沿うようにこじつけているように思う。それでも岡島二人の発想が面白く、一気に読んでしまった。
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岡島二人はうまい作家だ。
ミステリーを読み始めた時に立て続けに作品を読んだが、どれもよく練られていて堪能した記憶がある。
未読の本作も期待に違わず面白かった。奇妙な依頼を続ける女。異なる興信所がそれを追う。そして最後にどんでん返し。プロットが素晴らしく、小気味良い。
今は井上夢人しかいないが、まだ未読の彼等の作品を読んでみよう。
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正統派ミステリー。
無理な推理がなく、マニアックな知識が必要ではあるが、暗号もあり、そして何より構成が面白い。
トリックに驚くことはあるが、犯人に驚いたのは久しぶり。
まさか吉池、寺西、宇野、三人とも囮だとは思わなかった。
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構成に惹かれて手に取った初見の作家さん。
それぞれ別の探偵事務所に持ち込まれた依頼。それらは一見なんの繋がりもなさそうだけど、回を追うごとに場所や人物がリンクしてくるのがわかる。
四半世紀前の作品だから色々と時代を感じるところはあるけど、依頼人の目的や、隠された事件が少しずつ明らかになっていく様は結構リアルに感じた。中でも暗号解読編では丁寧に図で解説もしてくれて、その道の素人でもわくわくしながら読み進められたので1番のお気に入り。
こういう連作短編は初めてで、思わず一気読みしてしまった。最後だけちょっと雑感はあったけど、それでも充分面白かった!
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最初はバラバラだった話が最後には繋がるが、読み終わったあともう一度頭から読みたくなった。結論は思った以上に複雑だった。話は探偵の視点から書かれているが、依頼者の視点から読み返して見るとまた違って見える。
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「5W1H」の“探しもの”を、それぞれ6つの探偵事務所に依頼をした女・平林貴子。不可思議な依頼はやがてある一つの真実を浮き彫りにしていく。
貴子からポンと投げられた難題は手がかりすら与えられず、探偵たちは八方塞がりからスタートします。しかし探偵のプロたちは限られた情報と知恵を働かせ、少しずつ“調査結果”に迫ります。6つの探偵編はどれも秀逸で、読み進めていくたびに連作小説のように話が繋がり、徐々に全貌が明らかになる過程はわくわくします。いよいよ解決編は…!というと個人的には不完全燃焼。饒舌すぎたかな…。
そこを差し引いても全体として面白かったので満足です。
Posted by ブクログ
構成、アイデアの妙にあらすじだけでとてもワクワクする
その出落ちに終わらず、中身の方もしっかり驚きとワクワク感が用意されていて一人の探偵パートが終わるごとにどんどん先が気になった
解決編よりも謎が散りばめられていく過程が何より楽しい作品かも
Posted by ブクログ
サブタイトル「5W1H殺人事件」と、講談社文庫ということで、80年代の赤川次郎か夏樹静子かという先入観で読み始めたものの、面白い。
まずカメラを調査している探偵が持ち主のもとに向かうと死体が見つかる。その次は突然、別の探偵が喫茶店探しということで、短篇集かと思っていたところ、実は謎の依頼者が同一で…という、なかなか斬新な展開。しかも各章で、有る1点について徹底的に調べる。例えばカメラの修理履歴だったり喫茶店の電話帳、果てはコンピュータープログラムのバイナリコードまで。なかなか最近の作家には出来る技じゃない。
全体を通して、ほとんど姿を表さない共通の依頼者を軸に、視点を章ごとに切り替えるというテクニックに溺れること無く、読者を引っ張っていく文章力や、それぞれの登場人物の魅力的な性格など、非常によく出来た推理小説だ。1980年代はこのレベルの推理小説がよく有った。
ダメ出し。1988~9年頃に書かれたようだけど、その頃は2バイトの文字も普通に有ったし、そもそもフロッピーディスクが当たり前であって、若干そこらは古い。
また、最後のオチがうーん、という内容なので、オチに対して星一つ減点。
Posted by ブクログ
ある女性がひとつの章ごとに別々の興信所に訪れ、奇妙な依頼をする。それぞれの探偵が依頼を調査し解決していくと最終的には点と点が繋がり壮大な事件へと着地していく。全く繋がりが無さそうな謎うまく結びつけていく技巧はお見事だし、まさかの犯人に驚愕する。一気読みで面白い小説でした。
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謎の女性が各章ごとに別の探偵事務所に不思議な依頼を持ち込んでお話が進みます。別々のことのようですが最後にしっかりとつながってきます。5W1 H に沿って1章ずつに解き明かされることが1つずつ、という物語の運びなのでちょっと淡々としていて中盤眠くなっちゃいました笑
この形式の面白さは◎
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5W1Hに沿って話が進む。どこへ進んでいくのかさっぱり分からないまま、予想外の結末にびっくり。女がいつ、どこで、に纏わる依頼を異なる探偵事務所に持ち込みそれを調べる探偵達、という構図が面白い。最終探偵オールスターで謎解きすると思ったけど外れた(笑)
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犯人を刑事にあえてしなくても良かったんじゃないかと思う。意外性を狙ったのかもしれないけど、今は警察関係者が犯人ってパターンが多すぎるから、またかーと思ってしまうんだよな。
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30年近く前のミステリだけに、舞台設定はだいぶ昔感があるなぁ(公衆電話がすごく時代感)。
WHEREとHOWの話がすごく面白かった!途中までは全く「平林貴子」の目的がわからなかったので、すごくワクワクできた。
Posted by ブクログ
いくつも探偵社に、不可解な依頼を続ける1人の女性。
その裏にある1つの事件。
どこで何がどうつながるのか、見当もつかないまま読み進める。
探偵社の人達もユニークで面白い。
その都度登場の刑事副島の一匹狼な感じや、全体に昭和な雰囲気が漂うのもいい。
それにしても、事件の真相にはびっくり。
これはすごいわ。
あんな真相、気付くなんて無理無理!
Posted by ブクログ
2016年33冊目。
構成も凝っていて(当時ならもっと画期的だっただろう)途中まではわくわくしながら一気に読んでいたのにオチでガックリ。
ところどころ時代を感じさせる描写があって、それがむしろ新鮮だった。
まーオチ前までは面白かったから、総合評価としてはまあまあかな。
2022年8月再読。
確かにオチまでは面白かったw
違う事件を扱っているように見せて最後でキレイに回収っていう点でよく出来てるなーと思う。
Posted by ブクログ
次々と興信所を訪れて、奇妙な依頼をする謎の女。それぞれ関係のない興信所の人間たちは、それが気になりはするものの、女にすり抜けられてしまう。
読者に明かされる調査報告から一つの事件が浮かび上がってくるが…というのが物語のあらすじです。
裏表紙にある「メドレー・ミステリー」という言葉から窺い知れるように、各章が一つの事件に絡みつつも短編として機能しているので、常に緊張感を持って読むことができます。そういう意味では、普段あまり小説を読まない方にもお薦めです。
私は、今回このタイトルに興味を覚えて読み始めました。
”5W1H殺人事件 解決まではあと6人”。
各章に付けられているタイトルがそれぞれ、”WHO?”、”WHERE?”、”WHY?”、”HOW?”、”WHEN?”、”WHAT?”となっているのですが、その名前が示す通り、その章でのテーマがそのままタイトルとなっているわけです。
それぞれの関係のなさそうな謎がひとつずつ明らかになって、大きな謎が解ける、という趣向。面白そうではないですか。
実際面白いです。
各章での謎解きも極端にパズルということもなく、興信所の調査ということで、事実関係から予測していく思考の積み重ねには緊張感がありますし、登場人物たちも生き生きとしています。また、短編集ということもありますけど、物語のテンポも良いので読みやすい。
ただ、個人的には結末について少々物足りない感がありました。
観念した犯人の告白が長い、というのは好き嫌いあるのでしょうけど、ミステリ特有の”謎が解けて一度に扉が開く”ような感覚はありませんでした。何となく扉が少しずつ開いて行くような感じ…でしょうか。犯人の行動にしても…確かにこういうこともあるでしょうけど、もう少し工夫できたんじゃないかなあ…と考えてしまうのです。
ですので、本作品は結末を楽しむというより、その過程を楽しむものかなと思います。作品自体のアイデアも面白いですし、ミステリ初心者の方は読んでみるといいかも。
Posted by ブクログ
あらすじを読むと「面白そう!」と思うミステリがある。プロットが面白そうな小説と言うべきかもしれない。「5W1H殺人事件 解決まではあと6人」は、まさにそんな小説である。
本作品のあらすじは次のような感じである。
次々といろいろな興信所を訪れては、およそ事件とは思われない奇妙な依頼をしていく謎の女・平林貴子。最初に訪れたAという興信所への依頼は、「カメラの持ち主を捜してほしい」というもの。二つ目に訪れた興信所への依頼は、「マッチについての手掛かりから喫茶店を捜してほしい」というもの。全部で5つの短編があり、いずれもこのようなたわいもない依頼がされる。
それらの話が終章で収束し、真相が明らかになる。
物語の大筋として、殺人事件と現金強奪事件が存在する。殺人事件の方は、寺西憲章という男を殺害した事件であり、吉池礼司という男が指名手配をされる。この殺人事件と現金強奪事件が話の中でリンクを始め、どうも、吉池礼司と寺西憲章は現金強奪事件の犯人ではないかという疑惑が生じてくる。
謎の女、平林貴子の正体は、吉池礼司に騙されていた女性であり、警察に疑わせるためのオトリであった。しかし、実際には吉池と寺西もオトリであり、黒幕となっているのは二つの事件を捜査していた副島刑事だというオチ。
読んでいるときは、「どうなるんだ!?」とわくわくしながら読み進んだが、真相はそこまでのものではなかった。漫画家の浦沢直樹もそうなのだが、岡嶋二人は、最後まで読み終わった後よりも、読んでいるときの方が圧倒的に楽しい作家である。漫画家の週刊連載なんかだったら、「読んでいるときが楽しい」というのは、一般的な評価を高めてくれそう。しかし、一気に読めてしまう文庫本なんかだと、読後に満足感が少ないので、あまり一般受けしないような気がする。岡嶋二人が玄人受けするが、あまり売れなかった原因はこういうところにあるのかもしれない。
小説としてよくできていると思うのだけど、ミステリとして人を驚かすという点では、もうひと工夫できそうな気もする。評価としては…★3で。
Posted by ブクログ
北千住の本屋さんで押していたので、読みました。
1編づつハウダーニット、フーダニットなどなど
趣向を凝らした中編が描かれ、最後に全体像が現れます。
さすがに描写が古い箇所が多いのですが、力作!です。
Posted by ブクログ
6年ぶりの岡嶋二人!岡嶋二人にハマって結構コンスタントに本読むようになったんだよね。
ブックファーストでオススメされてて久しぶりに読んだけど、やっぱりいい♡
ちょっと登場人物多くてついてくの大変だったけどおもしろかった。時間あるときにじっくり読み返してみよっと
Posted by ブクログ
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次々と興信所を訪れては、およそ事件とは思われない奇妙な依頼をしていく謎の女・平林貴子。いったい、彼女の本当の目的は何なのか? やがて、それぞれの調査報告が、ひとつの輪のように繋がって隠された大事件の全容が明らかになっていく。斬新なスタイルで、読者に挑戦する華麗なるメドレー・ミステリー。 ――文庫裏表紙より
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サブタイトルは5W1H殺人事件。
WHO?――カメラの持ち主を探してほしい。
WHERE?――Vではじまる単語二つが書かれた緑色のマッチの喫茶店を探してほしい。
WHY?――車の後部シートがはずされた理由を調べてほしい。
HOW?――テープに録音された雑音としか思えない音の中に隠されたものを解読してほしい。
WHEN?――宇野茂男を岡本の空き地へ呼び出して「吉池礼司はいつ戻るのか」と訊いてほしい。
WHAT?――謎解き。
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平林貴子と名乗る謎の女の依頼にまず興味を惹かれる。一見大したことのない事柄のようなこともあるのに、連絡先も依頼の理由も何も明かさないのである。彼女は最終的に何を知りたいのだろう、と勘繰りたくなるのである。しかも、何軒もの興信所にばらばらに違う依頼をするわけも不明なまま物語は進むのである。一軒の興信所が調べ上げた事柄だけでは事件の真相に近づくことはできず、ばらばらに暴かれた真実を繋ぎ合せる手や目や頭がなければ 何も形にならないのである。それは刑事の役目である。だが・・・・・。
思ってもいなかった結末に、気が滅入る。