三浦綾子のレビュー一覧
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ネタバレ小林セキという小林多喜二の母の話。義理の兄の借金などで、ひどい貧乏に暮らしてきたが、そんな義兄もパン屋で当たって、小樽で夫婦で手伝うことになった。パン屋には、人夫たちも多くやってきて、苦労話や身の上話を手拭いで涙を拭き拭き語っていく。そんな人の話を聞いてあげることはとても良いことなんだと感じたものだという。
多喜二は拷問の末に命を落とすが、本書が一定の明るさというか、ほのぼのしさが漂っているのは、小林一家が非常に明るい、貧乏だけど底なしに明るい一家だったからだろう。
貧乏で暮らしが苦しい描写がおおいものの、親と子と兄弟と親戚と、その夫婦と、お互いに気持ちの通いあった者同士がいたのが救いだった。 -
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ネタバレ小林セキという小林多喜二の母の話。義理の兄の借金などで、ひどい貧乏に暮らしてきたが、そんな義兄もパン屋で当たって、小樽で夫婦で手伝うことになった。パン屋には、人夫たちも多くやってきて、苦労話や身の上話を手拭いで涙を拭き拭き語っていく。そんな人の話を聞いてあげることはとても良いことなんだと感じたものだという。
多喜二は拷問の末に命を落とすが、本書が一定の明るさというか、ほのぼのしさが漂っているのは、小林一家が非常に明るい、貧乏だけど底なしに明るい一家だったからだろう。
貧乏で暮らしが苦しい描写がおおいものの、親と子と兄弟と親戚と、その夫婦と、お互いに気持ちの通いあった者同士がいたのが救いだった。 -
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ネタバレ後年の千利休の妻となった おりき は、キリシタンになったが、千利休は、その教えを一部見た目はするものの、信者にはならなかった。ただ、茶道を極めるために、その考えや作法を取り入れたりした。
千利休は、茶道に一途だったが、秀吉の力には屈することも多かった。黄金の茶室を作らざるを得なかったりしたことに、自分が情けなく思うことが多かった。そんなことがつもり、世間の評判も気にしていたが、最終的には、秀吉に屈するのはいけないと思い、命乞いすることなく、甘んじて切腹を受け入れたかんじである。
随所にキリストの教えは出てくるが、深くはなく、また、歴史小説としても中途半端を感じた。
全2巻 -
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ネタバレ前編、続編含めて、苦難の意味は何かというのがテーマだ。
十勝岳爆発後の泥流地帯で生きていく家族の話。心で物事を考える長男拓一と、頭で考える耕作が様々な苦難に見舞われながら、何が正しい選択なのか考えていく。
耕作の言うことはもっともだ。でも、拓一の言うことには心を動かされる。
泥流にのまれた土地の復興に向けて汗を流す拓一だが、みなはその努力を笑い、無駄なものだと嘲った。ただ、拓一は思うのだ。もし、この努力が報われなくてもそれはそれでいい。自分の生涯に何の報いもない難儀な時間を待つのも、これは大した宝になるかもしれない、と。実りのある苦労なら誰でもする。しかし、全く何の見返りもないと知って、苦労の -
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ネタバレ愛するとは何度も何度も許し続けることである。
人生とは選択である。
小説を通してそれを伝える。
他の人に対しては忍耐深く寛大であれ。あなたも他人が耐え忍ばねばならぬようなものを事実において多く持っているからである、とイミタチオ・クリスチに書いてある。誰も自分の姿には気付かない。人を理解するためには自分自身を先ず正しく理解しなければならない。自分を知ることが人を愛するはじめだ。
そして、最後の章で言う。人間はまことに過失を犯さなければ生きてゆけない存在である故に、われわれは、ただ神と人とにゆるして頂かなければ生きてゆけない者なのであります。