三浦綾子のレビュー一覧

  • 三浦綾子 電子全集 夕あり朝あり

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    全くありがたいもんですなあ。一心に働きさえすれば、認めてもらえる。世の中というものは、そうそうこちらの努力に応えてくれるものとは限らないものです。こちらの真心に感じてくれるものとは限らないものです。しかし、時にそういう人に巡り合うことがある。私はどちらかというと、いい人に巡り合うことが多かった。この酒屋の主人もその一人でした。

    「人間は、キリストなしでは、神の前に出ることができない。それは例えば、二階に上るためには、どうしても梯子が要るのと同じことです。この梯子がキリストですな。だから、キリスト倍者が祈る時には、『キリストの御名によって祈ります』と言うのです」 この話にも、私はなるほどと思った。人間の私共には、神に直接お話のできる資格のある者は誰もいない。祈ることのできる者は一人もいない。キリストを仲立にしてやっとお目通しが叶う。そこで初めて神に祈ることができる。それは、名刺に紹介状を書いてもらっていけば会ってもらえるのと同様だと言うのです。

    そんなこんなの幾日かが過ぎて、ある朝宿の主人が亡くなってしまわれた。今正に死なんばかりの病人ではあったが、死なれた姿を見た私は、かつてないほどの衝撃を受けました。
    この主人が亡くなる朝、中島氏が呼ばれて、枕もとで祈りを捧げられた。中島氏の祈りの内容は、次のようなものでありました。
    「在天の父なる御織、この日まで今井兄を守り、導いてくださったことを感謝いたします。
    どうか今井兄が今までに犯した罪をおゆるしください。どうか、今井兄がすべてのことを感謝して、この宿のことも、妻君のことも、すべてを神に委ねて、安心して神の御手に想うことができますよう、力をお与えください。もし今井兄の胸の中にいゆるし難き人がいるならば、ゆるし得るよう寛容な心をお与えください。妻君の上にも、親戚ご一同の上にも、豊かな御慰めがありますように、イエス・キリストの御名によって祈り上げます」
    こう祈りますとな、宿の主人が、「ありがとう。ありがとう。感謝です。凱旋です」
    と言われましたな。私は、人間が死の直前にこんな言葉を出そうとは、夢にも思いませんでした。結核という病気は、死の直前まで、あのように意識がはっきりしているのですな。
    そのはっきりした意識の中で、自分の死を凱旋だと、宿の主人は言ったのです。
    私は感のあまり、声を上げて泣きました。軍夫ながら戦地から凱旋した私です。将兵の凱旋の様を見てきた私です。こんな小さな宿を残しただけの一生と、人は思うかも知れませんが、しかしこれこそが本当の凱旋だと、私は心打たれました。社会的にどれほど地位が高く、うなるほどの財産を築いたとしても、絶望の中に死んでいくのが、大方の死というものではないでしょうか。
    病気が病気なので、葬式に集まる人はほんの僅かでしたが、私はすばらしい葬式であったと、これまた感動しました。そして私は、何とかして洗礼を受けたいものと、切実に願うようになったのです。

    「あんこ(若者)、お前働くところを探してるのか」
    辺りを憚るような態度に、私は怪訝な思いになりましたが、まさかまた監獄部屋の周旋人でもあるまいと、気を引きしめて、「はい、探しております」と答えると、「そうか。じゃあ洗濯屋の水汲ができるか」とのこと。私は飛びつくように、「やれます。やらしてください」と、頼んだ。これが私と、クリーニング業との初めての出会いとなったわけです。のちに私は、クリーニング会社白洋舎を起こしたわけですが、神はその時既に、この道の備えをしておいてくださったのですな。むろんその時は、神のそんな深い御計らいなど知る由もありません。一時の仕事が見つかったということ、その夜の食事にありつけるということで、もう大喜びでした。
    明治の頃の洗濯業というのは、残念ながら世間から高く評価をされていなかった。業者もまた洗濯業というものが、国家社会の被服経済と、どれほど重要な関わりがあるかを自覚していなかった。川柳にも、「洗濯屋近所の垢で飯を食い」などと詠まれていたほどでした。しかし私は、とにかく働く場ができたということで、喜んで男の後について、函館市蓬莱町の加藤という洗濯屋に行った。

    当時の函館の洗濯店の上等の得意先は外国船でしたな。船が港を入る時、汽笛を鳴らして入ってくる。あの「ボーッ」という音が何とも言えず胸に沁みましたなあ。汽笛が鳴ると、すぐに屋根の物見台に上って行って、入港を確める。大きな鞄を肩にかける。波止場に駆けつける。孵舟に乗り移る。と、まことに目まぐるしい働きようでした。さて本船に舟が横づけになると、下って来たタラップをましらのように駆け上り、船に乗り移る。乗り移るや香や、駆け足で船室のドアをノックし、洗濯物を集めて廻る。
    何しろ同業者が多いわけですから、素早く立ち廻らねば仕事を取りそこねる。幸い私はこの機敏さだけは優れておりましたから、ずいぶんとたくさん仕事を取ったものでした。そうそう、気をつけていても、急いで廻るものですから、受取ったズボンのポケットや、服のポケットに、紙幣だの、シャープペンシルだの、時計だのが入っていることがありましてな。
    そんな時には、必ずきちんと返したものです。当り前のことをしたまでですが、当時の洗濯屋業界では大変珍しいこととされ、信用もついたのでした。

    ところで、私の仕事というのが、実に思いもかけない仕事でした。私の毎日の仕事は、大きな箱を二つ積んだ大八車を曳いて・・・・・・どこへ通ったとお思いです?何と宮内省だったのです。私は驚きましたなあ。十カ月程前には、北海道のタコ部屋に、脅され、しごかれて土方仕事をしていたこの私が、毎日大手門から宮内省に通うのです。生涯、中をうかがうことさえできぬと思っていた皇居に、毎日通うこととなったわけです。

    この私に広瀬太次郎氏が目をかけてくれた。はあ、この広瀬太次郎氏は三井呉服店…今の三越の前身ですな…の店員でした。商人だまりの中でもひときわ目立つ人でしたな。店員と言っても、今で言えば係長クラスでしょうか、時折私に本など貸してくれました。

    「健ちゃん、お前、岡野の養子になる気はないかい」と言われたのです。私は、「冗談言いっこなしだよ。ぼくは五十嵐家の跡取りだしね」と、聞き流していたのです。が、主人はまじめな顔で言いました。
    「近頃、お前のようなまじめな若者を見たことがない。夜の夜中まで、むずかしい勉強をしているということだが、うちの養子になってくれんかね」これが私の生まれて初めての縁談でした。ありがたい話でしたなあ。
    まあ人生、いろいろなことが絡み合って、次第々々に自分の歩むべき道に歩んでいくものなのですな。もし、この養子の話がなければ、私はそのまま、少なくとも何年間かは、岡野洗濯店に勤めたにちがいありません。何しろ、毎日宮内省の商人だまりで、二時間も三時間も勉強することができる。これは大変得難い特権でした。

    「では三井呉服店に勤める気はないかね。夜学に行く時間はなくとも、夜勉強する時間ぐらいはあるかも知れないから」と言ってくれた。私は喜びましてね、早速岡野の主人に申し出て、三井呉服店に入社することになった。明治三十一年(一八九八)五月十四日付の三井呉服店の辞令を、今も持っております。社長は三井源右衛門と言われましたな。食事付で日給十八銭でしたから、岡野洗濯店より、月一円近く高かったわけです。はあ、二十二歳になっておりました。
    神のお計らいは不思議なものですな。岡野をやめて、宮内省商人だまりでの、あの三時間の勉強時間を失ったと、はなはだ惜しく思っていましたが、何と三井呉服店に入社した私は、広瀬氏の配下となって、またまた大手門から宮内省に出入する身となったのです。
    よろしいですか、当時東京にどれほど商店があったかわかりませんが、宮内省に出入を許された商人は、極く限られた数だったと思います。それらの商店に、どれほどの店員がいたかわかりませんが、店主に命ぜられて皇居のご用にうかがうことのできた店員も、そう多くはなかった筈です。
    にもかかわらず、どうしたわけか、北海道から舞い戻った、言わばどこの馬の骨とも知れぬ私が、岡野洗濯店に勤めるや否や、宮内省係に廻された。そして、養子にその係を奪われた筈の私が、三井呉服店に勤めると、またもや宮内省係となった。こんなに、二度までも大手門から出入を許された店員は、先ずなかったかも知れませんな。お陰で私は、三井呉服店に勤めていたおおよそ十年、毎日三時間ずつ、商人だまりで勉強する時間を与えられたのです。

    ところで、宮内省では、呉服物及び洋品の一切を随時三井呉服店にご用命くださった。反物や布地の他に、テーブルクロス、どんすの壁掛、カーテン、紫ちりめんの幕なども、お納めするのだが寸法を取らねばならない。その度に私は、鳳凰の間、豊明殿、千種の間、御学問所などなどにも参上したものです。ま、放浪時代の生活を思うと、まことに畏れ多いことでしたな。
    それはともかく、その時はまさかこの自分に、何十年かのちには、藍総製章をいただき、受章者を代表してお礼を言上する日が来ようなどとは、夢想だにいたしませんでした。むろん、私の入社を世話してくださった広瀬氏にも、これは想像のできぬことだったでしょう。
    怒り狂った手紙を私に書き送った実父が、もしその日まで生きていたとしたら、何と言ったことでしょうなあ。

    そうそう、自転車と言えば、自動車も私は非常に早くに乗った。日本に初めて自動車が入ったのは明治三十五年でしたな。はあ、これはアメリカ大使館の自動車でしてな、日本人が使った第一号は、その翌年の三十六年、東京府庁の公用でした。第二番目が三井呉服店で購入いたしました。幸いにも、これに私が乗せてもらったわけですが、それは宮内省係であったためです。

    実父の船崎資郎は、会ってくれるかどうかはわからぬが、万一会ってくれるとしても、手ひどく叱られることは覚悟せねばなるまいと、ぬいを従えてプラットホームに下り立った。
    その途端、大声で、
    「健治!」
    と呼ぶ声がした。驚いて声のするほうを見て仰天した。何と実父の船崎資郎が、私を目がけて走り寄って来るのです。私は驚きのあまり、持っていた土産物を取り落した。
    「健治!よく帰った!よく帰った!」
    父は私の両肩に手を置いて、ゆさぶりながら声を詰まらせた。
    「お父っつあん!」
    私もそう呼ぶのが精一杯でした。あの一瞬を、私は永遠に忘れることができません。父は近日中に私が帰ると手紙で知って、毎日のように駅まで迎えに出てくれていたというのです。
    父はそういう人だったのです。激しい愛憎の持主だったのです。
    ぬいを紹介すると、父はじっとぬいを見つめてから言いました。
    「うん、立派な嫁さんだ。お前のように気忙しくなくて、よくできた嫁さんだ。大事にするんだぞ」
    と、こう申してくれましてな。私はその言葉に、二人の妻に別れた父の深い難きを見たような気がしたものです。
    「ふるさとは遠きにありて思うもの」と、生犀星は詩いましたが、ふるさとは訪ねて行くところでもありますな。

    今有名になった三浦綾子を訪ねる人、訪ねたい人は、うんざりするほどいる。しかし貧しく、無名の、しかも日本の北の果てに近い旭川に、病いをやしなう堀田綾子を海を渡ってはるばるたずねる見舞客はいなかった。そこへ五十嵐健治が湘南の茅ヶ崎からしばしばたずねて行ったのである。健治は東京証券市場一部上場企業・白洋舎相談役の身でありながら、しかもはじめは堀田綾子から面会を謝絶されながら、辞を低くして尋ねていった。そして彼女のベッドの傍らで、くりかえしキリストの愛を聖書を開いて語るとともに、自分の子供のころからの放浪ばなしゃ、この北海道の小様でキリストを肩じるに至った波乱に満ちた物語りを枕もとで語り聞かせた。三浦子が本書執筆のペンをにぎる時、父親が子供に寝物語りに話してくれた昔ばなしを思い出すように、健治の声がよみがえったはずだ。本書はそれゆえか、珍しく主人公の一人語りで物語りがすすんでゆく。
    だれが想像しえたであろう。貧しく、無名の、この病める娘が、のち日本を代表する著名な女流作家となって、自分をはるばる見舞ってくれたその人物の伝記小説を三十年後に書こうとは。人と人との出会いの不思議さ、大切さをつくづく思う。

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    2026年07月23日
  • 果て遠き丘

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    ネタバレ

    香也子のように自分勝手だと孤立しますよという単なるオオカミ少年的物語だけではないように思います。
    キリスト者としては彼女以外もそれぞれが自分勝手であってそしてまた自分も同じ人間であるから同様の罪をおかしていると考えさせられる物語ではないでしょうか。書かれてはいませんが三浦綾子先生ならきっと香也子は教会に導かれて改心したことでしょう。

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    2026年05月13日
  • 三浦綾子 電子全集 果て遠き丘

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    ネタバレ

    香也子のように自分勝手だと孤立しますよという単なるオオカミ少年的物語だけではないように思います。
    キリスト者としては彼女以外もそれぞれが自分勝手であってそしてまた自分も同じ人間であるから同様の罪をおかしていると考えさせられる物語ではないでしょうか。書かれてはいませんが三浦綾子先生ならきっと香也子は教会に導かれて改心したことでしょう。

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    2026年05月13日
  • 氷点(下)

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    ネタバレ

    2026.05.07


    上下巻ありボリュームのある作品ながら登場人物は数少ない。
    その人物たちの織りなす憎悪や嫉妬などの黒い感情たちが絶妙に絡みあい、陽子を追い詰めていく。

    どんな状況でも自分を見失わない陽子の底なしの強さが眩しく、たとえ他人から意地悪をされても自分は絶対にそれに屈しない、やり返さないところがかっこよかった。この作品の中で唯一まともと言える。

    それぞれがそれぞれに対して色々な感情を持ち合わせて長々と続くので疾走感がなく、少し途中飽きてしまった。
    ドイツ語は得意なので時々出てくる医療用語には親しみが持てたのはよかったかも。笑

    陽子以外、誰にも感情移入できず、私には難しいテーマだった。夏枝が1番人間の醜さの権化のようで見ていて痛々しいが、これが人間なんだよなとも思わせるキャラ。

    続編も気になるが、陽子がその他全員を見返して最高にハッピーになるなら読みたい。

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    2026年05月07日
  • 三浦綾子 電子全集 氷点(下)

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    ネタバレ

    2026.05.07


    上下巻ありボリュームのある作品ながら登場人物は数少ない。
    その人物たちの織りなす憎悪や嫉妬などの黒い感情たちが絶妙に絡みあい、陽子を追い詰めていく。

    どんな状況でも自分を見失わない陽子の底なしの強さが眩しく、たとえ他人から意地悪をされても自分は絶対にそれに屈しない、やり返さないところがかっこよかった。この作品の中で唯一まともと言える。

    それぞれがそれぞれに対して色々な感情を持ち合わせて長々と続くので疾走感がなく、少し途中飽きてしまった。
    ドイツ語は得意なので時々出てくる医療用語には親しみが持てたのはよかったかも。笑

    陽子以外、誰にも感情移入できず、私には難しいテーマだった。夏枝が1番人間の醜さの権化のようで見ていて痛々しいが、これが人間なんだよなとも思わせるキャラ。

    続編も気になるが、陽子がその他全員を見返して最高にハッピーになるなら読みたい。

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    2026年05月07日
  • 三浦綾子 電子全集 愛すること信ずること

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    1972年のエッセイ。宗教観は置いておくとして、夫婦の意味などは、この年代にしては少数派の感覚だったのではないだろうか。愛の定義は難しい。しかしこれは、ヒトの営みが続く限り存在する普遍的なものなのだと再認識させられる。
    人は、あまりにも早く死ぬ。あまりにも突然に。身につまされる。パートナーに限らず、大切なひとたちと丁寧に付き合いたい。

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    2026年04月28日
  • 三浦綾子 電子全集 母

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     小林多喜二の母・セキの生涯を描いた作品。
     著者の作品なので、キリスト教精神の感が強いが、本作ではそれが出てくるのは最終章。全体はセキの独白といった感じで進んでいく。秋田弁なので、慣れていないと多少読みにくいが、内容が内容なだけに興味深く読める。

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    2026年04月12日
  • 母

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     小林多喜二の母・セキの生涯を描いた作品。
     著者の作品なので、キリスト教精神の感が強いが、本作ではそれが出てくるのは最終章。全体はセキの独白といった感じで進んでいく。秋田弁なので、慣れていないと多少読みにくいが、内容が内容なだけに興味深く読める。

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    2026年04月12日
  • 三浦綾子 電子全集 続 氷点(下)

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    誰もが陽子や順子の他人を許す心があればもっと世界は生きやすいんだろうなと感じた。
    啓造の夏枝に対しての許さない気持ちや夏枝に対してだけ厳しい目で見ているのはこの本の中でいう様々な愛の形のどれかに入るのだろうか。


    解説が素晴らしかったです。

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    2026年04月12日
  • 続 氷点(下)

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    誰もが陽子や順子の他人を許す心があればもっと世界は生きやすいんだろうなと感じた。
    啓造の夏枝に対しての許さない気持ちや夏枝に対してだけ厳しい目で見ているのはこの本の中でいう様々な愛の形のどれかに入るのだろうか。


    解説が素晴らしかったです。

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    2026年04月12日
  • 三浦綾子 電子全集 青い棘

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    男と女にフォーカスしたストーリー。最後、命や人間とはといったものにも触れるが、大半が男女、夫婦仲のことだった。

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    2026年04月03日
  • 氷点(下)

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    上下2巻。人間の嫉妬を描いた小説。小学校の時から知っていた小説で、ようやく読んだ。記憶に残る小説だが、ちょっと残酷でもある。

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    2026年03月29日
  • 三浦綾子 電子全集 氷点(下)

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    上下2巻。人間の嫉妬を描いた小説。小学校の時から知っていた小説で、ようやく読んだ。記憶に残る小説だが、ちょっと残酷でもある。

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    2026年03月29日
  • 氷点(上)

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    ネタバレ

    昭和に発売された本だけあって、時代背景や言い回しが古いが、内容はスッと読める。医師で院長の辻口の嫁である夏枝が、夫の勤める病院の眼科医である村井に自宅で言い寄られる。夏枝も多少の好意があったため、村井ともう少し一緒にいたいと思い、帰宅したら3歳の娘ルリ子を蔑ろにする。ルリ子は遊んでもらえずに外に出るが、その最中に殺害された。

    夫はその事実を知り、村井と夏枝に憤怒する。その後犯人が捕まり、夏枝は病に伏せる。病状が治った後、ルリ子の代わりとなる女の赤ん坊が欲しいと夫に頼む。夫は、村井と夏枝が会っていたことでルリ子が亡くなったことを恨んでおり、夏枝に秘密でルリ子を殺した犯人の娘を養女として引き取る。

    陽子と名付けられた養女は、7歳までは夏枝に大切に育てられるが、ふとしたきっかけで夏枝は陽子がルリ子殺害の犯人である事を知る。夏枝は陽子を咄嗟に殺害しようとしたが、未遂に終わる。陽子はその事を公言はしなかった。その後も一緒に暮らしてはいるが、次第に夏枝は陽子に冷たくなる。そんな様子を、ルリ子の兄にあたる徹は不憫に思いながら、陽子を可愛がる。

    そして、結核の治療のため遠方で療養していた村井が、再び病院に帰ってくることになる。夏枝は肌の手入れをし、新調した服を身に纏って心待ちにするが、帰ってきた村井は、ふくよかな身体になり見窄らしかった。夏枝はそのことにひどく落胆する。

    そして上巻の最後には、夫の辻口が学会に出るために乗船した船が台風で転覆し、乗っていた人の生存は絶望的だというニュースが夏枝の耳に入る。しかし、多くの人が亡くなった中で、辻口は奇跡的に生存を果たす。治療を終えて、その日帰る事を夏枝には知らせぬまま、辻口が自宅に向かうシーンで物語は終わる。

    所感としては、夏枝のあまりにも身勝手な振る舞いに、なぜこれほど多くの人は巻き込まれて、それでも夏枝からの愛を求めるのだろうと腹立たしい気持ちになる。夏枝は誰もが振り返るほどの美人で、醜いものを嫌い、美しいものを好む。欲しいものを手に入れるために、周りにある大切な人を蔑ろにする。そんな人間臭い人物であるが、いかんせん周囲の人が善人であるため、この人物への違和感が募った。

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    2026年03月23日
  • 三浦綾子 電子全集 氷点(上)

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    ネタバレ

    昭和に発売された本だけあって、時代背景や言い回しが古いが、内容はスッと読める。医師で院長の辻口の嫁である夏枝が、夫の勤める病院の眼科医である村井に自宅で言い寄られる。夏枝も多少の好意があったため、村井ともう少し一緒にいたいと思い、帰宅したら3歳の娘ルリ子を蔑ろにする。ルリ子は遊んでもらえずに外に出るが、その最中に殺害された。

    夫はその事実を知り、村井と夏枝に憤怒する。その後犯人が捕まり、夏枝は病に伏せる。病状が治った後、ルリ子の代わりとなる女の赤ん坊が欲しいと夫に頼む。夫は、村井と夏枝が会っていたことでルリ子が亡くなったことを恨んでおり、夏枝に秘密でルリ子を殺した犯人の娘を養女として引き取る。

    陽子と名付けられた養女は、7歳までは夏枝に大切に育てられるが、ふとしたきっかけで夏枝は陽子がルリ子殺害の犯人である事を知る。夏枝は陽子を咄嗟に殺害しようとしたが、未遂に終わる。陽子はその事を公言はしなかった。その後も一緒に暮らしてはいるが、次第に夏枝は陽子に冷たくなる。そんな様子を、ルリ子の兄にあたる徹は不憫に思いながら、陽子を可愛がる。

    そして、結核の治療のため遠方で療養していた村井が、再び病院に帰ってくることになる。夏枝は肌の手入れをし、新調した服を身に纏って心待ちにするが、帰ってきた村井は、ふくよかな身体になり見窄らしかった。夏枝はそのことにひどく落胆する。

    そして上巻の最後には、夫の辻口が学会に出るために乗船した船が台風で転覆し、乗っていた人の生存は絶望的だというニュースが夏枝の耳に入る。しかし、多くの人が亡くなった中で、辻口は奇跡的に生存を果たす。治療を終えて、その日帰る事を夏枝には知らせぬまま、辻口が自宅に向かうシーンで物語は終わる。

    所感としては、夏枝のあまりにも身勝手な振る舞いに、なぜこれほど多くの人は巻き込まれて、それでも夏枝からの愛を求めるのだろうと腹立たしい気持ちになる。夏枝は誰もが振り返るほどの美人で、醜いものを嫌い、美しいものを好む。欲しいものを手に入れるために、周りにある大切な人を蔑ろにする。そんな人間臭い人物であるが、いかんせん周囲の人が善人であるため、この人物への違和感が募った。

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    2026年03月23日
  • 続 氷点(上)

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    ネタバレ

    昭和の小説なのに読みやすい。
    展開が気になり、すらすらページをめくりました。
    ところどころ、ドイツ語?のクランケとかシェーン、フラウって単語が出てきてあれ?なんだっけなどはありました。

    徹と北原の三角関係+順子
    下巻でどうなっていくのだろう。

    また、村井さん性格捻くれてんなぁってなりました。

    見届けたいです!

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    2026年03月15日
  • 三浦綾子 電子全集 続 氷点(上)

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    ネタバレ

    昭和の小説なのに読みやすい。
    展開が気になり、すらすらページをめくりました。
    ところどころ、ドイツ語?のクランケとかシェーン、フラウって単語が出てきてあれ?なんだっけなどはありました。

    徹と北原の三角関係+順子
    下巻でどうなっていくのだろう。

    また、村井さん性格捻くれてんなぁってなりました。

    見届けたいです!

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    2026年03月15日
  • 氷点(下)

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    ネタバレ

    最後の最後でちょっと分かった気がした。正しくまっとうに生き、誠実さを忘れず、嫌がらせをされても明るく笑い飛ばし、他人の心の汚い部分を垣間見ても信じず、徹頭徹尾善意の人であり続ける、そのような人が自分に拭いきれない罪が最初から課せられていたことに気づいたら、それにどう対応するであろうか、ということなのかもしれない。

    ただ、それだけがテーマなのだったら、話の前半部分ほとんど必要ないような気もする。そのくらいほぼすべての登場人物が意味のないことにこだわり続け、誰も気にしていないようなプライドを必死に守って、傷つける必要もない人を傷つけていた。どいつもこいつも大したことないのに、自分は大したことない人間って分かってない。いや一応それっぽいこと考えはするんだけど(キリスト教だのなんだのご大層に引き合いに出して)、考えるだけで全然改めていない。それは結局、自分のくだらなさをちゃんと引き受けられていないということだと思う。

    生まれてすぐ実親から引き離され、経済的には豊かであるがお世辞にも温かいと言えない陰湿な性格の夫婦によって育てられた陽子があんなに屈託なく素直な良い子に育つというのもかなりファンタジーだと思う。

    続編は読まないな。

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    2026年03月09日
  • 三浦綾子 電子全集 氷点(下)

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    ネタバレ

    最後の最後でちょっと分かった気がした。正しくまっとうに生き、誠実さを忘れず、嫌がらせをされても明るく笑い飛ばし、他人の心の汚い部分を垣間見ても信じず、徹頭徹尾善意の人であり続ける、そのような人が自分に拭いきれない罪が最初から課せられていたことに気づいたら、それにどう対応するであろうか、ということなのかもしれない。

    ただ、それだけがテーマなのだったら、話の前半部分ほとんど必要ないような気もする。そのくらいほぼすべての登場人物が意味のないことにこだわり続け、誰も気にしていないようなプライドを必死に守って、傷つける必要もない人を傷つけていた。どいつもこいつも大したことないのに、自分は大したことない人間って分かってない。いや一応それっぽいこと考えはするんだけど(キリスト教だのなんだのご大層に引き合いに出して)、考えるだけで全然改めていない。それは結局、自分のくだらなさをちゃんと引き受けられていないということだと思う。

    生まれてすぐ実親から引き離され、経済的には豊かであるがお世辞にも温かいと言えない陰湿な性格の夫婦によって育てられた陽子があんなに屈託なく素直な良い子に育つというのもかなりファンタジーだと思う。

    続編は読まないな。

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    2026年03月09日
  • 三浦綾子 電子全集 泥流地帯

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    あらすじでは災害をフィーチャーしているが、実はそれが起こるのは終盤も終盤で、それまではひたすら北海道の開墾者のつつましく厳しい生活を描いている。そのため、かろうじて積み上げてきた生活の基盤がすべて呑み込まれてしまう虚しさ、悔しさ、無力感を、読者も幾許なりとも我がことのように感じられる。

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    2026年03月08日