三浦綾子のレビュー一覧
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ネタバレ大正〜昭和初期にわたる激動の時代に生きる人たちの物語です。
誰が悪いとか悪くないとか、加害者、被害者と単純に分けることのできない、とても入り組んだ物語だと感じました。皆が罪の十字架を背負って生きています。ここまで複雑に絡み合った人間関係は、三浦文学でもそうそうないのではないでしょうか。
貴乃や孝介、完治、あき子…性格はそれぞれ違いますが、皆がどこか自分勝手で他人よりも自分を優先しており、頑固で思いやりに欠けています。聖人君子ではない、人間らしいといえば人間らしい登場人物たちです。
個人的に一番苦手なのが孝介です。孝介と完治は善と悪の様な存在ですが、根底は同じに感じます。むしろ孝介の方が完治 -
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ネタバレなぎさの夫(名前を忘れた)をはじめ、言動や考え方など時代を感じさせるが、これが当時の当たり前(疑問を持つ人はいたとしても)だったと思うと、私にとっては現代は生きやすい時代である。
康朗が「なぜ戦争に反対しなかったのか?」という質問に対して、当時はそれが当たり前のことで反論できる雰囲気ではなかった、洗脳されていたというようなのとを言っていたが、これは戦争だけではなく、あらゆる価値観に言えることだよなと思わされた。
現代の日本も色々と問題はあるが、それを問題だと考えられているのは言論の自由があるからだと思うと、それが守られている(そう私が感じているだけかもしれないが)ことはとても恵まれた時代に -
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ネタバレ【ネタばれあり】
氷点の続編。
前作ラストで死を選んだ陽子は一命をとりとめ、自分が殺人犯佐石の娘ではなく、全く別人の不倫の末生まれた娘だということを知らされる。その事実は潔癖な陽子をより一層苦しませる。
前作ではいかに夏枝が陰湿ないやがらせを繰り返そうと陽子の芯の通った強さと明るさに救われたしその昼ドラ的なドロドロ展開が面白かったわけですが、続編では陽子がブレブレになってしまい、なんだかすっきりしない。そんな中、兄の徹が陽子に黙って陽子の実母の三井恵子と接触したことから物語が展開していく。
辻口家と三井家、失踪した松崎由香子との意外な形での再会、高木の結婚、順子→徹→陽子←北原の恋模様など -
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ネタバレ【ネタばれあり】
氷点の続編。
前作ラストで死を選んだ陽子は一命をとりとめ、自分が殺人犯佐石の娘ではなく、全く別人の不倫の末生まれた娘だということを知らされる。その事実は潔癖な陽子をより一層苦しませる。
前作ではいかに夏枝が陰湿ないやがらせを繰り返そうと陽子の芯の通った強さと明るさに救われたしその昼ドラ的なドロドロ展開が面白かったわけですが、続編では陽子がブレブレになってしまい、なんだかすっきりしない。そんな中、兄の徹が陽子に黙って陽子の実母の三井恵子と接触したことから物語が展開していく。
辻口家と三井家、失踪した松崎由香子との意外な形での再会、高木の結婚、順子→徹→陽子←北原の恋模様など -
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ネタバレ昭和の話題本として一度は読んでおかなくちゃ‥てことで読み始めたが‥ちょっと期待が大きすぎた。「細川ガラシャ夫人」を読んだ後だけにどれほどの重厚な内容なんだろうと思ったら‥
ちょっとあり得ない設定。
娘を殺した犯人の子供を引き取って育てるって、どういう心理状態なの?コンプライアンス的にアウトでしょう。しかも妻の浮気の腹いせに犯人の子を育てさせるって、オカルトだわ。夫が夫なら妻も妻で、精神的な未熟度を次々見せてくれる。息子の友達が本気で女性としての自分を好きになってくれると思ってるから恥ずかしい。その彼が娘陽子のことを好きになり、陽子が幸せになることが許せない。やがて自分が殺人犯の娘であることを -
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ネタバレ昭和の話題本として一度は読んでおかなくちゃ‥てことで読み始めたが‥ちょっと期待が大きすぎた。「細川ガラシャ夫人」を読んだ後だけにどれほどの重厚な内容なんだろうと思ったら‥
ちょっとあり得ない設定。
娘を殺した犯人の子供を引き取って育てるって、どういう心理状態なの?コンプライアンス的にアウトでしょう。しかも妻の浮気の腹いせに犯人の子を育てさせるって、オカルトだわ。夫が夫なら妻も妻で、精神的な未熟度を次々見せてくれる。息子の友達が本気で女性としての自分を好きになってくれると思ってるから恥ずかしい。その彼が娘陽子のことを好きになり、陽子が幸せになることが許せない。やがて自分が殺人犯の娘であることを -
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著者の病養中の日記。いたるところに、著者の感銘した出来事や言葉が綴られている。
人間はパンのみにて生きるにあらず、神の言葉によって生きる
「愛し合ったから結婚したのではなく、愛し合うために結婚するのです」という祝辞あり。まことに然り。結婚必ずしも熱い愛によってなされるとは限らぬ。外見に迷ったり、金に迷ったりの、軽薄な動機で結婚する者もいれば、行きがかり上心ならずも結婚する者もある。人間は意外に浅はかに結婚するものだ。だが、結婚の目的は愛し合うためなのだ。結婚した以上、深く、全力を注いで愛し合いなさい。一生を終えて、一人の妻を愛し貫いたと言えるならば、それは実に大きなことなのだから。
他人 -
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北海道の上富良野を舞台に大正15年5月の十勝岳大噴火までの人々の生活を描いた作品。
父親は病気で亡くなり、母親はその美貌から地域の有力者から性的嫌がらせをされて街へ逃れたため、福島から北の大地での新たな生活を求めて北海道へ渡るも30年以上苦労し続けてきた祖父母と素朴に暮らす純粋な少年が主人公でした。(三浦さんの旦那さんがモデルらしい。)
とにかく人間の汚さや純粋さが淡々と描かれていました。まっとうな人もいればズルくて汚い人間もいて、結局は生まれてきた場所と環境で人は生きていくしかないのだなと思いました。そして、その中でできることをしていく。
そんな苦労も忍耐も最後は十勝岳の大爆発で水泡に帰 -
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滝江と優子の間の皮肉や腹の探り合い、当てつけと比べるように、息子の修一と彼女の関子の心洗われるような会話が入る。優子はその会話を聞きながら、自分たちの生活に、誠実さや清さなど大事なものがかけていることを考え込まざるを得なかった。
制度の改革より、人間の改革に興味があるんですよ。制度がいくら理想的になっても、人間がやくざじゃ、しようがありませんからね。なんせ、事を複雑にしているのは、人間なんですから。
一方、人間の改革より、制度の改革のほうが、効果がある。人間はなかなか利巧にならないけれど、少なくともいい制度があれば、この世は住み心地がよくなる。たとえば、年寄を大切にしなさいって百万べん聞かさ -
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滝江と優子の間の皮肉や腹の探り合い、当てつけと比べるように、息子の修一と彼女の関子の心洗われるような会話が入る。優子はその会話を聞きながら、自分たちの生活に、誠実さや清さなど大事なものがかけていることを考え込まざるを得なかった。
制度の改革より、人間の改革に興味があるんですよ。制度がいくら理想的になっても、人間がやくざじゃ、しようがありませんからね。なんせ、事を複雑にしているのは、人間なんですから。
一方、人間の改革より、制度の改革のほうが、効果がある。人間はなかなか利巧にならないけれど、少なくともいい制度があれば、この世は住み心地がよくなる。たとえば、年寄を大切にしなさいって百万べん聞かさ