あらすじ
北海道旭川市を舞台に人間の「原罪」をテーマにした著者のデビュー作であり、代表作。
ある夏、北海道旭川市郊外の見本林で3歳の女児が殺される。父親、辻口病院院長の啓造は出張中、母親の夏枝は眼科医の村井の訪問を受けている最中の出来事だった。夏枝と村井の仲に疑いを抱いた啓造は、妻を苦しめたいがために、自殺した犯人の娘を引き取ることにする。事実を知らない夏枝はその娘に陽子と名付け、失った娘の代わりにかわいがる。夏枝や兄の徹らの愛情に包まれて明るく素直な娘に成長していく陽子だったが、いつしか家族に暗い影が忍び寄る―。
三浦綾子の朝日新聞の懸賞小説当選作であり、デビュー作。
そして、1969年(昭和44年)、1970年(昭和45年)、1981年(昭和56年)、2006年(平成18年)と昭和から平成にかけて4度にもわたりテレビドラマ化された、空前の名作である。
「三浦綾子電子全集」付録として、懸賞小説の当選発表記事や受賞の言葉などを収録!
感情タグBEST3
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何てところで終わるんだ。下巻では完全に村井とよろしくやってる未来しか想像できない。啓造も捻じ曲がっているが、夏枝の身勝手さには同じ女として理解できる部分はあれど到底許容できない。再会した村井が醜く変わっていたことで手のひらを返す夏枝の浅ましいこと。夫への復讐に焦がれ、徹の存在を都合良く忘れているのが腹立たしい。啓造も自分も苦しむとはいえ、復讐のために無垢の子どもをだしに使う悍ましさときたら。この壊れた家族がどうなるのか、気になって仕方ない。
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まじでクソきも親父なんですけど、本筋に関係ないところでいうと妻の太ももに足を置いて靴下を履かせてもらう描写があってほんとによくここまで女性の尊厳が認められたなあと感心しました。
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昔に読んだことがあったが、内容はほとんど忘れてしまっていた。
こんなにもお互いの気持ちがすれ違うというか、心の中が見えるのが面白い。
どんな結末になるのか?実は陽子ちゃんは殺人犯の子どもではなかったりするんだっけかな?
どこかで陽子ちゃんも事実を知って葛藤して、自殺したりとか?
悲しい結末を想像していまいます。
そんなことを思いながら下巻を読みます。
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久しぶりに読みました。
いわゆる勝ち組と言われている医師やその奥様の人間のいやらしい部分が共感できる。
陽子のピュアな心というか・・・これには本当にリスペクトです。
Posted by ブクログ
2025年GW前の金曜日の東京は突然の大雨で
リュックに入れた氷点の上巻は随分と濡れそぼってしまったけれど
いま下巻を読み切ってみるとそれも良い思い出となるくらい
今年この本を読めて良かったなと思う
続氷点も気になる
Posted by ブクログ
昭和21年 病院長 辻口啓造は美しい妻 夏枝とかわいい2人の子ども達と旭川で暮らしていた。ある日、幼い娘が何者かに殺された。娘が外出したのは妻が浮気していたからだと思い込んだ啓造は、妻への最大の復讐を思いつく。娘を殺した犯人の子どもを引き取り、事情は明かさず妻に育てさせようと。。。
引き取られた犯人の赤ちゃんがただただかわいそう。でも昭和21年代の北海道や、雪国での暮らしは興味深くて、いつの日か旭川市の三浦綾子記念文学館に行ってみたいな。2年前に青森・北海道旅行に行って旭川も行ったのに、素通りしてしまった、、、。
冬に読むと雰囲気たっぷり。
Posted by ブクログ
全く展開が読めなくて面白かった。汝の敵を愛すってことがどうなっていくか。上では陽子への愛を感じないが心情の変化が下ではどう描かれていくのか。またこんな大人達の執着に陽子が突き合わされるのが不憫で敵わなかった。
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この家族に出会わなかったら、違う幸せがあったんだろうか。最後はそう、考えされられた。辻口家族の一悶着に完全に巻き込まれた陽子。読んでいて、本当に辛かった。辛いという言葉だけでは、表現しきれない。それでも陽子のまっすぐな性格がまた辛くさせる。それでも陽子の近くに辰子がいてくれてよかったって、心から思った。一人でも支えになる人がいると、ほっとする。それにしても私も高木の言葉を本当だろうと、信用してしまった一人。いやいや、そんなことをしなければ、幸せだっただろうよ。いやいやいや、元をたどると、夏枝が…。
いやでも、犯人が1番か?…。
続・氷点も読みたい。
Posted by ブクログ
デビュー作とは思えない完成度と内容の濃さ。
しかし原罪や赦しといったテーマを理解しないで読むと、ただの昼ドラのような愛憎劇と勘違いされそう。
「原罪」というテーマは重くても、テンポ良く滑らかに展開するストーリーは昼ドラのように読みやすいので、面白く読めて意味も感じるような、エンターテイメント性と問題提起のバランスが絶妙だと思います。
若者特有の、社会に対する欺瞞や矛盾を許さない目線と、宗教者の俗世に対する目線が合わさったような、潔癖とも言える目線が、非常に鋭く表現されていて、それが断罪と赦しのテーマに繋がっている感じがお見事。
気品と泥臭い雰囲気が漂う物語だった。夏枝、啓造、村井はどこまでも自己中。子供の気持ちはまるで無視という感じがしてイライラした。
それがこの話を面白くさせているのだけれど。敵を愛するということは、正直難しい。自分の子供を殺されたとしたら犯人を愛するとか赦すとかはまぁ無理だろうなぁ。陽子や徹がどのように真実を知って生きていくのか、下巻を読むのが楽しみ。
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暗く重い小説だったが、登場人物それぞれの心情には共感できた。
愛があるがゆえの嫉妬や憎しみ、そして復讐。
殺人犯の娘に罪はないのに、被害者家族からはどうしても受け入れられないのだろうか。
誰もが苦悩を抱えながら生きており、家族でありながら相手の不幸を願う心情が恐ろしい。
心理的な緊迫感が途切れることなく続き、つい先の展開が気になって一気に読んでしまった。
Posted by ブクログ
ようやく三浦綾子さんの小説を初読。
とにかく心情描写が巧みの一言に尽きます。人の醜い部分がこれでもかと抉り出されています。でも、そういう感情の揺れに少し共感してしまう部分もあったり。人はみんな罪人なんだなぁと身につまされます。
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救いと赦しがテーマ。
登場人物達の救われなさと渦巻く感情が作品の重厚感を増している。シリーズ4作を読み終えた先に自分が何を思うのか楽しみ。作者がクリスチャンと知って納得した。
Posted by ブクログ
中学1年生に読んで以来、ふと思い出して電子書籍で購入しました。今の時代、便利な機能ですね。すぐに読んで続編もさくっと購入して読んでいるところです。
学生の頃にわくわくする話が面白くて好きだった純粋な気持ちのまま買いましたが、30も半ばになる大人が読むと、なんとも言えない心のざわめきを感じる本でした。それぞれの登場人物の気持ちが手に取るように感じられます。感じ方や考え方が変わってくるのも面白いです。夏枝の心の動きや憎悪が印象深かったです。更に歳を重ねた時に読み直したい本です。人生の荒波に揉まれた先の自分と向き合える本、次はどう感じるか楽しみです。
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登場人物が少なく、心理描写も細かいのでとても読みやすい。善と悪とどちらともつかない感情の狭間で生きる葛藤をとてもリアルに描いていると思う。
陽子に幸せになってほしい。
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宮部みゆきさんの対談で、お勧めされていたので読んでみました。懐かしい昼ドラを思い出させるところもあり、引き込まれます。嫉妬と復讐心で大事になってる。
犠牲になってる子供達に寄り添うのみです。
クリスチャンである著者、キリスト教の概念「原罪」が重要なテーマとして物語の背景にあって、著者の出身地の北海道旭川が舞台です。
「汝の敵を愛せよ」を一生の課題として大きな問題を抱え込んでしまったことからの苦悩、どう展開するのか下巻を読み進めます。
Posted by ブクログ
タイトルのとおり、温度感がビシビシ伝わってくる作品。
まず、やたら植物の名前が出てくるのが印象的。
ナナカマド、北米や欧州原産の松、それから樹氷etc...、
風や気温、雪の描写も多い。
私も西の雪国出身なので冬モチーフにはあかるい方だと思っていたけど、やっぱ北海道は生態系も気候も違うわと思い知らされた。
それでいて装い関連では、セルの着物とか丹前とかバーバリーコートとか、暖かい印象を受けるものが際立つんだよな。
ペチカや火鉢もそう。
なんなんだこの没入感。
ページをめくる手が止まらない。
下巻も楽しみ。
Posted by ブクログ
平成以降の小説を読むことが多いため、昭和時代の読み物を読めるか心配だったが、ページを捲る手が止まらなかった。宮部みゆきさんと成田悠輔さんの対談をYouTubeで観て、「最近の子も氷点を読んでる」と宮部さんが話しており、気になって読んでみた。″最近の子″がなぜこの作品を好んで読むのか言語化できないけれど、物語に引き込まれてしまう感覚はなんとなくわかる。夫婦の水面下で行われる歪み合いの話かと思いきや、最後はどんでん返しの″愛″を感じた。続きが気になる…!
Posted by ブクログ
久しぶりに一気読みした。内容はもちろんのこと、文章が美しい。言葉のひらきと閉じが使い分けられていて、読んでいて心地よい。また、心情の描写が深く、読んでいて引き込まれる。夫婦のすれ違いや、陽子と徹の気持ち、誰にも共感できるからこそ辛い。下巻も大切に読もう。
Posted by ブクログ
愛と憎しみの違いがわからなくなる話だった。でも、そのことを私は前から知っていたような感覚もした。
愛しているけれど、愛しているからこそ憎しみも強くなって、でも愛しているが故にそのことに対して罪悪感も生まれて、ちょっとしたことで全てを許したいと思えたり、一生許さないと誓ったり。
Posted by ブクログ
おいおいおい…!
グギィィイイイイイイ…!
グハァァアアアアアア…。
ヒィィイイイイイ…!
やめとけ、やめとけぇ。
イイイイイイイイイライライライラするぅ。
夏枝!お前、自分勝手すぎるやろぉぉおおおお。
その自分本位なところ、くっそ腹立つぞ!
啓造!ちょっと気持ちわかるぞぉ。
そりゃ復讐心も出るわ。
真面目な人ほど憎しみもまた深くなるんだよなぁ。
おかしな方向にいっちまったなぁ。でも憎しみというのは時に人を有り得ない方へ導いてしまうんだなぁ。
夏枝しかり、啓造しかり。
下巻はどうなっちゃうのさ。
徹…徹の気持ちを考えると胸が痛いよ…。
Posted by ブクログ
とても重い。
啓造にも夏枝にも全く共感出来ない。ただただ身勝手に思える。
時代背景もあるんだろうけれど、現代ならこうはならないんだろうな。何の罪もない陽子がただただ不憫で仕方ない。
ただ、とても読みやすい。予想外の展開で終わった上巻。下巻が気になります。頑張れ、陽子。
Posted by ブクログ
昨年から少しずつ読んでいた三浦綾子。
ついにこの超有名な作品に手をつけた。
キリスト教のテーマと北海道と病院、という、たぶんいつもながらの舞台装置。
スピーディーで劇的、会話も読みやすく、スイスイと進んでストレスフリーなのだけど、ストーリーはけっこう重いし胸焼けがする。
何より、辻口も夏枝も村井もダメで嫌な奴なので読むのがキツい。
高井と辰子がいるのでなんとか読めています。
がんばれ、陽子。
戦後すぐの北海道社会が面白い。
こんな感じなんだーと素直にキョロキョロしてしまう。
もっと細かく社会の様子が知りたいのだけど。
Posted by ブクログ
ゆらゆらと揺れる感情と登場人物の人格設定が絶妙だ。世にいるであろう敬造や夏枝のキャラクターが、とてもわかりやすい。下巻へ向かう、トリガーも良い。引き続き楽しみだ
Posted by ブクログ
人間の多面性が上手く描かれている作品。
感想を見る限り批判も多い印象だが、愛と罪と赦しというテーマは的確な表現だと思う。
まずルリ子が殺されたことに対する啓造の怒りが、妻への憎しみへと変わるのがリアル。
犯人が許せないのは間違いないが、それよりも、愛していた夏枝の裏切りのほうが関心ごととして強いのだと至るところで匂わされている。
その一方で、夏枝への愛が消えておらず期待している側面もあるからこそ、信じたいと思ってしまう矛盾。だからこそ直接問いただせずに、すれ違いへと発展してしまっているのである。
そしてこの行き場のない怒りの発散が、犯人の娘という立場にいる陽子なのである。
犯人が生きていれば糾弾できたかもしれないが、すでに自殺してしまっている。
だからこそ無垢で自分より立場の弱い陽子を、裏切りという罪に対する罰として夏枝に育てさせようとしている。
行為としては浅ましいし、関係のない子供を巻き込んだどうしようもない大人達だが、人間であれば誰しもこういう複雑な感情を抱えたことがあるのではないだろうか。
下巻では赦しの部分が明らかになると思うので、楽しみ。
Posted by ブクログ
原罪とは何か、がテーマとなって1965年刊行当時にベストセラーになったらしい(1964年の朝日新聞連載らしい)けど、激重テーマすぎてこんなの皆読んでたの…と驚く。友達の勧めで読んだけど、自分では選ばないわ…笑
とにかく皆が皆利己的というか、自分のことばっかりで、でもまぁ人間というのはそんなものなのでしょう。
Posted by ブクログ
評価の高いこちらの小説。
一度は読んでおこうと思い、手にしました。
思った以上に、ドロドロとした愛憎劇が繰り広げられています。
村井・夏枝・啓造の、なんと身勝手なことか!
まず村井が最低なのは言うまでもないとして。
啓造は、愛娘を失ったことと嫉妬心で苦しむことには同情します。が、だからといって復讐として、そこまでやります?
長男である徹の気持ちは考えない?
とりあえず、言葉を飲み込まないで、気になることは口に出して聞きなよ、と何度も思いました。
夏枝は、利己的で心の底では子どものことなんて考えていない。自分大好き人間のように感じました。
村井に対する気持ちも、外見が醜くなるとスッと冷めたりして、変わり身の早さに呆れてしまいます。
このような大人達に振り回される、ルリ子・徹・陽子が不憫でなりませんでした。
そのような中、サッパリした心持ちの辰子さんが心の支えでした。
終始イライラしながら読みましたが、読むのをやめようとは全く思わず。
それどころか、先が気になってどんどん読んでしまいました!
このままの勢いで、下巻を読もうと思います。
Posted by ブクログ
宮部みゆきさんとどなたかの対談動画を拝見し、そこでこの本が紹介されており、手に取りました。
感想…。
なんだこの夫婦!?が率直な思い。
人間の愛と罪と赦しに真正面からむきあう不朽の名作…と背表紙に記されてはいるが、幼い妻夏枝と嫉妬深い夫啓造のヤバイ夫婦の物語としか…。一昔前の昼ドラのようです。
とりあえず気になるので下巻も読みます。
Posted by ブクログ
昭和の話題本として一度は読んでおかなくちゃ‥てことで読み始めたが‥ちょっと期待が大きすぎた。「細川ガラシャ夫人」を読んだ後だけにどれほどの重厚な内容なんだろうと思ったら‥
ちょっとあり得ない設定。
娘を殺した犯人の子供を引き取って育てるって、どういう心理状態なの?コンプライアンス的にアウトでしょう。しかも妻の浮気の腹いせに犯人の子を育てさせるって、オカルトだわ。夫が夫なら妻も妻で、精神的な未熟度を次々見せてくれる。息子の友達が本気で女性としての自分を好きになってくれると思ってるから恥ずかしい。その彼が娘陽子のことを好きになり、陽子が幸せになることが許せない。やがて自分が殺人犯の娘であることを知った陽子は自殺を図る。
話は荒唐無稽だけど、余計な修飾や背景説明にページを割いていないのでサクサク読めるし、どうなっちゃうんだろうと早く読み進みたくなる。新聞小説だったようだが、これは読者は毎日楽しみだったことでしょう。
「汝の敵を愛せよ」という聖書引用の言葉を頭の中で反復し、犯人の子を引き取った啓造。なんかはきちがえてるんだよねぇ。犯罪者の家族は十字架を背負って生きなければいけないんだろうか。ちゃんと守られているんだろうか。そちらの方が気になる。
読書は心を浄化させてくれる。煩悩というものがいかに馬鹿げたものなのかということが俯瞰で見るとよくわかる。若者はもっと本を読むべきだ。