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Posted by ブクログ 2021年08月04日
主人公の清美が信仰告白する、それをこの一冊で語ったものだ。決して幸せとは言えない境遇に育った清美が一人の男の子を好きになり、その人の考え方に共感し、諭されながら成長する。その中にはやはり、著者の小説の主題とも言える、許す、そして愛するというのが根底に流れている。
自分の好きなひとばかりが住んでいる世...続きを読むの中などない。そこから逃げ出しても、逃げ出した先にはきっと合わない人間が必ずいる。その度に逃げ出すことなんかできないのだ。だったらどうすればいいか。逃げ出すことが出来なければ、愛するより仕方ないのだ。憎むという不愉快な感情から逃げ出すためには、相手を好きになるより仕方ないのだ。
罪を犯さないなんてだれにもできっこない。そんなの人間じゃない、人間というのは言ってみれば存在そのものが罪なのだ。今天使のような心を持っていたとしても、1分後にはふっと良からぬ思いが胸を掠める。そうしたどうしようもない存在だからこそ、神の子であるキリストがぼくたちの罪を背負って代わりに死んでくれたのだ。