湊かなえのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
真相が何度もひっくり返り、そのたびに認識を塗り替えられていく構成がとても印象的だった。読み進めるほどに「見えていたはずのもの」が別の意味を持ちはじめ、見事に翻弄される。ミステリとしての仕掛けの巧さもさることながら、人間の思い込みや視点の危うさを突きつけられるような物語だったように思う。
タイトルの「人間標本」という言葉も、読み終えたあとに改めて重く響く。人は他人を理解しているつもりで、実際には表面しか見ていないのではないか。あるいは、物語の中で“標本”のように観察されていたのは登場人物だけでなく、読み手である自分自身でもあったのかもしれない。
すべてを理解して最後の一文を読み終えたとき、胸 -
Posted by ブクログ
20年後の自分から手紙が届くというプロローグから物語の幕が上がったので、タイムトラベルミステリーなのかと思ったら!それはそれは辛くて重いお話でした。
貧困、虐待、苛め、暴力、淫行、欺瞞、売色…そして殺人。
普段ニュースで目にする悪事が満載です。
序盤は主人公の日記のように淡々と日常生活の出来事が綴られていきますが、中盤からは胸糞悪い出来事が続々と勢揃いしていきます。結末はもちろん悲劇で収束させておりますが、小説の題名が「未来」と称されていることから、どんなに辛くて挫けそうになっても希望だけは捨てないでという作者の声が聞こえてくる気がしました。辛く切なく無惨な情景を描いているのに清廉な気持ちで -
Posted by ブクログ
ネタバレ母と娘を巡る確執の話、という如何にもな湊氏作品。
自殺未遂の娘、その母親、そのまた母親(孫からしたら祖母)。祖母の無条件の愛のもとすくすく育った母親は、長じて結婚し「母親」になってからも「娘」のままで、彼女の目線は下ではなく上だった、みたいなのが筋。
更には母親の嫁ぎ先でその義母(孫からしたらそれも祖母)との確執もあり、ドロドロの母(義)娘のやり取りも、これまた湊氏ならでは。
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これに対し、新たな視点を授けてくれるのが、間宮氏の解説。
曰く、男性・父という類の失墜、女性・母という類の勝利、みたいな話。
辞書中の類語の多寡から始まり、本作中でも、如何に男性が事態に関わらなかったか -
Posted by ブクログ
手紙を書くと
相手の気持ちを深く考える時間になる。
メールとは違い、送った側には残らず受け取った側しか残らない。
書く文字によってもその人がわかる。
字の上手い下手ではなく、丁寧に書かれているか、漢字を間違えて誤魔化した跡とか、、、
文字を見るとその人の顔が浮かぶ。
もらって嬉しい手紙、悲しい手紙。
色々あると思う。
「手紙」を書いた事はありますか?
既読、未読スルーなど気にする事なく、相手に今の自分の気持ちをきちんと伝えられる。
手紙を書くという事は、送る人の事を考えながら便箋選びから始まる。
きっと大切な手紙は保管され、いつでも読み返されると思う。
久しぶりに手紙を書いてみ