湊かなえのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ広沢の死をめぐる物語。主人公は何も広沢について知らなかった。知ったつもりでいた深瀬(主人公)は人間味があり、あまり良い性格とは言えない。そんな人物が優しい広沢を知るために行動を起こす。広沢の事故についてめぐることにより、だんだんと告白文を誰が送ったのかにたどり着いていった。その告白文がなければ、広沢のことを深く知る、そして心にとどめておくことはなかったと思う。そんな主人公に嫌気がさすが、それはゼミの仲間もそうだ。物語として、大きく展開が動くことはない。しかし、最後に広沢を殺してしまったのは自分だったかもしれないことに気づく(蜂蜜は蕎麦から作られていた。広沢は蕎麦アレルギー)。いい感じに物語が終
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Posted by ブクログ
湊かなえ氏の描く青春ミステリー小説。「イヤミス」という称号で語られることが多い著者だが、こういう爽やかでキャッチ―な文体でこうした清爽感のある物語も書き上げる才能の豊かさに驚かされる。
著者の十八番である登場人物各々の視点の違いを生かしながら、起こる事件は感情に基づいた、だけど利己的ではなく、青春小説ならではの乗り越えた成長もある。また、監視社会へのテーゼや(小説内では名言されていないが)新型コロナによる理不尽な出来事、ミステリーとしての二転三転のハラハラ感もしっかりあり、鳥瞰的視座の高さがあるのはさすが。作中のABC受賞作なんかは「高校生らしさとは何か?」の可視化が絶妙。
小説としてはある意