小野寺史宜のレビュー一覧
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購入済み
すばらしかった
なんてあたたかいラストなの。。。いい意味で小説らしくなくて、どこかにいる誰かの日常、という感じ。特別なことも起こらないし特別な能力も持ち合わせていない、そんな一人ひとりの、まさにタイトル通りの「ひと」によって生まれる世界、空気。優しいな。いいな、と思う。それにただ優しいだけじゃなくてちゃんと芯のある優しさというか、そんな感じ。質量がある。私もそんな人になりたい。
星100個つけたい
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母がわたしを産んだ歳になった。
今、わたしに、湧き出るものがあるー
二十七歳の古井網枝には、晴らすことのできない後悔があった。中学生の頃、地域の合唱団に所属する母に「一緒にうたおうよ」と誘われたものの、撥ねつけてしまったのだ。
母が秘めていた想いも知らに・・・。
大学時代、絹枝はバンドを組んでいた。
ギター担当は伊勢航治期。バンド解散後もプロを目指したが芽が出ず、だらしない日々を送っていた。
ベース担当は堀岡知哉。バリバリ働く妻がいるが、自分はバーテンダーとしてアルバイトの身で、音楽への未練も僅かにある。
ドラムス担当は永田正道。大学卒業後、父が越えられなかった資格試験の壁に挑もうとするが・・ -
Posted by ブクログ
ネタバレ子ども食堂をはじめた波子さんと、ボランティアや利用者さんのお話。
章ごとにそれぞれの目線から語られる形式になっている。
句点が多めで一文が短い独特な文体だなと思ったけど、慣れると話し声が聞こえてくるようで読みやすかった。
内容は切なくも心暖かくなるものだった。私自身、家族の死を数回経験していて、あの時ああしていればこうしていれば、と後悔の波が押し寄せてくる感情も知っているから、なんだかずっと泣きそうだった。
波子さんのキャラクター、いいなあ。波子さんも救われる暖かいラスト。電車のなかでちょっと泣いた。
【追記】仕事で同僚との関係がちょっとしたことで曇ったのだけど、モヤモヤとした気持ちでいる -
Posted by ブクログ
読後感がとても良かった。
「うたわない 古井絹枝」から「うたう 音楽的に発声する 古井絹枝 V」へ向けて、お話が紡がれていく。
その間に登場する3人の物語も、絹枝と交差しながら、うたわない絹枝から、うたう絹枝に至る間を埋めていく。
絹枝が大学時代に所属していたバンド、カニザノビー。たぶんこうだろうな、と考えていたバンド名の由来が分かった時もしっくりきた。
小野寺さんのお話の中では、土地の具体的な町名や電車の駅名がよく出て来て、今回も、住んだことはないが、行ったことはある、よく通っていたことがある場所だったりで、そこも面白かった。
普段暮らしの中で、遠回りをして歩いたり、なかなかしないのだ