小野寺史宜のレビュー一覧
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ネタバレわたしは、主人公の三上くんは、最初は周りの人のちょっと不快に聞こえた言葉に対して突っかかってしまったりして、あまり好印象を持てませんでした。
しかし、終盤でそれが一気に変わりました。
パートさんに向かって「こいつが邪魔なんだ」「こいつはいらっしゃいませもねえんだ」と言いがかりをつけてくるお客さんに対し、「こいつとおっしゃるのはやめていただけますか?わたしどもの大切な従業員ですので」という発言は、すごくカッコ良くて、先に進む前に何度もその場面を読み返していました。
そして、以前自分が突っかかってしまった相手に連絡を取り、謝罪をする。これもなかなかできない事です。
わたし自身もささいな言葉で -
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初めての小野寺史宜さん。
そもそも子ども食堂なんて、自分が小学生だったころからあったのか…記憶にないのだからなかった(と思う)。
そんな気持ちもありつつ、子ども食堂に興味があり手にしてみました。
波子が亡くなった夫・隆大が公園で出会ったパンが夕食の男の子がきっかけで立ち上げた『クロード子ども食堂』。
波子や食べに来る子どもたちや親など、さまざまな事情や思いを抱える人間模様が描かれてる。
どんな事情があっても、どんな出来事があっても、ご飯のパワーで元気になれる、ご飯ってまさに生きるためのエネルギー。
それは子どもたちだけじゃない、大人だって同じ(大人も食べにいけるんだって、この小説で知りま -
Posted by ブクログ
タイトルから勝手に子供向けの作品と思い、手をつけなかったが、何気に読んでみたら、とても面白かった。表紙の子供時代の泉ちゃん、大人の泉ちゃん、作中のイラストも良かった。
泉ちゃんは素直で自然体でとてもいい。郵便物の誤配で郵便屋さんを責め立てるのにはひいたが、彼氏の井田歌男さんへのアパートに行くのがめんどくさいのは、それほど好きではなかったのではと思った。現にかわいい三つ下のいとこの家には理由をつけて行くのだから、そこを言う歌男さんの言い分もわかるが残念ながら言い過ぎだった。縁がなかったのでしょう。
両親の仲が悪く、二年ほどおばあちゃんに預けられていた泉の「親の仲がいいのは最高。それ以上の最高 -
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いい本でした。
児童の母親から頼まれたことが断われずに、小学校の教師を辞める事態となった主人公。
他人と関わりを持つからこんなことになる…と、昼の世界から逃げ込むようにして選んだ仕事は夜勤の警備員。しかしそこでも置き引きを常習とする少女を救おうとしてしまう。
誰かを助けることって、愚かなことなのか…自問自答する。
主人公の心の動きが痛いほど伝わってくる。小野寺史宜さんの小説の主人公は、何だか自分に似ているところがあり、感情移入するなあ。
教師を辞めざるおえなかった二十代後半の過去と、警備員になった30代の現在が交互に章立てとなった構成。
人のために行動することでいろいろ損したり、裏目裏目