小野寺史宜のレビュー一覧
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小野寺さんの作品は空気感、読後感がとてもいい。この作品もワクワクする思いで読んだ。まず表紙がいい。プロレス好きの夫にも見せたら髙田延彦だと興奮していた。
差し障りのない就活で苦戦していた長男の雄大だが、亡き母親の働いていた会社で働きたいとの思いが強くなり、気持ちの伝わる面接の志望動機を述べる場面に感動した。
4章の「早田美鶴」のふたりのなれそめの話がなんともよく繰り返して読んで味わった。まだ付き合ってもいないのに「俺と結婚してくれないかな」、「何かおれ、わかったんだよね。早田さんとならうまくいくって」という栄純のストレートさがたまらない。お互いに縁ある人に惹かれ合う姿が尊い。数年したら、また読んでみたい。 -
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四大卒の新人女性タクシードライバー
として働く「高間夏子」の日々の奮闘と
成長をえがく本作。
小野寺さんの作品ってどれも、淡々と
物語が進行していきますが、それでも
ゆっくりと心が温まっていって読み終わった
後には芯にのこる心地よい余韻があるのが
たまりませんよね〜。
本作も社会人一年目の洗礼や
タクシーの現場ならではの苦悩や問題も
多く出てきますが、それでも人を頼ることの
できる主人公の前向きな姿に、自分自身も
前向きな気持ちにさせてもらえます。
ぼく自身、仕事やプライベートで
悩むことは沢山あるけど
主人公の夏子のように
相談できる上司もいて
いい環境で働かせてもらってて
やさしい同僚にも恵まれてて
愚痴やバカ話もできる友だちもいる。
そんな些細で尊い幸せに、目と心を向け
その温度を味わうことも大切だな…なんて
本書を読んであらためて感じました。
仕事おわり、ゆっくりお布団の中で読んで
欲しい1冊。ぜひ読んでみてください♪
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本屋大賞ノミネート常連作家である「ひと」や「まち」で知られる作家の
エッセイです。
家賃5万円を条件に、東京23区で住んでみたい街を選び、実施にその街を
そこで生活すること想定して歩きます。
ややもするとワンパターンに陥りがちですが、毎回共通するのは美味い
コーヒーを飲ませる店に立ち寄ることです。カフェではないです、喫茶店
です。
それ以外は本当に住むための生活に必要な環境を求めて街を歩き回ります。
それでも面白いです。東京は本当に色々あります。どの町にもいろいろ
あります。
「今日はこの区を歩く」と決めて町歩きするのは面白いかもです。行き当
たりばったりで、「あっ、この通りはここに出るのか」という感じです。
で、散歩旅は銭湯とビールで締める、というのができるのが人生の勝者
ですね。
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『ひと』『まち』に続く小野寺史宜さんの『下町荒川青春譚』シリーズの第三弾。やはり面白かった。
主人公には妹がいる。その妹が自分の同級生の友だちと付き合うこととなり、友だちの不注意から交通事故を起こし、片足が不自由になってしまう。円満だった家族や兄妹の関係もギクシャクして…
友だちと妹も事故がきっかけで別れるが、その後にその友だちが別の同級生の女性と付き合っていることを知り、複雑な思いを抱く…自分の彼女とも微妙になり、仕事(スーパーの店員)でも失敗が続く…
マイナス思考でいると、いいことが無いものだ。働いているスーパーのベテラン社員とシフト組みのことで言い争いになる…同窓会で喧嘩になる…
しかし、足を怪我した当の妹は明るく前向きに就職活動をして、見事に内定を勝ち取る。
ネガティブだった主人公が前向きにさまざまな問題を解決していくのが、心の霧が晴れるようでよかった。
僕には妹はいないが、もしいたら…そう思うと主人公の気持ちが痛いほどつたわかった。いい兄ちゃんだなあ… -
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文庫書き下ろし。昨年12月に出た本。最近ハマっている作家さん。
調べたら同じ大学、学部まで一緒で親近感がわいた。
表紙のイラスト…ゴツい男と両側に男の子と女の子がいる。
妻を亡くし2人の子(兄妹)を育てながら居酒屋を経営する元プロレスラーが主人公の家族小説だ。
内容は四章から構成されており、親父視点、息子、娘視点、そして最終章は亡き妻の視点で二人の馴れ初めが語られる。この最終章がステキ(妻が短命だとわかっているから哀しくもある)…ここで涙腺が崩壊した
無骨で大胆な父親を理解し、心配かけまいと自立していこうとする子供たち。シリアスな場面はほとんどなく、物語が優しい…これ絶対シリーズ化されドラマにもなると確信した。主人公の父親役は竹原ピストルがいいなぁ(表紙絵に引っ張られた)
家族それぞれが、お互いをどんなふうにみて、慮っているのか。一人一人が自分の人生の主人公だから、見方も変わる。しかし根底にはお互いを思いやる気持ちがあるのが、やはりあたたかい。
我が家の家族一人一人が章で描かれた小説がもしあったなら、その中で僕はどんな風に描かれるのだろうか。
一度長男に言われたことがある。僕がいろいろ同窓会とかライブを企画したり、友だちと飲みに行く店を予約したり…そんなさまを見ているからの発言だけど、
『オレ(長男)はオヤジさんみたいなことは面倒臭いからしたくないけど、オヤジさんみたいな友だちは欲しいなあ』
これは褒め言葉だったのかなあ。
息子が小説を書いたら、どんなふうに僕のことを書くのか実に興味深いが、読むのが怖い。
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Posted by ブクログ
主人公は傑。傑作の傑で「すぐる」 スーパーの店員として働き始めて3年目。就活中の妹と教師の父と主婦の母。妹は傑の友人、大河と付き合っていたが1年ほど前に大河の運転する車で事故にあい、足を引きずって歩くようになってしまった。あとの家族の1年間の話。大きな出来事は起こらない。傑の心情ベース。淡々と心情。読みやすい。
今までの主人公で1番人間味がある(と言っても基本的にいい人間。登場人物みんないいやつがベース)というか、人間くさいというか、仕事で嫌なことがあってひとりで居酒屋で飲んで、駅のホームで吐いてしまうようなダサいところもあって、それをきちんとダサいと受け止めているのが共感できるし、好感が持てる。やってしまった全てに謝罪に行ったり、向き合ったりできるのはできすぎ感があったり、物語として大きな波とか出来事がなくてインパクトに欠けたりはあるけど、温かい気持ちになれる作家さんとして小野寺さんのこのシリーズは好き。
小学生のときに自分は好きだけど相手からは嫌われている友だちの誕生日会に行ってしまい、やんわり嫌な顔をされた、好きな相手にも嫌われることがあるんだと学んだ、誰にでもこういう苦い経験あるよね、と主人公の人柄を表すエピソードもリアルでうんうんとなった。主人公が終盤で「おれは嫌なやつだ。人の好き嫌いも、多分多い。・・・ただ、嫌いな人が嫌な目に遭えばいいとは思わない。幸い、そう思うようにはできてなき。それだけが救いだ。」と考えるところ、充分いいやつだし、そういうマインドで生きていきたい、生きていくべきだなあと感じた。
サラッと出てきた「父に友だちはいるのか?」の疑問に、たしかに歳をとってから男同士の友だちてなかなかいないよな、家族ができて仕事の人と会ってとなったら会う理由なくなるよなとつくづく感じた。