小野寺史宜のレビュー一覧
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小野寺史宜さんの『いえ』を読み終え、心がじんわりと温かい感動に包まれています。
主人公・三上傑が抱える悩みは、「面倒くさい」と自覚しながらも、家族や友人、そして職場の人間関係すべてに影響を及ぼす、複雑でリアルなものです。妹の事故という重い出来事をきっかけに、彼は「どう接するべきか」「何が正しいのか」という思考の堂々巡りに陥ります。
しかし、この物語が素晴らしいのは、そんな主人公が劇的にヒーローになるのではなく、ごく自然な「気づき」を通して、行動で自らを更新していくプロセスが描かれている点です。軽やかなユーモアも交えながら、不完全な自分や他人を「そのまま受け入れる」ことの尊さを教えてく -
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ネタバレHKさんのおすすめ。
何も始まらないし
事件は起きないし、
どこにも行きつかない。
だが面白かった。
「とべ」は元プロレスのスター選手が店主で料理人の居酒屋。
妻の急死をきっかけに子供二人を育てるために選手を引退し、
二ヶ月だけ修行をし、上に住める居酒屋を開く。
プロレスラーだったことを売りにせず、
なんとか十年、子どもを育てながらコロナも乗り切りやってきた。
家族がそれぞれ主役となった話が連なり、
店主は8年も毎週通ってきている女性客を思っていることに気がつき、
娘は大学で同級生とお笑いコンビを組むことにして、
息子は就職活動に迷いながら第一志望の会社を見つける。
最後の主役が、亡くな -
Posted by ブクログ
ぼくは刑事です
著:小野寺 史宜
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**〈 書籍の内容 〉**
松川律は三十一歳の刑事で、シングルマザーの竹本澄音とつきあっている。澄音の五歳の娘・海音との距離も縮まり結婚を真剣に考えたところで、澄音から自分の父親には前科があると告げられて――。ラーメン店を経営する姉一家との交流や同期刑事とのやりとりなどを小気味よく織り交ぜながら、若き刑事の二年の月日を描く。スカイツリーの見える東京・下町で繰り広げられる心温まる人生の物語。
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**〈 感想 〉**
小野寺さんの作品は『まち』や『タクジョ!』も印象に残っていますが、本作も同じく私の心に深く響きました。最大の魅力は、日常のリア -
Posted by ブクログ
同作者の小説「いえ」で劇中作として少し出てきた作品。
レギュラーではない、補欠のサッカー部員が主人公という点が気になって購入しました。
物語は2か月半と短いものの、色々な出来事がぎゅっと濃縮されています。部員の一人一人にフォーカスしすぎず、あくまで主人公の視点で描かれた物語。
そこから主人公の人となりが浮かび上がってきます。
本人の自己評価の低さから頼りなげに見えた彼が、実は他の人ではできないことをやっていたということが見えてきます。
ラスト、最後の試合のシーンではそれまでの日々が全て「よかった」と肯定できるような鮮やかな締めでした。
単なる青春ものではない、人と人のつながりを描いた作品だ -
Posted by ブクログ
警察官の2年間の日常を擬似体験でき、心が温かくなる小説。
警察官の足枷が周りに与える影響など、深く考えたことがなかったです。
だからこそ、新鮮な気持ちでこの小説と向き合える事ができました。
2年間の各季節の流れなど、しっかり人としての成長や思考の変化などがあり。
心地よく読むことができました。
後半の流れも想像とは違っていたのも楽しめました。
人によっての考え方や状況などいろいろな発見があるのもいい小説です。
小野寺文宜さんの小説は、日常を視点にしているので物語がすっと入ってきて好きだと実感しました。他の作品にも多く触れたくなりました。