あらすじ
尾瀬ヶ原が広がる群馬県利根郡片品村で歩荷をしていた祖父に育てられた江藤瞬一。高校卒業とともに上京し、引越の日雇いバイトをしながら荒川沿いのアパートに住んで四年になる。かつて故郷で宿屋を営んでいた両親は小学三年生のときに火事で亡くなった。二人の死は、自分のせいではないかという思いがずっと消えずにいる……。『ひと』から広がる新たな傑作!
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Posted by ブクログ
「ひと」に続き、とても良かった。心に刺さってくる言葉をいくつも感じた。かなり久しぶりの読書だったけも、この本でよかった。さらに本を読みたくなった。
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ひとりの青年の日々を綴った話しだけど
何だか気になってどんどん先を読みたくなってしまった
首都高通ったらあの辺に瞬一がいるんだなんて
思ってしまいそうだ
守りたい人がいるってことは人を強くするんですね
守りたいものに出会い気づけた事が嬉しかった
いい本に出会えました
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主人公の考え方や行動から、自分が生きていくのに大切な事を沢山教えられたました。
日々の何気ない生活が淡々と描かれているのですが、主人公のように、こんなふうに生きてみたいと、本気で考えさせられました。
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【人生、これ1冊。】
.
この本を読んだかどうかで
それ以降の人生の見え方とか捉え方が
大きく変わるなと感じた珠玉の1冊。
小野寺史宜さんは『人』という大ヒット作も
生み出していますが、この人をみた方は
『まち』もぜひ読んでみて欲しい。
淡々と、さっぱりとした文章なのに
どこか平熱を感じさせる温度感。
一度読み始めたら、手がとまらず
「主人公をとりまく環境をぜんぶ知りたい」
と没頭させられる内容と構成力。
主人公の人生を追体験できる本になんて
なかなかめぐりあえませんが
本書は冒頭からそれを体験できます。
人は多くの人によって支えられている。
読んでる自分も例外じゃない。
たとえその人がこの世から居なくなったとしても
支えてもらっていたという事実だけは
自分のなかに降り積もり、重なっていく。
年輪のように。
そして生きていく。
色んなことがある。
挫けることもある。
少しうれしいこともある。
見過ごせないこともある。
憤ることもある。
そんな感情のとなりには必ず人がいる。
人はひとと生きていく。
人はひとと一緒に人になっていく。
人生はひととの出逢いと、別れ
そしてまた出逢うことでできている。
そう確信できる、本当に読んでよかった本
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『ひと』に続いて『まち』
特に何かすごい事件がある訳でもなく、個性的な登場人物がいるというわけではないけどなんか引き寄せられる作品。『ひと』で出てきたお店も出てきてほっこりした。
一人一人の人物描写が丁寧に描かれてる。
主人公が素直でいい子。
じいちゃんも好き!
じいちゃんの頼る側じゃなくて頼られる側でいろ。人は大事にな。
というフレーズが私はすごく響いた。
この作者の他の作品も読みたい。
何が良いのだろうか…
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心温まるという言葉がしっくりくる。
台詞や言葉だけではなく情景や心情の描写が心地よく、とても響く。
読んだ人すべてが、瞬一の今後を楽しみに本を閉じると思う。笑顔で。
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おじーちゃんと孫の素敵な関係。
そして周りの人たちとの関係。
友達とは言えないけど…
知り合いとも言えないけど…
小さなつながり、関係を大切にしろ。
と教えてくれるおじいちゃん。
両親を小学校3年生の時に火事で亡くしてしまった瞬一。おじいちゃんと村の人たちで育ててもらい、温かく見守ってもらっているのが伝わってくる良い物語でした。
そして老い行くおじいちゃんは、瞬一の先の先までを考えてくれて、高校を卒業したら東京へ行けと。
理由は何でも良いと。
そこに口出しはせず、暖かく見守るおしいちゃん。
全てが人情味あふれる素敵な物語でした。
そして、私も頑張らなくちゃ!
って思わせてもらえる、そんな物語でした。
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じいちゃんの胸に刺さる言葉がいくつもあった。
身内でも何でもない人の長所を素直に認め、自分ではなくその人のようになれと言えるじいちゃんのような人に、僕はなりたい。
人を殴っていいのは自分の命が脅かされたときだけ。
『頼る側じゃなく、頼られる側でいろ。お前を頼った人は、お前をたすけてくれるから。たすけてはくれなくても、お前を貶めはしないから。』
『人は大事にな』
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江戸川区の筧ハイツシリーズ。主人公の部屋はB201号室。
主人公は江藤瞬一くん。高卒で群馬の山村から上京して5年の23歳。アルバイトで生計を立てて日々、地道に生きています。
人生の方向を決める。それはまったく焦る必要などないことです。生きるスタンスさえ間違えなければ、それでいいのです。
ゆったりと、そして濃密な瞬一の1年間を描く青春小説です。
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「ひと」との連作なだけあって、今作もじんわりと心を暖めてくれる物語。何か大きい出来事が起こるでもなく、日常の中での出来事や人との関わりによって、主人公・瞬一の人生が少し好転する話。
人との出会いは人を形成する。前作に続いて、著者からのそんなメッセージを感じた。
過去は現在にとって遠いものではなく、現在を侵食し現在をかたちづくるもの。過去にあったものも、人も、無くなってもそこにあったことに変わりはない。自分が体験したことに、変わりはない。——「人が亡くなっても、人は生まれる。じいちゃんが亡くなっても、多聞の子は生まれる。そんなふうにして、人は入れ替わっていく。村は変わらないが、人は変わっていく。でも変わらないものもある。村にじいちゃんはいた。そこで生きてた。その事実は変わらない。」——この言葉が印象的だった。
じいちゃんは亡くなっても、じいちゃんの教えが瞬一の身体にしっかり染み付いている。両親が亡くなって、瞬一に両親との思い出が全然なかったとしても、両親の中には息子との思い出が死んでからも残り続ける。絶対に忘れることはない。そういうことを改めて言葉にされて、胸に深く沁みた。
前作に続き今作でも主人公は真面目で真っ直ぐな人で、でもお涙ちょうだい的なわざとらしさを感じさせない文章を書くのが、すごく上手い作家だなと思う。淡々と進む日常に、共感しつつ読み進めるうちに、だんだん心がぽかぽかと暖かくなっていくような作品。
Posted by ブクログ
ほっこりとした気持ちになりました。
こんな息子がほしい!いや、今時こんな子いないのでは⁈紀介さんみたいに育てられません!
淡々と日常が描かれていて、でもその中にぷっと笑えるエピソードがあったりして、平和だなぁと感じる作品でした。
今回も「ひと」に続き、人との繋がりを大切にすることの幸せを感じました。
このシリーズまた読もうと思います(*゚▽゚)ノ
Posted by ブクログ
読み終わってほっこりしました〜
小野寺忠文さんの小説は『ひと』をだいぶ前に読んで今回が2作品目になります。
コロッケ屋が出てきた時に、久しぶりに知り合いに会った感じでおぉ〜とほっこりしました^_^
小説で他の小説の登場人物が登場するの結構好きです^_^
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この本のタイトルである『まち』はどういう意味か考えてみる。
「むら」ではなくて「まち」
東京の町は全てを知ることができない。お隣さんもある程度距離を保たないといけない。けれど、バイト先、隣人、同じ村出身の同級生、そして大切なおじいちゃん…一緒に食べた蕎麦屋さん、たまたま合流して走った川沿い、全く知らない町の中に少しずつ思い出と想いが積み重なる。
単なる町ではなく、思入れのある「まち」
同じ町でも、人それぞれ違う「まち」
私はタイトルからそんなことを考えました。私にも大切な「まち」があるなと、穏やかな気持ちになれました。
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主人公、江藤瞬一は小学3年で両親を火災で亡くしトラウマを抱えながらおじいちゃんに育てられる。高校卒業時に「人の中で生きていける人間になれ」と言われ上京しアルバイトをしながら成長していく物語。
※頼る側でなく頼られる側になれ。お前を頼った人はお前を助けてもくれる。助けてくれなくてもお前を貶めるようなことはしないから
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早くに父母を火事で亡くし祖父に育てられた瞬一は、祖父に勧められるまま高校卒業を機会に東京で暮らすことに。特に目的もなく、進学でも就職でもなくアルバイトをしながら過ごす瞬一が、隣人やバイト先の人々と知り合う中で考え成長する物語りだったと思います。淡々としたややそっけない拙い語り口ながら、主人公や周りの人々が思い考える様子が丁寧に表現されているように感じて好印象でした。星4つです。
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群馬で歩荷をしていたじいちゃんに育てられた瞬一。彼の東京での暮らしが描かれていました。
文中に「川はどうだった?」「流れてた」と言う表現がありました。その言葉と同じ感じがした小説でした。当たり前のことが大切で、人を思いやることなんだと言われている感じがしました。
瞬一が体格に劣らず、心持ちがしっかりしていたのは、きっとじいちゃんのおかげだと思いました。頼れる人に助けてもらって、東京での生活を始めた彼が、徐々に助けられる人になっていく様子が伺えました。きつい仕事をきっちりこなし、育ててくれたじいちゃんの影響は大きかったと思いました。
アパートの人達、バイト先や郷里の同級生、誰にも分け隔てなく正直に向き合う瞬一。彼が徐々に人の輪を広げていく様子は、誠実だからこそのような気がしました。
途中、おかずの田野倉でコロッケを食べるシーンがありました。このシリーズの繋がりを感じることができ、なんだか嬉しくなりました。
瞬一がこれから目指す道は、以前では考えられなかったことでしたが、まちに出て人に頼られる人になってほしいと言うじいちゃんの願いが、叶えられそうで嬉しく思いました。
装画は、河川敷からきれいに見えるスカイツリーがとても印象的です。瞬一もきっとこんな感じの好青年なんだろう、と思いました。
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淡々とした流れ、内容だがなんか心地よい。
穏やかな川の流れを見ているような、きれいな車窓からの風景を見ているような、そんな気持ちにさせてくれる。
コロッケの田野倉が出てきたのも、前作との繋がりがあって良かった。
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淡々と流れて行く東京暮らしのなかで、人の温かさをほんのり感じる小説です。
みんな普通の人なのでドラマチックな事は起きませんが、これで良いと思う。
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よかった。
群馬から東京に出てきた青年と隣人や祖父との交流を描いた物語。
物語の空気感がとても良い。
何気ない日常なのに柔らかくあたたかく、読んでいてどこか安心するし元気になる。
捨てたもんじゃないなって思える。
☆4.2
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実にシンプル、というか飾り毛のない話だけど、瞬一の「真っ直ぐさ」が実に清々しい、一冊。
若いってなんか歯がゆいけど、それがいい。実直さをじいちゃんに教えてもらった、田舎から出てきた若者が過ごす東京での生活、面白い!
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やはり、面白い。前作の「ひと」が面白かったから期待して読んだけど、間違いなかった。
真っ直ぐな主人公が気持ちいい。歩荷のおじいさんの暖かさが沁みる。
両親を亡くし、尾瀬の荷運び・歩荷を営む祖父に育てられた江藤瞬一は、後を継ぎたいと相談した高三の春、意外にも「東京に出ろ」と諭された。よその世界を知れ。知って、人と交われ――。それから四年、瞬一は荒川沿いのアパートに暮らし、隣人と助け合い、バイト仲間と苦楽を共にしていた。そんなある日、祖父が突然東京にやってきて……。孤独な青年が強く優しく成長していく物語。
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ドキドキするような事件が起きるわけではないのですが、淡々と真面目に生きている瞬一くんが素敵でした。家事で両親を亡くし、歩荷で生計を立てる祖父に育てられる。天涯孤独なってしまっても、暗さは感じない、未来があるところが良い!
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特別に刺激的なことが起こるわけでもないけれど、平凡というわけでもない。小3の頃に火事で両親を亡くし、祖父に育てられた瞬一。
片品村から東京に出て、引越しのバイトをしながらアパート暮らし。
祖父の仕事が、「歩荷」というのは、珍しかった。そして瞬一の住むアパートが、江戸川区の平井にあり、その周囲を散歩する時の地名や川の名前に親しみがあって、頭に地図を思い描きながら読めたのが面白かった。
こんな風に自分の住む周りを散歩してみたくなった。
祖父が瞬一を手元に置かず、東京に送り出した理由や、高卒での瞬一が、進学や就職の目標を持たずに、東京でバイト生活を続けながら、ある目標を持って動き出すきっかけ。
そこにぐっときた。
Posted by ブクログ
出た!田野倉のコロッケ!
いつもながらの小野寺史宣ワールドに心地良く身を委ねて一気読み。幸せな読後感。
親を早くに亡くす主人公が多い気がするのは気のせいか。皆、たくましく、人に恵まれて成長していくのが気持ちよくはあるのだけれど。
Posted by ブクログ
ウィンウォーン
今回の作品もたくさん出てきてこの音の表現がすごく好き。
この作品もしかり今まで読んだ小野寺先生の作品はただ日常生活の中にある出来事や流れていく時間を描いてる作品だけどその中にある心の描写や人間同士の繋がりがなんとも言えない感じで好きです。
東京の話だけどこんなまちでこんな人たちに出会えて生きていけたら心が穏やかに過ごせそう。
おじいちゃんの生き方には感銘を受け、ただただ尊敬しかないです。
家族との時間は短かったけど強く生きていけるように大事なことを教えてもらったんだと思います。
Posted by ブクログ
前作の「ひと」同様、登場人物に良い人が多く読んでいて心が温まる。今作だと徳三さんのキャラクターが好きだった。
両親を失った青年という点では「ひと」と同じだか、柏木聖輔は人に助けてもらう印象が強かった一方で瞬一は人を助ける印象が強かったような気がする。
第3作の「いえ」ではどうなるのかも楽しみだ。
自分も名古屋に来て今は1人だが職場の人達にも恵まれてそれなりに楽しい生活を送れている。ただ、それとは別で隣人や同じアパートの人との繋がりがあったら楽しいのだろうなと思う。
次に引っ越す家ではちゃんと挨拶に行こう。
作中に前作で聖輔が働いていたおかずの田野倉が出てきたことも嬉しかった。