金子浩のレビュー一覧

  • 隣の家の少女

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    両親を事故で失い隣人のルースに引き取られたメグに恋をした12歳のデイヴィッド。ルースによりメグは地下に監禁され子供達から暴行を受けるが、デイヴィッドは傍観することしかできない。

    海外小説はあまり読まないので馴染みのないシーンも多いが、テンポがいいので読みやすかった。
    …善悪の判断を失っていく子供達の暴力は怖い。

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    2025年08月15日
  • 隣の家の少女

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    パラノイアの暴走は誰の手にも負えない。
    ただ関心領域の内外を往復するうちに侵食されていく。そしてそれは読者も巻き込んでいく。読後の罪悪感はこれ以上ないに等しい。

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    2025年03月13日
  • 冬の子 ジャック・ケッチャム短篇傑作選

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    ネタバレ

     2018年に物故したジャック・ケッチャムの短篇集3冊(未訳)から、翻訳者の金子浩氏が19篇をセレクトした日本オリジナルの傑作選。暴力や死、オフビートなお馴染みの作品世界はもちろんのこと、超自然的要素や幻想味に満ちたものなど、この作家の違った顔も堪能することができる。

     大雪の続いた2月の夜、父子の住む家のドアをノックした少女は口が利けなかった……という表題作は、ケッチャムの代表的長編『オフシーズン』とその続編『襲撃者の夜』との間に起きたエピソード―ということで、何れかを読んだ人間ならばその後の展開も凡その察しは付くだろう。
     その他、不治の病に罹った女流作家が死後も自作を生かすために行なったある凄まじい依頼(「作品」)、レズビアンのカップルがキャンプ中に男につきまとわれる。実際の事件を題材にした掌編「オリヴィア-独白」、コールガールと客の男との会話が意外な展開を見せる「聞いてくれ」、レストランで起きたある事件の数十分前からの人間模様を描写した「二番エリア」、妻との関係悪化を零す男の話を聴くセラピストは、患者の夢の話に不安を覚える(「八方ふさがり」)、西部開拓時代、その日の馬車襲撃に失敗した強盗団は火を囲み"ツキのない奴"について語り合う(「運のつき」)、老教授が語る暴君のような父親と、母の死の謎(「暴虐」)、SF同好会の定例会に講演で招かれたホラー作家の受難(「三十人の集い」)、骨肉腫を患った妻と夫、そして猫との最後の日々(「永遠に」)、ハリケーンが去った後、蛇恐怖症の女性の庭に現れた大蛇(「蛇」)など、暴力や不条理、唐突な死、そして苛酷な状況に抗おうとする人間―特に女性―の姿を描写するのは、他のケッチャム作品でも馴染み深い。

     その一方で、見知らぬ男性のプレゼントの箱の中を覗いたことで息子に、そして家族に起こる悪夢(「箱」)と、ある事件から子供を避けていた女性が、初めてハロウィンで子供たちを迎えようとする「行方知れず」のブラム・ストーカー賞短編賞受賞の2作をはじめ、事故死した男が自堕落な生活を続ける妻を幽霊となって叱咤するが、男が戻って来た本当の理由とは(「帰還」)、話題のホラー映画が映画館でもビデオでもどうしても観ることができない男の運命(「未見」)、年を取らなくなった女性が恋人に語った数奇な人生(「歳月」)、ゾンビが跋扈する世界、男は妻の死後も妻が寝ていた病院の同じベッドを見舞い続ける(「見舞い」)など、既刊の長編では殆んどない超自然的要素や幻想に満ちたもの、"奇妙な味"と呼べる作品もあって、代表作の印象が強烈なケッチャムという作家のイメージが心地よく裏切られる。とはいえ、唐突に登場する暴力や死、そこに併存する静謐さや物悲しさは紛うことなきケッチャムの作品世界ではあるのだが。

     400㌻強で19篇収録ということで作品はどれも短め(4㌻の掌編と言える作品もある)で、既刊で長編(中編集も出ていたが)に読み慣れた人からは「物足りない」「ケッチャムはやはり長編がいい」とのレビューも見かけるが、個人的には―あの悪名高い代表作2編の凶悪な印象で二の足を踏んでいる―ケッチャム未経験の読者には、最初に手に取るには格好の1冊なんじゃないかと思うし、「以前に他の作品は読んだけどケッチャムは苦手」という人でも、この傑作選はそれなりに愉しめるのではないかと思えるのだが。

     特に掉尾を飾る、プレスリーのゴスペルソングからイメージを得たという「炎の舞」の幻想的な静謐さは、ケッチャムの従来作品からのイメージを確実に上書きするのではないだろうか。

     これが刊行されたの機に、現在絶版気味になっているケッチャムの過去作品が再版される流れになったら、より嬉しい。

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    2025年03月01日
  • 老人と犬

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    老人と犬、それぞれが見せる愛情のかたちは人の手と手で成せることのように動物と人間を隔てる何かがあるが、だからといって理解できない訳ではない。老人は犬から何を理解し、犬は老人から何を理解したのか。

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    2024年06月11日
  • 闇の中をどこまで高く

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    途中ちょっとわからないなと思っても、最後まで読みきればきっとパラパラと読み返したくなると思う。語り手が章ごとに変わり、後の章で次々繋がる楽しさ。色々繋がりすぎて相関図が欲しいくらい。
    書籍紹介からコロナ禍を意識した内容かと思ったがそうでもなく、SF全開で、出てくる日本も日本であって日本ではないのが面白い。
    脳に特異点を生じさせブラックホールを作ると言う話もある。意味がわからないと思うが、とりあえずでも読めば、そこから壮大な宇宙の話を垣間見ることができる。途中謎が多いからこその最後のまとまっていく感、よかったなあ。

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    2024年04月10日
  • 闇の中をどこまで高く

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    ネタバレ

    日系アメリカ人の方が書いているからか、日本人名や地名が多く出てきたし、一貫して家族との別れと向き合う物語だった。

    章ごとに語る人物が変わっていき、脇役だった人の数年後の視点になってたり、後々にリンクしてさっきのあのキャラがこんな所に出てきた!って楽しめる。

    1つ1つの章が短いし、疫病が流行った世界での対策がどんどん進んでいく過程も面白いし読みやすい。
    特に笑いの街と豚息子は悲しくて仕方なかった。
    最後の章で、ある装飾品を持っている人が度々変わるなと思ってたけどそういう事か!と納得
    読み終わってから何度か読み返してしまった。

    カバーはめちゃくちゃカッコイイし、タイトルもマッチしててジャケ買いしたけど大当たり!
    終末ものが好きならおすすめ

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    2024年03月20日
  • われらはレギオン1 AI探査機集合体

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    ネタバレ

    初めて目にした時から読みたかった作品。
    1巻の時点で、
    「機械での人格のエミュレート」、「蘇り」、「自己の複製(コピー)」、「外宇宙探査」、「宇宙空間での戦闘」、「(人類以下のレベルの)知的地球外生命体」、「(人類以上のレベルの)(おそらく敵性の)知的地球外生命体」、とアイディアを出し尽くしたんじゃないかというくらいの盛りだくさんの内容で、最初から最後までダレることなく面白い。

    主人公のボブには共感する部分が多く、どんな状態でも前向きで楽しんでいる様子や常に頭を使っている点は自分も同じだろうと思って、イライラすることなく読んでいられた。
    明るく前向きとは言っても、目が見えない(カメラがオフライン)場面では「多くの楽しいことが出来なくなる」と落胆しており、ただ底抜けに明るいだけではない(でも絶望したりはしない)点も共感するところであった。

    オーストラリアの探査機のAI人格が感覚を遮断されて狂いそうになっている点や、ボブ達は仮想空間で肉体と感覚を再構築したためにまともでいられたと振り返っているところに、元人間が人間としての記憶を残したまま機械の中で生きることの難しさを表現している。
    同じく、AI - 人間間の感覚の差異として問題となりそうな人格のコピーについては、「かなり似ているけれども異なる人格になる」という上手い解決法を示している。全く同じ人物が増えていく(= 同じ方向と意思を持って勢力を拡大していく)ことを予想していた自分としては、これは以外で面白い発想だった。
    本質的な部分では多くのボブ達が理解し合えるだけの相似性を持ちながら、相性の違い(イヤなやつも生まれてくる)も同時にあるのは面白い。ボブ達がコピーを作ることに余り熱心で無いことも人間くささを感じさせるとともにキャラクターの増加を抑える効果を与えている。

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    2024年02月27日
  • 隣の家の少女

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    鈴木に誕プレでもらって読んだ。

    導入がワクワクした。そっから昔話に入ったはじめのころの話で子供の綺麗さとか無邪気さを感じて導入部分との乖離が良かった。そっから事件の内容に進んでいくのも良かった。
    けど事件内容の後半の方は現実離れ感が強くて^^って感じになった。
    主人公の立ち回りとか、流される雰囲気どうこうに関する感想は特にない。
    それよりも導入から事件に触れるくらいのところが一番よかった。
    あと,主人公のあの立場でよくも導入の言葉が言えたなと^^
    パフォーマンスのように自分を否定してそうでしてなさそうな雰囲気がすこ

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    2023年10月18日
  • 襲撃者の夜

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    「オフシーズン」の続編。食人族再び。

    前作で全員死んだと思われていた食人族の一人が生き残っていて、新たな一族を率いて、再び襲撃に。前作ほどのインパクトはかけるけれど、それでも十分に恐ろしい。

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    2025年12月03日
  • マザーコード

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    500ページ越えの長編なのに、読む手が止まらないくらい面白かった。タイミングがいいのか悪いのか、コロナウイルスの蔓延と重なったせいで余計に身に迫るような恐ろしさを感じるけど、だからこそ今このコロナ渦の時に読むべきだとも思う。現実のウイルスよりも人間が意図的に作ったバイオ兵器の方が容赦の無い結果を生み出していたので、コロナが本当に茶番や陰謀などの誰かの計画だったら、現実も人類滅亡するのかもしれない…と考えると、なかなかにゾッとする。
    後半というか終盤はもうエピデミック云々よりもロボットと人間の繋がりというか、母と子供の絆みたいな方向に行き、それはそれで面白かった。少子化がどうの毒親がどうのと言われることが多くなりつつあるけれど、やはり子供にとって一番の味方は親であって欲しいし、前の世代が行ってきた様々なことを未来へ繋げるために次の世代を大事にしていくべきなんだな、とも感じた。

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    2023年01月16日
  • 地下室の箱

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    「ディズニーは絶対にジャック・ケッチャムの小説を映画化しない。」スティーブン・キング

    「ケッチャムはキング氏が間違っていることを望んでいる」帯文

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    2022年04月22日
  • われらはレギオン1 AI探査機集合体

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    人類が他星系へ進出するための現実的な考察、方法論が描かれていて、非常に面白く読めました。いわゆるシンギュラリティを迎えた後は、他星系探索などにおいて時間的空間的制約を乗り越えるためには、人類の活動はある程度AIにまかせるようになるのではないかと感じました。主人公たちの愉快な性癖なども親しみを増してくれると思います。

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    2021年10月24日
  • 火星無期懲役

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    先に読むのは”火星の人”にして。

    こちらは、秋に片足残したくらいの
    平日、仕事切り上げた午後。
    そぼふる雨に吹かれながら読むのがいい。

    3億キロの距離も、
    幾分かは近くなっている様な心持ちは
    私だけか。

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    2021年07月05日
  • 物体E

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    エンタメ作品としては優秀。個人的には満点をつけたい。

    全体を通して海外の吹き替えドラマを見ているような雰囲気があり、
    皮肉のきいた台詞やユニークなキャラクターなどそれが随所に感じられる。

    本書はそのキャラクター作りがとても上手い。
    主人公や同僚たち、元恋人にいたるまで、丁寧かつ大胆に描写されている。
    なので俗っぽい動機やぶっ飛んだ行動に、ツッコミを入れながらも納得ができる。
    スリルがありハラハラさせられる展開もさすがだ。

    とても楽しく読ませてもらった。
    あらすじを読んで惹かれた方は、ぜひ読んでみてほしい。

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    2020年06月24日
  • われらはレギオン3 太陽系最終大戦

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    三部作の最終巻。ボブ達は500人くらいに増えて、冒険したり、恋愛したり、地球を防衛したり、お節介をしたりと忙しい。あとがきでは、このシリーズで新刊も予定されているらしい。これだけ魅力的な世界を作ってしまったら、色々と書きたい話も出てくるだろうと思う。

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    2019年09月14日
  • われらはレギオン1 AI探査機集合体

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    3部作か…ついていけるかなと不安になりつつも購入。でも大丈夫でした。相当面白いですこれ。完全にわたし向け。今2巻目めを読んでいます。どう展開していくのかとても楽しみ。

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    2019年07月10日
  • 火星無期懲役

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    本作の特徴を箇条書きにすると以下の通りだと思う。
    ・SF
    ・ミステリ
    ・火星
    ストーリーを一言でいうと、生きているうちに刑の見込みがない囚人を即席でトレーニングし、火星に送り込んで、NASAの正式な探査チームが到着する前に、恒久的な火星基地を建設させる。
    こういうものです。

    そして、これをNASAから請け負っている企業があって、その企業が所有している幾つかの刑務所から囚人を選び出しているのです。

    これっておそらく、欧米では旧来、囚人を訓練して軍人とし、戦争に送り出すという習慣があるから発想されるのかな。日本ではないですよね。
    しかし囚人、しかも死刑囚とか途方もない懲役刑(これも日本ではないけど、アメリカでは刑罰を累計して100年以上の懲役を科されている囚人がいるわけです)を科されている囚人から、減刑などと引き替えに志願させるとい形を取るわけで、ここが大切。
    どんなにその後の扱いがひどくても、「本人が志願したのだ」と言い抜けられるのです。
    人権問題にうるさい欧米でもこれは有力な言い訳になりますね。

    そう。扱いがとてもひどい。何しろ普通は何年も訓練するだろうところ、「半年で」訓練を終えるんです。
    当然、訓練が足りているとはいえない。
    囚人は普通の宇宙飛行士と違い、冷凍睡眠で、貨物として宇宙船に積み込まれ、華やかに送り出される事がありませんし、氏名も公開されない、というかそういう囚人がいるという事さえ公開されません。名誉とは無縁です。
    そして、火星で必要となる資材はぎりぎりのものしか送り込まれていない。
    そう。破損していたり故障していたりしても、予備がないんです。
    これはどうよ。火星ですよ。まだ何もなくて一から建設しなきゃいけない。なのに、予備も余裕もないのです。
    人員もぎりぎりで、互いの技能をカバーできる人員は一名しかいない。
    たとえば、主人公は建設作業の監督なのですが、同時に運転手のサブとなる事を命じられます。
    資源はまず、「食糧と水、空気も足りなくなる」というところから判明します。
    ちょっとー? と思うでしょう。
    そして電源補助となるべきソーラーパネルの半分くらいが破損して到着している事がわかります。
    さあ来た。
    食糧、水、空気に加えて電源。
    なんでも電気で動く(バギーだって電気自動車)である事を考えますと、これって生き延びられない可能性が限りなく高くなっていますね。
    なんとか電力をやりくりし、基地の建物を完成して空気製造器を動かして与圧し、水生成装置で水を作って水耕栽培の農園を起動しなければ食べるものもない。

    はい。サバイバルものが好きな方にはまことに好適です。

    そしてこの過酷な環境のなか、ひとり、またひとりと仲間が死んでいくのです。
    過酷な環境なんだから、誰かが命を落としても仕方がないよね。最初は誰でもそう思うでしょうが……。
    次第に、その死亡状況が怪しいという事に主人公は気付きます。
    いったい誰が仲間を殺しているのか。
    実は主人公、仲間をスパイして背中を守ってくれれば、一緒に地球へ連れ帰ってやる。
    監視役の、唯一の非囚人である社員の男からそう持ちかけられていました。
    だから、厭でも犯人を見つけるべく動かないといけないのですね~。

    囚人たちは、「囚人」というラベリングで十把一絡げにされているけれど、主人公が建設作業に詳しいように、あるいはプロの運転手であり、あるいは医者であり、あるいは天才的なハッカーであり、というように、それぞれが得がたい専門知識を持った人です。
    しかし囚人である。
    それも、重罪を犯して非常に長期の刑を言い渡されている。
    だから、会社側は、使い捨てて全然OK! というスタンスなのです。
    だからこそ訓練期間は短く、資源もぎりぎりのものしか届いていない、という事もわかってきます。

    さあ。いったい火星基地はどうなるのか?
    面白くないわけがありませんね。

    各章の冒頭には、会社の社員同士の会話や、プロジェクトの責任者が担当取締役と思われる人物に報告しているシーンなどが、「××××ファイルの書き起こし」という注意書きつきで添付されています。
    ここに、物語の謎を解く鍵が記されているのですが、それはパズルのピースのように、年月日もシーンもばらばらになっています。

    本作はSF文庫に入ってますが、ミステリ文庫の方でもなんら問題がないと思う。
    SFもミステリも好き、という人にはこたえられませんよ。

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    2019年06月03日
  • 無伴奏ソナタ〔新訳版〕

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    「エンダーのゲーム」を代表作に持つSF作家の短編集。同著には「エンダーのゲーム」の短編版も収められているので、著者の作品未経験者には入りやすい一冊かもしれない。

    外国のお伽噺から残酷フィルターをとっぱらったかのような作品がとにかく上手い。人体が欠損しまくる話が特に面白く、「王の食肉」と「無伴奏ソナタ」はここ数十年間のSF短編の中ではトップクラスに面白かった。

    是非、荒木飛呂彦に漫画化してほしい「四階共用トイレの悪夢」などバリエーションのある理不尽さが書けるのも凄い。

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    2019年04月09日
  • われらはレギオン2 アザーズとの遭遇

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    今年のSFで
    一番面白いんじゃない?(SF自体そんなに読んでないけど)
    事故で死んでAI(電子頭脳)になって、滅亡しかけている地球から、新たな惑星開発の使命を受けて探索し続けるボブとボブのクローン達の
    文字通り群像劇
    謎の敵が現れ宇宙戦争モノになるかと思いきや
    地球の人類滅亡すべき党の残党対策に追われたり
    サイボーグ開発、新たな星でのファーストコンタクト(歓迎されないことが多い)
    出会いや別れなどなど盛りだくさんで進む。

    「老人と宇宙」「火星の人」を読んでからだとさらに楽しめます。
    10月が待ち遠しい…

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    2018年07月10日
  • われらはレギオン1 AI探査機集合体

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    「老人と宇宙」「火星の人」のいいとこ取りをしたようなユーモアありの本格SF って感じで読み進めてたら、あとの解説でまんま上記に二作の名前が出てきて苦笑い。サクサクっと展開していく感じがいいし、マルチタスクのボブ達の掛け合いが面白い。
    三部作でそろそろ二作目が出るけど
    三作目が出る頃には読み直さないいけなくなりそう
    どのボブがボブだか…

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    2018年06月27日