金子浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『エンダーのゲーム』の前身と思われる同名タイトルの短編を含む11の短編集。もしかしたらこの作家は短編の方が上手かもと思うような、クオリティの高いものばかりでした。
本のタイトル作について。
生後6ヶ月で受けたテストで見せた音楽への“天才性”により、クリスチャンは音楽の<創り手>となることを定められる。
彼は両親から引き離され、自然の中で聞こえる鳥の歌や風の歌、雷の音、つららから落ちる水滴の音、リスの鳴き声といった音楽を与えられた<楽器>のみで奏で、そして<聴き手>はそれらに聴き入る。
<創り手>であるクリスチャンは<聴き手>になることは許されないのであるが、ある時一人の<聴き手>がクリスチャ -
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近未来のバンコクを舞台にした物語の下巻。エミコたち「つくられた生き物」と、もとからいる人間とで構成される街では、あやうい均衡を保ちながら政治闘争が繰り広げられ、その均衡がついに崩れることに。生き残りを図る人々を描く下巻では、物語が進むにつれ、アンドロイドを開発した日本人の意図が明らかになります。上巻でエミコは、受けた教育と自分の中にあるものとの間にずれを感じていました。エミコの葛藤が何だったのか、読者はようやく知ることができます。真実が明らかになり、報いを受ける段になっても、顔色ひとつ変えない。こうした日本人の描き方からは、とらえどころのなさ、ある種の不気味ささえ、国際社会が抱いているように思
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Posted by ブクログ
今注目している作家の一人。SF作家さんだけど、学生時代は東アジア学を専攻し、経営コンサル経て、環境専門雑誌の編集をしながら執筆を続けているそう。
『ねじまき少女』から思っていたけど、場面の空気を描くのがすごくうまいと思う。『ポケットの中の法』や『イエローカードマン』なんかは読んでいると自分の周りすらジトジトしているような気になる。土地のにおいがしてきそう。
環境問題にも造詣が深く、そのせいか物語もディストピアが多くて若干気が滅入るかも。でも目が離せない。
SFをやっと数作読んできたけど、科学技術単品を軸に進む物語より、その技術で社会や人間がどう変わったか、みたいな部分の割合が多めの作品が好きみ -
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本書は著者の長編デビュー作。
しかしデビュー作にも関わらずヒューゴー賞/ネビュラ賞/ローカス賞/キャンペル記念賞とSF界の様々な賞を受賞。
そしてそれだけに留まらず、タイム誌の「今年の10冊」で9位にランク付けされる等、SFと言う比較的ニッチな世界にとどまらない作品となっています。
簡単にストーリーをご紹介すると、
本書の舞台は温暖化効果と遺伝子工学の暴走により環境が激変した500年後の地球・タイ王国。
この舞台において、蘇りつつあるグローバル経済を主導しようとする多国籍企業とそれと敵対するタイ王国環境省及びその実働部隊、通称白シャツ隊。
そして、白シャツ隊と敵対するタイ王国通産省の三 -
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本書は著者の長編デビュー作。
しかしデビュー作にも関わらずヒューゴー賞/ネビュラ賞/ローカス賞/キャンペル記念賞とSF界の様々な賞を受賞。
そしてそれだけに留まらず、タイム誌の「今年の10冊」で9位にランク付けされる等、SFと言う比較的ニッチな世界にとどまらない作品となっています。
簡単にストーリーをご紹介すると、
本書の舞台は温暖化効果と遺伝子工学の暴走により環境が激変した500年後の地球・タイ王国。
この舞台において、蘇りつつあるグローバル経済を主導しようとする多国籍企業とそれと敵対するタイ王国環境省及びその実働部隊、通称白シャツ隊。
そして、白シャツ隊と敵対するタイ王国通産省の三 -
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ネタバレ「オフシーズン」の続編。あの凶行が再び。
今回の人肉レシピも吐き気がするほど。
しかしオフシーズンよりは恐怖感が薄かった。オフシーズンに続けて読んだので、あの空気に慣れてしまったのか。
また食人族が襲ってくるのだが、狩の仕方はオフシーズンよりさらに手が込んでいる。
食人族はもう、かけ離れすぎて同じ人間とは思えないのだけれど、狩のやり方を読んでいると知性を感じてぞっとしてしまうのである。いっそ、知性のまったくない、野獣として狩をしてくれたほうがよっぽどマシだった。
そういう意味では恐ろしかったのに、全体的に見ると「あれ、前ほど怖くないな」という感想。
後味の悪さもオフシーズンのほうが上だった。 -
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ネタバレまずジェィディーがあっさり処刑されてしまったのがすごく残念でした。
しかし亡霊となってカニヤに付きまとってたせいであまり死んだ感じがしなかったんで少し嬉しかったです。
あの後ジェイディーがちゃんと成仏してくれていることを願います。
カーライルがナーガの鱗をなぞりながら階段をのぼる場面や、戦闘用メゴドントがホク・センを襲う場面など細かな場面まで書かれているので映画をみているようでした。
特にエミコがソムデット・チャオプラヤを殺す場面ははっきりとは書かれていませんがスピーディーで爽快でした。
正直世界観や種子バンクのことは半分分かったような気がするレベルでしたが、
登場人物が個性的でギ・ブ・セ -
Posted by ブクログ
SFはまったく読んだことがなかったので、世界観についていけるか不安だったのですが無用の心配でした。
最初はこの世界の用語が多すぎてなにがなんだか訳が分からない状態でしたが話が進むにつれ個性的な登場人物と結構エログロかつアクティブな展開のある話に引き込まれました。
意味不明の用語も何度か使われるうちになんとなく意味が分かってきて、
普段は現代日本作家しか読まないので目新しい読書体験でした。
日本ではねじまき少女のあとに発売された第六ポンプの方が、執筆順は反対だったみたいなので、先に読んでおけばよかったかと思いました。
下巻どうなるかすごく楽しみです。 -
Posted by ブクログ
食人族の恐怖を描いた『オフ・シーズン』『襲撃者の夜』に続く続編的な内容。
ハンティングに出かけた弁護士のクリスが半裸の女(ザ・ウーマン=食人族)を見つけ、自宅の倉庫に手足を拘束して監禁。自分の家族も巻き込んで、ウーマンを家畜のように飼育し始める。レイプはするわ、暴力は振るうわ、やりたい放題だったが、もちろんウーマンの反撃を食らうことになり…。
3作目にして初めて、食人族に肩入れしてしまった。それほど、クリスと息子のゲスでクズっぶりが酷かった。
後日談を描いた「カウ」も収録。こちらの結末はおぞましいの一言。こんな状況になったら、男としての自信、いや人間としての誇りを失いますね。