金子浩のレビュー一覧
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舞台は1981年、避暑地デッドリバーに一軒家を購入したカーラは親友を招いて過ごそうとしていた
そんなデッドリバーの海岸に大怪我の女性が打ち上がる
「いきなり野生児のような子供達に襲われて逃げる為に崖から飛び降りた」
警察は以前にも似た証言があったことを思い出し、最近起こっている行方不明事件と関係あるのではと捜索を始める
一方カーラを含めた男女6人が別荘に揃った
惨劇が始まる
Sキングが絶賛らしいグロホラー。何か映画のシナリオを読んでるのかと思うほど舞台や人物配置がソレっぽかった。あまりホラーを読んできていないのでこれがどの程度の完成度、ホラーとしての充実度なのかはわからないがとりあえず
こ わ か っ た
激痛シーン等も出てくるが何よりこの本のホラー要素が何なのか、に最大のポイントがある。それが何かわかってしまうとやや減点な気がするのでそこに触れられない。
ただ本としての話なのだけど訳が………
「ナイフがいったん下げられ、ふたたび振り上げられた」
↑の文章に耐えられるのなら面白いと思う
僕は若干イラッとしたが…山田さん程じゃないけれど笑
あと序文、読み飛ばしたほうがいいです。 -
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ネタバレスペースオペラバリバリのSFを読んだのは久しぶりのような気がする(映画ではヤマトやらつい最近もマンダロリアン&グローグーを観ているのだが)
宇宙活劇だけではなく転生モノ、AI暴走系、ディストピアモノでもある。多様性や民主主義の勝利もテーマ、そういえば作者はイギリス出身。今のアメリカ人やユダヤ系の作家が民主主義と多様性を扱うのはちょっとばかり説得力がないのかもなぁ。
失敗した→リセットして多元宇宙でやりなおした…の繰り返しは中だるみの元で、500Pはちょっと冗漫のようにも感じたが、後半メリハリ効いている展開になって、盛り返した感じ。
もう少しこなれたら、面白い小説家になるだろうなという予感。 -
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時空を歪曲するシャドウスペースの技術を応用したシャドウエンジンを手に、人類は宇宙へ拡大し、異種文明と接触して戦いを挑み、地球を破壊された。
残された人類は異星人への復讐のみを目的に拠点を確保し、そのためだけの生活を築き上げていた。
その戦士の一人、体制に疑問を持たず鍛え上げられた若い主人公が、ある事件をきっかけに本のわずか体制から逸脱する。
そのちょっとした傷が大きな歪みになり、新たな世界を再構築するきっかけとなっていく。
いや。面白かった。
異文明と接触してほぼ滅ぼされた人類。それがいかに復讐を果たしていくのかと思っていたらかなり違った。知性化戦争的な文明への挑戦かと思ってたんだよな。
全体主義的な軍事最優先の体制に疑問を抱かず、そこで能力を発揮することに全力をあげている主人公。
ディストピアからの脱出というテーマといえばそうだし、多次元宇宙ものといえばそうなのだがきちんとケリをつける結果になっていたし、主人公の内面の変化が必然であってそれもよかった。
異星人側の文明があまり描かれていないのが不満。なぜ、人類を滅ぼしたのかは、言及あったしそこもポイントだったが。
シャドウスペースとか、本編の最大のポイントである「ウィズダム」という全能の紙的な機械知性というか、それの原理とか機能の説明が定義づけられてないのも不満。
お約束的に理解してよねというところであまり説明必要ないと判断してのことだろうけど、そういうところの理屈を聞きたいのだわ。
お約束だけではファンタジーになってしまうと思うし。SFのルールがわからん人には何が何だか分からないまま話が進むのではないか。
何にしろ、展開が逆転逆立ち垂直落下的で、手が止まらん感じだった。
ラストもちゃんと決まってて、ヨシ。 -
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どこで見たか忘れてしまったが、、確か雑誌か何かで知った一冊。最近仕事でドローンを扱うことも多く、SF好きなので自然と購入。
ショートSFならではの最後の続きを予見させるおわりにわくわくする。標題作では子供のいたずらのようなところから、ねずみ小僧的な海賊の姿が見えた時には続き読みたい...!と思った。
エグザイルパークもプラゴミ島という将来ありえなくもない環境とオロクンの超能力じみた設定。オロクンはなんの比喩だろうか。保守的な政治か麻薬か、かりそめの平和か、なにかに依存する世界を揶揄するものだろうか。
クライシスアクターズは陰謀論的な話で、気候変動を信じる信じないにしろ、とっている行動は同じで結局は環境活動に興じているというとんちのようなものにも感じた。形は違えど、親子はよく似ている。
菌の歌、軍団(レギオン)は支配型の未来が成立した世界。SFといったらこのやりすぎ設定が面白いが、技術のゴールは平等な社会だとするとこれって社会主義的な思想に近いと感じる。一方で、渡し守のような、割り切った資本主義構造によって貧富の差が大きくなることも一種の将来として想像しやすい。いずれにしても完全に管理することが可能な技術が出来上がると社会は極端な方向へ向かってしまうような気がする。
SFの面白さを改めて考えると私は読み始めのその世界を探っている感じが楽しい。どんな設定だろう、そういう常識の世界かーみたいな。そこにアイデアも感じるし、何を比喩しようとしているのか、フィクションだからこそストレートに感じる著者の意見が見える。
インタビューにあったキムスタンリーの、「SFには予言と現在のメタファーの二つの働きがある」というのはまさにその通りだと思う。予言としてみたらトンチキな設定かもだけど、風刺する意味では現代そのものだったりする。抽象化・メタ化して現在を投影した世界がSFそのものであり、だからこそいろんな歴史・ 知見が入るし、知的好奇心もくすぐられる。そこが好きなんだなと改めて認識した。 -
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舞台となるのは、人類初の恒星間宇宙船フェニックス号。乗組員は、妊娠可能な年代の女性が80人。このころの地球環境の悪化が進み、人類は宇宙への移民を考えざるを得なくなっていたのだ。
このミッションは惑星Xへの入植となる。地球から出発後、最初の10年は人工冬眠で過ごす。途中の10年は目覚めて活動、このあいだに人工授精により出産、子育てを行う、最後の10年はまた人工冬眠に入って目的地に到着する。
事件は、最初の人工冬眠から目覚めてから数か月後に起こった。船体外部に不審物が確認される。カメラ映像では特定できないため、ふたりのクルーが船外に出て確認を行う。現場に到着した瞬間に爆発が起こる。一人が死亡し、その後にいたもう一人が負傷した。この負傷したクルーが主人公アスカ・ホシノ=シルバである。さらに船内にいた船長ともう一人のクルーも死亡する。さらに爆発の影響で、船の進路がそれてしまう…
作者は日系アメリカ人で、本作の主人公アスカも父がアメリカ人、母が日本人、育ったのがアメリカで日本語はあまり得意ではないという設定である。フェニックス号のプロジェクトは、国際的な共同出資で行われ各国の出資割合に応じ選抜されている。船長がアメリカ、第一副船長が中国出身など、現在の国際情勢の延長が反映されているのだろう。
本作は、アスカたちが候補生時代の話を交えながら進んで行く。この辺は学園モノを思わせる。爆弾犯は誰か、船の進路を戻すことができるのか。ミステリとサスペンスの要素もあって面白い。 -
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2025年ヒューゴ賞中長編小説部門受賞作。中長編なので、比較的コンパクトだがインパクト抜群である。
2要素を組み合わせた近未来SF。要素の1つはマンモスの復活。もう1つは意識のデジタル移植である。
1つ目のマンモス復活は、実際、何年も前から試みられてきている。さて、実際に成功するかというと、そう簡単ではないし、そう近い将来でもないだろう。しかし、遺伝子工学の進歩で実現できる可能性はある。
2つ目の意識のデジタル移植、アップロードについても研究は進められている(cf:毎日新聞2022年2月22日(有料記事:無料で途中まで読める))。なるほど回路については同様のものを人工に作ることは可能だろうが、意識が連続して続くかというと個人的には疑わしいと思っている。が、まぁここは続くものと仮定する。
本作の卓越した点は、2つの組み合わせ方にある。
象の研究・保護にあたってきた生物学者ダミラが密猟者に殺される。しかし彼女の意識はデジタル保存されていた。その意識が、1世紀の時を経て、復活したマンモスに移植される。象について深い造詣を持つ彼女ならば、マンモスの群れが生き延びるよう導くことができるだろう、というのだ。
彼女が守ろうとしていた象は、人間の密猟により、とうに絶滅してしまった。
復活したマンモスは生き延びるための群れの記憶を持っていない。ダミラの知識はきっと群れをよい方向に導いてくれるだろう。
さて、どうなるのか、といえば、ダミラは最善を尽くし、確かに成果もあげるのだ。
だが、1世紀を経てもなお、人間の身勝手さは変わってはいなかった。
復活したマンモスを狙う狩猟愛好家、汚れた金であったとしても資金が欲しい動物保護研究者。さまざまな思惑が絡み合い、マンモス・ダミラは決然と立ち上がる。
設定は奇抜ではあるが、しかしこの物語には強烈な説得力がある。
ラストは希望も感じさせるが、どことなく哀しい。復活したマンモスがどこへともなく去っていく。その後ろ姿が余韻を残す。 -
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食人族の恐怖を描いた『オフ・シーズン』『襲撃者の夜』に続く続編的な内容。
ハンティングに出かけた弁護士のクリスが半裸の女(ザ・ウーマン=食人族)を見つけ、自宅の倉庫に手足を拘束して監禁。自分の家族も巻き込んで、ウーマンを家畜のように飼育し始める。レイプはするわ、暴力は振るうわ、やりたい放題だったが、もちろんウーマンの反撃を食らうことになり…。
3作目にして初めて、食人族に肩入れしてしまった。それほど、クリスと息子のゲスでクズっぶりが酷かった。
後日談を描いた「カウ」も収録。こちらの結末はおぞましいの一言。こんな状況になったら、男としての自信、いや人間としての尊厳を失いますね。 -
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野生の象が絶滅した未来、シベリアでは遺伝子工学で復活したマンモスたちがいた。そこに象の保護に尽力したダミラの意識を一頭のマンモスに転送する。マンモスは保護区で生活しているが初期飼育は人間の手によってであり、野生では脆弱だった。そこで象ではあるが野生の生態を知っているダミラの意識を転送したのだ。しかもダミラが死んだのは1世紀前なのだ・・
これは、ジュラシックパークばりの手に汗握る展開なのか、と思いきやとても静かな人間の、生物の、生き延びる、子孫を残す、ということに対する哲学的ともいえる内容だった。
ダミラは群れの頭となって群れを先導する。
また、ひとひねりある矛盾なのだが、マンモス保護区の維持にはお金がかかる。そこで莫大なお金を払ってハンティングする権利を売っている。
ダミラたち復活マンモス、マンモスハンター、密猟者、の三方向から、種の維持、ハンティングビジネス、密漁といった人間の飽くなき業を描く。密猟者を父として育った少年に希望をもたせる終わり方がいい。
原題:The Tusks of Extinction 絶滅の牙
ヒューゴ賞ノヴェラ部門受賞
著者のレイ・ネイラーは1976生まれ。カナダ・ケベック州うまれアメリカ・カリフォルニア州育ち。ロンドン大学東洋アフリカ研究学院で国際外交楽の修士号を取得。ロシアなど世界各地で外交や平和維持活動、国際開発援助に携わった。
象の密漁の実態を知って、この本を書いたということだ。
2024発表
2025.10.10初版 -
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ネタバレジャック・ケッチャム著、金子浩訳、『地下室の箱』のレビューです。
むかし読んだ『隣の家の少女』よりもマイルドな(といっても普通にエグい)内容でした。
被害者は40代前半の美しい女性、サラ・フォスター。不倫相手との子供を堕ろそうと病院に向かっている途中に拉致されます。
モデルというか着想を得た事件があるようで、「箱」が特徴的に使われます。
しかし、原題はRight To Lifeみたいですが、邦訳タイトルは何とかならなかったのでしょうかね。
―サラが徐々に壊れていくさまを想像した。時間がかかるのはわかっていたが、だからこそやりがいがあるのだった。なぜなら、いちばんおもしろいのは壊れるまでの過程だからだ。抵抗の意思がなくなれば、家畜と―牛と同然になってしまう。
―そして赤ちゃんが蹴ったのを感じた。 -
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上下巻まとめての感想。
タイの首都バンコクを舞台にした近未来ディストピア小説。
最初は少し世界に入り込むのに時間がかかったけど、この世界に慣れてくるとだんだん面白くなっていった。
ディストピア小説でありながら、政治劇であり、尚且つ複数の登場人物を描いた群像劇でもある。
国家規模の物語と、個人の物語が同時に描かれていて、はっきりした悪人や善人がいるわけでもなく、それぞれがそれぞれの目的のために行動しているのが面白い。
最終的にそれらの人物が一つに集結する感じもワクワクした。
そして、なんと言っても人工生命でタイトルにもなっているねじまき少女の存在が良いアクセントになっている。
ブレードランナーをもっと濃厚にしたようなストーリーだった。 -
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ネタバレバチカルビという名前、舞台がタイ、ヒューゴー・ネビュラ受賞、バイオSFと聴いて、「ひょっとしてアド・バード的なSFか?」と思い手に取ってみた。半分正解といったところだった。
水位上昇で沿岸核都市が水没している近未来、石炭石油は枯渇してゼンマイが主力のエネルギーとなっている。遺伝子操作の動植物や人造人間が闊歩している、魑魅魍魎なタイの都市の政変劇を複数視点で描く。
主人公の一人、秘書型アンドロイドが表題の「ねじまき。少女」のエミコ。
環境省直属のパトロール隊「白シャツ隊」の副隊長で笑わない女カニヤ。
この二人の後半の活躍が、この物語の核心読ませ処。
正直、前半は世界観を把握するのに時間がかかり若干退屈、舞台背景や政変劇の内実など理解半分のところ(読み飛ばしてしまっていると思う)もあって、これは後半ついていけないかもなぁ、と危惧したのだが、そこは余り心配しなくても女性2人が突拍子もない大活躍をしてくれて、十分に楽しめた。