金子浩のレビュー一覧
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家族や人間の繋がりを奇怪な世界観で描く! ホラーの巨匠、ジャック・ケッチャムの短篇集 #冬の子
■きっと読みたくなるレビュー
ホラー作家、ジャック・ケッチャムの短編集です。恐怖で震えあがるって作品というより、じわっと心に沁み広がっていくような作品ばかり。
奇怪な世界観を背景にはしているものの、描かれているのは家族や人間の繋がり。全部で19編、読みやすく日本人好みのお話でバラエティに富んでます。余韻深くジーンとする作品もあれば、切れ味が鋭くスパっと突き放される作品もある。きっと最後まで読み飽きずに楽しめると思いますよ!
■おすすめ作品
○冬の子
山奥の村、父と二人暮らしの僕、ある日見知らぬ女の子を引き取ることになり…
これ最後はどうなるの? と思ってたら、しっかりと禍々しさを提示されます。少年と少女の距離感にソワソワしちゃうし、心情が綿密に描かれていて好き。
○箱
電車で隣に座った男が箱を持っていた、気になった少年は見せてくれとお願いする。しかし少年はその箱を覗いてから、まったく食事ができなくなってしまう…
なんとなくフランツカフカの断食芸人を思い出してしまった。意味が分からないうちに絶望の沼に引きずり込まれるという恐怖、こわっ
○オリヴィア独白
ある女性の体験、キャンプでの出来事。切れ味鋭い作品。
人間の本質をまざまざと見せつけられる作品。腹立たしいというより、虚しさしかない。
○聞いてくれ
男と娼婦らしき女性との会話。
つい興味深くなっちゃうシーンから、その後の変化の角度がエグイ。醜い人間の欲望がまっすぐに伝わってきます。
○暴虐
タイトル通りの話、家族ってなんだ…
読み進めるうちに絶望感が迫り来る、ラストの意味はよく考えたい。
○三十人の集い
スランプ中の作家の話、ファンと思しき人からイベントにお誘いの連絡があり…
現代っぽいホラー、なんかホントにありそうな話。後半の展開、むりやりな発想力に感服。いかに人間は自分勝手なのかがよくわかる。
○蛇
訴訟の争いになりそうで疲労困憊の女性、さらに苦手な蛇と対峙することになり…
明確な敵と相対することで覚醒した彼女、ちょっとカッコイイ。終盤の力強さが読みどころですね。
■ぜっさん推しポイント
私が一番刺さった作品は『母と娘』です。レストランを営む一家の物語で、冒頭ピアニストだった父が失踪してしまうシーンから始まる。父が居なくなることで残された家族が少しずつ歪み始めるのです。
家族愛とその裏側の描写を洞察力ある筆致で描いていて、すっかりと物語に引き込まれてしまいました。こんな短いお話にも関わらず、ある一家の悲劇をまるっと体験できるという恐ろしい作品でした。 -
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ゾクっとするホラーではない。
非現実的というわけではなく、日常の延長にありそうな、ちょっと嫌な感じ。
とくに好きだったのは、最後の「炎の舞」。
森の中でいろいろな動物たちが弱肉強食の摂理に反し、焚き火を囲んで輪になって踊っている。
恐怖を抱いた男たちが銃に弾を装填するけれど、子どもと女たちが輪に加わって踊り出す。
やがて、男たちも諦めたように輪に加わる。
原始の人間がそうしたように。
動物たちは、火を受け入れ、互いを受け入れ、踊る。
新たな自然の始まり。
人間が特別だった自然の終わり。
これが、平和な王国なんだと、はっきり言えない。
ここからどんな自然が始まるのか。
火の破壊性になぐさみを感じている、と表現されていることからも、少し不穏な予感もする。
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ディストピアSF短編集。一話ごとに人体改造、食糧危機、資源枯渇、渇水、痴呆化など、さまざまな状況が設定されています。
情景が目に浮かびそうな近未来世界観と、厳しい環境下でしぶとく生き伸びようとする庶民の姿が気に入りました。
■ポケットのなかの法
四川省成都を舞台にしたサイバーパンクっぽい物語。路地裏の少年が偶然手に入れた外部記憶媒体の中身とは。
■フルーテッド・ガールズ
フルートにされた少女たちが秘密のパーティーの舞台に立たされる妖しい物語。映像で見てみたい作品。
■砂と灰の人々
食糧危機に陥った人類は、腹の中にゾウムシを飼って砂を喰らっている世界。そこに生身の犬があらわれる。
■カロリーマン
鉱物資源がなくなり、穀物と筋肉がエネルギー源になったら。
■タマリスク・ハンター
水を吸い上げる植物タマリスクによって水資源が枯渇する世界。
■やわらかく
日常ミステリーっぽい感じ。死んだ妻の側にいる男の独白。
■第六ポンプ
低出生率化と痴呆化が進んだ社会では、下水ポンプの整備ができず、街に汚物があふれる。 -
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全体的に資源を際限なく使いまくり成長し切った世界の後、様々な物質や資源が枯渇した世界を描くお話が多く占めるSF短編集になります。
全話通して救われないような展開が多いですが、そういうのが好みの方には刺さります。(僕は大好物です)
中でも好きだった作品は以下
・「砂と灰の人々」
・「カロリーマン」
・「ポップ隊」
・「イエローカードマン」
・「やわらかく」
・「第六ポンプ」
第六ポンプは表題であることもあり、群を抜いて良かった気がします。ポップ隊も引けをとらないくらい好みでした。
その他はサイバーパンクと雨が似合うような作品多数。映像化されたら間違いなく好きな作品ばかりでした。
「ブルーテッド・ガールズ」に関してはよくこんな設定思いつくなぁと感心。
「砂と灰の人々」はやっぱり荒廃したSFと犬の相性は抜群。
「やわらかく」はこの中では特殊ですが、とても面白い。
サイバーパンクな世界観でも陰と陽で陰な世界観のサイバーパンクが好きな人は読むべし。 -
Posted by ブクログ
ネタバレパンデミックでSFと聞いて興味をもって読んでみた。面白かった。解説でも言われていたが、登場人物がモザイク状に繋がっていて面白い。逆に、キャラが出てくるたびに、これは出てた?初出?とちょっと悩む。それくらいキャラが多くエピソードが多彩。
北極病という、内蔵が別の内蔵になる病気。怖すぎ。別の何かになるという変身モノでもある。最後まで読んで、やっぱお前(異星人)のせいか!となった。
パンデミックでSFではあるが、テーマとして家族の死別がある。いろいろな死別。いろいろなお別れの仕方。感情の後始末の話。泣いた。
「三万年前からの弔辞」
娘(クララ)を亡くした父親(クリフ)の話。孫娘はユミ、妻はミキ。よくわからないウィルスをネズミに注入するのは危険という教訓。
ここで、なんかはるか昔に異星人がいたんじゃないかなあという予感がする。
娘が考えていたことを知りたくて娘の仕事場(北極)にやってきていろいろ考える。
「笑いの街」
子供を安楽死させるテーマパークの従業員(スキップ)の話。母親(ドリー)とその息子(フィッチ)と親しくなる。
死を看取るというか、死に追いやるというか。そんな異常な中での子供への愛を感じられて面白かった。
「記憶の庭を通って」
ここの赤ん坊は後の話でも触れられる。スキップも出てくる。SFチックだが、スピリチュアルな部分が強い。
死者からの目線。
「豚息子」
フィッチの父親(デイヴィッド)の話。
豚(スノートリアス)は人を助ける。その献身さに泣いてしまう。フィッチに出来なかったことをスノートリアスにしてあげたのかなあと考えてしまう。
「エレジーホテル」
葬儀会社が経営するホテルで働く弟(デニス)の話。兄はブライアン・ヤマト。
死期が近い母親に会いたくない。父親にも会いにいかなかった。死んでからようやく会いにいく彼の気持ちが良い。やらなくちゃいけないとわかっていてもやれない人間の話。
「吠えろ、とってこい、愛してると言え」
母親(綾乃)を亡くした息子(明希)と父親の話。綾乃の歌や声が吹き込まれているロボット犬のハリウッド。
そのハリウッドがとうとう壊れそうになり、また母親を失うような気持ちになる。
いつまでも乗り越えられない。乗り越えられないまま終わるが日常は続く。
「腐敗の歌」
献体希望者のレアードとその姉(オーリー)と献体を扱うラボの職員(オーブリー)とその夫(タツ)の話。
夫婦仲がとっくに終わっていることの描写が良い。
避けようの無い別れ、死と結婚生活。
「事象の地平面のある暮らし」
ブライアンとその妻(テレサ)の話。
テレサは紫水晶のペンダントを持っている。クララだ。
SF全面すぎて、話としては普通。
もうすぐ死ぬかもしれない男の目線。どんな変化が起こるのかわからない不安。それでも日常は続く。記録も付けなければいけない。
「百年のギャラリー、千年の叫び」
クリフの妻のミキと孫娘のユミ、そしてドリー。宇宙船内のあちこちに絵を描くのが良い。星の描写も良い。どんどん時間がズレていく、進んでいく。
「パーティーふたたび」
再生の話。弁護士のダン・ポール。刺青を入れているメイベルにも触れられている。
「東京バーチャルカフェの憂鬱の夜」
ふらふらしている彰とVRカフェの店主(高橋)と佳子とその父親(小林誠司)の話。パンデミックを乗り越えても自殺をする人はいるし、父娘の和解は叶わない。だからこそ、明は生きているうちに母親に会いにいったのかなと思う。
この高橋はクララだと思う。
「きみが海に溶ける前に」
刺青を入れているメイベルと彼女の遺体を加工し海に溶かすサービスを請負う会社の社員の話。
燃やすのではなく、溶かすというのが面白い。そこそこ安全に形が失くなっていくのを眺められる。最後の最後まで一緒にいられる。世界の一部になるのを見届けられる。
「墓友」
田舎は最悪というのを描かれていて面白い。
両親と妹(珠美)と自分。
祖母の葬式によって実家に帰ってきて、改めてここが嫌だったというのを実感していく。それはどんな状況になっても変わらないというのがわかる。
「可能性スコープ」
クララもといクウェリの話。
同族との間でできた娘のヌリ、そして、地球人とできた娘(後にアニーと呼ばれる)。
最後に遠く離れた地で生きているヤマトの船長のメッセージ。
壮大な話ではあるものの、描かれるのは家族の話だった。 -
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嫌悪感、不快感、胸くそ悪さ、吐き気を欲しければケッチャムを読むべし!
メグとスーザン姉妹は両親を交通事故で亡くし、三人の息子を女手ひとつで育てているルースに引き取られる
両親を亡くした姉妹はそこで心の傷を癒やし幸せな生活を送る、、、
はずがあるかーい!!!
だって、この物語を書いているのはケッチャムですよ!
ケッチャムがそんな心温まる話を書くはずがあるかい!
なぜ!?なぜ!?なぜーーーーっ!?
メグが一体何をしたの!?
なぜこうなるの!?
可哀そう、、、
耐えられない、、、
とかいうレベルの話でないです
監禁、虐待、暴行のオンパレード
少女の身も心もボロボロになっていく描写に私のピュアな心も崩壊
耐えられないけれど、このぞくぞくさせられる感覚にページをめくる手も止められない
オレやべぇーかも、、、
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ネタバレ2巻で感じたボブのゴチャゴチャ感が整理されたように感じた。
物語が収束してきて、深宇宙への探査ではなくアザーズとの決戦に話が集中してきたからだろうか。
新しい星の話はおまけ程度に挟まれているが、「メインが2〜3系統あって、時々フレーバーとして出てくる」という感じの方が把握しやすい。
3巻では人類側の主要人物、特にボブらと親しい人物が死に直面することで、人の心を持つ不死の機械と人間との境を感じさせる描写がいくつもある。
ヴァンパイアもの(他にもファンタジー)でも問題になることがあるが、人間の寿命を大きく超えて生きると、親しくなった人は必ず失うことになる。今作でもボブが感傷的になったり、人間との距離を置くような示唆があるが、その様子から(ヴァンパイアものでもあるように)やがては狂ってしまうのではないかと思えてしまう。そういう意味では、シリーズが長く続けば、不死のハズのボブの死(自壊、総会での寿命の設定)やボブが狂った場合の対処を描かなければならなくなるかもしれない。
このシリーズは、戦闘をメインとしない、冒険譚としてのSFが話の中心だと思っているので、アザーズとの決戦が緊張感はあっても容量としては比較的薄く書かれ、母星への攻撃(= アザーズ問題の解決)に至ってはハリウッド映画のような”ドーン”という終わり方(決着直前までは残りのページ数が無いので、地球防衛の成功だけで真の決着は次作へ持ち越しかと思っていたたぐらい)だが、これで良いのだと思う。
一方的な開拓では話が長く続くとダレてしまうし、友好的な超文明を出せば世界が複雑になりすぎ、それは作者の方針と違う感じがする。敵対的で高度な文明を出すのが物語に適度な締まりを持たせるには良いのだろうが、宇宙戦争を描きたいわけでもなかっただろうから長く戦わずスパッと切った感じなのだろう。
あくまで主眼は新しい技術を開発して宇宙開拓をしていく物語なのだと感じる。そう思うと、ずっと技術開発を続けてるビルは主役のひとり、作者のお気に入りなのかもしれないと思える。
解説ではボブ達の物語はまだまだ続くように言っているが、ここでキレイに終わったのと、1巻が面白さのピークだったように思っているので続編は読まないことにしようと思っている。 -
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ディストピア物のSF短篇集(SF9篇+SFではない『やわらかく』の1篇を収録)。
人口、民族対立、エネルギー、化学物質、水、食料や食品添加物など、貧富の差や環境問題を下敷きにした退廃的未来を描いています。しかし、最後は希望が持てる終わり方が多いので、想像していたよりかは読後感は悪くないです。
とはいえ、代償は有りますが、民俗文化の対立をテーマとした『パショ』を除いて、未来世界を好転させるヒーローが不在なため、どの世界もその先の未来は、暗澹たる終局を迎えることは想像出来ますが。以下、個別に。
『ポケットのなかの法』
場所は未来の四川省成都。“活建築”という生物的に増殖する市街地の路地裏で、ストリート・チルドレンがチベット人にデータキューブを運ぶように依頼されますが、約束の場所に相手が現れません。その後、その依頼物を狙う外国人が現れて…サイバーパンクの雰囲気が良かったのと、データキューブの中身に驚きました。
『フルーテッド・ガールズ』
双子の姉妹が、金持ちの女性パトロンに楽器に生体改造され、秘密のパーティーのステージに上がり…荒唐無稽な手術と肉体改造された女性の復讐劇。えっちいのはいいとしても、ちょっと苦手な描写があるのが難です。
『砂と灰の人々』
生態系は破壊し尽くされ、食糧難に対応するため、砂を食べて栄養を得ることが可能になり、かつ四肢を切断しても生えてくる不死身を手に入れた人類。その世界では他に生き物の姿はなく、実物は動物園の保護下でしか生存出来ない。そこに一匹の犬があらわれ…犬好きは読まないように。ボロボロの犬の姿は、ミカエル・リンドノード『ジャングルの極限レースを走った犬 アーサー』を思い出しました(こちらは感動ノンフィクション)。
『パショ』
砂漠の村から商業都市に留学した青年。学問を修めて村に帰ったところ、伝統を重んじる人々に受け入れられない。その筆頭たる人物が、一番理解して欲しい身内の祖父だった。はたして彼のとった行動は…まるで、アーシュラ・K・ルグィンのような世界観。短篇という尺の短さが仇になっており、全体的に説明不足な感じ。しかし、民俗対立をテーマにしていたり、太字で書かれた教訓めいた言葉など捨てがたい。長篇にしたら化けるかも。
『カロリーマン』『イエローカードマン』
この二作は、同じ世界観を描いており、長篇の『ねじまき少女』に繋がっていきます。短篇でも面白いので、いつか『ねじまき少女』を読んで感想を書きたいです。
『タマリスク・ハンター』
深刻な水不足に陥っている近未来のアメリカ中西部。長い根を張って水を吸ってしまう、砂漠化の原因とされるタマリスクを伐採すると、報酬として給水割り当てが貰えます。主人公は知恵を絞って、より多くの給水割り当てを貰うため、タマリスク・ハンターとして生業を立てていますが…干上がった川の流域に暮らす、少ないながら目の前に水があっても、優先的な利用を抑えられた住民の嘆きが描かれています。住み慣れた場所を離れるべきかどうか、環境問題に限った話しではないですね。
『ポップ隊』
寿命が延び、永遠の命が手に入った世界。そこでは、出産と育児が厳禁であり、違法に生まれてくる子供を見つけてポップ(処分)する警察の隊員がいて…描写は苦手。ただ、主人公が完璧な女性より、肌に張りのない、どこもかしこもたるんだ体の女性に心を奪われるところが好き。
『やわらかく』
ある日曜日の朝、熱いバブルバスの湯船に夫婦仲良く入浴している。ただし、その妻は死んでいる…これはSFではないです。きっかけは些細なことだったりするものですが、この夫婦にはどの道未来はなかったでしょうね。
『第六ポンプ』
食品添加物の過剰摂取により、出生率の低下と痴呆化が浸透した近未来の人類。ニューヨークの下水処理施設の維持管理を担当する職員たちは、維持管理の技術継承もなく、大量の危険を知らせるログは無責任にも無視し続けられます。そんなある日、第六ポンプが故障し、危険な化学物質だらけの汚物が市街に溢れる危機に遭遇します…日本は食品の規制が他の先進国と比較してゆるゆるみたいで、がんになる人も年々増えています。やはり関係があるのでしょうか?ふと、考えさせられました。あと、トログという逆ポストヒューマンの存在は恐ろし過ぎます。
気に入ったのは、『ポケットのなかの法』『パショ』『カロリーマン』『イエローカードマン』『第六ポンプ』。しかし、全体としては他の人に勧めづらいので★4。
同じようにSF短篇集である、オースン・スコット・カード『無伴奏ソナタ』やレイ・ブラッドベリ『十月の旅人』のような感じの描写が大丈夫な人にはおすすめ。
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Posted by ブクログ
ネタバレお勧めされて読んだ本。
非常に後味が悪く、生理的嫌悪と恐怖に顔を顰めつつも、一気に読んでしまった。
アメリカの片田舎の平和な日常の描写から始まった物語は徐々に不穏さが滲み出ていき、「誰にも言ってはならない」というキーワードをもとに際限なくエスカレートしていく。
暴走した列車のようにどこまでも行き着くところまで行ってしまった恐怖と、ヤンチャだが気のいい仲間だと信じていた仲間たちが止まらない怪物だったときの絶望、傍観者として一部始終を眺めたデイヴィッドに対する嫌悪と憐憫。
残虐で後味の悪い作品だが、臨場感がすごく非常に読ませる力のある作品だった。 -
Posted by ブクログ
一部で非常に有名な本作。文庫で400ページほどありますが、悪いことにすらすら読めてしまう。
語り手であるデイヴィッドが「いったいぜんたい、わたしはいつ堕落したのだろう?」と言った瞬間、最初っからだよ!と悪態をつきたくなるくらいには登場人物みんな嫌いになること請け合い。終盤あたりに「ママはこのごろ、ちょっとおかしいんだ」とドニーが言ったときなどどうしてやろうかと思いました。酷い描写は勿論、些細な会話も胸糞具合が秀逸です。
そして訳者あとがき。「読者が共感できる人物」としてメグ、スーザン、デイヴィッド!の名前を出し「善が悪に必死の対抗を試みる」と。
胸糞界隈では、あんなことをして最高にぞくぞくし、思わずにやけそうになった人間も善の分類なのでしょうか。 -
Posted by ブクログ
文明が衰退・滅亡した後のオルタナティブな文明を描いたお話がつまった短編集。
荒廃した世界の過酷な境遇の中で主人公たちがそれぞれの矜恃、それぞれの希望を見出していくところに「SF的美しさ」が存在している。
挿入される造語に初めは戸惑うが、読み進めるにつれて造語に馴染みそれと共にその世界にも馴染んでいく感覚があった。
身体を所有され(改造され)支配される少女といったフェミニズム的テーマの「フルーテッド・ガールズ」、異なる種族(ポストヒューマンと犬)の間の残酷な友情が扱われる「砂と灰の人々」を筆頭に「パショ」「カロリーマン」「ポップ隊」「イエローカードマン」など脳の痺れるような傑作ばかりだった。
同作者は長編を主戦場としているらしく、そちらもいずれ読んでみたいと思った。 -
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ネタバレこれこれこれーーー!!
エログロスプラッターの最高峰「オフシーズン」、その続編「襲撃者の夜」、そしてシリーズ第3作となる本書、私が敬愛するケッチャム大先生の作品、This is ケッチャム!!
ここ最近、休日の度に天空図書室へ通い、空を眺め、美しい写真集等を手にしてきました。
でも、でもですね、私の中にはしっかりと存在し続けているんです。
人混みに紛れ、静かな空間でひっそりと息を潜めていたブラックヒボが(笑)
ヒィーッヒッヒッヒッヒーーーーッ(`✧∀✧´)キラーン!
本書は本筋となる「ザ・ウーマン」とその後を描いた短編「カウ」の2部構成。
「ザ・ウーマン」はホラー映画の鬼才ラッキー・マッキーとの共作で映像化されています:;((°ө°));:
でも、出だしは大人しいんですよね(^_^;)
弁護士クリス(まぁ、こいつがなかなか胸糞悪いんです)が狩りに出た森で見つけた上半身裸の女(ウーマン)を捕らえ、自宅納屋の地下室に監禁...
そうです!!
前作「襲撃者の夜」のウーマンです!!
つまり、食人族なんです!!
「オフシーズン」バリに人肉BBQ復活か?食べて、食べて、食べ尽くす?
(((;゚Д゚)))ドキドキ
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
キンコンカンコーン♪
地下室に監禁ってだけで「隣の家の少女」と「地下室の箱」を思い浮かべた「あなた」、そうです、「あなた」は立派なケッチャムマニアです(笑)
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
そこから始まるのはクリスの家族も交えた残虐行為とレイプ…
反撃に出たウーマンはクリスの指を食いちぎり目の前で咀嚼( ・w・)ガリ、ゴキゴキゴキ...
キャ───(*ノдノ)───ァ
ってならずにキタ━(゚∀゚)σキタキタキターってなるのは私だけでしょうかσ(♡∞♡)
父親であるクリスにレイプされ妊娠までさせられた娘ペグの力も借りクリスをズタボロにし、ペグの妹であるダーリンと手を繋ぎ森へ帰っていくウーマン...そしてペグも後を追う...
そうなんです。
ウーマン生き残ってるんです!!
という訳で、後半はその後を描いた「カウ」。
今度は一転してウーマン、そしてペグ、ダーリンが共に生活する中でドナルド少年を監禁。
ドナルドと共に浜辺にいたリンダとアートはドナルドの目の前で残虐に殺されます。
殺されるだけならまだいい(良くはない)のですが、ウーマンはなんと言っても食人族、ドナルドの目の前で元友人であった人肉を貪り、ペグは拘束されたドナルドに食料として人肉を届ける...
4日目、空腹に耐え兼ねたドナルドはついに...
いや、これだけで終わる短編ではない(この後も痛くてグロいシーンがあります)ですが、全部書いちゃうとこれから手にするケッチャムファンに申し訳ない!!
...ということで、本編の感想はこのあたりまで。
久々にケッチャムらしさ全開の作品に大満足♪
ケッチャム節全開! またあの最恐の人食い女が戻ってきた!
鮮烈なデビュー作『オフシーズン』その続編『襲撃者の夜』のキャラクターを引き継ぎ、
鬼才ケッチャムが気鋭のホラー映画作家ラッキー・マッキーとともに作り上げた衝撃作。
内容(「BOOK」データベースより)
弁護士のクリスは、森でハンティングの途中、小川に浸かる上半身裸の女を見つけた。女は大怪我を負い、ひどく汚れていた。その野性丸出しの姿に魅せられたクリスは、罠を仕掛けて、女を捕らえる。クリスは自宅の納屋の地下室に女を監禁するが、それは家族をも巻き込む惨劇の始まりだった―。鮮烈なデビュー作『オフシーズン』、その続編『襲撃者の夜』のキャラクターを引き継ぎ、鬼才ケッチャムが気鋭のホラー映画作家ラッキー・マッキーとともに作り上げた衝撃作。後日譚となる短編「カウ」を併録。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ケッチャム,ジャック
俳優、教師、出版エージェントなどの職業を経て、80年に『オフシーズン』で作家デビュー。本名はダラス・マイヤー。2011年、ホラー小説への貢献を讃えられ、ワールド・ホラー・コンベンションでグランドマスター・アワードを受賞
金子/浩
1958年生まれ。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)