金子浩のレビュー一覧

  • ザ・ウーマン

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    なるほど、『オフシーズン』『襲撃者の夜』の続編か。表題作の『ザ・ウーマン』の後日譚、『カウ』も収録。食人族と人間、果たしてどちらが残酷なのか。前二作をも凌ぐ殺戮の物語。

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    2012年10月01日
  • ねじまき少女(下)

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    同じ背景で描かれた池上永一『シャングリ・ラ』はどこか遠い未来、遠い世界の話に思えたけれど、本書で描かれる近未来はそうではない。ちょっとした糸の掛け違えで、近い将来こんな未来が待っているのではと思わせるだけの怖さがある。

    正直言うとこの作品、ストーリーなんてあんまり覚えてない。覚えてないというか、もはやどうでもいい(笑)。とにかくこの世界観に圧倒され、打ちのめされ、最後にはもうへへ~っと土下座したわけですよ。それほどまでに本書はすごい。

    80点(100点満点)。

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    2012年09月18日
  • ねじまき少女(上)

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    そこかしこで散見される訳の拙さはさておき、散文的にばらまかれる現在形による描写にまず打ちのめされる。いわゆる普通の文体に慣れた身にはほんと辛かった。

    そんな読み手の困惑を無視してしょっぱなから話はぐいぐい進む。今我々が住む世界とは似ても似つかないとんでもない近未来世界へ何の前知識もなく放り込まれるものだから、もうたまったものではない。帯の惹句につられて軽い気持ちで本書を手に取った読み手の多くは下巻を手に取ることなく書を閉じているに違いない。
    かくいう私もこりゃ無理だわ。

    80点(100点満点)。

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    2012年09月18日
  • ねじまき少女(上)

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    石油の枯渇した近未来のバンコック、外国人の工場では遺伝子操作したゾウを動力として海草タンクを用いて新型エネルギーであるゼンマイを製造している。最初80ページ位はタイトルと小説の世界観が上手くなじまずちょっと読み進むのに抵抗があった。ちなみに昨年このあたりで一回挫折w

    そしてタイトルでもある日本製のアンドロイド、ねじ巻き少女が成人向けの描写とともに登場し、通産省と環境省の争いなどぐいぐい引きつけられ下巻に続きます。

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    2012年08月19日
  • ねじまき少女(上)

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    石油が枯渇し、エネルギー構造が激変した近未来のバンコク。遺伝子組替動物を使役させエネルギーを取り出す工場を経営するアンダースン・レイクは、ある日、市場で奇妙な外見と芳醇な味を持つ果物ンガウを手にする。ンガウの調査を始めたアンダースンは、ある夜、クラブで踊る少女型アンドロイドのエミコに出会う。彼とねじまき少女エミコとの出会いは、世界の運命を大きく変えていった。主要SF賞を総なめにした鮮烈作

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    2012年08月16日
  • ねじまき少女(下)

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    先に『第六ポンプ』を読んだせいか、衝撃度は少なかったけれど(オチとかもう少し大風呂敷かと思っていたので)、どんな世界でも幸せを求める生物…というところで希望が持てそうな終わり方でした。エミコすきすき。

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    2012年07月03日
  • ねじまき少女(上)

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    ネタバレ

    舞台は近未来のタイ、バンコク.石油は枯渇し、ねじまき(ぜんまい)が主な動力源となっている.温暖化のためか海面は上がりバンコクも水没の危機に瀕している.また新たな疫病もはびこっている.カロリー企業や通産省、環境省の役人、軍人はそれぞれの勢力を伸ばそうとして暗躍する.エミコは日本製のねじまき少女だがタイにつれてこられてそのまま不正滞在をし、裏社会のSMショーや売春をして生活していたがカロリー企業の経営者アンダーソンと出会う.

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    2012年06月26日
  • 隣の家の少女

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    主人公がメグに対する憧れから来る憎しみや迷いを感じる所、好意を抱くメグよりも大人であるルースに信頼を置いていた所などは、非常に子供らしく人間臭く感じられた。また、若く美しいメグに対するルースの嫉妬心のエスカレートも、そうと決めて書かれた描写はないにも関わらず、ものすごく巧みに感じられた。

    そういった意味では評価の高い作品だと思うけれど「面白かった、良い作品だった」とは言い難い。自分も主人公と同じ傍観者の一人であったような、助けるべき一人の少女を見殺しにしたような、後ろ暗い気分。

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    2021年08月18日
  • 黒い夏

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    邪悪で残酷な人狩りの話。
    でもパラグラフが短く、どんどん読み進んでしまう。
    巧い作家だと思う。
    確かに、殺人シーンは容赦のないサイコスリラーなのだけれど、
    各人物・背景の描写がしっかりしており、
    良質のハードボイルドを、読んでいる錯覚すら覚えた。
    ラストをもう少し膨らませてもらえたら、嬉しいのに…。

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    2009年10月19日
  • 地下室の箱

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    最悪な読後感!といたる言われている「隣の家の少女」よりもずっと残酷性や不快感を感じる。
    それはきっと何の救い様が無い所為かと、勝手に思っている。
    ただただ主人公をいたぶる内容だからだと。

    人によって感じ方はそれぞれだろうけれど
    私は隣の家の少女よりはオススメしやすい。

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    2009年10月04日
  • 黒い夏

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    たのしい。おもしろい。指がどんどんページをめくる〜

    おまけ的ヨロコビ・・・ラスト,「レイ」がガチムチアフリカ系にーちゃんに刑務所でヤられるシーンはおいしかったぁ☆
    ごちそうさま〜

    ふぇてぃっしゅ的たのしみ・・・「ギンプ」.....猫のなまえ。おきにいり。

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    2009年10月04日
  • 地下室の箱

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    今度は、妊婦が拉致され、暴行を受けます。
    「隣の家の少女」よりは、救いがありますね。
    しかし、こんな本ばかり読んでいると変だと思われるかしらん?

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    2009年10月04日
  • 地下室の箱

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    こりゃ怖い。突然気狂いに拉致されて、地下室でのすさまじい拷問。この変態の背景をもっと知りたかった気がするけど、頭にかぶせられる箱が一番怖かった・・・

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    2009年10月04日
  • 黒い夏

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    昨今の社会情勢から、てっきり自主規制がかかったのかと思っていた、
    ケッチャムの久々の新刊!
    なんの理由もなく、キャンプ場に来ていた二人の少女を撃ち殺したレイ。
    刑事のチャーリーとエドは、最初から彼を疑っていたが、証拠がなく逮捕できなかった。
    4年後。
    レイは麻薬とセックスに明け暮れるだけで、特に何も起こさない。
    チャーリーは、レイがボロを出すようにプレッシャーをかけるが……
    あらすじだけだと、割とおとなしめ。
    ……いやー、やっぱり初っ端から狂ってました。
    後味も悪いし(いいのないけど)
    今までと比べて、登場人物が多い。
    全体の3分の2くらいまでは、それぞれの生活や、
    暗い過去も含めて、キャラク

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    2009年10月04日
  • 冬の子 ジャック・ケッチャム短篇傑作選

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    表題作の「冬の子」は、食人族の恐怖を描いたケッチャムの代表作「オフシーズン」とその続編「襲撃者の夜」の間に起こったエピソード。

    電車に乗り合わせた男の抱える箱の中身に興味を持ってしまった少年とその家族に起こる不条理を描いた「箱」は大傑作。

    「歳月」は、歳を取らなくなった女性と年下男性のラブストーリー。切ないハッピーエンド。こんなのも書けるんですね。収録されている「永遠に」と対になっているように感じられました。

    ケッチャムを連想させるエログロ作家の主人公が、ファンミーティングで詰められる「三十人の集い」は、これぞケッチャムという内容と結末。ゾクゾクしました。

    中にはハズレもあります。全1

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    2025年11月29日
  • 隣の家の少女

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    両親の事故でルース一家に引き取られたメグとスーザン。
    ルースのメグに対する残虐極まりない虐待がエスカレートして、ルースの子供たちも加わり虐待が加速していく。
    ディヴィット(語り手)がメグを助ける手立てを少しずつ模索するけど、いよいよギャーな展開。
    そもそも救いを求めてケッチャムを読むのは間違いだけど、虐待シーンよりもメグの狂ってく描写がムムム。

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    2025年11月13日
  • 絶滅の牙

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    SF。中編。
    "遺伝子工学で復活したマンモスに、人間の意識をデジタル移植"という設定が素晴らしい。
    が、ストーリーは正直あまり好きではなかった。
    主人公ダミラの視点は面白いが、象牙ハンターや大富豪一行の視点には魅力を感じず。
    個人的には、マンモスたちの生活の描写をもっと見たかった。
    科学者が象を救うために設計したすべての技術が、最終的に象を滅ぼした、という話が興味深い。
    自然や動物の保護について、考えさせられる一冊。

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    2025年11月09日
  • 隣の家の少女

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    残酷、グロテスク、正視に耐えない、気が滅入るというか摩耗して立ち上がれなくなる。

    この衝撃、この残滓。小説として素晴らしいのは分かるが、あまりにも、という作品。

    ただ舞台となった時代や書かれた時代より、現代の方が、この立場の女性の追い詰められた状況や精神にも思いを寄せることが可能になっているはずで、そこにも考えを巡らせる必要が、今の時代の読者だからこそあるようには思う。

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    2025年08月31日
  • 冬の子 ジャック・ケッチャム短篇傑作選

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    雑誌のホラー特集で見かけて読んでみたが、勝手に想像していたホラーとは違い、急に理不尽や暴力がこんにちはする世界観だった。
    特に暴力との距離が近い!

    訳者のあとがきで各話の解説がされているが、実際の事件や、筆者とその知人の体験がもとになっている話があると知り、更にぞっとするおまけつき。

    短編集なのでいろんなバリエーションの恐怖を堪能できる。老いや病への恐れも作品に昇華しているところが珍しいと感じた。

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    2025年08月11日
  • オフシーズン

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    普通に序文から読んだら、サラッとネタバレしていた。
    なのでこれから読む人は、序文はすっ飛ばした方がよい。
    前半は登場人物たちのあれやこれやが描かれていて、後半一気に怒涛の展開。エログロ炸裂。

    主人公だと思っていたあの人が、とか、助かると思ってたこの人が、とか、まさかのあの人も、な容赦ない結末。

    ひたすら痛そう。
    最初にあっさり死ねた彼はラッキーだと思う。

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    2025年08月06日