【感想・ネタバレ】絶滅の牙のレビュー

あらすじ

近未来。野生の象は絶滅し、シベリアには遺伝子工学で復活したマンモスの保護区が創設されていた。かつて象を保護する生物学者だったダミラは死後一世紀を経て、その意識を一頭のマンモスに転送し、群れを率いる存在となる。一方、保護区には、マンモスを狙う密猟者の息子で広い世界を夢見る少年スヴャトスラフや、大金を積んで合法的にマンモス狩りの権利を得た富豪の夫で、狩りに疑問を覚えるウラジーミルらが集まりつつあった――大自然と人間の相剋をSFならではの視点で描ききった俊英のヒューゴー賞受賞、ネビュラ賞・ローカス賞候補作。/解説=勝山海百合

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

感情タグはまだありません

Posted by ブクログ

野生の象が絶滅した未来、シベリアでは遺伝子工学で復活したマンモスたちがいた。そこに象の保護に尽力したダミラの意識を一頭のマンモスに転送する。マンモスは保護区で生活しているが初期飼育は人間の手によってであり、野生では脆弱だった。そこで象ではあるが野生の生態を知っているダミラの意識を転送したのだ。しかもダミラが死んだのは1世紀前なのだ・・

これは、ジュラシックパークばりの手に汗握る展開なのか、と思いきやとても静かな人間の、生物の、生き延びる、子孫を残す、ということに対する哲学的ともいえる内容だった。

ダミラは群れの頭となって群れを先導する。
また、ひとひねりある矛盾なのだが、マンモス保護区の維持にはお金がかかる。そこで莫大なお金を払ってハンティングする権利を売っている。

ダミラたち復活マンモス、マンモスハンター、密猟者、の三方向から、種の維持、ハンティングビジネス、密漁といった人間の飽くなき業を描く。密猟者を父として育った少年に希望をもたせる終わり方がいい。

原題:The Tusks of Extinction 絶滅の牙
ヒューゴ賞ノヴェラ部門受賞

著者のレイ・ネイラーは1976生まれ。カナダ・ケベック州うまれアメリカ・カリフォルニア州育ち。ロンドン大学東洋アフリカ研究学院で国際外交楽の修士号を取得。ロシアなど世界各地で外交や平和維持活動、国際開発援助に携わった。

象の密漁の実態を知って、この本を書いたということだ。

2024発表
2025.10.10初版

0
2025年11月22日

Posted by ブクログ

SF。中編。
"遺伝子工学で復活したマンモスに、人間の意識をデジタル移植"という設定が素晴らしい。
が、ストーリーは正直あまり好きではなかった。
主人公ダミラの視点は面白いが、象牙ハンターや大富豪一行の視点には魅力を感じず。
個人的には、マンモスたちの生活の描写をもっと見たかった
科学者が象を救うために設計したすべての技術が、最終的に象を滅ぼした、という話が興味深い。
自然や動物の保護について、考えさせられる一冊。

0
2025年11月09日

「SF・ファンタジー」ランキング