【感想・ネタバレ】ねじまき少女(下)のレビュー

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Posted by ブクログ 2015年03月20日

近未来のバンコクを舞台にした物語の下巻。エミコたち「つくられた生き物」と、もとからいる人間とで構成される街では、あやうい均衡を保ちながら政治闘争が繰り広げられ、その均衡がついに崩れることに。生き残りを図る人々を描く下巻では、物語が進むにつれ、アンドロイドを開発した日本人の意図が明らかになります。上巻...続きを読むでエミコは、受けた教育と自分の中にあるものとの間にずれを感じていました。エミコの葛藤が何だったのか、読者はようやく知ることができます。真実が明らかになり、報いを受ける段になっても、顔色ひとつ変えない。こうした日本人の描き方からは、とらえどころのなさ、ある種の不気味ささえ、国際社会が抱いているように思えます。結末には「生き物」のしたたかさを感じて、ホッとしたような、救われたような気持ちになりました。

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Posted by ブクログ 2013年09月23日

昨年末のタイの洪水を思い出しました。水浸しの中で意外と普通に生活していて、逞しい人たちだなと思ったのでした。
物語の後半に入り状況は増々悪化していきます。内乱が起き、町は水没...でもそれでも生き残るべく、生きていくのでしょう。
見捨てられた町のなかで、仄かな希望の見える終わり方でした。

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Posted by ブクログ 2013年06月21日

本書は著者の長編デビュー作。
しかしデビュー作にも関わらずヒューゴー賞/ネビュラ賞/ローカス賞/キャンペル記念賞とSF界の様々な賞を受賞。
そしてそれだけに留まらず、タイム誌の「今年の10冊」で9位にランク付けされる等、SFと言う比較的ニッチな世界にとどまらない作品となっています。

簡単にストー...続きを読むリーをご紹介すると、

本書の舞台は温暖化効果と遺伝子工学の暴走により環境が激変した500年後の地球・タイ王国。
この舞台において、蘇りつつあるグローバル経済を主導しようとする多国籍企業とそれと敵対するタイ王国環境省及びその実働部隊、通称白シャツ隊。
そして、白シャツ隊と敵対するタイ王国通産省の三つ巴の駆け引きが展開されると言うストーリーです。

またそれだけでなく、マレーシアで起きた虐殺で家族を失うも辛うじて単身タイに逃げ延びた華人の元大物や、日本人が遺伝子工学を駆使して作り上げ、やがては捨てた新人類、通称・ねじまき少女の存在がストーリーを横方向へ展開させており、、彼らマイノリティの視線を用いる事によって一つの世界が様々な立場から描かれています。

尚、本書が描く世界は、石油資源が枯渇し、温暖化により海面が現在よりも極めて高く、その為、動力源が人力もしくは遺伝子改造された動物と言う世界です。
読者に対し、この点を改まって解説している箇所はありませんので、読みながら小説世界に対する理解を深めていく必要があります。

その点、普段、懇切丁寧に世界観を説明してくれる読者にやさしい小説か、あるいは現実とさほど変わらない設定を持つ小説しか読まない方にとっては、ちょっと違和感を抱くかも知れません。

しかし、読み進めるにつれてきちんと理解できますので、この点に関する心配は無用ではないかと思います。

いずれにせよ、各種賞を受賞しただけあってか、人々が生きる姿を見事に描き出しており、充実した読書体験を提供してくれる事と思います。

お時間のある時にでも一読されてみては如何でしょうか。

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Posted by ブクログ 2012年08月19日

設定された世界観が特殊だとなかなかその小説世界に入りにくいですが、一旦入ってしまうととてもワクワクしながら読めるのがSFの良いところです。その意味でもこの「ねじまき少女」は上巻の途中からはどっぷりとその世界に入り込み一気に読んだ。

バンコックのとても暑い描写が今の東京の気候と被ることもあり臨場感も...続きを読むたっぷり、エンターテイメントとしてもとても楽しめましたが、エネルギーや食料の問題はあながちフィクションとも言えないような。。。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年08月11日

まずジェィディーがあっさり処刑されてしまったのがすごく残念でした。
しかし亡霊となってカニヤに付きまとってたせいであまり死んだ感じがしなかったんで少し嬉しかったです。
あの後ジェイディーがちゃんと成仏してくれていることを願います。

カーライルがナーガの鱗をなぞりながら階段をのぼる場面や、戦闘用メゴ...続きを読むドントがホク・センを襲う場面など細かな場面まで書かれているので映画をみているようでした。
特にエミコがソムデット・チャオプラヤを殺す場面ははっきりとは書かれていませんがスピーディーで爽快でした。

正直世界観や種子バンクのことは半分分かったような気がするレベルでしたが、
登場人物が個性的でギ・ブ・センのような悪意のあるキャラクターにも愛嬌があってどの勢力のキャラにも肩入れして読めたのでどの人物の章でも飽きませんでした。
戦闘の終わり方とその後の話が助長に感じましたが、ラストのカニヤの決断は読んでてすっきりしました。
結構派手な場面が多いのでハリウッドで映画化して欲しいです。

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Posted by ブクログ 2012年05月27日

面白かった!
仮想バンコクでの政変を描く。思惑は入り交じり、アクシデントも起こり、最後まで予想できずにドライブする感じ。
特筆すべきは仏教や原理主義的キリスト教といった思想や哲学、もっと言えば「文化」と呼ばれる部分がしっかりこの仮想世界に浸透していることだと思う。良いSFを読みました。

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Posted by ブクログ 2012年06月10日

今までのSF小説とは違う面白さを感じたSF小説。次回作が待ち遠し作家が増えた喜びを感じる。

【感想】
超面白いSF小説を読んだ時に感じる”センス・オブ・ワンダー”や”認識の変革”は正直感じなかったが、それとは別の面白さがこの本にはあり、最後まで楽しめ、読後も暫くその余韻に浸ることが出来た。

・登...続きを読む場人物達は、憧れるようなヒーローやヒロインでは無いが、どんなに絶望的な状況でも、生きることや人間の尊厳を投げ出さない逞しさがとても愛おしく感じた。
・舞台の未来のタイの世界が、視覚的だけでは無く、熱気や湿度、匂い及び音まで身近に感じられ、物語の場面に放り込まれたようなリアリティさがあった。
・この物語の世界観から感じる不安、恐怖、やるせなさは、直接的ではないが今後の先行きに感じるものとオーバーラップするものを感じた。
・上巻では世界観や人物像に繋がる文章が多いため、あれこれと自分なりに想像を膨らますことができ、下巻では打って変わって怒涛の物語の展開により、寝る間も惜しんで最後まで没頭することができた。長編小説ならではの醍醐味の一つだと感じた。

【備考】
・個人的には、事前に『第六ポンプ』を読んでこの世界観を垣間見たことが、内容をスムーズに理解する助けになったと思います。

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Posted by ブクログ 2019年06月27日

最終的にバンコクの虎が勝者なのだろうけど。
クーデターが起きて政権が変わっても、王様は安泰てのが現実と似ているな。
ホク・センは命拾いしたかな?
ねじまきが政変を起こす起爆材ではあったのだろうけど、活躍が地味すぎてちょっと物足りない。そう言えばカニアが連れてきたねじまきはどこへ行ってしまったのだろう...続きを読む

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Posted by ブクログ 2018年11月12日

息つく間もない展開で、一気に最後まで読ませる。どんでん返しとは言わないが、なんども、展開はひっくり返されて、何がなんだかわからなくなりそうになる。ハッピーエンドとは言い難いが、それなりに心が落ち着く終わり方だった。

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Posted by ブクログ 2018年03月08日

遺伝子組換SFで前半は分かりにくいが後半の展開は早くすべてはエピローグのためにある
表紙   8点鈴木 康士  田中 一江・金子 浩訳
展開   7点2009年著作
文章   7点
内容 690点
合計 712点

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Posted by ブクログ 2017年06月18日

SF。エコSF。バイオSF。
かなり激しく物語が動く下巻。
上巻から引き続き4人の視点から進む。ただし、ジェイディーはカニヤにスイッチ。
ねじまき少女エミコが主役なのは間違いないものの、エミコの扱いがあまりに酷いのが印象的。
暑さでオーバーヒートし、痛みや不安も感じる、機械と人間の間にいるようなエミ...続きを読むコのキャラクターが、個人的には大好き。今まで読んだSF作品で、一番好きなキャラクターかも。
上巻・下巻を通してダークな世界観だったが、エピローグには明るい未来が感じられ、読後感は意外と悪くない。
未来の世界をリアルに描いたSFとして、記憶されるべき作品。

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Posted by ブクログ 2016年02月05日

 情勢は暗いほうへと傾斜し、通産省を牛耳るアラカットと環境省の総帥プラチャ将軍の対立は王室を巻き込みながら政変と混乱を引き起こしていく(2010年のタイの赤シャツ・黄シャツの衝突を思い出すが、本書の出版はそれより前)。そして環境省が躍起になって防ごうとしていた新たな疫病の発生。下巻においては、環境省...続きを読むの隊長ジェイディーの副官カニアの活躍がクローズアップされてくる。
 カロリー企業のエージェントであるアンダースンはアラカットと手を結ぼうとする。ホク・センはアンダースンを出しぬいて、もう一旗揚げようと企むが、タイ情勢の変化に翻弄されている。そして日本製人造人間、通称ねじまき、また新人類とも呼ばれるエミコは自由を得ようとし、秘められた能力を知らずに行使し始める。

 かなり暗い未来を淡々と描くこの小説の肌触りは確かにグレッグ・イーガンを連想させるところもある。しかし人間の主体性を疑問に付してしまうイーガンと比べると、本書では各登場人物が主体性を持って生きていこうと格闘する姿が描かれていて、その点ではバチガルピの人間性そのものに対する信頼には揺るぎがないようだ。
 とはいえ、遺伝科学者でタイ政府に協力しているギ・ブ・センことギボンズは、疫病の蔓延するこの世界で、ウィルス感染を免れた新人類になることを推奨する。なかなかテーマが見えてこない本書ではこのあたりがひとつのテーマかもしれない。

 もちろんエネルギーの枯渇した近未来をリアリティをもって描こうというのが全体の構想なのだろう。とすると主人公はエミコでもアンダースンでもカニアでもなく、束の間の猥雑な繁栄に沸き立ちながら、地球温暖化の影響を防潮堤で辛うじて食い止めているものの、いずれ海に沈んでいく首都バンコクである。そしてバンコクによって代表象される地球の命運なのである。水没する都市は羊水に帰る人類を象徴し、そこに再生へのほのかな希望が示され、単純には割り切れない感興をわれわれにもたらすのだ。

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Posted by ブクログ 2013年08月14日

石油が枯渇し、CO2による温暖化が進んだ世界。遺伝子操作が進化し、変異する病と競争している。
一つの未来だと感じさせるSF。

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Posted by ブクログ 2013年01月31日

環境破壊、遺伝子操作による生態系の破壊、石油の枯渇というダークな近未来のバンコク(もちろんクーデター絡み)を舞台にした人造日本人美少女エミコのお話。かなり面白かった。(サッサと読んでおけばよかったよ)

が、最後まで読んで、やっぱりねじまき少女のエミコが主役だったんだなぁと思う程度には登場人物が切り...続きを読む替わる。

あとタイの文化や言葉に馴染みが薄いせいか、翻訳も少し混乱してて、ちょっと読みづらい。結構タイ料理食いに行ってたので、料理とか、黄色の意味とかある程度分かったけど、上巻で出てくるお酒のサトの誤訳には悩んだ
ググりながら読んだ方がいいかもしれないな。電子書籍版が出たからソッチのほうがいいかも

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Posted by ブクログ 2012年12月29日

非常に読み応えがあって面白かった。
最初は「石油枯渇後の近未来でバンコクを舞台に、遺伝子操作された生物が主役となる話」という設定に惹きつけられて手にとったのだが、実際に読み進めてみると、設定と世界が深く作りこまれているだけでなく、人間同士のドラマが複雑に織り成されていて、こちらも見事だった。

うん...続きを読む、バンコクか……。アメリカ人の作者があえてアジアの一国を物語の舞台として選び、欧米人を侵略者として描くやり方が興味深い。もちろんこれは、作者が大学で東アジアについて学び、実際に中国で暮らした経験もあるからこそ可能になったのだろうけど、でも仏教を中心とした文化の理解は相当なものだと思うし、アメリカ的資本主義のあり方を否定してみせねるラストは凄いと思う。

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Posted by ブクログ 2012年11月26日

スピード感が出てきたと思ったら、物語が一気に流れて行く下巻。説明不足や伏線の投げっ放しがあるようにも感じますが、それを無視して十分に楽しむことのできる作品でした。決してきれいなストーリーではないですが、混沌とした社会の中で、それぞれの立場で精一杯に生きる人々の物語に圧倒される。

外国バイオ企業の手...続きを読む先であるアンダーソンの行動原理や内面描写はもっと欲しかった。確実にいやなやつなんだけど、彼なりの正義がどこかにあったのかなぁと気になる。広い意味での作品世界の中では中心的勢力に属するはずのアンダーソンなのに、情勢に振り回されて寂しいかぎり。

没落した華僑老人のホク・センはずっと応援してました。ほんと最初から応援してた。目的が一番はっきりしていて主人公らしい。

ねじまき少女エミコ。健気。作中設定的にも、ストーリーの上でも異分子であったはずの彼女が、最後まで読んだら、いつのまにか真の主人公でしたね。

タイの役人たち、重要ではあるんだけど、今回は感情移入できなかった。外側の話な気がしてしまいました。

今回はホクセンとエミコの物語として読んでいました。また読んだら違う視点で読めそうな気がしています。たぶん再読する。

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Posted by ブクログ 2012年10月08日

上巻で起きた暴動が内乱につながり、政変が起こる。視点が目まぐるしく変わるので誰かに肩入れして読む、というのではなく全体的な雰囲気を味わう物語、という感じ。
粘っこく、ドロドロした世界の中で精一杯生きる道を探す人を描くのが上手いなぁ、と『シップブレイカー』を読んだ時にも思ったけれど、今回もそう思った。...続きを読む
エピローグの救いがあるんだか、ディストピア的な世界への足かけなのかわからない終わり方が良い。

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Posted by ブクログ 2012年09月18日

同じ背景で描かれた池上永一『シャングリ・ラ』はどこか遠い未来、遠い世界の話に思えたけれど、本書で描かれる近未来はそうではない。ちょっとした糸の掛け違えで、近い将来こんな未来が待っているのではと思わせるだけの怖さがある。

正直言うとこの作品、ストーリーなんてあんまり覚えてない。覚えてないというか、も...続きを読むはやどうでもいい(笑)。とにかくこの世界観に圧倒され、打ちのめされ、最後にはもうへへ~っと土下座したわけですよ。それほどまでに本書はすごい。

80点(100点満点)。

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Posted by ブクログ 2012年07月03日

先に『第六ポンプ』を読んだせいか、衝撃度は少なかったけれど(オチとかもう少し大風呂敷かと思っていたので)、どんな世界でも幸せを求める生物…というところで希望が持てそうな終わり方でした。エミコすきすき。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年06月26日

日本製のねじまき少女エミコは肌を美しく見せるため毛穴が少なく発汗がしにくいため暑いバンコクではすぐにダウンしてしまう.しかし彼女は恐るべきスピードと殺傷能力を備えていた.事態はエミコのおこした事件から大きく展開し始め、バンコク全体を巻き込む大団円に向かってスピードアップしながら突き進んで行く.

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Posted by ブクログ 2022年09月26日

飛ばし読みしてたら、白シャツ隊とジェイディー、カニヤたちの立ち位置がイマイチわからなくなってしまって、この本に彼らがなぜ出てくるのか掴めないまま読み終わってしまった、、、
アンダーソン、ねじまき少女、ホクセン、、弱肉と策略の小汚い世界で、最後の動乱の後に誰がどう生き残るのか、混沌とした感じがよかった...続きを読む。真夏に読んでよかった。

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Posted by ブクログ 2019年09月12日

やっと読み終わった…。
ヒューゴー・ネビュラで、石油が枯渇し遺伝子操作のあげく疫病と飢餓が蔓延するバンコクにて、日本製美少女アンドロイドが…って、なかなかのディストピアぶりで傑作なのだが、こう…共感できるキャラがいなくて…ちと置いていかれた私でした。

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Posted by ブクログ 2018年12月30日

エネルギーが枯渇して社会構造が激変した近未来のバンコクが舞台のSF小説。

遺伝子操作技術と、その根幹になる無傷のオリジナルの遺伝子が物語を回す主軸になっている。

遺伝子操作によって人工的に作られた歪な生物たち。

その技術とオリジナルの遺伝子を巡っての利権抗争と、遺伝子操作された生物を取り締まる...続きを読む人たちの努力がドラスチックに描かれている。

利権抗争も遺伝子組み換えも、すでに存在している技術の延長に過ぎないところが物語にリアリティを与えているようでだ。

遺伝子操作しなくても、交配によって自然に手を加え続けてきた人類に守るべき自然とは何なのか、進化とは何なのかを問いかけてる作品です。

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Posted by ブクログ 2015年04月18日

多分、設定は面白いんだろう。
だがこれは手法の違いかもしれないが、きちんと時代や世界の背景、いろんな設定が明示されない展開にイライラする。
言葉一つにしても、それを普通に知ってるでしょう前提で言われても、もちろん読み進める内に多分と判るのだけど、多分で終わるのが居心地悪い。
別にこの作品だけでなく、...続きを読むそう感じる作品が多いと感じてて、もう、価値観とか世界観とか、少なくともSFがずーっと好きデスみたいな人だけが読んでくれればいいみたいな本が、好きではないのだな。
で、文体は嫌い。
人物はあんまり浮かび上がって来ないな。
ぼくにとっては、そう、いい小説ではなかった。

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Posted by ブクログ 2015年01月07日

2009年のSF賞を総なめというので、期待して読んだ。新たな世界観とSF的ガジェットについては納得したが、エンターテイメント性に欠けていたと思う。もっと”ねじまき”の攻撃性をフューチャーしてほしかったかな。クーデターという展開があったので残念。次も読みたいと思う作家ではある。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年05月03日

前巻のラストもキツい展開だったけれど、物語はさらに鬱々してきて最終的にかなり疲労感を覚える読書となった。

ジェイディーと対話するカニヤの姿の痛ましさ。
虐げられ続けてきたエミコの暴発。
大きな不運と少しの幸運に振り回されるホク・セン。
図らずも急転直下の事件の引き金を引いた形になってしまったアンダ...続きを読むースンの失敗。
…それぞれの行動が一気に絡み合いながら迎えた大流血の惨事。
決してバッドエンドではないのだろうけど、結局最後の勝者となるのは新人類であることが示唆されていて、何とも言えない気分になる。

この過酷な世界を生きる上では当たり前なのだろうけど、登場人物たちはかなり即物的な生き方を強いられていて、その苦しさを想像してもなお感情移入は難しかった。見るべきは、ジェイディーの勇敢な死や、ホク・センがマイに見せる優しさ、アンダースンが最期にすがったもの、その中にある血の通った心なのかもしれない。けれど、 どうにもそこに気持ちを合わせていくことができなかった。
生存にかけてのエミコの欲求の強さに、心底ビビッてしまったというのも大きいかもしれない。

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Posted by ブクログ 2013年10月13日

先進国が牽引する産業や技術による世界”拡張”の時代から一転、エネルギーが枯渇し、遺伝子操作された生態系によってわずかな地域だけが生き残る”収縮”の時代という設定。
バンコクを舞台にした暗さの漂う退廃的な世界観。
国民の生存や政治の利権をめぐる”環境省”と”通産省”の対立。

上巻は設定やキーワードを...続きを読む理解するのに手間取ったが、下巻からはテンポの早い展開で面白くなる。

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Posted by ブクログ 2013年04月28日

ダラダラした展開だった上巻に比べて、スピーディーに物語が進み、一気にハラハラドキドキの展開になります。
ただ、結局何が言いたかったのかよく分からない感じで消化不良で終わってしまった感が強いです。
この作品は大きな賞をいくつも受賞したそうですが、何がそれほど評価されたのかも今ひとつ判りませんでした。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年02月28日

上巻の混沌とした都市での実業家奮闘記とはうって変わって2大勢力のぶつかり合いが大きくクローズアップされている。
正直、上巻に比べワクワクする要素も少なく、淡々と登場人物たちの行く末を見守るような気持ちで最後まで読み終えた。

エミコ・カニヤの2大ヒロインには明るい未来が訪れることを切に願います。

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Posted by ブクログ 2012年07月02日

この小説の主人公は誰なのだろう?最後まで印象がばらけ、視点が定まらず、不完全燃焼のままとうとう最後まで行ってしまった!あえて言うならこの汚辱にまみれ、不正と権力闘争の、虐げられた人々の怨嗟の声が通奏低音で響くバンコクの街自体かもしれない。とにかくこのくらい展望の物語は、ねじまき少女エミコのささやかな...続きを読む希望で少し救われたのかもしれないが‥こんな未来ねぇ‥‥

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