金子浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ケッチャムのいろんな面をたっぷりと味わえる短編集。
一話一話は短いのに長編と変わらないずっしりした読後感。
ケッチャムを読むのは我慢大会か耐久レースに似ていて、なんでわざわざお金払ってメンタル痛めつけてるんだろう、と首を捻ることもあるのですが、この本も読み終わるのにすんごい時間がかかった。
ジャンルを超えた多種多様な物語が満載で、ケッチャム世界の奥行きの深さに恐れ入る。
読み終わって改めて本当にすごい作家だったんだなぁと感嘆。まだまだ新作読みたかったなぁ…(合掌)
以下、自分の忘備録のための読書メモ。
・冬の子
「オフシーズン」と「襲撃者の夜」の間に当たる話だそうな。「オフシーズン」大好 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2018年に物故したジャック・ケッチャムの短篇集3冊(未訳)から、翻訳者の金子浩氏が19篇をセレクトした日本オリジナルの傑作選。暴力や死、オフビートなお馴染みの作品世界はもちろんのこと、超自然的要素や幻想味に満ちたものなど、この作家の違った顔も堪能することができる。
大雪の続いた2月の夜、父子の住む家のドアをノックした少女は口が利けなかった……という表題作は、ケッチャムの代表的長編『オフシーズン』とその続編『襲撃者の夜』との間に起きたエピソード―ということで、何れかを読んだ人間ならばその後の展開も凡その察しは付くだろう。
その他、不治の病に罹った女流作家が死後も自作を生かすために行なったある -
Posted by ブクログ
ネタバレ日系アメリカ人の方が書いているからか、日本人名や地名が多く出てきたし、一貫して家族との別れと向き合う物語だった。
章ごとに語る人物が変わっていき、脇役だった人の数年後の視点になってたり、後々にリンクしてさっきのあのキャラがこんな所に出てきた!って楽しめる。
1つ1つの章が短いし、疫病が流行った世界での対策がどんどん進んでいく過程も面白いし読みやすい。
特に笑いの街と豚息子は悲しくて仕方なかった。
最後の章で、ある装飾品を持っている人が度々変わるなと思ってたけどそういう事か!と納得
読み終わってから何度か読み返してしまった。
カバーはめちゃくちゃカッコイイし、タイトルもマッチしててジャケ買 -
Posted by ブクログ
ネタバレ初めて目にした時から読みたかった作品。
1巻の時点で、
「機械での人格のエミュレート」、「蘇り」、「自己の複製(コピー)」、「外宇宙探査」、「宇宙空間での戦闘」、「(人類以下のレベルの)知的地球外生命体」、「(人類以上のレベルの)(おそらく敵性の)知的地球外生命体」、とアイディアを出し尽くしたんじゃないかというくらいの盛りだくさんの内容で、最初から最後までダレることなく面白い。
主人公のボブには共感する部分が多く、どんな状態でも前向きで楽しんでいる様子や常に頭を使っている点は自分も同じだろうと思って、イライラすることなく読んでいられた。
明るく前向きとは言っても、目が見えない(カメラがオフラ -
Posted by ブクログ
500ページ越えの長編なのに、読む手が止まらないくらい面白かった。タイミングがいいのか悪いのか、コロナウイルスの蔓延と重なったせいで余計に身に迫るような恐ろしさを感じるけど、だからこそ今このコロナ渦の時に読むべきだとも思う。現実のウイルスよりも人間が意図的に作ったバイオ兵器の方が容赦の無い結果を生み出していたので、コロナが本当に茶番や陰謀などの誰かの計画だったら、現実も人類滅亡するのかもしれない…と考えると、なかなかにゾッとする。
後半というか終盤はもうエピデミック云々よりもロボットと人間の繋がりというか、母と子供の絆みたいな方向に行き、それはそれで面白かった。少子化がどうの毒親がどうのと言わ -
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Posted by ブクログ
本作の特徴を箇条書きにすると以下の通りだと思う。
・SF
・ミステリ
・火星
ストーリーを一言でいうと、生きているうちに刑の見込みがない囚人を即席でトレーニングし、火星に送り込んで、NASAの正式な探査チームが到着する前に、恒久的な火星基地を建設させる。
こういうものです。
そして、これをNASAから請け負っている企業があって、その企業が所有している幾つかの刑務所から囚人を選び出しているのです。
これっておそらく、欧米では旧来、囚人を訓練して軍人とし、戦争に送り出すという習慣があるから発想されるのかな。日本ではないですよね。
しかし囚人、しかも死刑囚とか途方もない懲役刑(これも日本ではない -