金子浩のレビュー一覧

  • 冬の子 ジャック・ケッチャム短篇傑作選

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    ケッチャムのいろんな面をたっぷりと味わえる短編集。
    一話一話は短いのに長編と変わらないずっしりした読後感。

    ケッチャムを読むのは我慢大会か耐久レースに似ていて、なんでわざわざお金払ってメンタル痛めつけてるんだろう、と首を捻ることもあるのですが、この本も読み終わるのにすんごい時間がかかった。

    ジャンルを超えた多種多様な物語が満載で、ケッチャム世界の奥行きの深さに恐れ入る。
    読み終わって改めて本当にすごい作家だったんだなぁと感嘆。まだまだ新作読みたかったなぁ…(合掌)

    以下、自分の忘備録のための読書メモ。
    ・冬の子
    「オフシーズン」と「襲撃者の夜」の間に当たる話だそうな。「オフシーズン」大好

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    2025年08月21日
  • 隣の家の少女

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    両親を事故で失い隣人のルースに引き取られたメグに恋をした12歳のデイヴィッド。ルースによりメグは地下に監禁され子供達から暴行を受けるが、デイヴィッドは傍観することしかできない。

    海外小説はあまり読まないので馴染みのないシーンも多いが、テンポがいいので読みやすかった。
    …善悪の判断を失っていく子供達の暴力は怖い。

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    2025年08月15日
  • 隣の家の少女

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    パラノイアの暴走は誰の手にも負えない。
    ただ関心領域の内外を往復するうちに侵食されていく。そしてそれは読者も巻き込んでいく。読後の罪悪感はこれ以上ないに等しい。

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    2025年03月13日
  • 冬の子 ジャック・ケッチャム短篇傑作選

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    ネタバレ

    2018年に物故したジャック・ケッチャムの短篇集3冊(未訳)から、翻訳者の金子浩氏が19篇をセレクトした日本オリジナルの傑作選。暴力や死、オフビートなお馴染みの作品世界はもちろんのこと、超自然的要素や幻想味に満ちたものなど、この作家の違った顔も堪能することができる。

    大雪の続いた2月の夜、父子の住む家のドアをノックした少女は口が利けなかった……という表題作は、ケッチャムの代表的長編『オフシーズン』とその続編『襲撃者の夜』との間に起きたエピソード―ということで、何れかを読んだ人間ならばその後の展開も凡その察しは付くだろう。
    その他、不治の病に罹った女流作家が死後も自作を生かすために行なったある

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    2025年03月01日
  • 老人と犬

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    老人と犬、それぞれが見せる愛情のかたちは人の手と手で成せることのように動物と人間を隔てる何かがあるが、だからといって理解できない訳ではない。老人は犬から何を理解し、犬は老人から何を理解したのか。

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    2024年06月11日
  • 闇の中をどこまで高く

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    途中ちょっとわからないなと思っても、最後まで読みきればきっとパラパラと読み返したくなると思う。語り手が章ごとに変わり、後の章で次々繋がる楽しさ。色々繋がりすぎて相関図が欲しいくらい。
    書籍紹介からコロナ禍を意識した内容かと思ったがそうでもなく、SF全開で、出てくる日本も日本であって日本ではないのが面白い。
    脳に特異点を生じさせブラックホールを作ると言う話もある。意味がわからないと思うが、とりあえずでも読めば、そこから壮大な宇宙の話を垣間見ることができる。途中謎が多いからこその最後のまとまっていく感、よかったなあ。

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    2024年04月10日
  • 闇の中をどこまで高く

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    ネタバレ

    日系アメリカ人の方が書いているからか、日本人名や地名が多く出てきたし、一貫して家族との別れと向き合う物語だった。

    章ごとに語る人物が変わっていき、脇役だった人の数年後の視点になってたり、後々にリンクしてさっきのあのキャラがこんな所に出てきた!って楽しめる。

    1つ1つの章が短いし、疫病が流行った世界での対策がどんどん進んでいく過程も面白いし読みやすい。
    特に笑いの街と豚息子は悲しくて仕方なかった。
    最後の章で、ある装飾品を持っている人が度々変わるなと思ってたけどそういう事か!と納得
    読み終わってから何度か読み返してしまった。

    カバーはめちゃくちゃカッコイイし、タイトルもマッチしててジャケ買

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    2024年03月20日
  • われらはレギオン1 AI探査機集合体

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    ネタバレ

    初めて目にした時から読みたかった作品。
    1巻の時点で、
    「機械での人格のエミュレート」、「蘇り」、「自己の複製(コピー)」、「外宇宙探査」、「宇宙空間での戦闘」、「(人類以下のレベルの)知的地球外生命体」、「(人類以上のレベルの)(おそらく敵性の)知的地球外生命体」、とアイディアを出し尽くしたんじゃないかというくらいの盛りだくさんの内容で、最初から最後までダレることなく面白い。

    主人公のボブには共感する部分が多く、どんな状態でも前向きで楽しんでいる様子や常に頭を使っている点は自分も同じだろうと思って、イライラすることなく読んでいられた。
    明るく前向きとは言っても、目が見えない(カメラがオフラ

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    2024年02月27日
  • 隣の家の少女

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    鈴木に誕プレでもらって読んだ。

    導入がワクワクした。そっから昔話に入ったはじめのころの話で子供の綺麗さとか無邪気さを感じて導入部分との乖離が良かった。そっから事件の内容に進んでいくのも良かった。
    けど事件内容の後半の方は現実離れ感が強くて^^って感じになった。
    主人公の立ち回りとか、流される雰囲気どうこうに関する感想は特にない。
    それよりも導入から事件に触れるくらいのところが一番よかった。
    あと,主人公のあの立場でよくも導入の言葉が言えたなと^^
    パフォーマンスのように自分を否定してそうでしてなさそうな雰囲気がすこ

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    2023年10月18日
  • 襲撃者の夜

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    「オフシーズン」の続編。食人族再び。

    前作で全員死んだと思われていた食人族の一人が生き残っていて、新たな一族を率いて、再び襲撃に。前作ほどのインパクトはかけるけれど、それでも十分に恐ろしい。

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    2025年12月03日
  • マザーコード

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    500ページ越えの長編なのに、読む手が止まらないくらい面白かった。タイミングがいいのか悪いのか、コロナウイルスの蔓延と重なったせいで余計に身に迫るような恐ろしさを感じるけど、だからこそ今このコロナ渦の時に読むべきだとも思う。現実のウイルスよりも人間が意図的に作ったバイオ兵器の方が容赦の無い結果を生み出していたので、コロナが本当に茶番や陰謀などの誰かの計画だったら、現実も人類滅亡するのかもしれない…と考えると、なかなかにゾッとする。
    後半というか終盤はもうエピデミック云々よりもロボットと人間の繋がりというか、母と子供の絆みたいな方向に行き、それはそれで面白かった。少子化がどうの毒親がどうのと言わ

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    2023年01月16日
  • 地下室の箱

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    「ディズニーは絶対にジャック・ケッチャムの小説を映画化しない。」スティーブン・キング

    「ケッチャムはキング氏が間違っていることを望んでいる」帯文

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    2022年04月22日
  • 隣の家の少女

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    この本を読むと相当心を抉られる…。
    エログロな内容なので決して万人には薦められないが、ホラーが好きな方であれば読んでみてもいいような気も。
    だめな人は本当に受け付けないと思うけど、少しでも受け入れられる人なら、残酷な内容なのに続きが気になってページを読み進めてしまうと思う。
    自分はただただ作者の語り口に魅せられるばかりだった。

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    2021年12月21日
  • われらはレギオン1 AI探査機集合体

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    人類が他星系へ進出するための現実的な考察、方法論が描かれていて、非常に面白く読めました。いわゆるシンギュラリティを迎えた後は、他星系探索などにおいて時間的空間的制約を乗り越えるためには、人類の活動はある程度AIにまかせるようになるのではないかと感じました。主人公たちの愉快な性癖なども親しみを増してくれると思います。

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    2021年10月24日
  • 火星無期懲役

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    先に読むのは”火星の人”にして。

    こちらは、秋に片足残したくらいの
    平日、仕事切り上げた午後。
    そぼふる雨に吹かれながら読むのがいい。

    3億キロの距離も、
    幾分かは近くなっている様な心持ちは
    私だけか。

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    2021年07月05日
  • 物体E

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    エンタメ作品としては優秀。個人的には満点をつけたい。

    全体を通して海外の吹き替えドラマを見ているような雰囲気があり、
    皮肉のきいた台詞やユニークなキャラクターなどそれが随所に感じられる。

    本書はそのキャラクター作りがとても上手い。
    主人公や同僚たち、元恋人にいたるまで、丁寧かつ大胆に描写されている。
    なので俗っぽい動機やぶっ飛んだ行動に、ツッコミを入れながらも納得ができる。
    スリルがありハラハラさせられる展開もさすがだ。

    とても楽しく読ませてもらった。
    あらすじを読んで惹かれた方は、ぜひ読んでみてほしい。

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    2020年06月24日
  • われらはレギオン3 太陽系最終大戦

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    三部作の最終巻。ボブ達は500人くらいに増えて、冒険したり、恋愛したり、地球を防衛したり、お節介をしたりと忙しい。あとがきでは、このシリーズで新刊も予定されているらしい。これだけ魅力的な世界を作ってしまったら、色々と書きたい話も出てくるだろうと思う。

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    2019年09月14日
  • われらはレギオン1 AI探査機集合体

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    3部作か…ついていけるかなと不安になりつつも購入。でも大丈夫でした。相当面白いですこれ。完全にわたし向け。今2巻目めを読んでいます。どう展開していくのかとても楽しみ。

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    2019年07月10日
  • 火星無期懲役

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    本作の特徴を箇条書きにすると以下の通りだと思う。
    ・SF
    ・ミステリ
    ・火星
    ストーリーを一言でいうと、生きているうちに刑の見込みがない囚人を即席でトレーニングし、火星に送り込んで、NASAの正式な探査チームが到着する前に、恒久的な火星基地を建設させる。
    こういうものです。

    そして、これをNASAから請け負っている企業があって、その企業が所有している幾つかの刑務所から囚人を選び出しているのです。

    これっておそらく、欧米では旧来、囚人を訓練して軍人とし、戦争に送り出すという習慣があるから発想されるのかな。日本ではないですよね。
    しかし囚人、しかも死刑囚とか途方もない懲役刑(これも日本ではない

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    2019年06月03日
  • 無伴奏ソナタ〔新訳版〕

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    「エンダーのゲーム」を代表作に持つSF作家の短編集。同著には「エンダーのゲーム」の短編版も収められているので、著者の作品未経験者には入りやすい一冊かもしれない。

    外国のお伽噺から残酷フィルターをとっぱらったかのような作品がとにかく上手い。人体が欠損しまくる話が特に面白く、「王の食肉」と「無伴奏ソナタ」はここ数十年間のSF短編の中ではトップクラスに面白かった。

    是非、荒木飛呂彦に漫画化してほしい「四階共用トイレの悪夢」などバリエーションのある理不尽さが書けるのも凄い。

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    2019年04月09日