金子浩のレビュー一覧

  • ザ・ウーマン
    「オフシーズン」「襲撃者の夜」に続く三作目。
    弁護士のクリスは、野生的な女を捕らえて地下に監禁する。
    その女は食人一族の生き残りだった。
    クリスはもちろん、その家族も歪んでいて、何か大きな隠し事をしている。
    そして惨劇の夜へ。
    後日譚となる短編「カウ」もまた面白い。
    前作でいた「カウ」の役割を振り当...続きを読む
  • ねじまき少女(下)
    設定された世界観が特殊だとなかなかその小説世界に入りにくいですが、一旦入ってしまうととてもワクワクしながら読めるのがSFの良いところです。その意味でもこの「ねじまき少女」は上巻の途中からはどっぷりとその世界に入り込み一気に読んだ。

    バンコックのとても暑い描写が今の東京の気候と被ることもあり臨場感も...続きを読む
  • ねじまき少女(下)
    まずジェィディーがあっさり処刑されてしまったのがすごく残念でした。
    しかし亡霊となってカニヤに付きまとってたせいであまり死んだ感じがしなかったんで少し嬉しかったです。
    あの後ジェイディーがちゃんと成仏してくれていることを願います。

    カーライルがナーガの鱗をなぞりながら階段をのぼる場面や、戦闘用メゴ...続きを読む
  • ねじまき少女(上)
    SFはまったく読んだことがなかったので、世界観についていけるか不安だったのですが無用の心配でした。
    最初はこの世界の用語が多すぎてなにがなんだか訳が分からない状態でしたが話が進むにつれ個性的な登場人物と結構エログロかつアクティブな展開のある話に引き込まれました。
    意味不明の用語も何度か使われるうちに...続きを読む
  • ねじまき少女(上)
    面白い!
    ニューロマンサー以来の衝撃!
    バンコクを舞台に、ブレードランナーに似た混沌とした行き場のない閉塞感がこれでもかと表現されていて、途中で止められない面白さ!
  • ねじまき少女(下)
    面白かった!
    仮想バンコクでの政変を描く。思惑は入り交じり、アクシデントも起こり、最後まで予想できずにドライブする感じ。
    特筆すべきは仏教や原理主義的キリスト教といった思想や哲学、もっと言えば「文化」と呼ばれる部分がしっかりこの仮想世界に浸透していることだと思う。良いSFを読みました。
  • ねじまき少女(下)
    今までのSF小説とは違う面白さを感じたSF小説。次回作が待ち遠し作家が増えた喜びを感じる。

    【感想】
    超面白いSF小説を読んだ時に感じる”センス・オブ・ワンダー”や”認識の変革”は正直感じなかったが、それとは別の面白さがこの本にはあり、最後まで楽しめ、読後も暫くその余韻に浸ることが出来た。

    ・登...続きを読む
  • 闇の中をどこまで高く
    北極から広がったパンデミック(北極病という内臓を他の内臓に変えてしまう病気)に立ち向かう人類を描いた小説。それぞれの局面で家族を亡くしたり後遺症を抱えたりした人々が、どうその家族や周囲の人間と関係を構築したり修復したりするかと言う内容だった。しかし設定がなかなか難しく…途中、地球を脱出して他の惑星に...続きを読む
  • 隣の家の少女
    かなり壮絶で、でもこういった酷い事件は日本にもあるし、身近な事でもあると思わされる小説でした。大人ですら心から信用してる人達の行動には知らず知らず同調してしまい、自分に言い訳をしたりして目が覚めるのが遅れることはあると痛感しているので、デイビットの気持ちも凄くリアルに感じました。心に残りました。
  • われらはレギオン3 太陽系最終大戦
    2巻で感じたボブのゴチャゴチャ感が整理されたように感じた。
    物語が収束してきて、深宇宙への探査ではなくアザーズとの決戦に話が集中してきたからだろうか。
    新しい星の話はおまけ程度に挟まれているが、「メインが2〜3系統あって、時々フレーバーとして出てくる」という感じの方が把握しやすい。

    3巻では人類側...続きを読む
  • われらはレギオン2 アザーズとの遭遇
    講和の出来ない侵略者アザーズとの接触と交戦、圧倒的敗北で、これまでのゆったりした開拓から緊張感のある話になってきた。
    ただ、多くの領域に探査に行くのは良いが、話がとっちらかってきて、ボブのコピーも増えるので登場人物の見分けも出来なくなってきている。巻末に家系図(?)が欲しい。
  • 第六ポンプ
    ディストピア物のSF短篇集(SF9篇+SFではない『やわらかく』の1篇を収録)。

    人口、民族対立、エネルギー、化学物質、水、食料や食品添加物など、貧富の差や環境問題を下敷きにした退廃的未来を描いています。しかし、最後は希望が持てる終わり方が多いので、想像していたよりかは読後感は悪くないです。
    とは...続きを読む
  • 隣の家の少女
    お勧めされて読んだ本。
    非常に後味が悪く、生理的嫌悪と恐怖に顔を顰めつつも、一気に読んでしまった。
    アメリカの片田舎の平和な日常の描写から始まった物語は徐々に不穏さが滲み出ていき、「誰にも言ってはならない」というキーワードをもとに際限なくエスカレートしていく。
    暴走した列車のようにどこまでも行き着く...続きを読む
  • 隣の家の少女
    一部で非常に有名な本作。文庫で400ページほどあるが、悪いことにすらすら読めてしまう。
    語り手であるデイヴィッドが「いったいぜんたい、わたしはいつ堕落したのだろう?」と言った瞬間、最初っからだよ!と悪態をつきたくなるくらいには登場人物みんな嫌いになること請け合い。終盤あたりに「ママはこのごろ、ちょっ...続きを読む
  • 黄金の人工太陽 巨大宇宙SF傑作選
    スペースオペラな短編集

    時空の一時的困惑 
    禅と宇宙船修理技術 
    甲板員、ノヴァ・ブレード、大いに歌われた経典
    晴眼の時計職人
    無限の愛
    見知らぬ神々
    悠久の世界の七不思議
    俺たちは宇宙地質学者、なのに
    黄金の人工太陽
    明日、太陽を見て
    子どもたちを連れて過去を再訪し、レトロな移動遊園地へ行ってみ...続きを読む
  • 第六ポンプ
    文明が衰退・滅亡した後のオルタナティブな文明を描いたお話がつまった短編集。
    荒廃した世界の過酷な境遇の中で主人公たちがそれぞれの矜恃、それぞれの希望を見出していくところに「SF的美しさ」が存在している。
    挿入される造語に初めは戸惑うが、読み進めるにつれて造語に馴染みそれと共にその世界にも馴染んでいく...続きを読む
  • ザ・ウーマン
    これこれこれーーー!!
    エログロスプラッターの最高峰「オフシーズン」、その続編「襲撃者の夜」、そしてシリーズ第3作となる本書、私が敬愛するケッチャム大先生の作品、This is ケッチャム!!

    ここ最近、休日の度に天空図書室へ通い、空を眺め、美しい写真集等を手にしてきました。

    でも、でもですね、...続きを読む
  • 隣の家の少女
    気持ち悪いけど先に進まないと気が済まないような感じで一気に読んだ。読んだ後ずっと嫌な気分になるから人には勧められない。
    人を助けるのは簡単じゃない、まして子どもなら。
    恐怖を感じながらも読み進めてしまうのは、自分もそうなる可能性があるから。普通に起こることだから。みんなディビットになるし、ルースにさ...続きを読む
  • 隣の家の少女
    衝撃的。

    時代とお国柄の違いがあるため、違和感を覚える箇所もありますが、人が狂っていく様を見事にストーリー化していると思いました。

    『ゲーム』と称して虐待がエスカレートしていく様子、思考停止状態の傍観者、コントロールしているはずのルースがもともと精神を病んでいるため、歯止めがきかなくなる様子…
    ...続きを読む
  • 隣の家の少女
    なんだこれ。狂騒とスリルがのしかかってきて、体が重圧を受ける。けれど、読む手を止められなかった。
    強烈なパワーが渦巻く一冊だった。久しぶりの感覚に陥った読書体験だった。えげつない。