金子浩のレビュー一覧

  • 無伴奏ソナタ〔新訳版〕

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    『エンダーのゲーム』の前身と思われる同名タイトルの短編を含む11の短編集。もしかしたらこの作家は短編の方が上手かもと思うような、クオリティの高いものばかりでした。

    本のタイトル作について。
    生後6ヶ月で受けたテストで見せた音楽への“天才性”により、クリスチャンは音楽の<創り手>となることを定められる。
    彼は両親から引き離され、自然の中で聞こえる鳥の歌や風の歌、雷の音、つららから落ちる水滴の音、リスの鳴き声といった音楽を与えられた<楽器>のみで奏で、そして<聴き手>はそれらに聴き入る。
    <創り手>であるクリスチャンは<聴き手>になることは許されないのであるが、ある時一人の<聴き手>がクリスチャ

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    2016年03月13日
  • ねじまき少女(下)

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    近未来のバンコクを舞台にした物語の下巻。エミコたち「つくられた生き物」と、もとからいる人間とで構成される街では、あやうい均衡を保ちながら政治闘争が繰り広げられ、その均衡がついに崩れることに。生き残りを図る人々を描く下巻では、物語が進むにつれ、アンドロイドを開発した日本人の意図が明らかになります。上巻でエミコは、受けた教育と自分の中にあるものとの間にずれを感じていました。エミコの葛藤が何だったのか、読者はようやく知ることができます。真実が明らかになり、報いを受ける段になっても、顔色ひとつ変えない。こうした日本人の描き方からは、とらえどころのなさ、ある種の不気味ささえ、国際社会が抱いているように思

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    2015年03月20日
  • ねじまき少女(上)

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    (((o(*゚▽゚*)o)))
    化石燃料が枯渇し、カロリー(遺伝子操作で創られた動物たちの運動力)がエネルギー主体となった世界。
    遺伝子バンクと穀物の覇権を争い、しのぎを削る社会。
    新人類として創られながら、その能力の高さ故に恐れられ、科学者たちに生殖能力を奪われ様々な制約を与えられた奴隷「ねじまき」。
    世界観、ストーリー構成ともに秀逸!

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    2014年11月03日
  • 第六ポンプ

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    今注目している作家の一人。SF作家さんだけど、学生時代は東アジア学を専攻し、経営コンサル経て、環境専門雑誌の編集をしながら執筆を続けているそう。
    『ねじまき少女』から思っていたけど、場面の空気を描くのがすごくうまいと思う。『ポケットの中の法』や『イエローカードマン』なんかは読んでいると自分の周りすらジトジトしているような気になる。土地のにおいがしてきそう。
    環境問題にも造詣が深く、そのせいか物語もディストピアが多くて若干気が滅入るかも。でも目が離せない。
    SFをやっと数作読んできたけど、科学技術単品を軸に進む物語より、その技術で社会や人間がどう変わったか、みたいな部分の割合が多めの作品が好きみ

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    2014年04月18日
  • ねじまき少女(下)

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    昨年末のタイの洪水を思い出しました。水浸しの中で意外と普通に生活していて、逞しい人たちだなと思ったのでした。
    物語の後半に入り状況は増々悪化していきます。内乱が起き、町は水没...でもそれでも生き残るべく、生きていくのでしょう。
    見捨てられた町のなかで、仄かな希望の見える終わり方でした。

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    2013年09月23日
  • ねじまき少女(上)

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    アグリビジネス、遺伝子組み換え作物、外来生物による自然破壊、伝染病の蔓延、難民、官僚の腐敗、カルト宗教...。未来のタイを舞台に現実にある様々な問題が物語に内包され、凝縮されています。
    混沌とした世界でそれでも生きていく人たち。
    いままで知識でしかなかったことが登場人物に共感することで実感として理解できます。下巻が楽しみです。

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    2013年09月22日
  • ねじまき少女(下)

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    本書は著者の長編デビュー作。
    しかしデビュー作にも関わらずヒューゴー賞/ネビュラ賞/ローカス賞/キャンペル記念賞とSF界の様々な賞を受賞。
    そしてそれだけに留まらず、タイム誌の「今年の10冊」で9位にランク付けされる等、SFと言う比較的ニッチな世界にとどまらない作品となっています。

    簡単にストーリーをご紹介すると、

    本書の舞台は温暖化効果と遺伝子工学の暴走により環境が激変した500年後の地球・タイ王国。
    この舞台において、蘇りつつあるグローバル経済を主導しようとする多国籍企業とそれと敵対するタイ王国環境省及びその実働部隊、通称白シャツ隊。
    そして、白シャツ隊と敵対するタイ王国通産省の三

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    2013年06月21日
  • ねじまき少女(上)

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    本書は著者の長編デビュー作。
    しかしデビュー作にも関わらずヒューゴー賞/ネビュラ賞/ローカス賞/キャンペル記念賞とSF界の様々な賞を受賞。
    そしてそれだけに留まらず、タイム誌の「今年の10冊」で9位にランク付けされる等、SFと言う比較的ニッチな世界にとどまらない作品となっています。

    簡単にストーリーをご紹介すると、

    本書の舞台は温暖化効果と遺伝子工学の暴走により環境が激変した500年後の地球・タイ王国。
    この舞台において、蘇りつつあるグローバル経済を主導しようとする多国籍企業とそれと敵対するタイ王国環境省及びその実働部隊、通称白シャツ隊。
    そして、白シャツ隊と敵対するタイ王国通産省の三

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    2013年06月21日
  • 襲撃者の夜

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    ケッチャム作品中随一の『まるで悪夢のような』エンディング。

    他ケッチャム作品のヒロインが総立ちになるレベル。

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    2013年04月20日
  • 襲撃者の夜

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    ネタバレ

    「オフシーズン」の続編。あの凶行が再び。
    今回の人肉レシピも吐き気がするほど。
    しかしオフシーズンよりは恐怖感が薄かった。オフシーズンに続けて読んだので、あの空気に慣れてしまったのか。
    また食人族が襲ってくるのだが、狩の仕方はオフシーズンよりさらに手が込んでいる。
    食人族はもう、かけ離れすぎて同じ人間とは思えないのだけれど、狩のやり方を読んでいると知性を感じてぞっとしてしまうのである。いっそ、知性のまったくない、野獣として狩をしてくれたほうがよっぽどマシだった。
    そういう意味では恐ろしかったのに、全体的に見ると「あれ、前ほど怖くないな」という感想。
    後味の悪さもオフシーズンのほうが上だった。

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    2012年11月05日
  • ザ・ウーマン

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    ネタバレ

    「オフシーズン」「襲撃者の夜」に続く三作目。
    弁護士のクリスは、野生的な女を捕らえて地下に監禁する。
    その女は食人一族の生き残りだった。
    クリスはもちろん、その家族も歪んでいて、何か大きな隠し事をしている。
    そして惨劇の夜へ。
    後日譚となる短編「カウ」もまた面白い。
    前作でいた「カウ」の役割を振り当てられてしまった若者の話。
    前二作よりも後味はいいと思う。

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    2012年11月03日
  • ねじまき少女(下)

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    設定された世界観が特殊だとなかなかその小説世界に入りにくいですが、一旦入ってしまうととてもワクワクしながら読めるのがSFの良いところです。その意味でもこの「ねじまき少女」は上巻の途中からはどっぷりとその世界に入り込み一気に読んだ。

    バンコックのとても暑い描写が今の東京の気候と被ることもあり臨場感もたっぷり、エンターテイメントとしてもとても楽しめましたが、エネルギーや食料の問題はあながちフィクションとも言えないような。。。

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    2012年08月19日
  • ねじまき少女(下)

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    ネタバレ

    まずジェィディーがあっさり処刑されてしまったのがすごく残念でした。
    しかし亡霊となってカニヤに付きまとってたせいであまり死んだ感じがしなかったんで少し嬉しかったです。
    あの後ジェイディーがちゃんと成仏してくれていることを願います。

    カーライルがナーガの鱗をなぞりながら階段をのぼる場面や、戦闘用メゴドントがホク・センを襲う場面など細かな場面まで書かれているので映画をみているようでした。
    特にエミコがソムデット・チャオプラヤを殺す場面ははっきりとは書かれていませんがスピーディーで爽快でした。

    正直世界観や種子バンクのことは半分分かったような気がするレベルでしたが、
    登場人物が個性的でギ・ブ・セ

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    2012年08月11日
  • ねじまき少女(上)

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    SFはまったく読んだことがなかったので、世界観についていけるか不安だったのですが無用の心配でした。
    最初はこの世界の用語が多すぎてなにがなんだか訳が分からない状態でしたが話が進むにつれ個性的な登場人物と結構エログロかつアクティブな展開のある話に引き込まれました。
    意味不明の用語も何度か使われるうちになんとなく意味が分かってきて、
    普段は現代日本作家しか読まないので目新しい読書体験でした。
    日本ではねじまき少女のあとに発売された第六ポンプの方が、執筆順は反対だったみたいなので、先に読んでおけばよかったかと思いました。
    下巻どうなるかすごく楽しみです。

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    2012年08月05日
  • ねじまき少女(上)

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    面白い!
    ニューロマンサー以来の衝撃!
    バンコクを舞台に、ブレードランナーに似た混沌とした行き場のない閉塞感がこれでもかと表現されていて、途中で止められない面白さ!

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    2012年06月17日
  • 残り火 ジャック・ケッチャム短篇傑作選2

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    ジャック・ケッチャム『残り火 ジャック・ケッチャム短篇傑作集2』扶桑社ミステリー。

    2018年に亡くなったジャック・ケッチャムの短篇傑作集の第2弾。中短篇小説17篇を収録。表題作の『残り火』だけが中篇で、他は全て短篇である。

    第1弾を読み、ケッチャムは短篇よりも長篇の方が面白いと思ったのだが、本作を読んでから考えが変わった。短篇もなかなか良いではないか。

    世界は不条理という理屈に支配され、誰もが報われない人生をただ過ごすのみ。ケッチャムはいずれの短篇でも人間の幸福の一欠片も描いたいない。それこそが、嘘偽りの無い本当の人生なのかも知れない。


    『エンドゲーム』。あの『オフシーズン』シリー

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    2026年09月11日
  • 絶滅の牙

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    遺伝子工学でマンモスが復活した近未来。シベリアの広大な保護区では野生下で群れを導く為、死亡した生物学者の意識が一頭のマンモスに移植された…。保護と密猟の欺瞞、意識と身体の関係性など多層的なテーマを内包しており読み応えあり。
    「絶滅の牙」(2024)レイ·ネイラー
    #読書好きな人と繋がりたい

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    2026年08月16日
  • オフシーズン

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    80年代のメイン州に食人族が現れて人々を襲うというかなりぶっ飛んだ設定だが、描写が見事なのでリアリティは充分。
    丹念に描かれたキャラクターもその時が来ればあっさり死ぬ。
    残酷描写は文字で読んでる分には良いのだが、もし忠実に映像化されたらそれは気分が悪くなるだろう。食人族に襲われるのは野生動物に襲われるようなもので、倒したとしても爽快さなどもない。

    巻末の作者によるあとがきもとても面白いが、ネタバレだらけなので読後に読むこと。

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    2026年08月12日
  • 老人と犬

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    ある老人の、苦しすぎる過去、長く生きた故の冷静さと強さを、主人公に強く感じた。
    もう、いいんだ、何も怖くない。するべきことを、するだけだ、というような。そんな1人の男に、残された宝物、犬。泣ける、泣けるー。

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    2026年07月23日
  • 第六ポンプ

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    パオロ・バチガルピの短編・中編をまとめた全10篇。

    その中でもディストピア作品の「ポップ隊」は素晴らしい。永遠の命が当たり前の世界で、子を成すことが罪になっている。それでも隠れて子を産もうとする人々がおり、その子供を抹殺する事を生業としている主人公。
    とある子供を手にかけてから、考え方や行動に変化が見られ始める。

    どの作品も魅力的で独特な世界観を形成しており、一編毎にとても新鮮な気持ちで楽しめた。

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    2026年07月21日