金子浩のレビュー一覧
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やっぱり地球って大切だなぁ~。
空気も水も大地の恵みも、「有る」ということは奇跡なんだ。
「火星の人」の小説・映画の成功に触発された出版社が、作家にオファーしてできた小説、と、訳者あとがきに記されている。
そのせいか、どちらかというとミステリーやサスペンスといった要素の強い、比較的わかりやすい筋立てのSF小説で、80年代ハリウッドのアクションパニック映画を見ているよう。
章ごとにフォントを変えて記録されたXO社関連の記事や社内メモ等には、本筋を補完する情報に溢れているが、時間経過がバラバラなため、読書中は少し理解しにくい(読み終わってからその部分だけ再読すると、もう少し理解できた)。
原題は“One Way”(片道切符)
邦題の「火星無期懲役」の方が、断然いい。 -
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巨大宇宙SFってなんだ? と思っていたら、スペオペでした。あとがきではスペース・オペラを連呼しているんで、禁句と言うことはないと思うが、背表紙や帯の惹句には、どこにもスペオペとは書いてない。なんとなく不思議。
で、中身の方はニュー・スペース・オペラ以降の、アクションSFが主軸。一昔前のスペオペ・アンソロジーなら、もう少しB級感というか、やさぐれた感じを出してきたような気がするが、これはこれでいい。ただ、これはお約束なのか、どれほどとんがったSFガジェットをてんこ盛りにしていても、人情とか、家族関係なんかは今と変わっていない設定のお話がほとんど。多少の違和感はある。 -
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複数巻を平行に読破月間。
遺伝子改変とハックが当たり前になり、他国の作物をジーンハックゾウムシによって壊すことで、エネルギー機器に陥らせる時代。独自の種子バンクを持つタイでは西洋由来のカロリー(エネルギー)企業に負けない食文化を構築した。そこで藻類を研究するアンダーソン、通産省で闇カロリーを駆逐するジェイディー、日本製の遺伝子改変"ねじまき"少女のエミコの人生が交錯していく…。
クールなアンダーソン、自分がうまく制御できないエミコ、熱く衝動的なジェイディーに、得体のしれないホク・センと、サイバーパンクというか、アニメ的な登場人物の視点でそれぞれ進む序盤。状況の説明と、やや支離滅裂なストーリー展開がほとんどのため、上巻前半はなかなか読みすすめるのが難しい。
裏表紙に書かれているストーリーも、何となく全体にずれていたり、表現が誤っていたりするような感じで、出版社も上巻だけでなんともならないように思える。
そういう滅裂感が、上巻の後半にやや動き出してくる。的だと思っていたジェイディーが事件に巻き込まれ、エミコは北を目指す。
ヨーロッパから見たアジアの混沌とした世界観、特に通産省とは名ばかりの、日本のヤクザをベースにしたと思われるネチネチした陰湿な組織形態、得体のしれない敵国としての日本など、そういう風景が見えるようになってくると、理解が深まっていくだろう。
でもまあ、まだ序盤である。ようやく話が始まろうというところなので、後半に期待。
余談。
吾妻ひでおの『不条理日記』に出てくる「ミルクちゃん」の元ネタかと思って読み始めたのだが、2009年の作なのね。不条理日記って1979年頃よね。 -
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生徒(中学生)が推薦していた図書。
息子にドラックを売りつけていた売人を射殺した罪で懲役120年を宣告されたフランクは、刑務所で無為に過ごすのではなく、新しい環境で「働き、生甲斐を感じることができる」場所への移動を承諾して契約書にサインします。
その場所とは火星。民間企業が宇宙開発を担うなか、NASAの宇宙飛行士が火星に降り立つ前に、彼らが使う基地を組み立てるのが、フランクたち長期服役囚の仕事になりました。
自主性や自由はある程度認められているものの、火星というどこにも逃げ場のない環境、少人数の閉ざされた人間関係など、正常な精神を保つことに困難を伴う状況の中で、次々にクルーが死亡するという事件が起こります。
犯人はだれなのか。
ミステリとSFが融合した作品で、読みごたえはありますがやや冗長な印象も受けました。
火星という、いわば「エンタテイメント」のない環境の退屈さや主人公たちクルーの無力感・徒労感をうまく表現している、ということなのかもしれませんが……
SFの要素(専門的な描写や宇宙についての物理・天文の知識が要求される部分)は想像していたよりも少なく、理系の素養がない私にとってはありがたい部分もありましたが、ラストシーンへ向かうところは急展開で、ハラハラさせられる、というよりも「結論ありき」でそこに向けてねじ込んだようにも感じられます。 -
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ネタバレ衝撃を受けた「オフシーズン」の続編。
メイン州のリゾート地で11年前に起きた身の毛もよだつ凄惨な殺戮事件。
多くの被害者が出たが、当時の地元警察署署長ピーターズと部下達により、事件は解決したはずだったのだが、過去の事件を彷彿させる惨劇が再び。
当時全員が死んだと思われていた「食人族」の内、1人が生き残り、一族を率いて戻って来た。
襲撃を受けた家の家主デイヴィッドと妻のエイミー、最愛の娘である赤ん坊のメリッサ、遊びに来ていた友人のクレアと息子ルークの運命は!
2Fの窓からクレアと息子のルークはメリッサを抱いて飛び降り、危機一髪で森の中へ逃げ込む。
果たして奴らから無事に逃げ切れるのか。
事件に気づいた地元警察は過去の事件で指揮をとったピーターズに協力を求め、被害者救出に急行する。
私のように「オフシーズン」の虜になった読者には前作と比較した際に物足りなさを感じた読者も多いのではないだろうか。
それは前作で描かれていたあまりにも惨たらしい殺戮シーンが本作ではかなりマイルドに描かれていたことが最大の要因な気がする。
気がつけば今月1ヶ月で再読も含め著者の恐怖の作品を計3冊読み終えた。
来月は少し違った雰囲気の作品を多めに読もう(笑)
説明
内容(「BOOK」データベースより)
北米東海岸メイン州、海岸沿いのリゾート地。ある夜、残忍な殺人が起こり、女性二人が殺され、赤ん坊が行方不明になった。同じ場所で起こった十一年前の惨劇を想起した地元の警察は総出で捜査を始めるが、警察が出払っている最中に第二の惨劇が!かろうじて難を逃れたクレア、少年ルーク、赤ん坊メリッサを待っていた運命とは?キング絶賛、ホラー小説史上に輝くデビュー作『オフシーズン』の舞台を再び用いて鬼才ケッチャムが圧倒的な筆力で描きだした、現代ホラーの極限ともいうべき物語。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ケッチャム,ジャック
俳優、教師、出版エージェントなどの職業を経て80年に『オフシーズン』で、作家デビュー。スティーヴン・キングが絶賛する作家。本名ダラス・マイヤー。現在、代表作『隣の家の少女』の映画化が進んでいる
金子/浩
1958年生まれ。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) -
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ネタバレコストの関係から、地球に戻って来られなくても構わない人、としてMB1(火星ベースワン)建設計画のメンバーに選ばれた、建設、農業、医療などのスキルを持つ、囚人のフランクたち。しかし、仲間たちが1人ずつ一見事故のように見える状況で死んでいき、彼らは疑心暗鬼に駆られていく…
SFとしては、細部の考察がしっかりしていて、引っかかる所はなかったと思う。一つ気を抜けば死ぬという緊迫感の中で話が進む。とても面白く読めた。しかし、ミステリとしては正直イマイチ。というのは、最初から誰が一番自由に動け、優位な立場にあるのかは明らかだから。フランクたちが、なぜいつまで経っても「彼」そして「彼ら」のことを疑おうともしないのか、途中からずっとヤキモキしながら読んでいた。「約束」のことがあるから、心理的に疑いたくない、っていうことはあるだろうが。ただ、火星を舞台としたクローズドサークルもの、というのは新しいと思った。