斜線堂有紀のレビュー一覧
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ネタバレ好きだったやつだけ感想
『恋澤姉妹/青崎有吾』
唯一現代百合じゃない。何となくスチームパンクっぽいというかデカダンぽい印象。武器が靴べらって???
『九百十七円は高すぎる/乾くるみ』
ひたすら算数。先輩に対する思慕と友人に対する恋情が女子高百合っぽい。「先輩に飼われたい」って言ってる女子高生、なんか笑ってしまう。
『上手くなるまで待って/円居挽』
主人公の記憶に穴がある所、まあ人間だからそういう事もあるか、と思いつつそんな忘れてる事ある?と思って最後まで違和感。
『百合である値打ちもない/斜線堂有紀』
一番現代ぽい百合。女の子の方が美醜を気にすると思うし、配信に対するコメントがリアルで醜い。「私の為にわかりやすく可愛くなってくれてありがとう」っていう台詞が良かった。そんな事言える?好き。
『微笑の対価/相沢沙呼』
一番好きだった。結局こういう女王様みたいな美少女が一番良いんだよな。最後のモノローグだけ蛇足感。 -
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ネタバレ【収録作品】「ヤツデの一家」 新川帆立/「大代行時代」 結城真一郎/「妻貝朋希を誰も知らない」 斜線堂有紀/「供米」 米澤穂信/「ハングマン -雛鵜-」 中山七里/「ミステリ作家とその弟子」 有栖川有栖
いずれも2022年~2023年に雑誌に掲載されたもの。世相を反映しているものが多い。
「ヤツデの一家」 父親の後継者として政治家になった娘の、後妻の連れ子である兄と実妹への執着を描く。
「大代行時代」 代行業者の話。新入社員の一人は退職代行を依頼。もう一人が依頼したことは。
「妻貝朋希を……」 迷惑動画で炎上した男について、記者の取材に周囲の人間が答える形で事情が説明される。ファンタジー要素なしの実録ドキュメント風ミステリ。気が滅入る。
「供米」 小此木春雪という詩人の遺稿集を出版した未亡人の思惑。盟友の目から語られる詩人の姿と二人の育んできた友情が美しい。
「ハングマン」 シリーズものの一篇。メンバーの一人で情報収集担当の凄腕ハッカー・比米倉内記の視点で語られる。闇バイトがらみの事件。これで終わりではなさそうなので、単行本化が待たれる。
「ミステリ作家と……」 ミステリへの皮肉、というか自虐かな。スランプ気味のミステリ作家の下に弟子入りした男の思惑は。ミステリ講義として持ち出される話が面白い。 -
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「才能」がある、いわゆる「天才」は、その人間の裏や過去も勝手に期待されてしまう。勝手に理想を押し付けられてしまう。才能とはなんだろうか。それは努力の先の肩書きにすぎないのではないだろうか。と思ってしまう。
たとえ優秀な小説家になれなくても、腕のすごい料理人になれなくても、賞を取り続ける映画監督になれなくても、「幸せ」にはなれる。つまり「何者」かにならなくても「幸せに生きる道」はあるじゃないかと未来に希望を持つことができる1冊だった。
長編ファンタジーの後に読んだからちょっとだけ物足りなさを感じてしまったけど(完全に自分のモチベ)すごく共感出来るシーンが多い斜線堂先生らしい物語だった。 -
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アメリカの俳優ニック・オファーマンが出演作品について、「なぜ同性愛者の物語にする必要があったのか?」と訊かれて「そういうくだらない質問するやつがいるからだ」って言い返したというニュースを気に入ってたんだけれど消えてる…フェイクだったのかな?
久々に百合アンソロジーなどを。百合でなきゃ得られない養分が…とかってわけではないけれど、やはりなんというか、この関係性じゃないと生まれない痛み、のようなものがある。でもそれって普通の恋愛小説と何が違うの? と思うことも。純度の問題なのだろうか? LGBTQに配慮も忖度もしないオレのような者が、しかしなぁ。
全8編。特に気に入った(そして気に入らなかった)ものだけを掻い摘んで…と思ったけれど毎度、ほとんど全部。それだけ良作揃いではあるのだけれど、残念な部分もあります。
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選挙に行きたくない家のソファーで食べて寝て映画観たい/斜線堂有紀
普通に考えて頭がこれって失敗でしょう。1編読んで一旦お腹いっぱいになっちゃうよぉ←
やっぱりストーリーテラーとして飛び抜けているなぁと思う。面白いんだよなぁ…選挙を切り口に、これくらいの世代なら誰もが持っている素材をこんなふうに料理できる小説家はこの世代にはなかなか居ないでしょう。斜線堂全肯定botになりそう。嘘です。
エリアンタス・ロバートソン/宮木あや子
なんとも純度の高い百合小説だなぁ、と思ったらとても書き慣れてらっしゃるようで。流石だな、と思いました。こういう、自分の作品群の中に確固たる百合枠、みたいのを持っているひとが書くキャラクタはいいなぁ、と楽しく読んだ。
嘘つき姫/坂崎かおる
斜線堂が書いたのが日常の中の地獄なら、やはり戦争という真物の地獄の中での百合もまた、映えるもので。次に出てくる南木義隆が「ソ連百合」で名を馳せたように、大戦中を舞台にした百合小説は十指に余るだろう。
どうしても写実的になりがちな戦争ものでありながら、物語的な細工が全体に光るこれも良作。個人的に、おすすめの百合作品が萩尾望都『半神』で同い年、というのもまた痺れた…謎の嬉しさったら。
魔術師の恋その他の物語/南木義隆
エンタメばくはつ、という感じ。「月と怪物」、『蝶と帝国』など、重厚な作風のイメージが強くあったのだけれどこれはもう、逆のベクトルに突き抜けていてとっても面白かったです。中編程度の頁数の間、ずっとワクワクしていた。嬉しい。
運命/深緑野分
これだけはマイナス評価。
こういう、小説家を志す思春期の少年少女が必修で書きました、みたいな物語を直木賞候補になるような作家さんに書かせてちゃいけない。もっとあるやろ、というのが正直なところである。残念。
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ところで小説、漫画を問わず若いひとたちの作品を読んでいると、いまの世の中ほんとに何でバズるか解らないからペンネームだけはまじでちゃんとつけておきなさい、と思う。まじで。
粒ぞろいのアソート。☆3.4 -
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百合って何ーっ!?という気持ちになった。
海外が舞台だったり、ファンタジー設定だったり、メタフィクションだったり、バリエーション豊かな短編集。ちょっとラノベっぽい作品が多いような。BLの女性版みたいな作品を想像していたら、全然違った。表紙から抱いていたイメージとも違った。性描写が激しい、というわけではないけど、なんだか感情が重くて読んでいてちょっと疲れてしまった。
斜線堂有紀の「選挙に絶対行きたくない 家のソファーで食べて寝て映画観たい」と宮木あや子の「エリアンタス・ロバートソン」がよかった。
また、著者の紹介や、それぞれの著者による百合作品紹介のページが充実していて、興味をそそられた。巻末の河出文庫作品のラインナップも見事に百合作品で、こだわりがすごい! -
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ネタバレアニメや漫画や映画に関しては百合大好物だが、百合小説には疎い。
カバーイラストを「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」に関わるめばちさんが描いているので、手を伸ばした。
気になっていた作家さんも多かったし。
ネット発の作家さん多し。
とはいえ、カバーイラストが具体的にどれかの作品を表しているかといえばそうではないし、むしろ半分くらいがファンタジーや歴史モノやメタモノなので、イラスト詐欺といえなくもないが、まあ変化球を含んでいるということ。
絵はいい。断然いい。→このイラストの路線を求める方には、むしろ漫画の「エクレア あなたに響く百合アンソロジー」をお勧めしたい。
以下、私的好み度をA、B、Cで。
ちなみに帯の
〈名前をつけたい関係も、
名前のいらない紐帯も。〉
は名作。
■斜線堂有紀「選挙に絶対行きたくない家のソファーで食べて寝て映画観たい」
B
それこそ「スタァライト」の古川知宏監督と、脚本としてタッグを組んで「ラブコブラ」というか「タイトル未定作品」を待ちわびている。
本作はギスギスというか、彼我の政治意識差が、読んでいて辛かった。
今鑑賞中の「私の百合はお仕事です!」もそうだが、私が個人的に百合にギスギスを求めていないということなのかしらん。
■小野繙「あの日、私たちはバスに乗った」
A
独特……。そしてそこが面白い。
西尾維新とか舞城王太郎とかの文体芸を思い出した(もはや古いか)。
■櫛木理宇「パンと蜜月」
C
純文学風な舞台立てか? やや類型的な印象。
■宮木あや子「エリアンタス・ロバートソン」
ー
スピンオフらしいので、いったん保留。
■アサウラ「悪い奴」
B
「リコリス・リコイル」のストーリー原案として知ったが、実は「メルヘン・メドヘン」の脚本も手掛けられていたのだった。「ベン・トー」は未見。
タイトルの意味が都度都度判明するのが面白い。
■坂崎かおる「嘘つき姫」
A
これはいい小説だ……。
皆川博子的本格西洋ではないが、スピリットは通じ合っている。
■南木義隆「魔術師の恋その他の物語(Love of the bewitcher and other stories.)」
S!
以前からネット上の記事で気になっていた作家さん。
「アステリズムに花束を」収録の「月と怪物」を読みたいと思っていたところ。
今野緒雪「マリア様がみてる」をもじって、〈僕は自分で百合小説を書くとき、「これは『マリみて』のシェアード・ワールドです」と時々言うんですよ〉〈もちろん冗談ですよ(笑)。けれど、僕は『マリみて』も僕の作品も、同一の世界で起こっている話なんだとしばしば思い込んでしまうことがあるんです。同じ世界なんだけど、「マリア様が見ている」部分で起きているのが『マリみて』。対して、僕が書くべきなのは、そこからこぼれ落ちた「マリア様が見ていない」「マリア様が見過ごしている」部分の話だと思っているんですよ、勝手に。〉という発言で、信用度を高めていたところ。
津原泰水の小説講座を受講していたという経歴も目を引いた。
で、実際読んでみたら、文体のマジック! たとえば【薔薇子1】冒頭部の、
《家は帰るべき場所ではないから街に午後五時を告げるチャイムが鳴り響くのを背にきみは、他に人影のない冬の海に佇んで空になった猫用缶詰を片手に煙草をくゆらせている。歳は十三。》
とか、まさに津原泰水の文章を読んでいるかのようで、嬉しくてちょっと涙ぐんでしまったわ。
津原全作品の冒頭部分を最近読み直したので、この感想は間違いない。
会話文の粋さも通じている。
作者ご当人はおそらく、過剰に津原の弟子みたいに言われたら嫌だろうけれど、題材や筋もさることながら小説って文章の芸よねと再確認させてくれた点で、やっぱり津原泰水を強烈に思い出してしまったんだから仕方がない。
また、たとえば、宮崎駿「魔女の宅急便」とか新房昭之「魔法少女まどか☆マギカ」とか、典型的魔女描写という点で「魔女の旅々」とかを連想させておいて(たぶんわざと)、別ベクトルに読者を拉致せんとする豪腕さ。
さらに、冒頭と終盤で「痛み」の意味を別次元に転化された、驚きと、嬉しさとで、うっとりしてしまった。
敢えて大袈裟に言ってしまうが、この小説は額装して部屋に飾っておきたい。
■深緑野分「運命」
B
このアンソロジーに深緑さんが加わるのは確かにと思ったのは、「オーブランの少女」という弩級の名作をものした作家さんだから。
が、むしろ坂崎かおる「嘘つき姫」に深緑っぽさを感じた。
かたや本作は今敏ふう?
油圧カッターという無骨なモノを持って走る姿は、実にいいが。