青山美智子のレビュー一覧
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一章
〈金魚とカワセミ〉
虚栄心、自尊心、自分を覆う偽りの鎧を脱ぎ捨てられたら、カッコ悪くても自分を生きられる。
その一歩を踏み出すまでの物語。
象徴としてのカワセミの使い方がとても良い。
二章
〈東京タワーアーツ・センター〉
人も絵も木もそれぞれ世界にたったひとつ。
人が思い描く夢も
人が感じる幸福も
それぞれ違っていい。
本当のそれに誰かの理解なんて必要ない。
三章
〈トマトジュースとバタフライピー〉
自己顕示欲のかたまり。
悪いことのように捉えられがちだけど、素直にそれを求めて、少しでも満たされたいと奮闘するのは人間らしくて魅力的だなぁと感じた。
素直に他者の才能を認め、素直に他者の -
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小説というフォーマットを借りた自己啓発本は世の中に存在するが、本書はそうではない。しかし、あと半歩でも踏み込めば自己啓発本になってしまい、ともすれば説教臭さに興醒めしてしまっただろう。丁寧な心情描写、作り込まれた全体の構成、そして会話文に頼りすぎない筆致が、小説としての体をしっかりと保っている。
「会社と社会を分けて考える」。まずはそこから始める。
会社は目の前の現実であり、森の中の「木」である。
社会は世界全体であり、木の集合体である「森」である。
会社で働いていると、「一体この仕事に何の意味があるのか」と立ち止まり、虚無感に襲われる瞬間がある。しかし、当然ながら「意味があるからこそ、 -
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ネタバレSTUDIO推薦「読書メーター OF THE YEAR 2023-2024」2位本屋大賞2023年5位。
「大事件や劇的な展開をほとんど起こさず、日常のささやかな出来事・細かな心理描写・何気ない会話・物のディテールなどを丁寧に積み重ねて、登場人物の心の機微や「ただそこにある」人生の機微を描く手法」をなんというかAIに聞いたら
スライス・オブ・ライフ
存在感描写文学
日常のリアリズム
微視的日常叙法
微視的リアリズム
だそうです。まさにそういう作品。
職業まちまちですが、どのケースも行き詰まりを見せていて、それが最後は人とのつながりで少し好転するという終わり方です。
短編集 -
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登場人物たちがそれぞれ悩みを抱えながらも、少しずつ前を向いていく姿に触れ、読み終えたあと、すごくやさしい気持ちになれた。
青山美智子さんの作品は、大きな事件や非現実的な出来事が起こるわけではなく、うまくいかない日常の中での人々の心の動きが丁寧に描かれていると感じた。
すべてが順調に進む時よりも、むしろうまくいかない時の方が、自分自身や物事にしっかり向き合うことができるのではないかと思った。そのような時間があるからこそ、人は成長できるのだと思う。
特に印象に残ったのは、第3話「ちはるの耳」である。行き場のない気持ちや、どうすることもできない感情がすごく共感できた。そのような状況の中で -
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青山美智子さんの小説は元気をもらえるというか、前向きになれるというか、そんな感じで読み終わった後に明るい気持ちになれますね。この作品も例外ではなく。
主人公が留学中のオーストラリアで自画像のエスキース(下絵)を描いてもらうプロローグから話が始まり、それから赤と青と美術に関する短編が4話続きます。
これらの話は繋がっているわけではありませんが、それぞれの話が様々な愛に関する話(恋人への愛、推しへの愛、弟子への愛、芸術への愛)となっており、優しさを感じられる話となっています。
そして、この作品の最大の盛り上がりとなるが、最後のエピローグ、独立した話かと思われていた短編がこのエピローグで繋がって