青山美智子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレリカバリーの名の通り、元の状態に戻りたい人々がカバヒコという他者に己を託しながら考えていく物語集!人生を生きる上で挫折やらトラブルやら自他の事情やら何やらでいつもの自分でいられない時がある。そしてそういう時こそ再出発と再建が必要なのだ。
だが元の戻ることは不可能なのも注意すべき点である。その過程の記憶と経験があるが故に元通りではなく立ち上った別の状態になるのだ。だがそれは逆により強く良くともなれるというこ。それをさらに改善にしていくことが重要なのだ。こうした再建・再生・変貌・羽化の物語が、ずっと出てきたクリーニングのおかみさんの物語にまで連なっていくのだ。
こうした再建による変化とは、聞く -
Posted by ブクログ
青山美智子さん作品は初。
タイトルと装丁がきれいで手に取りました。
本の紙質も厚めでなんだかいい感じです。
5章からなる連作短編小説。
人の役に立ちたいと生きてきた看護師。
夢を追う売れない芸人。
娘の相手に腹を立てながらも温かく見守る整備士。
親から自立したい女子高生。
仕事と家庭の両立に悩むアクセサリー作家。
みな、身近にある日常の悩みを抱えながらも
しっかりと人生を送っている。
それぞれの登場人物が
皆つながっていて相関図が頭の中でぐるぐる…。
そしてみな温かくて良い。
彼らはみな、ちょっとしたきっかけで
ポッドキャスト「ツキない話」を聞くようになる。
月の話を聞いていくことで -
Posted by ブクログ
ここ数年で1番心打たれる小説でした。
キーパーソンは、教えてくれるのではなく「気づかせてくれる」存在。
悩める人に対して人は色々アドバイスしがちだけど、的を得た言葉で、本質を気づかせてくれる。こんな司書さんが身近にいたら、私はどんな言葉をもらっていたのだろうと想像しました。
名言が多すぎて、初めて読書メモをつけました
笑
5章から成る小説だけどちょっとずつ世界が繋がっていて、他の主人公の成長が垣間見れる場面が多くてほっこりします。
よくある人生の悩みがテーマになっているからこそ、全ての話に共感し、時には涙し、感情移入できました。
読むと生きる勇気が湧いてくる、そんな作品です。
-
Posted by ブクログ
青山美智子さんの本はいつもタオルケットをそっとかけてくれるような、そんな優しさがある。
僕はアニメなどのコンテンツを見ると、こんなうまくいくはずがない、現実はこんなに甘くないといつもそんな目で見てしまう。
青山美智子さんの本を読むときも、なんというか
小町さんのような存在がいない、ファンタジーの外にいる僕たちの悩みは解消されないんじゃないかと思うことがある。
でも、同時にこうも思う。
大事なのはそこじゃないんじゃないか、と。
この人にはこれ、この人にはあれ、みたいな人それぞれ悩みもその先を照らす光も違うんだ、というのが青山美智子さんの本たちが教えてくれていることなんじゃないか、と。
この本では -
Posted by ブクログ
職場のストレスで気持ちが溢れだしそうだった時、
尊敬する人のバイブルだと聞いて速攻帰りに買って読んだ本
そんな出会い方も思い出になった
おどろくほど読みやすいのに
胸がいっぱいで読むのに時間かかる
20pの短編なのにどうして毎回こんなに響くのか
文字、言葉の持つエネルギーの壮大さを実感する
短編同士の世界がちょっとずつ繋がっていて
笑みがこぼれた
単に面白みを加えるというだけの意味ではなく、
より物語を自分の身近に感じられる、人と人との繋がりを鮮明にさせる魔法なのだと思った
やっぱり小説って良い
自己啓発本が論理的に記述していることを、
シンプルな言葉で直接的にでなく、間接的に暖かくじん -
Posted by ブクログ
読もう読もうと思って、なかなか読めなかったのだけど、やっと読めた。
ニ章の話が特に好きだった。
エピローグを書くか書かないか、読者の解釈に委ねるのかどうか、好みが分かれるのかなぁって思ったけど、私はとても清々しい気持ちで読み終えることができたので満足。
まさか、そこにユリさんが・・・が一番の驚き。
好きを仕事にした人たちの苦悩も、歳を重ねながら折り合いをつけて、
最終的に、これだってものになったらいいよねと思う。
絵は、死すことはない。
画家が果てたとしても、見る人がいる限り未来永劫に生き続ける。
芸術の秋だし?美術館にでも行こうかなぁ。