青山美智子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者らしく、5人の登場人物+王子!?が物語をつないでいく。どれも心が温かくなるストーリーだった。
特に印象に残ったのは、言葉にならない想いを受け取ること。言葉なしで相手の気持ちを理解するのは、とても難しい。だからこそ、目や仕草に表れるその人の想いを、見逃さないようにしたいと思った。
「街は豊か」では、娘を育ててきた母親が、人生で何を残してきたのかという問いが心に残った。娘の「毎日を、毎日作ってくれてた」という言葉に、豊かさとはこういうことなのだと感じた。
一緒に食事をすること、帰宅したら親が家にいてくれること。これまで当たり前に感じていた毎日も、親が作り、支えてくれていた。そのことに気づくと、感謝を伝えたいし、親孝行もしたくなった。この日々がずっと続くわけではないという寂しさもあるけれど、それ以上に、今ある日々への温かい気持ちが残った。
積み重ねてきた自分の日々を愛おしみ、これからも好きなペースで毎日を作っていく。その姿もよかった。大きな成果やお金だけでは測れない、日々そのものの豊かさを感じた。
菜緒の人魚に対する洞察も素晴らしい。私も、菜緒は海外のカッコいいところだけを見ているのではないか、と懸念していた。けれど、人魚について語る言葉から、リスクも不安も承知したうえでの決断だったことが腑に落ちた。誰かに言われたのではなく、自分が願ったことだから、辛いことも引き受ける。そこまで強く考えていたのか、と覚悟の深さに驚いた。
そして、最後のドラマティックな恋愛話。ところどころに伏線はあったけれど、「そういうことか!」と驚かされた。恋の結末を匂わせながら、タイトルにもつながっていく構成が好きだった。驚きと温かさが一緒に残る、余韻のある結末。
この著者の作品では、『赤と青とエスキース』と同じくらい好きな一冊になった。 -
Posted by ブクログ
ほっこり系の連作短編小説。
とある神社に現れる猫が悩める人たちに届ける不思議な葉っぱのお告げ。失恋を引きずる女性美容師、中学生の娘と仲良くしたい父親、目標を持てない就活学生など、7つの悩みにそっと寄り添う物語。
★4.5です。
青山美智子という作家さん、どこにでもあるような題材にファンタジーを織り交ぜた独特の世界観を描くことに秀でていると感じる作品が多いですね。そこに教訓めいた味付けも少し入っていて、アンデルセンやイソップのような童話を読んでいるようか感覚もあります。
個人的には、夢を諦めきれない中年ママに一歩踏み出すキッカケを与える「スペース」というお話が、よく作り込まれていて好きでした。
また、この神社の小太り宮司さんが本作の裏の主人公なのですが、最後の最後にしっかりと面目躍如の扱いとなっているところも何気に良かったです。