青山美智子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
連作小説、いつもこれは誰だっけ?と前を手繰りながら、おぉそうだったと関係性がわかる心地よさに毎回惹かれている。
自己肯定感が弱い人びとと言ってしまうのはあまりにも一括り
過ぎで、人との関わりかたを変えるきっかけが月の満ち欠けになぞっているところ、爽やかな読後感に浸れた。
そして、連作を繋いでいる竹の
地下茎、腹落ち感がスッキリ。
沁みた一文
▪全てをゼロから始めるのも素晴らしいが、リセットと言う新しいスタートもある。
▪私がいるよっていうのは、あなたがいるよって伝えるのと同じこと。
相手を想っている自分の存在が、相手の存在の証しになる。
▪寂しいと想わずにすむ一番の方法は、人と関わらないことだ -
Posted by ブクログ
「エスキース」(下絵)というタイトルの絵画の誕生からその後を綴った連作短編集
「エスキース」は一般的には草案や下絵の意味
この作品では下絵の意味で使われている
書いた上に色を乗せる「下描き」ではなく、作品のモチーフを理解する上での試作としての完成品
4つのお話+エピローグ
・メルボルンで出会ったブーとレイの期限付き交際
留学期間が終わる前、ブーの知人の画家がレイにモデルになってもらい描かれた絵
・「エスキース」を見たことで額装の会社に入社した男の元に、エスキースの額装依頼が来る
・一時期アシスタントに来ていた弟子が漫画のヒット作を生み出し、喫茶店で対談インタビューを受ける事になったベテラ -
Posted by ブクログ
ネタバレ270頁に満たない本の中に広がる壮大なドラマ。1枚の絵が描かれ、海を渡り、また戻り、最後にはその絵が描かれることになった所以をも私たちは知らされる。
最近わりと頻繁に名前を用いた叙述トリックに出会っていたため、その部分での驚きはさほどありません。しかしそんなトリックがあるとわかるまでに涙があふれたシーンが数カ所。バタフライピーの彼が大好きでした。そして猫がたまらない脇役ぶり。トリックがなくてもじゅうぶんよかったと言いかけたけれど、やっぱりこのトリックがあればこそなのか。
お姐様方が「女は上がったら最強」と言っていたのも思い出してほくそ笑んでしまいました(笑)。本作は女性のほうが響く物語かも -
Posted by ブクログ
ネタバレ青山先生の本を読むのは4冊目ですが、本書がいちばん好みでした。
人の繊細な感情を言語化するのが巧みで、誰もが感じたことのある気持ちをスッと言葉で差し出してくれます。
わたしは特に二章の額縁職人の話がお気に入りです。
額縁は決して脇役ではなく、絵画にとって居心地の良い額縁は夫婦のようにお互いが唯一無二の関係なのだと実感しました。
縁で繋がった空知とジャックの再会はこちらまで嬉しくなります。(再会した興奮で早口になる空知可愛い…!笑)
茜と蒼の30年はどんなときもエスキースとともにあり、芸術が人に寄り添うとはまさにこういうことを言うのだと思いました。
絵画は最後ジャックの元にかえってきたけど、