モンゴメリのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ本屋さんのダイアナを読んで、この本を読んでみたくなった。
モンゴメリはとても有名な作家で、私も『赤毛のアン』を持っている。でも、外国小説にありがちな、翻訳があまりにも日本語離れしていて途中で挫折してしまった。今回のこの本は、村岡花子ではなく木村由利子の新訳ということだったのできっとすらすらと読めたのだろうと推測。
でも、私が中学生のころ読んだ『丘の家のミッキー』はこの本にインスパイアされたのだろうと判明。『三番町のミシェール』が『ゲイ・ストリート60番地のヴィクトリア』だし、『丘の家のミッキー』が『丘の家のジェーン』となる。
物を書く人というのは、こういう有名な小説は外さずに必ず読んでいるのだな~…。私も小学生のころに読めばもっともっと面白かったかもしれない。
ゲイ・ストリート(陽気な通り)とは名ばかりの、お金持ちで大きいけれど陰気な
家に住んでいるジェーン・ヴィクトリアという少女の成長物語。
母親の母親、祖母に厳しく嫌味を言われ縮こまって生活していたジェーン。ただ一つの心の救いは美しい母が居ることだけ。でもこの美しい母は祖母の言う事にいいなりになっていた。祖母はジェーンとその美しい母親のロビンが仲良くするのが気に入らなかった。
ある日、死んだと思っていた父親から夏の間中一緒に過ごさないか?というお誘いの手紙が届いた。最初のうちは憂鬱だったジェーンだったが、父親が誰か知り、プリンス・エドワード島で一緒に暮らすうち、自分の居場所を見つける。
秋にはまたトロントに戻ったジェーンだったが、そのころには自分の殻をやぶり、小さくなって過ごしていた生活が一変する。
そしてその翌年もプリンス・エドワード島で過ごしたジェーン。夏の事を考えると祖母と一緒の苦痛な生活も我慢できるのだった。
あるとき、風邪気味のジェーンの元に、ジェーンの父親の姉(伯母)のアイリーンから、父親の再婚をほのめかす手紙が届く。居てもたってもいられないジェーンは一人で1000マイル離れたプリンス・エドワード島へと向かう。
ひどい肺炎で生死の境を彷徨うジェーンの耳に、美しい彼女の母親、ロビンの声が聞こえてくる。ジェーンの急病に祖母の制止を振り切って、二度目の祖母への反抗をするロビンだった。
お互いにまだ愛し合っている事を知り、家族3人で暮らすことになるという、大団円で幕を閉じる。
レイクサイド・ガーデンズのちいさな家が出てきたところで、『あ!きっとここで最悪ジェーンと母親二人は暮らすんだ!』と思っていたんだけど、そこは推測が外れました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
裕福ではあるが厳しく威圧的な祖母の屋敷で、母と暮らすジェーン。父に似た自分を祖母が疎んじていることを感じながら孤独な日々を送っていた彼女に、ある日、衝撃のニュースがもたらされる。死んだと思っていた父が生きていると……。戸惑いながら父に会うために訪れたプリンス・エドワード島には、まったく新しい輝ける世界への扉が待っていた。エゴや誤解に打ち克つ究極の愛を描くモンゴメリの人気作を新訳でおくる決定版!(裏表紙より) -
Posted by ブクログ
戦争がはじまって、リラはアンとはまったく違う青春を過ごすことになりました。
母であるアンが「戦争があなたをはやく大人にしてしまった」と話すシーンは切なくなります。
戦争が起これば子供たちから子供時代を奪うことになります。
アンとリラには悲しい別れもあり……お手伝いのスーザンの明るさ、たくましさが救いです。
プリンスエドワード島というカナダの田舎で、人々がWW1をどのように受け止めたかという貴重な記録でもあります。
著者のモンゴメリも戦争のニュースに一喜一憂し、疲れ果ててしまったようです。
新潮文庫では順序が変わっていますが、執筆時期は『炉辺荘のアン』の方があとだったそうです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「赤毛のアン」より、本人不本意なアンスピンオフ連作集が好きな自分にはこちらの方が面白い。
ダーク家とベンハロウ家というひとつの共同体が主人公(?)です。
この血族は結婚相手を基本的にお互いからしか選ばない、一歩間違えたら近親相姦一族。
その家族の中で代々伝わってきた「水さし」という家宝。
いきさつや実物も出てきますが、そんなにすごいか??というしろもの。一族以外は骨董としての価値しかないでしょう、みたいな皮肉な描写がモンゴメリらしい。
赤毛のアンを読んだことなく、高畑監督のアンのイメージしか知らない方はモンゴメリの作風を優しく清らかと勘違いしているかもしれませんが、かなりの皮肉やです。
リンバロストの乙女なんか読んだらわかりますが、そういう朝ドラヒロインしか知らなかった読者にとって、ちょっと意地悪でお馬鹿さんなアンは等身大のニューヒロインとして熱狂的に愛されるようになったわけです。
さて、特定のヒロインこそいませんが、核となる女性は何人か出てきます。
まず、美少女ゲイ。美女という表記をすべきでしょうが、ティーンエイジャーはどうしても少女のイメージ。さらにゲイのロマンチックな気質や意地悪あざとい従姉妹ナンと比べてのへたれぶりはどう考えても少女。彼女は水差しなんかよりできたばかりの彼氏に夢中。けれど、一族の男ではないという理由で反対されている。
次にジョスリン。幼馴染と恋に落ちて結婚。しかし初夜にドレス姿から新居から逃げ出して別居。その理由は?
さらに文学少女こじらせちゃったオールドミスマーガレット。家庭を夢見ながら、おどおどまわりを気にして居候。マーガレットのへたれぶりに一番共感したけど、そんなひと多いんじゃないかな。
途中、独身こじらせちゃった男と婚約するのですが、そのふたりのやりとりが「ああああ」となる痛さ。
ほかに戦争未亡人連合から突然情熱が墓場からよみがえるドナ。しかもその相手がよりにもって嫌いだったアイツ。
彼女らの恋愛(?)模様もさることながら、ほかもいろいろ事件が起こり、そこにこの水差しが微妙に絡んできてとにかくおかしい。
結末もモンゴメリらしく、物語のお手本のような終わり方です。
みずさしの行方もね。
アンで有名な作者ですが、ほかの作品もなかなか面白いっていうか、なにせ物語作りの基本を押さえて代金ぶんきっちり読ませる職人ぶり。
これだけのものをかけが彼女が、生涯自分を縛り付け、ほかの作品を書く機会を結果的に奪った赤毛のあの子をだいっきらいになってしまうのはいたしかたないことかもしれません。 -
Posted by ブクログ
この作品は一言で言えば、元孤児のおてんば娘アンネとその家族や仲間達が織り成す、感動ストーリーである。
カスバァト兄妹は自分達の営んでいる畑の働き手となる男の子を孤児院から引き取ることになっていた。しかしやって来たのは、本作の主人公であるアンネだったというところから物語は始まる。
マシュウ・カスバァトはアンネを引き取ることに好意的だった。そこで否定的だったマリラ・カスバァトを有無を言わさぬ態度で説得し、アンネを育てることを決めた。そして次第にマリラも彼女の魅力に気づき、慈しむようになる。
その他にも様々な個性的なキャラクター達が登場し、話を盛り上げていく。そのなかでも、アンネの「心友」(親友)ダイアナは、共に空想話に花を咲かせられる程の仲良し。話のなかで、一度その仲が切り離されるが、アンネの活躍により復縁する。
この話のキーポイントは、アンネの成長と家族の変化である。
アンネは話のなかで数多くの失敗をする。しかしその失敗から反省し、精神的に成長する姿が描かれている。
また最初のマリラとアンネの関係は言うなれば、主人と使用人のようである。この関係が本当の家族のように、お互いにかけがえのない存在になっていく姿は必見だ。
ラストは感動間違いなし!ただし他のところに比べると、かなりあっさりと書かれているような気がする。そこが残念でならない。
また中盤は思わずクスッと笑ってしまう展開が何度もある。そのパターンが続き、ちょっと退屈するかもしれない。だが感動のラストを味わうために、我慢して読んでほしい。
家族について、子どもの可能性について深く考えさせられる作品である。
NHKの朝ドラをきっかけに、(翻訳家は異なるが)作品もぜひ読んでみてほしい。