高山真由美のレビュー一覧

  • 寡黙な同居人

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    この本に出会えた奇跡に感謝を。
    これまで僕が読んだ中で、最もゲスな男が出てきました。サイコサスペンスファンでも、特に女性が読む際は慎重に。
    結末は多く語られていないけれど、それで良いと思う。"レイチェル"もエミリーもセシリアも、明日を求めて自分の意思で進まなければならないから。

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    2024年12月27日
  • 私たちは子どもに何ができるのか ― 非認知能力を育み、格差に挑む

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    最近よく言われてる、子供の環境、関わる大人の話だけど根拠がはっきりしていて、だから必要というのに説得力があった。
    翻訳だけどスラスラ読める。

    多くの人に読んでもらって、幸せな子どもが増えてほしいと思ったし、社会がもっと教育に対していい意味で関心をもってほしいと思った。
    昨今の教育現場批判だけではなく、社会政策としてもっと注目してもらいたい話。(だけど教育にお金、人をかけられない日本では夢のような話なのかな…)

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    2024年09月15日
  • 私たちは子どもに何ができるのか ― 非認知能力を育み、格差に挑む

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    子育てに当たり気に留めて置きたいことメモっとこう
    ・子供にとって読み書きや計算練習よりも、親や周囲の人とのコミュニケーションが知能や将来の幸福度、年収に影響する。
    ・親が冷たいと問題行動が増える。
    ・親へのカウンセリングを行い、子供との関係について気を楽にさせると、親子関係が良好になる。
    (親が既に行なっている良い行動に目を向けるだけで改善する。)
    ・発達の流れを考慮すると、学習面の遅れはストレス管理等の心のケアから改善すると最良。
    ・好きなことに対して報酬を与えない。創造力と好奇心を大切にする。
    ・学校、グループなどへの帰属意識を持たせることが大事。参加型の教育。
    ・フィードバック時に少しの期待を添えるだけで積極的になり、成績が向上する。
    ・日本の数学教育は質が高い。アメリカでは先生が解法を教え、実践を繰り返す反復学習に割く時間が96%、日本はまず答えを考えさせる時間が44%、反復は41%ほどである。

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    2024年09月06日
  • デュアルキャリア・カップル――仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える

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    共働きでキャリアもプライベートも充実させたい、全てのカップルに贈りたい1冊。
    様々なペルソナのカップルが直面した現実がリアルに描かれており、「遠くないうちに第一転換期が来る、他人事ではないな」と思い、性別による無自覚な役割分担バイアスに囚われていた節があったかもしれないと痛感した。

    ◎ネクストアクション
    下記3つを実践する事で、「2人のキャリアのどちらを優先させるのか」「家庭内の責任(家事や育児)をどう分担するのか」を合意できるまで話し合う

    →合言葉は「どうしたら上手くいく?」慎重に話し合えればどのモデルでも上手くいく

    →これにより、「お互いに頼り合う関係」「独立の罠による、互いに譲り合う歪な関係の回避」が実現する

    →第二の転換期(キャリアや人生で追求したい事が追求したくなる時期)に備えたお互いにとって安全な拠点作りにも繋がる

    ①2人の協定作り
    ・価値観
    →何を幸せと感じ、何を誇りと思うのか?
    →何に満足を感じるのか?
    →いい人生とはどんな人生か?

    ・限界
    →地理的限界(どのエリアまでなら住める?)
    →時間的限界(どれくらいまで家庭にコミットできる?)
    →在/不在に関する限界(どの程度の期間離れていても大丈夫?最低限どの位共にいたい?)

    ・不安
    →相手に対して、思っている不安を素直に伝え合う

    ・話し合う際は、侮辱、批判、自己弁護、壁を作る事を避けて感謝し合おう

    ②全ての家事をリスト化し以下要領で分担する
    ・どれを辞められるのか?

    →そもそも、やる必要があるのか?
    ・自分がやりたい/向いていそうな事はどれか?

    ・どれを外注できるか?
    →家電による自動化や、第三者の助けが期待できるか?
    ・残りを仕事量の多さ等に応じて分ける

    ③キャリアの地図を描き、どのモデルにするのかを判断する
    ・お手本にしたいロールモデルを浮かべ、その人が経験した転機を参考にする

    →相手のキャリアの地図と比較し、お互いの浮き沈みや収入の増減、かかるプレッシャーの強い時期と弱い時期を把握することで、モデルも変化する

    ・キャリアのモデル
    →一番手、二番手モデル
    →交代制モデル(3〜5年毎に、家庭/仕事の一番手が切り替わる)
    →2人とも一番手モデル

    ・子育てのモデル
    →中心となる親を決めるモデル
    →交代制モデル
    →協働子育てモデル

    (モデル決めに迷ったら)自分がキャリアや愛、家庭に何を求めているのかがわかる5つの問いを活用する
    ・キャリアにおける明確な目標が1つ以上あるか?

    ・5年間、より先でキャリア的にどれだけ意欲があるのか?

    ・もし子供がいるなら、親としてどう言う役割を引き受けたいのか?

    ・相手との関係においてどの側面が1番大切か?
    →2人の人生において、特に時間やお金をかけて続けたいことは?

    ・他には何が大切か?
    →個人的な目標、住みたい場所、等

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    2024年09月01日
  • デュアルキャリア・カップル――仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える

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    ゼロサムではなくポジティブサム。キャリアも家族も諦めないためにできることがこんなにあるんだと知れて勇気が出た!

    印象に残ったこと
    ・2人の協定作り(価値観、限界、不安について)
    価値観〜何を幸せと感じ、何を誇りに思うのか。何に満足を感じるのか。いい人生とはどんな人生か。もう一段階深掘りして問いを構成する
    限界〜はっきりと限界を感じること。地理的限界、時間的限界、在不在に関する限界。
    不安〜

    ・どう話すか?下記を避ける
    屈辱
    共感の反対。相手より自分の方が優れていると思うこと。
    批判
    相手を過小評価し、相手は自分の意思に従うべきだというメッセージから起こること
    自己弁護
    言い訳。
    壁を作ること
    話をすることを完全に拒否すること

    ・思いやりを持つ、相手に集中する
    ①寛大さと思慮深さのこもった小さな行動を通して示す方法
    ②相手の意図を良い方に解釈すること

    ・罠
    経済的な判断に頼りすぎる
    短期的な視点によるバイアス
    目の前の実際的なことのみ考える
    全てをこなそうとする

    ・自分のキャリアと人生に何を求めるのか
    キャリアにおける明確な目標が一冊以上あるか
    どれだけの意欲があるか
    もし子供がいるなら親としてどういう役割を引き受けたいから
    パートナーとの関係において何が1番大切か
    他に何が大切か

    ・安全な拠点となる関係
    軽視することも誇張することもなくパートナーの不安を受け止め、パートナーが感情、気持ちの浮き沈み、恐れや疑念を共有できる開かれた聞き手であること。新しい世界と関われるように背中を押すこと。
    具体時には
    ・探求を奨励する
    ・干渉しない
    ・心のサポートをする

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    2024年08月17日
  • 死の10パーセント フレドリック・ブラウン短編傑作選

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    間違いない。大好きだ。読めば読むほど、この人の小説が好きになる。ミステリーもSFも、そして意外にもホラーテイストの作品まで、傑作揃い。もともっと読みたいぞ!!
    長編「シカゴブルース」を読んで、好きな方は必読だよ。

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    2024年06月24日
  • 哀惜

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    アン・クリーヴスの新シリーズ!期待以上に面白かった!ようやくジミー・ペレスのシリーズを読み終えて(こちらも充分に堪能)、新しい主人公とご対面。マシュー・ヴェン警部、なかなか良いですよ。きっちりスーツを着こなす、真面目で一見面白味のない刑事だけど、ラスト、欺瞞ばかりの権力者に怒りを持って対峙するシーンはスカッとした。同僚のシングルマザーのジェンや、まだまだ経験が浅いロスも、これからの活躍が楽しみだし、いつも短パンとTシャツ姿の夫であるジョナサンとのほんわかしたやり取りも読んでいて癒される。新シリーズなのでついつい人物描写ばかり書いてしまうが、事件そのものも面白かった。海岸で殺された男が、最初はただのアル中の駄目なヤツだと思っていたのに、読めば読むほど印象が変わっていく。彼が過去に立ち向かおうとする姿にちょっとジーンとしてしまった。どんなに大変でも、真っ当に生きようとする市井の人々をこれからも読み続けたい。

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    2024年05月15日
  • デュアルキャリア・カップル――仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える

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    あるある話的な読みやすさがあってよかった
    何年後かに読み直すと違う発見がありそう
    思ってたより結婚って大変なんだなあ

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    2024年04月27日
  • 哀惜

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    謝辞に、
    ――イギリスでは通常ダウン症の人々は「学習障害のある人々」と呼ばれる。この用語はいかなる価値判断を含まないので、本書ではこれを用いた。この用語が適切でないとみなされる場合があるのも知っているが、もちろん悪意をもって用いたわけではない。――
    とある。

    警察の捜索では
    「~は保護の必要な成人(ヴァルネラブル・アダルト)で、学習障害があり、精神年齢は子供と同等だ」という情報共有。

    本書では、ゲイカップルが登場する。
    ゲイと宗教、家族。

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    2024年03月21日
  • デュアルキャリア・カップル――仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える

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    自分が直面している課題、これから直面するであろう課題がすでに多くの人が経験していていることがよく分かる。体系化して分析されているので、心の備えができるかも。でも、壁を乗り越えるためのパートナーとの対話や、選択していくことは簡単ではないことを改めて認識。

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    2024年03月17日
  • デュアルキャリア・カップル――仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える

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    人生の転換期は3度ある。その転換期を乗り越える鍵はカップルの対話である。

    【3つの協定を結ぶ】
    『価値観』
    選択と行動が一致するときに人は満足感を覚える
    『限界』
    場所・時間など何が限界かを知ることで不確定要素が減る
    『不安』
    先に共有することで先手をとることができる

    【働き方のモデルを決める】
    カップルの一本がキャリアに比重をもつのか
    カップルともにキャリアを重視するのか
    キャリアの比重を持つものを交代していくのか

    【お互いが安全な拠点となる】
    キャリアの迷走期には下記を心に留める
    『探究の奨励』同情ではない
    『干渉しない』話を聴くのであってアドバイスをするのが目的ではない
    『心のサポート』感情を受け入れる

    キャリアをもちながらも誰かと生きることを選ぶ人すべてにおすすめしたい本。
    3−5年おきに読み直したい。

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    2024年01月14日
  • 死の10パーセント フレドリック・ブラウン短編傑作選

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    ブラウンのミステリ短編集第三弾。エド・ハンターシリーズから2作品入ってボリュームたっぷりの最高に楽しい一冊!→

    シカゴ・ブルース大好きな私はエドたちがでる2作品がイチオシだけど、それ以外ももちろん良作。
    「5セントのお月さま」は皮肉が効いていてマル(大衆が求めるのは月ではなく……?)
    「球形の食屍鬼」「殺しのプレミアショー」は謎解き部分が好き。
    「愛しのラム」は読み進めると感じる違和感の→

    正体が分かった瞬間に「ああッ……」ってなる。
    「どうしてなんだベニー、いったいどうして」はラストに「うわぁぁぁ」ってなったなぁ。
    「死の警告」のなんとなく感じるコミカルさや「最終列車」の余韻など、ブラウンは空気を描くのが上手いんだよなぁ、としみじみ。

    最高のコース料理でした。満足!

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    2023年10月20日
  • 哀惜

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    なかなか集中して読む時間がとれませんでしたが、読み始めてからは本を閉じることができず一気読み。ドメスティックかつ閉鎖的な空間で起きる事件が丁寧に描かれ、登場人物一人一人の心情やエゴが手にとるように感じられます。こうしてひとりの人間が葬られるのだ、と悲しくなりました。保護を必要とする人、それがどんな人であれ、全てのそういう人たちの幸せと安心を願わずにはいられませんでした。初読の作家さん、次作もあるようなので、翻訳を心待ちにします。

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    2023年07月01日
  • ブルーバード、ブルーバード

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    解説、吉野仁より 

    ブラック ライブス マター の理解

    南部のスモールタウンを舞台としたミステリ
    ひとつの大きな家族だった
    アメリカの縮図
    秘められた愛による犯罪

    通底低音、ブルース
    ジョン リー フッカー ブルーバード 
    ライトニン ホプキンス ブルーバード、ブルーバード

    相似系、逆転のケースが、繰り返される
    表面の写生で終わらない厚み
    白人と黒人、夫と妻、親と子 反転
    過去の回想がドラマとして物語に挿入

    highway59 楽しみ

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    2023年01月06日
  • ボンベイのシャーロック

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    物語の舞台であるインドのことも、1892年という時代も、何も知らなかった。
    人種、国籍、性別、さらにはカーストと、背景は複雑だけどここまで読みやすいのは、マイノリティである主人公の視点で観察されているからかもしれない。
    退役軍人の主人公が、知恵と軍人スキルで殺人事件を追いながら、居場所を持たずに過ごしてきた人生の隙間を埋めていく。
    邦題にシャーロックと付けたからにはミステリかと思いきや、恋愛も冒険もある。
    続編もあるようなので楽しみ。

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    2022年11月03日
  • 私たちは子どもに何ができるのか ― 非認知能力を育み、格差に挑む

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    貧困層の子どもたちをどのようにサポートしていけば学習意欲や問題解決する力を高めていけるか教えてくれる。教育関係で働く方に読んでもらえるといいのではないかと思う。

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    2022年01月22日
  • 私たちは子どもに何ができるのか ― 非認知能力を育み、格差に挑む

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    非認知能力を伸ばそう。環境で育む。
    粘り強く取り組む力。

    ・学業のための粘り強さp.107
    ①この学校に所属している
    ②努力によって伸びる
    ③これを成功させることができる
    ④この勉強は価値がある
    人間関係(帰属意識)と学習指導(有能感と自律性)

    教師が、子どもの良い点をフィードバックする。手抜きはできない。
    生徒の参加を求める双方向のやりとり授業

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    2022年05月28日
  • 私たちは子どもに何ができるのか ― 非認知能力を育み、格差に挑む

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    子育て世代以外にも、ぜひ読んでいただきたい。
    本書は、育児の参考にもなりますが、教育、福祉、公共、非営利団体、地域社会などを巻き込み幅広い社会政策への提言として重要な内容が述べられています。
    グリッドなどの非認知能力は、トレーニングで強化する性質のものというよりは、環境に応じて引き出させれるもの、発揮できるものとして捉えることが適切であると理解しました。
    であると、非認知能力の格差、学力の格差よりも、個人の努力では太刀打ちしにくい課題ということになり、公共的な関与がより重要ということになります。

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    2020年11月26日
  • 成功する子 失敗する子 ― 何が「その後の人生」を決めるのか

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    いわゆる「知能」は、
    今でも、IQの高さや成績の良さなどを尺度に語られる性質のつよいものです。
    これらは、最近では「認知スキル」とくくられるそうです。
    そして、認知スキルこそが何より重要だとする人(認知決定論者)の言い方として、
    「重要なのはIQであり、それは人生のかなり早い段階で決まるものである。
    教育とはスキルを身につけさせるものではなく、人々を選り分け、
    高いIQを持った者に、潜在能力をフルに発揮させる機会を与えるものだ。」
    というものが、いくぶん極端ではありますが、あります。

    そういった「認知スキル」のいっぽうで「非認知スキル」と呼ばれる能力があります。
    「非認知スキル」とは、やり抜く力、自制心、好奇心、誠実さや意志の強さなどなどのことです。
    本書では、「認知スキル」よりも「非認知スキル」のほうがずっと大切である、
    という昨今の研究を軸に、
    発達心理学と労働経済学、犯罪学と小児医学、ストレスホルモンと学校改革など、
    それぞれ独立した分野を繋げることで浮かびあがる事実から、
    子ども時代の貧困などからくる劣悪な家庭環境や人間関係などの逆境でそこなわれる人生を、
    どうすれば救えることができるのかを探り明かしていきます。
    「非認知スキル」をはぐくみ、生かして好転するケースやデータを例示し、
    とりあげられたさまざまな逆境にあえいできた人物のストーリーを語りながら、
    その大事さがつまびらかになっていきます。

    性格ってすごく大事なんだ、ということなんですよね。
    これは政治的にいえば保守の人たちが「それみたことか」
    とふんぞりかえってもおかしくない結論でもあります。
    性格を作っていくには道徳教育が必要になります。
    道徳教育なんていうと、抽象的だし精神論的でくだらない、なんて怒る人も多い。
    しかし、ここでいう道徳教育は、
    権威や規則に従え、というものではありません。
    そういった、「それは誰の倫理基準・価値基準なのか?」
    という疑問があたまに浮かぶような、従来の倫理・価値に従う種類の道徳教育ではなくて、
    自制心や意志力を持とう、というような、
    有意義で充実した人生のための能力を自覚するためのような教育です。
    個人主義的な道徳、といいますか、
    または、自分を守り尊重するための道徳、といえるのではないでしょうか。

    アメリカでは、KIPPアカデミーという教育機関が、
    「非認知スキル」を育てることで学力も向上させるシステムを作り上げ、
    社会的にも経済的にも学力的にも恵まれていない子どもたちを
    大学に入学させるまで育てて注目されて、
    アパレル大手GAPの創業者の目にとまって多額の寄付を集めたりしたそうです。
    KIPPアカデミーは数を増やし、質を高めて今日にいたっているようですが、
    本書でKIPPアカデミーを扱った章を読むと、
    そのやり方がふつうの日本の学校のやり方に通じるようにも感じられて、
    アメリカでは新しいやり方であっても、僕としては懐かしさのようなものが甦るものでした。

    そうなんですよね、
    本書の帯には書評サイトHONZの代表である成毛眞氏の言葉として、
    「『やり抜く力』、『自制心』、『好奇心』、『誠実さ』
    これこそ、われわれ日本人が再発見すべき能力だ!」
    とあります。
    日本人って非認知スキルを大切にしてきたところはあると思います。

    最後に、
    これはしっかり覚えておきたいところを。

    性格や知能は変えていける。
    変えていけると信じている人は、そのしなやかな姿勢ゆえに変えていける。
    変えていけないと考える人は、その凝り固まった姿勢ゆえに変わらない。
    性格も知能も、影響をうけやすいのがほんとうのようです。
    人間は柔軟にできているんです。
    また、
    思春期にうまく挫折や失敗をする大切さについての話もありました。
    (僕個人は過保護に育ったので、思春期は失敗や困難を渇望して反抗したもんだった。
    それを思いだしました。)

    示唆されるところからいろいろとふくらんで読めていく、内容のある豊かな本でした。
    やっと手に取りましたが、読んでよかったです。

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    2020年10月26日
  • 成功する子 失敗する子 ― 何が「その後の人生」を決めるのか

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    子育てにおいて尊敬している方がオススメしていた本。

    読んでみて本当に良かった。
    自身の子育てのヒントになればと思ったけど、
    結果として、日本の子供、ひいては人類に対して誰しも責任があると感じた。
    日本でもますます深刻化していく貧困差。
    それに伴う学歴格差、比例して犯罪率。
    日ごろから憂いてはいたものの、自分には手の届かない世界だと思っていた。
    でも違った。
    この本は希望の塊のようにみえた。
    翻って、人間には格差なんて存在しないと提言している。

    そして、読書中何度も自分の受けてきた教育や学生の時の周りや自分の雰囲気を振り返った。
    それがすべて今現在と直結していることを実感した。
    なぜ自分は大学進学が魅力的と思えなかったのか。
    なぜ自分は勉強が嫌いだったのか。
    改めて、自分史は自分だけの物語であると同時に、こんなにも時代の一部でしかないことを認識した。

    分かったからにはどうすべきかとてもクリアになった。
    たくさんの指南も与えてくれている本だ。
    子供への責任。そして自分への責任。
    本当に豊かな読書体験になった。

    個人的にはこの翻訳はとても読みやすかった。
    この本は、ハウツー本?というより、貧困地区に暮らす学力格差底辺の子供達に学士号を取らせるために人生をかけた人たちのお話。だと思う。
    ストーリー仕立てだし、いくつもの映画を観たような気持にさせられる。
    まさか号泣するとは思わなかった。。。

    最後に、子育てのヒントは以下のように得られた。
    忘備録としてのせる。

    親がしてあげられること
    子供時代は、安心場所を提供する
    愛情深く注意深く子供を見守る➡子供は快活に好奇心旺盛に精神安定して育つ
    子供に見合った逆境が必要であることを認識する➡やり抜く力は失敗を通してしか育たない
    ある程度(自分で解決させることが何より大切)の放任は必須
    本人以上に本人の可能性を強く信じること➡とくに思春期のやり抜く力に有効な動機付けとなる


    子育て本としてはママ友にはオススメできない。笑
    でも、人間は一人では育てない。
    人間が人間を世話し、教育を施す限り誰しもが無視すべきでない、目を向けるべきことが書かれてある素晴らしい本だ。

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    2020年05月14日