高山真由美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
英国のベストセラー人気シリーズ1作目。
面白かった!
キム・ストーンは、女性警部。
独身で30代前半、熱意と行動力で事件の解決率が高く、部下には信頼されています。
カワサキ・ニンジャの1400ccのバイクを乗り回し、自分で修理もできるほど。
社交性が悲しいほどない、という設定だけど、さほど困難は生じていませんね。
ブライアント部長刑事と名コンビを組んでいて、10歳ほど上の彼が温厚で人当たりがいいから、というのもあります。
私立校の校長が溺死、それが連続殺人事件の発端となってくる。
校長がある荒れ地に関心を示していたことに気づくキム・ストーン。
現在たまたま発掘調査がされているその土地から、白骨が発見される。そこにはかって養護施設があった…
様々な関係者を調べて歩くうちに、近くに住む重い病気の少女に出会いますが、彼女の芯の強さも印象的。
自らも養護施設で育ったキム。
ブライアントだけはそのことを知っていて、社交性がないのはそのせいだと解釈しています。ただ、どれほど悲惨な体験をしたかは、善良なブライアントには想像もできない。
里親を転々としたキムだが、中に素晴らしい夫婦もいたのが、彼女の中心の大事な部分を育てたのでしょう。
思わず読み返したくなるエピソードが、三つも四つもあるので、読後感が素晴らしいのです。
一つは、ブライアントと犬のエピソード。
夫婦げんかになるのではと心配したキムが、通りに車をとめて待っているという関係性。
でも心配は要らないのです。ミステリ界広しといえども、ブライアント部長刑事ほど家庭が円満な刑事はいないんじゃないか?(笑)
女性刑事が主役のシリーズはたくさんあるのですが、この作品が面白かったので、この後いろいろ読んでみました。
結局、この作品が一番いい。
あちらではどんどん続きが出ているようなので、翻訳を待ってますよ~! -
Posted by ブクログ
子供が生まれると親の幸福度が減る、夫婦関係が悪くなる、子供と一緒にいるより皿洗いをしていた方がいい…等、しっかりと子育てをすることが求められる昨今では言葉にすることが憚られるような生々しい事実が書かれている。が、一方で子育ての理想と現実の合間で苦しんでいるのは自分だけではないと救われる気もした。
「経験する自己」と「記憶する自己」は全く異なり私たちの物語は「記憶する自己」に寄って成り立っている。現実は喜ばしいことばかりではないが、追想の中で過去の出来事は暖かな色味を帯びる、ということは心から納得した。
また改めて読み返したい。
・家庭生活にはフロー(目の前の作業に没入した状態)が生じる活動が少ない。感情のタスクの切り替えが必要となり、満足感を得られないばかりか、なにかをないがしろにしなくてはいけない罪悪感が生じる。
・ライフスタイルの選択が強制され、人生のなかで人々は何度も選ばなくてはいかない。結果として自分の人生にずっと自己評価をし続けなければいけない。
・夫婦が争うときは大概、感謝の授受について争っている。
・夫が家事をしている姿を見ることで妻のストレスレベルが下がる。
・子供の世話は家事より遥かにストレスを生むので、ここで生じる不公平感は結婚生活の幸福度に大きく影響する。
・幼児の母親は3分に一回、子供の行動を正す。幼児は60%しかいうことを聞かない。
・「お金があるとき、妻は自分のものを買うことに罪悪感を覚える。だけど、子供のものならいいんだよ。時間についても同じことだと思う。」
・子育てに関する世間の重荷を背負わず、仕事への関わりかたから世間から批判されることもなく、子育てについて過度に厳しくなることもなく、完全主義の苦悩を持ち込むこともなく自分を評価している夫から学ぶことは多い。
・移り変わりが激しい現代では、自分自身が子供の指針にはなれない。その結果、子供のためとなると流行りやブームを手当たり次第試そうとする。
・女性がプレッシャーを感じるポイントが一点の曇りもない家庭を維持することから、非の打ち所もない母親であることに移った。仕事を選ぶにも家庭を選ぶにも、答えを正当化するために子供が使われる。
・私たちは子供のなかに必ず自分自身を見る。だからパートナーへの子供のへの態度を見るとそれが自分への態度のように感じる。
・思春期になると親の後悔は様々な形で現れる。自分自身への疑問の形や、育児そのもの(どんな風に子供を育ててきたか)など。
・子供を幸せにすることが親の義務だと考えてはいけない。幸せとはあくまでも行為の副産物である。
・その場からほんの一瞬でも引いてみることができたら、現実を素晴らしいことだと思える。
・子育てて満足感を感じる瞬間の共通点は「受動的であること」。特に何をするわけでもなく、子供の蟻のままを楽しむこと。
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Posted by ブクログ
ネタバレテキサス州の人口が200人にも足りないような田舎町で起こった2つの殺人事件に挑む黒人テキサスレンジャーの話。
ミステリーであり謎解き部分もしっかり作られているのだが、主題はアメリカ南部に今も深く根付く黒人差別問題と、恋愛の物語である。そのほの暗さや深さは我々日本人には計り知れないところもあるが、この本を読めばその一端を垣間見てしまう。
自分より劣っていたり、大勢とは違う個性や特質をもっていたり、立場が弱かったり、出身や民族や文化が違ったり、そういう人を差別する感情ってのは、本能に基づく根深いところにある人間のどうしようもない難点なのかもしれない。
でもどうしようもないからと、ほったらかしにするのでなく、他人を尊重し、違う文化や価値観を受け入れ、弱い立場の人であってもきちんと生活する事を受け入れる。そういう風であることを理性や知性で行動する、一歩ずつでもそこに近づいていくことが今後の人間のあるべき姿なんじゃないだろうか?
大手の有名書店ですら、店頭のかなり目立つところに「嫌韓何某」などと書かれた本などを並べていること、そしてそれらの風潮に流されてた自分を思い出すといたたまれなくなる。
小説、それも自分のいる場所から少し離れたところが舞台でありながら、非常に考えさせられる小説であった。
勿論ミステリーとしても上出来で読み応えのある作品である。
またちょっと余談になるかもなのだが、背景として使われる音楽の見事な扱いよう、ブルーズとカントリーをここまで上手く使い分け風景としてにじませる凄さ。例えば民謡と演歌と歌謡曲をここまで書き分けられる小説があればいいのになぁ…とか思ってしまう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルだけで「あぁ、軽いヤツな。海外版ラノベな」と思っていたのだが、いやいやこれはオモロい。タイトル通り、お茶でも飲みながら、あるいは通勤電車で1編ずつとか、軽く読めるのは間違いないのだが、決してラノベではない。
日常ミステリーもの…と括ってしまえばそうなのだが、短くて(20Pくらいかな、中にはショートショート程度のものも!)かつ、起承転結はっきりしてて、ミステリー部分も抜かりなく、キャラクターの個性まで書き分けている。その上で洒落ているというかあか抜けているというか…。
重厚長大な作品もいいが、薄くても軽くても面白い小説は駈けるのだということ。星新一が教えてくれていたこのことを、歳をとって忘れていたみたい。この本を読んで思い出せて良かった。
作者の短編集がもう1冊出たみたい。機会をみて読むこととしよう。 -
Posted by ブクログ
街の骨格が徐々にわかってくると、事件の背景も見えてきて、白人至上主義、ヘイトクライムが犯罪に絡み出す。簡単な物語ではない。
黒人のテキサスレンジャーを通して、「家族」という関係を浮き彫りにしていく。
家族関係、人間関係。掘り下げていくことで犯人に、そして胸を抉るような動機へと導かれる。
街や店の匂いが文章から漂う。お腹が減るような、また反吐が出るようなこともあったり。
アメリカ南部の田舎町で起きた正義の傑作ミステリでした。
犯人をとんでもなく間違えてて吹いたのは許してほしい…
私の範疇よりもっと複雑に、また素晴らしい余韻を残してくれますので…
こんな面白いものが書評七福神でみんな選ばないって2018年12月何事?(皆さんあげてますけどね。 -
Posted by ブクログ
"中東、アフリカにある独裁国家に住む肌感覚やイスラエルとパレスチナの日常を知ることができる。
1998年から2003年にかけてオランダからの特派員としてエジプト、シリア、イスラエルでジャーナリストとして過ごして記事を送り続けていた著者が、伝えきれなかった部分を補ってくれているのが本書だ。
イスラエルとパレスチナの関係も見方ががらりと変わる。見る視点が変わることで、いろんな気づきを得ることができる。
本書を読んで、メディアからの情報を鵜呑みにすることの怖さにも気がつく。
情報を自由に閲覧できて、個人が発信できる日本にいると、独裁国家の日常は想像すらできない。
様々な視点を与えてくれた良書。" -
Posted by ブクログ
母の名前はサラ。父の名前はデイビッド。二人の間に生まれたのが
一人息子のジェイソン。だが、ある日、父デイビッドは母と息子の前
から姿を消し、次には訃報が届いた。ジェイソンがまだほんの子供
の頃だ。
母はひとりでジェイソンを育てた。穏やかで深い愛情を注いで。そう
して成長したジェイソンは大学進学ではなく、兵士なることを選び、
兵学校に入学し、アメリカ海軍特殊部隊を志願し、優秀な兵士と
なった。
類まれな兵士としての能力。だが、ジェイソンンの心のうちでは他の
選択肢もあるのではないかとの思いも育っていた。そうだ、次の任務
を最後に軍を退こう。
最後になるはずだった任務の最中、ジェイソンが行方不明になった。
サラの元へその知らせが届いた時から、ジェイソンと再会するまでの
11日間を描いた小説である。
ある時はサラの視点で、ある時はジェイソンの視点で、過去と現在が
行き来する。お互いがお互いに抱ている感情、父デイビッドへの思い。
そして、似たような母と息子の間の温度差。
極めて抑制された筆致が、戦争に係わるとはどういうことなのかを
母子の心を通して考えさせてくれる。
本書はフィクションではあるけれど、戦場に我が子を送り出した世界
中の母親はサラと同じような不安を抱えて過ごしたのではないだろう
かと思う。
我が子はどこでどのように過ごしているのか。無事に家族の元へ帰って
来てくれるのだろうか…と。
先日、駆けつけ警護の任務を付与された自衛隊の部隊が南スーダン
へ出発した。日本も既に他人事ではないのではなかろうか。今回の
駆けつけ警護にはいろいろと制約があるようだが、自衛隊員が戦闘
に巻き込まれる可能性は以前に比べたら遥かに高くなっている。
太平洋戦争以降、戦場へ我が子を送り出す母はいなかったのにね。
我が子が戻ってくるまで大きな心配を抱えて過ごす家族が出来てし
まったね。
サラの思い、ジェイソンの思い。それぞれが胸に痛い作品だった。
戦闘場面が克明に描かれているのではない。残酷なシーンがある
のでもない。それだからこそ、感情に走らずに書かれた分だけ余韻
が大きい。新たなスタイルの戦争文学なのではないかな。 -
Posted by ブクログ
オランダ人である著者が、新聞社時代に特派員として赴いたエジプトやイスラエル、イラクの取材を通じて感じた報道の実態を明らかにしている。
報道する側やされる側、受けとる側の三者が抱える不条理が、著者の徹底した中立的な視点で語られているところが興味深い。
イスラエルやイラクでも、ボスニアのようなPR会社が暗躍していたのだろう。財政難のパレスチナは欧米諸国のメディア戦に翻弄される、儚い存在なのだろうか。
イスラエルやパレスチナでも「我々は和平を望んでいる」としながらも、「相手は我々を憎んでいる」と民衆は口を揃えて言うのだとか。僅かな解決の糸口はここにあるような気がする。しかし、独裁政権は身の安定こそが重要で、メディアは都合の良いプロパガンダのためのツールであった。
メディアの中立性が存在しない世界に生きる人は、溢れる情報を無意識的に真実であると錯覚し、誤解どころか物事の本質に全く気付かぬまま一生を終わるということだろう。 -
Posted by ブクログ
「真実ってなんだ?」――本書を読み終わってまず思ったことだ。「真実」を報道するのがメディアの仕事だと思ってたから、その実態を知って驚いたし悲しくもなった。ある人が「真実を伝えなければ」と思っても、自分一人の力ではどうにもできないことがある。そうゆう人がいるかもしれないのに、できない。そうゆう人たちのことを思うと、やるせなさを感じる。
本書で初めて知ったわけではないけれども、一つの物事に対して様々な角度からの見方があることは忘れてはならないことだろう。そうでないと、偏った見方しかできなくなるし、それでは物事の全体を理解することができない。ある意味「現実」を見ていないことになるからだ。
とまあ、内容については全然触れませんけど、メディアリテラシーに興味のある方(もちろんそうでない方も)はぜひご一読を。「リアル」を知ることができると思います。 -
Posted by ブクログ
仕事と愛情の両立に向けた研究本です。
仕事・家庭のために何かを妥協する、犠牲にする、そんなゼロサムゲームにしないために、人生で起きうる課題とそれにうまく対処したカップルのサンプルをまとめた本です。
個人的には文章が冗長かつ登場人物が多くてこんがらがってしまったため、先に章末のまとめを読んでからそれらを肉付けする形で本文を読むのをオススメします。正直気になるところだけのつまみ読みでもよいと思います。
明確な答えをくれるわけではありませんし、ベストの答えはそのカップル次第という感じではありますが、カップル人生に訪れる大きな3つの課題を俯瞰してみれるのは、いい本だなと感じました。
日本も夫婦共働きが当たり前の時代です。こういった内容の本を、情報・技術本として、夫婦で読んでみるのもいいかもしれませんね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2026年の34冊目は、アン・クリーヴスの「悔恨」です。「哀惜」「沈黙」に続くマシュー・ヴェン警部シリーズの3作目です。前作「沈黙」を読んだのは、丁度1年前です。間にヴェラ・スタンホープを主人公とする「水面の弔花」も有りました。
舞台は、いつものようにノース・デヴォンです。閉鎖的な海辺の村で、世界的に有名な冒険家が殺害されているのが見つかります。その冒険家は、地元の出身では有りますが、何故、このタイミングで何のために地元に戻って来たのか?
いくつになっても自分が中心ではないと気が済まない人間がいますが、マシュー含めて、多くの人間がその人物に振り回される事になります。
☆4.4 -
Posted by ブクログ
本書には、子どもがのびのびと育つために必要な親の心得が様々な観点から記されている。当事者のエピソードを交えた子どもの思考描写は解像度が高く、多くの示唆に富んでいた。
終始一貫しているテーマは、子どもの立場に立って接することの重要性であると解釈した。子どもの考えを決めつけず、放置もしないという当たり前のことが大切なのだ。これらは大人同士であれば当然配慮しあうものだが、相手が子どもになると、つい一人の人間としての尊重を欠いた態度になってしまう人が多いように思う。
子どもの人格形成において、周囲の大人が与える影響は計り知れない。今後、子どもと接する機会があれば、本書で得た心得を胸に、誠実に向き合っていきたいと強く思った。