高山真由美のレビュー一覧
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ネタバレいっときの華文ミステリの勢いが下火になってきたように感じる中、一方で存在感を出してきているのがインドやアフリカ色漂うミステリ。
『カルカッタの殺人』(殺人事件と、背景となっている第一次大戦直後の現地の暗部へ通じる道の描きっぷりが○)、『マイ・シスター、シリアルキラー』(新感覚のアフリカンサイコサスペンス)、『ガーナに消えた男』(未読だけど気になる)。
本書は18世紀終わりのインドを舞台とした、退役軍人が新聞で見かけた2人の女性が相次いで転落した謎の事故死の真相究明に乗り出す、にわか探偵物語。
時節柄イギリス統治下にあること、かの『四つの署名』が刊行された直後にあることから、タイトルにもある”彼”の影響を大きく受ける、変装が欠かせない要素の調査スタイル。
異色なのは戦争という状況がすぐ身近にあり、探偵ごとの真相究明のかたわら軍務に就いてしまうところだったり、人種や民族、カーストといった社会的要素が物語の展開に随所で楔を打ち込むところ。
ストーリー的には、思い込みの強い主人公の一人称語りと、雇い人の妹に対する淡い恋心の見え隠れするうじうじ加減が、どちらかというと助手役のキャラが頑張って真相を突き止めたっていう印象。
真相自体もそこまでのいきさつはあれど、あまりにもど直球な謀りごとで、なんか大味だったなぁと。
インドという雰囲気を楽しむ系の物語なのかな。 -
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ネタバレエデュケアは一種の投資である。では、日本という社会は一体何に投資をしているのか?
若者の非行は、理性とかけ離れた感情や精神やホルモンの影響を受けている。すなわち、罪を重くしても、非行を防ぐ効果は薄い。逆に、生徒が自ら自生の力を発達させようとする状況や仕組みを作ることに重点を置いたほうが効果は高い。テストの点数にインセンティブを与えても、効果は薄い。むしろ、時には遊びや楽しいという感覚さえも、報酬は「仕事」に変えてしまい、モチベーションをなくさせてしまう。
添削やフィードバックのコメント、教室の雰囲気を変えることで十分教育は変化する。 -
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テキサスの田舎町で2件の殺人事件が発生する。1件目はテキサス外からやってきた黒人の男性弁護士のマイケル。2件目は地元の酒場でウェイトレスをしている白人女性のミシー。白人至上主義の犯罪組織のABTが集う酒場に関わった人が事件に巻き込まれている。事件の調査をしているのはテキサス・レンジャーのダレン。ダレンも黒人であり、家族とは問題を抱えている。マイケルがなぜ殺害されたのか。ABTが何らかの理由で殺したのか。白人のミシーが殺された理由は? 人種問題にからんだ事件かどうかさえ確信はないままダレンは捜査をする。終盤になると犯人はこの人くらいしかいない感じになるので、謎解きとしては深くはない。ただし、物語の背後に隠れている人の生き方などのドラマを読むべきなのだろう。
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私たちに何ができるのかという点では、正直具体的ではないと思う。しかし、格差社会の中で恵まれていない層にいる子どもたちを、その属性だからと諦める必要はなく、そういう目線で見て期待を持たないことこそが、子どもたちのその後の人生に影響を与えているようだということが分かった。温かいまなざしや励ましが、ここにいて良いんだという安心感や役に立っているという気持ちが、子どもを貧困や犯罪から遠ざける。できることなら政策に対して提言していければよい。仕事を通して子どもと接するのであれば、子どもへの信頼、期待を持って接すればよい。親という立場なのであれば、わが子に目線を合わせ、対話したり遊びを通して関わる時間を心がければよい。
本書の中で、日本の算数・数学教育が良い学習指導方法としてアメリカで紹介されていることに驚いた。日本においても学習指導方法やその評価は変わってきているが、対話的な学び、問題解決的な学び、協働学習などが有効であることも本書からわかり、大人として自分が受けてきた教育と今後求められるものの違いを認識して、ファシリテーション力も磨いていきたいと思った。 -
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脳の中で幼少期のストレスから最も強く影響を受けるのが前頭前皮質、つまり自分をコントロールする活動ー感情面や認知面におけるあらゆる自己調整可能において重大な役割を果たす部位である。このため、ストレスに満ちた環境で育った子供の多くが、集中することやじっと座っていること、失望から立ち直ること、指示に従うことなどに困難を覚える。
10年を貧困の中で過ごした子供は、5年の子供よりもサイモンのスコアが悪かった。実行機能の能力を阻害しているのは貧困そのものではなく、貧困に伴うストレスだったのである。
前頭前皮質は脳の他の部位よりも外からの刺激に敏感で、思春期や成人早期になっても柔軟性を保っている。もし環境が改善して実行機能を高めることができれば、その子供の将来は劇的に改善される可能性がある。
ストレスによるダメージが長期にわたる深刻な問題に直結するのは思春期である。飲酒運転をしたり、無防備なセックスをしたり、高校を辞めたりする。認知制御システムは二十代になるまで成熟しきらない。
生物学上の母親の習慣ではなく、育てた母親の習慣だった。生まれてすぐのころになめられたり毛づくろいをされたりした快い経験を持つ子ラットは、そういう経験のない子ラットよりも勇敢で大胆に育ち、環境にもうまく適用した。
感情的、心理的、神経科学的な経路をターゲットとしたプログラムのいちばん有望なところは、子どもが成長してからでも充分に効果がある点だ。知能指数だけを見るなら、8歳を過ぎたあたりからなかなか伸びなくなる。しかし実行機能や、ストレスに対処する能力は、思春期や成人になってからでも劇的に改善できる
達成のメカニズムは、動機付け(モチベーション)と意思
性格の強み(誠実さ、やり抜く力、レジリエンス、粘り強さ、オプティミズム) -
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ネタバレ下記の点が印象に残りました。
子どもをどのように養育するかは、習慣の問題。親からどのように養育されたかで、それ以外の子育て方法を知らないから自分の子育て方法も決まってしまう。ただし、学習によって自分の子育て方法を変えることも可能。
小さい頃にコンスタントにストレスにさらされると、ストレス対応回路がバグを起こし、普通の状態でもストレスを強く感じやすくなる。
IQは自分はどういう人間かと定義されることによって影響を受けやすく、絶対的なものではない。
失敗をして、それから立ち直る方法を学ぶことが必要だが、現代では失敗そのものをすることが難しくなっている。
ヘリコプターペアレントの元で育つ子どもは、人生に不幸感を感じている子も多い。 -
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親と教師の愛情
同著者の「私たちは子どもに何ができるのか」に感銘を受け、本書も読むことにしました。その前作だけに、まとまりのなさを感じましたが、親と教師の愛情により、いかに子供の非認知能力を上げていくかがキーとなるように思えました。
著者の大学を中退した経緯や、その時の葛藤も率直に書かれており、興味深く読み進めました。
親として私自身が難しいことは、子供が失敗するかもしれない局面で遠くから見守ってあげるだけの度量を持つ事。失敗をさせる勇気。失敗を通して学ぶことの大きさを自身の経験からわかっているものの、子供に過保護になってしまうことに気付かされます。(p140)
成功へのロードマップはない。失敗と挫折を繰り返し、自分だけのオリジナルな人生を歩んで欲しい、それが親の願いです。 -
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オバマ政権も注目した、ハーレム地区の貧困に立ち向かうNPOの軌跡が分かる本。著者は、非認知能力に関する著書で名高いポール・タフだ。
プログラム創設者との5年以上にわたる対話や、貧困層に対する様々な学術的研究を基に、貧乏を抜け出すには「何が必要か」について書かれている。
私の知る日本の現状と比較すれば、当事者との関係性や早期からのサポートは、うらやましい限りだ。
事前に手厚い対策を講じることで、問題が発生しなかったことが評価される社会になってほしい、と私は願う。
その一方で、たかだか義務教育レベルのテストで良い成績をとるために、貴重な人材を総動員して子ども達に教え込む姿勢は、私には異様にうつる。(まあ日本も、共通テストなるものに、同じような状況ではあるのだが…)
“形”に当てはめることで、無理を生じる典型になりはしないかと、危惧を覚えた。 -
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ネタバレ現在、社会人1年生と大学1年生の子どもを育てました。
4月から2人とも1人暮らしです。
少し、子育てを振り返って、ブログを書いています。
この本を読んで、あ~やっぱりそうかなと思いました。
基本的には、アメリカの貧困層が通う公立学校の学力を上げるために、色々研究してきた結果を踏まえた考察の本です。
大学に行き学位をとって就職すれば、貧困層から抜け出せる。しかし、なかなかそれが難しい。
中学高校あたりで、教育を積極的に施すと、大学に入学はできるが、途中で辞めてしまう子も多い。家庭の後押しが必要。
一方、富裕層が通う学校でも、思春期に精神的な問題を抱える率が高い。
これは、「富裕な親たちは子供と精神的に距離をおきたがり、同時に高いレベルの成果を要求する」と分析。
子どもが小さいとき大切なのは
・母親のアタッチメントのレベルを上げる
・親が過度に批判的になるのを避ける
・放課後に親の目が行き届くようにする
中高生のときに大切なのは
・しっかり怒る
・子どもに失敗して立ち直る経験をさせる
裕福な家の思春期の子どもが、不安や鬱が高い値を示している場合…
親と子で感情面でのつながりがない場合、親は往々にして子供の悪いおこないにひどく甘い。
年収百万ドルを超える親の中に、
自分は自分の親よりも子供に甘いと答えた人が圧倒的に多かった。
「やり抜く力や自制心は、失敗をとおして手に入れるしかない」 -
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エドガー賞YA部門受賞作品。アメリカではYA部門にこんなに残酷な作品があるのかと知ってまずは驚愕。
原題は"Sadie"。この物語の主人公である19歳の少女の名前が<セイディ>。なので、このエキセントリックとも言える邦題は、多分に営業的な目論見、かつ内容にも即したものであるとの自信の表れか?
少し内容や雰囲気を説明したような邦題と思って頂けるとよいのかも。
妹マティが殺されたので姉が復讐のため殺人者と目される義父を追跡する旅に出る。ティーンエイジャーの娘セイディの一人称で語る調査と追跡物語。まさに町から町へと果てしない旅を繰り広げるロードノヴェルとしてのメインストーリー。
しかしそのストーリーを客観世界に展開するようにして、ラジオDJマクレイがマティ殺害事件とセイディの行動を取材し、追いかける。こちらは小説文章ではなく、DJのトーク、電話取材によるヒアリング、放送局内上司とのやりとりなど、すべてが会話体のみによって綴られる。
じっくりと語られるセイディのこれまでの家族と亡き妹への愛情や悲しみ。吃音でしか話せないというハンディゆえに、文章でしか饒舌になり得ない孤独な探偵は、一途で心身ともに傷だらけで、ともかく痛々しいのだが、それ以上にタフである。この辺りが邦題のイメージとなったのだと思うが、寡黙なゆえに心の深海に潜航してゆく決意とその昏い情動が複雑極まりない。
語り口はハイ・テンポだが、この物語の世界は少女虐待という荒廃したテーマに象られた滅びの世界のように見える。
取材する放送局の側が、多角的な視点から、少女の孤独の陰も陽も映し出してゆく。
やがて二つの物語が合わせ鏡のように一つの世界に起こった事件とその結末までを描き切ってゆくのだが、その表現のオリジナリティや、語り口、人物たちの際立った個性に対する驚愕は忘れ難い。
YAとなっているがOA(オールドアダルト)の読者他、どのような読者でも十分付いてゆけそうな異世界への招待状である。アメリカの街や砂漠や森や夜などの自然描写も卒なく素晴らしく、独特なカルト的雰囲気を醸し出している。並の物語に飽きかけている向きの方には、是非ご賞味頂きたい一冊である。 -
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1)
非認知能力は「教育するもの」というより、子供を取り巻く「環境の産物」と考えた方がより正確であり有益。
逆境が乳幼児期の発達に与える影響も、中高生の非認知能力の成長が学校を中心とした環境の産物であることも科学的に証明されているそう。
2)
子どもにとって重要な「環境」とは周囲の大人たち。
一般に環境と言うと住む家など物質的なものを思い浮かべますが、大人なのです。重要なのは。
具体的には子どもがストレスを受けてる状態で周囲の子供がどう対応するかが非認知能力の伸びを左右します。
3)
子供の非認知能力の成長を左右する大人の役割は大きく分けて二つ。
①適切なサーブとリターン
幼児のアクション(サーブ)に対して反応する(リターン)。それにより脳の複数領域が結合する。
②外部圧力の調整
子供が動揺している時に平穏を保たせられるか。
4)
非認知能力を伸ばすには「教育」より「環境」の整備。
具体的には「逆境におかれた環境で、思考を巡らせ行動した経験」が非認知能力を伸ばす。
ただ貧困家庭の子供は①健康上の問題②幼少期の知的刺激が少ない、ため逆境経験が過度なものになりがち。
5)
生徒が自分のポテンシャルについてのメッセージに最も敏感になるのは失敗した時。
失敗をした時に、その経験が「悪いこと」ではなく「学びや学習の機会」だと気づかせるメッセージをかけてあげる。
そうして生徒の「学びを推進する力」の伸びに協力する。
5)
幼児学習における重要な考え方「学習の積み木」。
レジリエンス、好奇心など高次な非認知能力を突然身につけることは極めて難しい。それらはまるで積み木のように大人によるストレス管理、愛着など心理的安全性が担保されてはじめて身につくもの。
6)
子供の内発的動機付けを維持する3つの鍵。
①自律性
管理や強制をいかに感じさせないか?
②有能性
簡単ではないがやり遂げることがタスクにいかに取り組ませるか?
③人とのつながり
自分の価値が認められ尊敬されているという感情をいかに抱かせるか?
7)
生徒の学校での頑張りを左右する4つの感情。
①学校に確かに居場所を持っている
②能力は努力によって伸ばせる
③どんなことでも成功させることができる
④この勉強は私にとって価値がある
教育者は答えではなく問いによりこれらの感情を抱かせる役割か。
8)
非認知能力は子供が取得する「技術」ではなく「習慣・態度・ものの見方」。
特に重要な態度は失敗した時に立ち直ろうと思えること。
これは本人の気質もそうですが、周囲の状況も大きく影響します。
特に大人の声掛けが重要。
9)
「自分はマイノリティーだ」と感じている人にこそコーチングは有効な可能性が高い。
欧米で実施された実験では、コーチングの有効性がより示唆されたのは、白人の子どもよりも黒人の子どもだったそう。コーチングに携わる人は覚えておくべき実験ですね。
10)
非認知能力自体の測定は必要ないのかもしれません。
アンケートで非認知能力自体を測定する研究は多いですが、「非認知能力が伸びた結果、子供の行動がどう変わるか?」を考えた方が有益という意見も。
例えばGRITなら何かの行動の継続期間を記録するなど。