高山真由美のレビュー一覧
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「ジョーがまずギターを取り出した。沢山の人々の--ジョーの、次いでマイケルの、そして今やランディとダレンの--運命を変えたギブソン・レスポール」
伝説のギターマン、ジョー・スウィート。彼のギターをシカゴから追いけかけてきたマイケル・ライトの遺体がバイユーで発見された。ついで白人女性の死体が同じバイユーの少し下流で。
東テキサス、シェルビー郡。人口178人の小さな田舎町。法律家になる道を妻や叔父に強く促されながらも、テキサス・レンジャーとして生きているダレン・マシューズを主人公に、人種間偏見と暴力が容認されるアメリカ南部の田舎町に起こる葛藤をいくつも重ねたように描いて、世の複雑さと人間と -
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ネタバレミステリーだが、犯人捜し謎解きというよりは、女警部主人公のタフネスっぷりを存分に楽しむ小説。
かつて存在した児童保護施設に勤務していた元職員が殺害された、とほぼ同時期に火災で空き地となったその施設跡の地面から白骨死体が発見される。過去の殺人事件と現在の殺人事件の両方を並行して追う主人公キムたちウェストミッドランズ警察の面々…。
ってのが、大まかな筋。この事件に関連する人物たちのイヤらしいこと暗いこと。エエもんも出てくるのだけど8割くらいの関連人物がどこか食えない。そんな連中に対して主人公キムは、直球にケンカ上等で突きかかっていく。それは彼女自身が抱えるくらい過去があるからなんだけど、それを -
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シカゴから来た男が運んできたのは、ギブソンのレスポールだった。
輸入盤で手に入れたミシシッピ・ジョン・ハートのレコードを擦り切れるまで聴いてフィンガー・ピッキングをコピーしていた頃を思い出した。『ブルーバード、ブルーバード』というタイトルは、ブルースの名曲から採られている。事実、文中にはライトニン・ホプキンスやジョン・リー・フッカーの名前がたびたび出てくるし、主要な舞台となる、ラークというテキサスの田舎町にある掘っ立て小屋みたいなカフェ<ジェニーヴァ・スイーツ・スイーツ>では、いつもブルースがかかっている。
面白いのは、ハイウェイ五九号線を挟んだ向かいには、プア・ホワイトが集まってくる<ジ -
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なかなか文庫にならないのでハードカバーで購入。
真実の報道などというものが、テレビや新聞の紙面に存在するというナイーヴな考えを持つ人は(2010年代も終盤の今となっては)かなり少ないと思うのだが、自分はそれでもかなり「信頼」はしているような気がする。
本書を読み通すと、その考えが甘いことに気がつかされる。報道とは「現実をそのまま描写したもの」ではないし、仮にそのように表現できたとしても、あくまで取材者の主観や知識、先入観、宗教観、世界観などなど、その他諸々に支配された「現実」を描写しているものにどれだけ現実を伝える力があるのか、疑問しかない。
メディア経由の現実とは、外国語のようにも感じ -
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舞台は1800年代のインド。さっぱり知識がありません。
東インド会社 アヘン戦争 インドからアヘンを輸出
当時のアヘンは違法薬物ではなく高級嗜好品の位置づけだった。
くらいをざっと予習して読み始めました。
主人公はなにも知らされず、状況がよくわからないまま混沌のインドをさまようことになります。
相棒のはずのブレイクは状況を主人公に語らないし、現在どのような状況なのか、道中がどうなっていくのかさっぱりわからない描写になっています。
一人称視点なので読者はその混沌を主人公と共有しながらなんとか物語についていくことになります。
やがて真相が明らかになる終盤はベージを繰る手がとまらず一気読みします -
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なんとこれがデビュー作だそうな…! 非常に重厚な…物語でしたねぇ、読みごたえがありました!
ヽ(・ω・)/ズコー
ハヤカワミステリ…つまりはミステリ作品なんでしょうけれども、実際にあった事件とかも参考にしている? と解説には書かれてありましたが…その影響か知りませんけれども、単なる謎解きミステリとは違った重厚さがありましたねぇ…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
というわけで、11歳の少年のキャラクターがひと際目立ったのでありました…。けれども、実際にこういう少年って居そうですけれどもねぇ…やたら弁の立つっていうか…大人顔負けの態度からして近くにもし居たら…嫌ですねぇ…。
さよう -
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通称セヴンの石田清美を主人公にしたノワール小説。家族を惨殺され、日本に替えることを胸に秘めながら、ロンドンに生きるセヴンが少しずつ暗黒の渦に巻き込まていく。
セヴンの目の前に現れた殺し屋マークが探偵役を務め、セヴンの家族を惨殺した犯人を突き止め、復讐を手伝うストーリーだと思ったのだが、そんな単純な物語ではなかった。
予想もしなかったセヴンの豹変と暴力描写。すっきりしない結末は続編へのプロローグなのか。
ジム・トンプスンの圧倒的なノワールとも違うし、ボストン・テランの重苦しい空気が漂う詩的なノワールとも違う。強いて言えば、深町秋生の桐咲マヤシリーズが近いだろうか。 -
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ネタバレ妊娠、出産、初めての育児のスタート、と怒涛のように過ぎていったここ1年、今、少し立ち止まって、子どもがいる今の生活を見つめ直そうと思って手に取った本。ただ何となく子どもを産み、ただ何となく育て、何となくともに生きていく、そういう「ただ何となく」という状態は避けたい。流されるように子育てをするのではなく、子どもがいるからこその大きな体験ができていることを噛みしめて生きていこう、と思った。
・現代人はつきつめればどこまでも自由に生きることができる。どこでどんな仕事をするか、結婚をするかしないか、子どもをつくるかつくらないか、どこに住むか。そんな中で子どもは唯一、人生に制約を与える。制約のない人生