高山真由美のレビュー一覧
-
-
-
-
-
Posted by ブクログ
シェトランドシリーズのアン・クリーヴスの新作。
もしかして新シリーズになるのかな?
(本国ではシリーズ3作が刊行されている様子)
今回も主要な登場人物たちの心の声、ダダ漏れ。
これによってその人となりが理解できるのがうれしい。
主役の警部、マシュー・ヴェンは見た目冷静で、できる男な雰囲気なのだけど、内面はナイーブで繊細。
家族関係に問題を抱えていて、
同性婚をしているという設定も新鮮。
今作は事件の真相自体にはさほど目新しさはないものの、描かれるキャラクターがとても魅力的。
マシューとその部下たち、
マシューとパートナーのジョナサンとの関係性など、
まだまだこの先変化していきそうで楽しみ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ殺人事件はすぐに起きるのだけど、少し前までホームレスだったアルコール依存症の男が、なぜ殺されなければならなかったのか、が全然わからない。
そこがわからないので、もちろん容疑者なども全然絞れない。
捜査責任者のマシューの生い立ちや、部下たちの生い立ちも交えて描かれるこの作品は、ともすればまだるっこしく感じられるかもしれない。
しかし、親や夫の言葉や肉体への暴力にされされてきた捜査員たちは、被害者がボランティアとして働いていた複合施設で接していた、学習障害のある人々(社会的弱者)が被る偏見や、彼らの持つ優しさ・素直さなどから、徐々に事件の本質に迫っていく。
そしてそれは殺人事件の解決だけではな -
-
Posted by ブクログ
結婚前、私は夫に「2人で1になるのではなく、1と1で2以上になりたい」と話しました。
依存関係ではなく、個別化することがお互いそして二人の幸せに繋がると信じたからです。
この本はそんな関係性を求める人にぜひ読んでほしい。
関係性は結んで終わりではなく、育むことが大切。
〜本文から引用〜
「カップルの関係は、価値観・限界・不安を共有し、その共有を続けることがより良い人生につながると気づいたときに、本当に始まるのかもしれない。どんなカップルにとっても、対話をするのに一番いいタイミングはいまだ。早ければ早いほどいい」
「価値観は道の方向を決め、限界は道の太さを決め、 不安は両脇に崖があるかもし -
Posted by ブクログ
ネタバレ「カップルとしての」キャリアへの向き合い方、という視点はこれまでになく興味深かった。
結論としてはシンプルで、オープンに2人で根気よく妥協せずに話し合いをすること、仕事も愛もどちらも大切にする努力を惜しまないこと、ということになるかと思う。当たり前のことといえば当たり前だが、実践するのは難しく、ケーススタディとして複数のデュアルカップルの軌跡を知ることができるのは有用だと思う。
また、扱っている期間が幅広く、人生の後期に起こるであろう転換期について、先人の事例から学ぶことができるのはありがたかった。
初めは子育てしながらのキャリア形成のついて学びを得たいという観点で手に取った一冊だったが、 -
Posted by ブクログ
当たり前の話しなんですが、物語が持つ雰囲気みたいなんて、主人公の持つ特性に依存しますよね
当たり前ですが
本作の主人公マシューは礼儀正しく落ち着いていて、公平で清々しく凛としている
そしてまさしく物語はそのように進む
とてもとても落ち着いてゆったりと進む
だけどダラダラしてるわけじゃなくてページはすいすい進む
なんか変な感じ
ゆっくりだけど澱みがないんよね
そしてマシューにはジョナサンという彼とは正反対の夫がいるんだけど、彼がいることでさらにマシューの人となりが際立つんだよね
そう、そしてこれめちゃくちゃさらっと書かれてるんだよね
最初なんのひっかかりもなくさらっと進行しちゃうの、マシュ -
Posted by ブクログ
殺された人間がどのような人物だったのかが徐々に明かされながらも、そこから更に謎が深まったり、新たな事件が起きたり、人物像が皆くるくると変わる様などは大変独特だと思いました。
後半の弱者が虐げられながらも人知れず団結して抗うあたりが読んでいて胸が熱くなりました。
また犯人の身勝手さや、考えが至らず結局は犯罪の隠蔽に手助けしていたりと、人の善性と悪性が緩やかに対比されていたのも面白かったです。
あと主人公マシューとジョナサンの関係と、それを受け入れているイギリス社会が興味深かったです。日本だと物語の軸に据えられがちなのに、「そういうものだ」という価値観で話が進んでいくのは最初面喰らいました。
-
Posted by ブクログ
イギリス南西部にある海岸で死体が発見された。
その日マシューは、父の葬儀を見ているところだった。
ゆるやかで不思議な感じで読み始める。
部下からの電話で近くにいたマシューは、死体発見現場に向かう。
事件捜査も静かに流れていくのだが、これはマシューの警部らしからぬ礼儀正しさと落ち着いた雰囲気からだろうか。
舞台はウッドヤードという施設で、そこの所長を務めるジョナサンがマシューの夫である。
さらりとLGBTQであることが描かれているのだが、部下も施設関係者も知っているという普通さにも慣れてくる。
次々とキャラの濃い特徴のある面々が登場し、事件は複雑なように見えてくる。
結局殺されたサイモン -