武田砂鉄のレビュー一覧
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現代社会に蔓延るマチズモに糾弾した本著。
私自身、男性として生を受け男性として生きてきたが、ホモソーシャルを内心では嫌っているのに、ホモソーシャルに馴染もうとした過去があった。今は当時の言動や行動を反省しており、自分を客観視して内省を繰り返している次第だが、まだまだ私の見識の浅さや視野の狭さに気づかされる本だった。
七章の「会話に参加させろ」における会話の主導権を男性が握り、女性がそれに従わざるを得ない問題や、十章の「寿司は男のもの?」における寿司屋での、こちらも男性が主導権を握るような立ち居振る舞いの問題は、私自身気づかなかった視点だったので、勉強になった。
ほか、部活における女子マネージャ -
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P.10
母 福を呼ぶ ハンター的な感じ?福がないとは言えないような。
父 福を逃さない →守護者、家を守る的な価値観が見て取れるような。
P.22
犯行理由を探索することと、
その免罪をすることは全く別。
P.39
不均衡なテコの上で中立に立つと、不均衡なまま。
P.53 鉄道会社の痴漢防止への取り組まない問題。
P.69 下駄を履かされ続ける男たち
P.71 慣例、便宜で続けられる格差
P.80両論併記による無効化、優位性の維持。歴史修正などと同じだな。
P.88AI技術が進んでより加速されるジェンダーバイアスの強化
P104立小便は男のプライド?そうなのか?
P126性 -
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仕事で毎日忙しく、また会社の中での不満や組織体制に対する疑念を抱く生活をしていると、広く政治や世論のおかしさを面倒がって完全にスルーしてきた1、2年だった。忙しさや周りへの不満は個人的な理由でしかなく、たぶん政治にも何ら期待は持てておらず、興味もやはりなく見向きもしていなかった自分の態度の悪さからくる成れの果てだと思っている。そこで本書を読むとわざと自分で靄をかけて見ないようにしていたことをバンバンと当てられる感覚に陥る。そしてよくぞそこまで咀嚼し文章にしてくれたことよと爽快感を感じ、スッキリする。全然世の中は良くなる気配がないけれど、作者のような思考の持ち主がちょうどずつ増殖すれば、いつか壁
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この本の電子書籍が手に入って、なんとなく斜め読みしてみた。
辞書のようなもの、、と思っていたら、違った。
まず、文章を書いている人がすごい。
著 / 小泉悠/上脇博之/武田砂鉄/塚田穂高/五野井郁夫/水無田気流/小嶋華津子/塩田祐子/小林美穂子/山本章子/鶴岡路人/立山良司/鈴木エイト/森山至貴/やくみつる/生島淳/常見陽平/ほか
そうそうたるメンバーが、テーマごとに世相を切っていた。読み応えある文章。
続いて、2024に流行った言葉の解説が続く。
今は亡き森永卓郎さんも「貯蓄から投資」は危険な政策 と厳しく語っている。
全体的に反政府的。
最近言われるところの「右翼」が好まない言葉 -
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ネタバレまるで朝ドラ「虎に翼」の「はて?」というセリフのタイミングを集めたような本。
当たり前だと思っていたのに「あれ?おかしいかも?」と気づく場面。
様々な立場の方の寄稿が集まってて一つ一つ短い。軽そうで、全然軽くない。
この本にはフェミニズムというテーマだが、「弱さを認めて、差別を減らして、共に生きていく社会」みたいな風潮が感じられる。弱さを見つめるために、それぞれが自分の生い立ちを話している項が多い。
以下、ネタバレ
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鴻巣麻里香「脱抑圧の三代記」
p.69
「子どもがいるんだから、そんなに無理して働くことはないんじゃないか。一度仕事のペースを落として、子育てに専念し -
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多様な職業や様々な性自認を持つ19人が「あなたのフェミはどこから(はじまりましたか)?」の問いに対して、ナラティブに応えてくれる。個人的な生育歴や経験は多様でもどこかで共通する体験が語られ、フェミニズムとの出会いや現在の活動、到達点などを綴るリレーエッセイとなっている。1948年に定められた世界人権宣言の第1条は「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」と記載され、第1条のあとに「人間は、理性と良心を授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない」と続く。○国ファーストと排外主義が飛び交う今日において、人権感覚を研ぎ澄まし、ジェンダー
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自身がフェミニズムに対して、ちゃんとつかまえることができていないからだと思うが、わかりやすく入ってきたのは、星野概念さんと武田砂鉄さんの文章。フェミニズムだけでなく、自分とは異なる人との対峙には、必ず客観性を忘れてはならない、という点はいつも思うことだし、そうすることで少しでも中に入り込むきっかけになるかもしれないのだと改めて思い返した。適度な距離と、想像力と、それを反芻する能力が高まることでお互いがもやもやせず、もう少し前を向いて生きていけるような雰囲気が作り出せそうな気もするが、それがなかなか難しいのだよな、と改めて思ってしまった。
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自分は著者と逆の立場ではあるが、著者の視点と同じものを自分の中にも感じる。子を持つ者からのみ語る資格があるように思われている様々な事柄について、丁寧に綴っていく内容は、確かにと納得させられた。
子は、親である自分とは別人格であるという今更ながら当然の認識があれば、「親である」こと「ない」ことは、語るということに関してむしろほぼ無関係になっていく気がした。
当事者がいて、そうではない境遇の人間がいて、でも「こうなんではないか」と想像する力があれば、両者が分断される理由は無くなっていく。著書での「子持ち・子なし」の両者に限らず、社会の中で、うっかり分断されそうになる他の両者の間でも、想像力は非常に -
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ネタバレ自分の人生で往復書簡形式の本はこれで2冊目。対談よりもこういう文通のほうが好きかもしれない。矢継ぎ早に言葉が飛び交うのより、時間をかけて相手に言葉を渡すのが心地よいからか。
実は又吉直樹も武田砂鉄もちゃんと文章を読むのはこれが初めてだった。だからこそ、又吉直樹のあの無気力そうでミステリアスな風貌からどんな思考が出てくるのか、ネット上で名前をよく見た武田砂鉄はどんな事を話すのか、とても楽しみだった。
読んでみると、だいぶ安っぽい感想になるけど、自分に刺さった言葉がたくさんあった。15頁の「人は言動を瞬間的に変えながら〜」に触れた時、この本を買ってよかったとすら思った。私も「2週間前の自分は別の -
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読んでる途中は、『分かりやすいとか、分かりにくいとかよりも、大事なお客さんや大切な人への言葉を一生懸命考えて、何回も推敲するような事が大事だと思う。』と言うような見当違いな事を考えながら読んでいました。
でも読み終わってみると、『物事をA対Bとか、どっちが優れているとか、そんな単純なものの見方ばかりしてると、自分が何が分からないのかも分からなくなっちゃうから気をつけよう。』と思うようになりました。
全体的に分かりにくいし、全部に納得できた訳ではないのですが、何となく自分なりに考える事や納得した部分もありました。
自分に耳障りの良い話や共感できるような本ばかり手に取ってしまいがちですが、物事 -
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佐藤亜沙美さんが装丁を担当されていて手に取る。
自分にとって、良い条件の喫茶店とは、各々が自由気ままに過ごしているかどうかで、全員がパソコンをパチパチ打ちつけるような、どこかのオフィスに迷い込んだ気になる喫茶店からは足が遠のく。カバーをかけずにミステリー小説を読みふけり、物語が終わろうとするあたりにさしかかっているので没頭している人が居座る喫茶店や、10分前から一点を見つめたまま動かない人が佇む喫茶店を好む。
あとがき
今日、特に何もしなかったな、という日がある。
実際には、けっこう色々しているんだけど、実際どうだったかなんて関係なく、とにかくそう思う日がある。割と好きな一日にカウントさ